令和6年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後II 問題 問1 VXLAN/EVPNによるデータセンター網設計
テクノロジネットワーク
この問題は2024(R6)春 ネットワークスペシャリスト 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。
学習ガイド
データセンターネットワークのVXLANとEVPNを扱う午後Ⅱの大型問題です。VXLANパケットの構造、VTEPがMACアドレスを学習して転送する動き、そしてEVPN導入で学習が制御プレーンへ移る利点までを、検証ネットワークの具体的な構成に沿って確認します。問題文自体がVXLAN/EVPNの丁寧な解説になっているのが特徴で、この記事では「どの情報を誰がどう学習するか」という一つの問いを軸に膨大な設問を体系化します。
この記事で押さえる論点
- VXLANのカプセル化構造とVTEPの学習・転送動作を説明する
- ECMPやループバックアドレス利用など下回りのIP設計の意図を理解する
- EVPN導入によるBGPでのMACアドレス広告の利点を述べる
出題情報
- 出題
- 2024(R6)春 ネットワークスペシャリスト 午後II 問1
- 配点
- 100点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
データセンター事業者や通信事業者のように大規模なネットワークを運用する企業では,ネットワークの拡張性やマルチテナントへの対応は重要な課題である。このような課題に対応するために,VXLAN及びEVPNを利用する企業は少なくない。VXLAN及びEVPNを利用したネットワークの導入や運用には,レイヤー2及びレイヤー3のネットワーク技術について正しく理解することが重要である。本問では,VXLANを利用して構成されたネットワークにEVPNを適用する事例を通じて,VXLAN及びEVPNを解説した。データセンターのネットワークに利用されるVXLAN及びEVPNの検討を題材として,受験者が修得した技術と経験が,実務で活用できる水準かどうかを問う。
問1では,データセンターのネットワークの検討を題材に,VXLANの概要とVTEPで行われる処理,VXLANでカプセル化されたIPパケットの転送方式,及びEVPNの概要と特徴について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
データセンターのネットワークの検討に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
K社は国内にデータセンターを所有する大手EC事業者である。データセンターのネットワークには,VXLAN (Virtual eXtensible Local Area Network)を利用している。K社の情報システム部は,ネットワークの拡張性を向上させるためにEVPN (Ethernet VPN)の適用を計画しており,EVPNを用いたVXLANの技術検証を行うことを検討している。
〔VXLANの概要〕
RFC 7348で規定されたVXLANでは,VXLANヘッダー内の a ビットのVNI (VXLAN Network Identifier)を用いて,約1,677万個のレイヤー2のオーバーレイネットワークをレイヤー b のネットワーク上に構成できる。VXLANトンネルの端点であるVTEP (VXLAN Tunnel End Point)は,VXLANのカプセル化及びカプセル化の解除を行う。VTEP及びVXLANトンネルの構成例を図1に示す。

図の説明テキスト
VTEP及びVXLANトンネルの構成例を示す図。中央に「レイヤー b のネットワーク」を表す雲状の図形がある。左側に「L3SW」の枠があり、中に「VTEP」の枠がある。このL3SWには2台の「サーバ」が実線で接続されている。右側には「L3SW」(中に「VTEP」)の枠が上下に2組あり、それぞれに2台ずつの「サーバ」が実線で接続されている。左側のVTEPから右側の2つのVTEPへ向かって、中央のネットワークを通過する破線(VXLANトンネル)が描かれている。左下には「L3SW : レイヤー3スイッチ」「---- : VXLAN トンネル」という凡例が記載されている。
図1中のL3SWのVTEPは,サーバから受信したイーサネットフレームに,VXLANヘッダー, c ヘッダー及びIPv4ヘッダーを付加したIPパケット(以下,VXLANパケットという)を,宛先のVTEP(以下,リモートVTEPという)に転送する。転送されるVXLANパケットの送信元及び宛先には,各VTEPに割り当てられたIPアドレスを利用する。VXLANパケットの構造を図2に示す。

