令和7年度 秋期 エンベデッドシステムスペシャリスト試験 午後II 問1 組込み製品のマーケティング戦略(論文)

ストラテジ経営戦略組込み・IoT

この問題は2025(R7)秋 エンベデッドシステムスペシャリスト 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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学習ガイド

組込みシステム製品で新市場へ参入する際のマーケティング戦略を論じる午後Ⅱの問題です。模範解答は公表されないため、設問と講評から要求要素を組み立てます。講評では、製品の技術的特徴が書かれていない答案と、SWOT分析の結果止まりで細分化された市場に踏み込まない答案が課題とされました。フレームワークを使った分析から市場選定、差別化施策までを技術的裏付けとともに一気通貫で語る構成が求められます。

この記事で押さえる論点

  • 新市場参入のための分析フレームワーク活用と市場細分化を論述する
  • ターゲット市場の選定理由と差別化施策を製品の技術的特徴と結び付ける
  • 投入結果と差別化施策の評価・今後の展望を述べる

問題本文

問1 新市場に対する組込みシステムの製品企画におけるマーケティング戦略について

近年,デジタルトランスフォーメーション(DX)の加速,さらにIoT,AIなどの要素技術を用いた製品の浸透によって組込みシステムの市場は,多方面に広がっている。そのような背景もあり,既存市場に加え新市場の開拓が必要である。新市場においても競合他社の参入が想定される。

新市場へ参入する際は,マーケティング戦略の策定が重要である。策定では複数の分析フレームワークの活用が有用である。例えばSWOT分析の結果を基にSTP分析を用いて,Segmentationによって市場を細分化し,Targetingによって狙うべき細分化した市場を選定し,Positioningによって競合他社との差別化を図る場合もある。

マーケティング戦略の策定の例を次に示す。A社は,AI画像認識装置を開発している。深刻な人手不足対策のための自動化・省人化の需要がある新市場へ参入することとした。当該製品の製品企画に際しては,SWOT分析を活用した結果を基に,自社の強みを競合他社より高精度な高速処理と定めた上でSTP分析を活用し,次の手順で戦略を策定した。

  1. AI画像認識装置を利活用することで自動化・省人化に寄与できる市場として,物流,介護,医療などのように市場を細分化してそれぞれ調査する。細分化した市場の情報収集は,見込み顧客に対する現行方式の課題及び新製品を導入した際の費用対効果などをインタビュー形式でヒアリングする。

  2. 1の調査結果に加え,物流では,扱う商品・製品の外装バーコード・二次元コードなどでの自動認識が困難な場合に,AIによる画像入荷検品システムが有効であることを考慮して,物流市場をターゲットとする。

  3. 物流市場には,先行して何社かの競合他社が参入している。後発の自社が差別化を図り,次の二つの供給形態とすることで競争優位性を得る施策とする。

    • 標準形態:安価でかつ強みでもある高精度が特長のスタンドアロン形態
    • オプション形態:高精度はそのままに,大量のデータを高速処理可能なクラウドコンピューティングとも連携する形態

新市場へ参入する際は,マーケティング戦略の策定において,分析フレームワークを活用し,その結果を基に経営陣及び関連部署の責任者などと,採算性,市場成長率などを鑑みて協議し,適切な市場をターゲットとして選定することが重要である。

設問と解答・解説

設問

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って解答せよ。
なお,解答欄には,文章に加えて,図・表を記載してもよい。

(1)

あなたが携わった組込みシステム製品の用途及び技術的特徴を踏まえた概要,企画に至った経緯,参入した市場の特徴について,1ページ(400字相当)以上,かつ,2ページ(800字相当)以内で答えよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 34点)

知識・理解度(内容)(17点)

  • 17: 組込みシステム製品の用途及び技術的特徴が具体的に記述され、企画に至った経緯と参入した市場の特徴が的確に示されている。
  • 13: 製品の技術的特徴や市場の特徴がおおむね記述されているが、具体性にやや欠ける部分がある。
  • 9: 概要や経緯は記載されているが、製品の技術的特徴が具体的に述べられていないなど、記述が不足している。
  • 4: 製品の概要や市場の特徴について部分的な記述にとどまり、技術的特徴などの重要な要素が欠落している。
  • 0: 設問の要求事項に対する記述がない、または全く関係のない記述である。

論理性(構造)(17点)

  • 17: 製品概要、企画経緯、市場の特徴の各要素が論理的に構成され、一貫性のある文章で記述されている。
  • 13: 要素間のつながりはおおむね論理的であるが、一部構成に不自然な点がある。
  • 9: 各要素は記述されているが、経緯や市場の特徴などのつながりが不明確である。
  • 4: 文章の構成が破綻しており、論理展開が追いづらい。
  • 0: 論理的な構造が見られず、理解困難である。