図の説明テキスト
VXLANパケットの構造を示すブロック図。左から順に「IPv4 ヘッダー」、「c ヘッダー」、「VXLAN ヘッダー」、「イーサネットフレーム」という4つの長方形のブロックが横一列に連結されている。
VTEPは,イーサネットフレームの宛先に応じてVXLANパケットの宛先を決定するための情報として,リモートVTEPから受信したVXLANパケットから次の情報を組み合わせて学習する。
・①リモートVTEPに接続されたサーバのMACアドレス
・②VXLANトンネルのVNI
・③リモートVTEPのIPアドレス
K社の現行のネットワークでは,VTEPは,自身に接続されたサーバからリモートVTEPに接続されたサーバ宛てのイーサネットフレームを,次の方式を選択して転送する。
・イーサネットフレームが,VTEPによって学習されているサーバ宛てのユニキャストの場合には,図2中のIPv4ヘッダーの宛先IPアドレスに,リモートVTEPのIPアドレスをセットして転送する。
・④イーサネットフレームが,BUM(Broadcast, Unknown Unicast, Multicast)フレームの場合には,図2中のIPv4ヘッダーの宛先IPアドレスに,IPマルチキャストのグループアドレスをセットして転送する。
〔現行の検証ネットワーク〕
K社は,現行のネットワークの維持管理のために,検証ネットワーク(以下,検証NWという)を構築している。現行の検証NWを図3に示す。

図の説明テキスト
現行の検証NWの構成図と、L3SWのループバックインタフェースのIPアドレス表。
【構成図】
OSPFエリア0内に、上位のL3SW01, L3SW02があり、それぞれが下位の6台のL3SW(L3SW11, L3SW12, L3SW21, L3SW22, L3SW31, L3SW32)すべてと接続されている。
L3SW11とL3SW12は、1台の物理サーバの2つのNICにそれぞれ接続されている。この物理サーバ内には仮想スイッチがあり、3台の仮想サーバ(VM11, VM12, VM13)が接続されている。
同様に、L3SW21とL3SW22は別の物理サーバ(VM21, VM22, VM23を含む)に接続されている。
さらに、L3SW31とL3SW32はもう1台の物理サーバ(VM31, VM32, VM33を含む)に接続されている。
【表: L3SWのループバックインタフェースのIPアドレス】
L3SW01: 10.0.0.1/32, L3SW02: 10.0.0.2/32
L3SW11: 10.0.0.11/32, L3SW12: 10.0.0.12/32
L3SW21: 10.0.0.21/32, L3SW22: 10.0.0.22/32
L3SW31: 10.0.0.31/32, L3SW32: 10.0.0.32/32
図3の概要を次に示す。
・物理サーバに接続するL3SWのポートには,タグVLANを設定している。
・物理サーバの二つのNICはアクティブ/スタンバイ構成であり,L3SW11,L3SW21及びL3SW31に接続するNICをアクティブにしている。
・L3SWの経路制御にはOSPFを用いている。
・L3SWは,OSPFで交換するLSA(Link State Advertisement)の情報から d というデータベースを作成する。次に, d を基に,それぞれのL3SWを根とする e ツリーを作成して,ルーティングテーブルに経路情報を登録する。
・ ⑤LSAに含まれるルータIDには,それぞれのL3SWのループバックインタフェースに割り当てたIPアドレスを使用している。
・ ⑥OSPFのECMP (Equal-Cost Multipath) によって,トラフィックを負荷分散している。
・ PIM-SM (Protocol Independent Multicast - Sparse Mode) によるIPマルチキャストルーティングを用いており,L3SW01及びL3SW02にIPマルチキャストのランデブーポイントを設定している。
現行の検証NWのVLAN,VXLAN及びVTEPを図4に示す。

図の説明テキスト
図の上部にはVTEP間のVXLAN構成を示すネットワーク図、下部には2つの表が配置されている。
【ネットワーク図】
- VNI 10010 は L3SW11, L3SW21, L3SW31 を結ぶ。
- VNI 10020 は L3SW11, L3SW21 を結ぶ。
- VNI 10030 は L3SW11, L3SW31 を結ぶ。
- VNI 10040 は L3SW21, L3SW31 を結ぶ。
- L3SW11はVTEPを持ち、VLAN 110 (VM11), VLAN 120 (VM12), VLAN 130 (VM13) に接続。
- L3SW21はVTEPを持ち、VLAN 210 (VM21), VLAN 220 (VM22), VLAN 230 (VM23) に接続。
- L3SW31はVTEPを持ち、VLAN 310 (VM31), VLAN 320 (VM32), VLAN 330 (VM33) に接続。
【表1: VM の IP アドレスと VLAN ID】
VM11 (192.168.1.1/24, VLAN 110), VM12 (VLAN 120), VM13 (VLAN 130)
VM21 (192.168.1.2/24, VLAN 210), VM22 (VLAN 220), VM23 (VLAN 230)
VM31 (192.168.1.3/24, VLAN 310), VM32 (VLAN 320), VM33 (VLAN 330)
【表2: VXLAN のカプセル化に用いる対応表】
L3SW11: VLAN 110, 120, 130 がそれぞれ VNI 10010, 10020, 10030 に対応し、グループアドレス 239.0.0.1, 239.0.0.2, 239.0.0.3 を使用。
L3SW21: VLAN 210, 220, 230 がそれぞれ VNI 10010, 10020, 10040 に対応し、グループアドレス 239.0.0.1, 239.0.0.2, 239.0.0.4 を使用。
L3SW31: VLAN 310, 320, 330 がそれぞれ VNI 10010, 10040, 10030 に対応し、グループアドレス 239.0.0.1, 239.0.0.4, 239.0.0.3 を使用。
図4の概要を次に示す。
・図3の物理ネットワーク上に,VXLANトンネルを論理的に構成している。
・L3SW11, L3SW12, L3SW21, L3SW22, L3SW31及びL3SW32にVTEPを設定している。
・⑦VTEPのIPアドレスには,それぞれのL3SWのループバックインタフェースに割り当てたIPアドレスを使用している。
・VTEPのBUMフレームの転送には,IPマルチキャストを用いる設定にしている。
・VTEPでは,図4中の“VXLANのカプセル化に用いる対応表”に示す次の三つの情報を対応させてカプセル化を行っている。
・受信したイーサネットフレームの“VLAN ID”
・VXLANトンネルの“VNI”
・BUMフレームを転送するときに使うIPマルチキャストの“グループアドレス”
レイヤー2のネットワークにおけるVM11及びVM23と各VMの通信可否を表1に示す。

図の説明テキスト
表1 レイヤー2のネットワークにおける VM11 及び VM23 と各 VM の通信可否(抜粋)
通信元VM11から各通信先への可否: VM11(-), VM12(×), VM13(×), VM31(○), VM32(×), VM33(×)
通信元VM23から各通信先への可否: VM11(ア), VM12(イ), VM13(ウ), VM31(エ), VM32(オ), VM33(カ)
〔現行の検証NWにおけるVTEPの動作〕
図4中のVM11とVM31のARP通信におけるVTEPの動作を,次に示す。
(1) L3SW11のVTEPでは,⑧VM11から受信したVM31のMACアドレスを問い合わせるARP要求フレームに対してVXLANのカプセル化を行い,IPマルチキャストのグループアドレスを宛先にして,グループに参加する全てのリモートVTEPに転送する。
(2) L3SW12, L3SW21, L3SW22, L3SW31及びL3SW32のVTEPでは,受信したVXLANパケットのカプセル化を解除して,対応するVLANにARP要求フレームをブロードキャストする。
(3) L3SW31のVTEPでは,⑨VM31から受信したARP応答フレームに対して,VXLANのカプセル化を行い,L3SW11のVTEP宛てに転送する。
(4) L3SW11のVTEPでは,受信したVXLANパケットのカプセル化を解除して,VM11宛てにARP応答フレームを転送する。
(1)〜(4)の動作完了後に確認できる,L3SW11及びL3SW31が学習したVXLANについての情報を,表2に示す。

図の説明テキスト
表2 L3SW11 及び L3SW31 が学習した VXLAN についての情報
L3SW11: VMのMACアドレス AC-αβ-F1-00-00-31, VNI キ, リモートVTEPのIPアドレス ク
L3SW31: VMのMACアドレス AC-αβ-F1-00-00-11, VNI ケ, リモートVTEPのIPアドレス コ
注記1 AC-αβ-F1-00-00-11 は,VM11 の MAC アドレスである。
注記2 AC-αβ-F1-00-00-31 は,VM31 の MAC アドレスである。
〔EVPNの概要〕