解説

本問は、エンベデッドシステムスペシャリストとしての企画力分析力を評価する論述問題の一部です。新市場へ参入する前提として、携わった組込みシステム製品の基本情報と市場背景を説明することが求められます。

高得点のポイント

  • 製品の技術的特徴の具体化: 用途だけでなく、製品の技術的特徴が具体的に述べられていること。抽象的な説明に終始せず、専門家としての技術的な強みや特徴を明記する必要があります。
  • 企画に至った経緯の明確化: なぜその新市場への参入を企画したのか、背景や課題感などの経緯を論理的に説明していること。
  • 参入市場の特徴の把握: 対象となる市場の規模、成長性、競合状況などの特徴を客観的かつ具体的に記述していること。

(2)

設問アで答えた市場に対してどのようなフレームワークを活用し分析したか,細分化した市場とその調査内容,新製品を投入した市場をターゲットとして選定した理由,当該市場での差別化を図った施策の内容について,2ページ(800字相当)以上,かつ,4ページ(1,600字相当)以内で具体的に答えよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

知識・理解度(内容)(16点)

  • 16: SWOT分析などのフレームワークを適切に活用し、細分化された市場とその調査内容が極めて具体的に記述されている。
  • 12: フレームワークを活用し市場分析を行っているが、市場の細分化や調査内容の具体性がやや不足している。
  • 8: フレームワークによる分析結果のみが記述されており、細分化された市場についての記述が不十分である。
  • 4: フレームワークの活用が不適切であり、市場の調査内容も曖昧である。
  • 0: 設問の要求事項に対する記述がない、または全く関係のない記述である。

説得力(考察)(17点)

  • 17: 分析結果に基づいてターゲット市場を選定した理由が論理的であり、差別化施策の内容が極めて説得力を持っている。
  • 13: ターゲット選定理由や差別化施策が記述されているが、説得力や分析結果との関連性が一部弱い。
  • 9: ターゲット選定理由や差別化施策の記述が表面的であり、分析結果とのつながりや説得力に欠ける。
  • 4: 選定理由や施策の内容が不適切であり、考察としての説得力がない。
  • 0: 設問の要求に対する考察が全く見られない。

解説

本問は、マーケティング戦略策定におけるフレームワークの活用と、それに基づく施策の立案能力を評価します。

高得点のポイント

  • フレームワークの適切な活用: SWOT分析、3C分析、PEST分析などの分析フレームワークを明示し、具体的にどのように分析したかを記述すること。
  • 細分化された市場の記述: フレームワークの分析結果(SWOT分析など)を記載するだけでなく、市場をどのように細分化したか(セグメンテーション)、その調査内容を具体的に記述すること。
  • ターゲット選定と差別化施策の説得力: 分析・細分化した結果を踏まえ、なぜその市場をターゲットにしたのか、そこで競合に勝つための差別化施策が論理的かつ説得力をもって論じられていること。

(3)

設問イで答えたターゲットとして選定した市場での新製品の投入の評価,当該市場での差別化を図った施策の評価,今後の展望について,1.5ページ(600字相当)以上,かつ,3ページ(1,200字相当)以内で具体的に答えよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準(配点 33点)

論理性(構造)(16点)

  • 16: 設問ア・イの記述内容(分析結果や施策)と、本設問の評価および今後の展望との間に強い論理的整合性がある。
  • 12: 前半の記述との一貫性はおおむね保たれているが、論理展開に一部飛躍が見られる。
  • 8: 前半の記述との関連性が薄く、評価や展望の論理的なつながりが弱い。
  • 4: 前半の記述と矛盾する内容が含まれており、論理性が破綻している。
  • 0: 論理的なつながりが全く見られず、理解困難である。

説得力(考察)(17点)

  • 17: 新製品の投入および差別化施策に対する評価が客観的かつ具体的であり、今後の展望が現実的で極めて説得力がある。
  • 13: 評価や今後の展望は示されているが、具体性や客観性の面でやや説得力に欠ける。
  • 9: 評価の内容が主観的・表面的であり、今後の展望についても深みが不足している。
  • 4: 評価や展望の記述が非常に浅く、説得力がない。
  • 0: 評価および展望に関する具体的な記述がない。

解説

本問は、実施した戦略や施策に対する評価(効果測定)と、それに基づく今後の展望(次期戦略)を考察する能力を問います。

高得点のポイント

  • 客観的な評価: ターゲット市場への新製品投入および差別化施策の結果を、単なる主観ではなく、具体的な成果や課題を交えて客観的に評価していること。
  • 論理的なつながり: 設問ア・イで述べた市場の特性や立案した施策の内容と整合性が取れた評価となっていること。
  • 説得力のある今後の展望: 評価結果(成功要因や残された課題)を踏まえ、今後どのように製品や戦略を展開していくか、現実的かつ説得力のある展望が示されていること。