K社の情報システム部では,S課長から指示を受けたQ主任が,EVPNを用いたVXLANの技術検証を検討することになった。Q主任が調査したEVPNの概要を示す。
RFC 7432及びRFC 8365で規定されたEVPNは,RFC 4760で規定されたMP-BGP(Multiprotocol Extensions for BGP-4)を用いて,オーバーレイネットワークを制御するための情報を交換する。VXLANのネットワークにEVPNを適用した場合,コントロールプレーンにEVPNを用いてオーバーレイネットワークを制御して,データプレーンにVXLANを用いてイーサネットフレームを転送する。
図1の構成例に対してEVPNを適用した場合のEVPNの主な機能について,Q主任がK社の現行のネットワークと比較して確認した内容を次に示す。
機能1:リモートVTEPに関する情報の学習について
現行のネットワークでは,VTEPは受信したVXLANパケットからリモートVTEPの情報を学習する。EVPNを適用した場合,VTEPはMP-BGPを用いて,リモートVTEPのIPアドレス及びVNIなどの情報をあらかじめ学習する。
機能2:リモートVTEPに接続されたサーバに関する情報の学習について
現行のネットワークでは,VTEPは受信したVXLANパケットから,リモートVTEPに接続されたサーバのMACアドレス,VNI及びリモートVTEPのIPアドレスの情報を学習する。EVPNを適用した場合,VTEPは MP-BGPを用いて,リモート VTEPに接続されたサーバの MACアドレス,VNI及びリモート VTEPの IPアドレスなどの情報をあらかじめ学習する。
機能3:サーバとの接続について
現行のネットワークでは,複数の VTEPとサーバの接続にリンクアグリゲーションを利用できない。EVPNを適用した場合,VTEPは MP-BGPを用いて,自身に接続されたサーバを識別する ESI(Ethernet Segment Identifier)という識別子を交換できるようになる。同じ ESIを設定した論理インタフェースをもつ複数の VTEPは,サーバとの接続にリンクアグリゲーションを利用できる。
〔新検証NWの設計〕
Q主任は,現行の検証NWを基に,EVPNを用いたVXLANを検証するためのネットワーク(以下,新検証NWという)を設計することにした。新検証NWを図5に示す。

図の説明テキスト
図5 新検証 NW(抜粋)
MP-BGP AS65001およびOSPF エリア0を示す破線枠内にスイッチ群が配置されている。
上位スイッチ: L3SW01, L3SW02(互いに接続)
下位スイッチ: L3SW11, L3SW12, L3SW21, L3SW22, L3SW31, L3SW32
L3SW01およびL3SW02は、それぞれ全ての下位スイッチと接続している。また、L3SW01とL3SW02の間、および上位スイッチと下位スイッチの間にiBGPピアが設定されている。
物理サーバとL3SWの接続はリンクアグリゲーションを用いて回線が束ねられている。
現行の検証NWから新検証NWに流用される設計を次に示す。
・新検証NWのL3SW及びVMには,図3及び図4中のIPアドレス及びVLAN IDと同じ値を割り当てる。
・物理サーバに接続するL3SWのポートには,タグVLANを設定する。
・L3SWの経路制御にOSPFを用いて,現行の検証NWと同じ設定にする。
・新検証NWのVLAN,VXLAN及びVTEPを図4と同じ論理構成にする。
・L3SW11,L3SW12,L3SW21,L3SW22,L3SW31及びL3SW32にVTEPを設定する。
・VTEPには,それぞれのL3SWのループバックインタフェースに割り当てるIPアドレスを使用する。
新検証NWに追加されるEVPNについての設計を次に示す。
・L3SWのEVPNを有効にする。
・L3SWにMP-BGPを設定して,ASを65001にする。
・⑩L3SW01及びL3SW02をMP-BGPのルートリフレクタにして,L3SW01とL3SW02との間でiBGPピアリングを行う。
・L3SW11,L3SW12,L3SW21,L3SW22,L3SW31及びL3SW32をルートリフレクタのクライアントにして,L3SW01及びL3SW02とiBGPピアリングを行う。
・iBGPのピアリングに使用するIPアドレスには,それぞれのL3SWのループバックインタフェースに割り当てるIPアドレスを使用する。
新検証NWにおける,現行の検証NWから変更される設計を次に示す。
・現行の検証NWで用いていたIPマルチキャストルーティングについては,利用しない。
・VTEPのBUMフレームの転送には,IPユニキャストを用いる設定にする。
・物理サーバの二つのNICをアクティブ/アクティブ構成にして,リンクアグリゲーションを用いてL3SWに接続する。
Q主任は,EVPNの機能1~3,図3~5を参照して,新検証NWの設計及びEVPNの機能を,上司のS課長に説明した。2人の会話を次に示す。
Q主任:EVPNの技術検証を行うための新検証NWを設計しました。図5のとおり,L3SWにMP-BGPを設定して,EVPNを用いたVXLANを構成するための物理ネットワークを構築します。VLAN,VXLAN及びVTEPについては,図4と同じ論理構成を組みます。
S課長:新検証NWでEVPNをどのように利用するのか教えてください。
Q主任:EVPNの“機能1”では,L3SWのVTEPはMP-BGPを利用して,リモートVTEPの情報をあらかじめ学習します。BUMフレームを受信したVTEPは,学習したリモートVTEPの情報を参照して,VLAN IDに対応するVNIをもつ各リモートVTEPを宛先に転送できるようになります。VTEPのBUMフレームの転送には,IPユニキャストを用いる設定にします。
S課長:IPマルチキャストルーティングを利用できないネットワークであっても拡張できるようになるのですね。ほかの機能についても説明してください。
Q主任:EVPNの“機能2”では,VTEPはMP-BGPを利用して,リモートVTEPに接続されたVMのMACアドレス,VNI及びリモートVTEPのIPアドレスをあらかじめ学習します。VTEPは,リモートVTEPに接続されたVM宛てのイーサネットフレームを,学習した情報を参照して転送します。“機能2”によって,BUMフレームのうちの f によるフラッディングの発生を低減できます。
S課長:ネットワーク負荷の軽減を期待できそうですね。ところで,図5中の物理サーバとL3SWの接続方法は,図3中の接続方法と異なるのですか。
Q主任:物理サーバとL3SWとの間は,⑪EVPNの“機能3”によって,リンクアグリゲーションを用いて接続します。同一の物理サーバに接続する2台のL3SWに作成するリンクアグリゲーションの論理インタフェースには,同一の物理サーバに接続されていることを識別させるために,同じ g を設定します。
S課長:新検証NWを使ってどのようなテストを実施するのか教えてください。
Q主任:VM同士の通信可否を確認します。
S課長:現行の検証NWから設定を変更するBUMフレームの転送についても,動作を確認してください。
Q主任:分かりました。⑫ARP要求フレームをカプセル化した全てのVXLANパケットをキャプチャして,宛先IPアドレスを確認します。
Q主任が検討した新検証NWの設計及びテスト内容は,情報システム部で承認された。Q主任はEVPNの技術検証の実施のため,新検証NWの構築に着手した。
設問と解答・解説
設問1
〔VXLANの概要〕について答えよ。
(1)
本文中の空欄aに入れる適切な字句又は数値を答えよ。
模範解答
24
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の数値「24」を正確に記述している。
- 1点: VXLANに関する数値であるが、指定の空欄に対する正解ではない。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
VXLANのカプセル化において、ネットワークを識別するための識別子であるVNI (VXLAN Network Identifier) は 24 ビットで構成されます。VLANの12ビット(4,096個)と比較して、約1,600万の大規模なマルチテナント環境のネットワークを構築することが可能です。
高得点のポイント
- VNIのビット長である「24」という数値を正確に記述していること
(2)
本文及び図1中の空欄bに入れる適切な字句又は数値を答えよ。
模範解答
3
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の数値「3」を正確に記述している。
- 1点: カプセル化に関する別の数値を回答しているなど、部分的に理解が見られるが正解ではない。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
VXLANの構成とパケットカプセル化に関する問題です。VXLAN環境では、元のイーサネットフレームをUDPデータグラムにカプセル化し、さらに外部のIPヘッダとイーサネットヘッダなどのレイヤーヘッダを追加します。このネットワークレイヤーの追加構造に関する理解が求められます。
高得点のポイント
- 空欄に当てはまる正確な数値を記述していること
(3)
本文及び図2中の空欄cに入れる適切な字句又は数値を答えよ。
模範解答
UDP
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解のプロトコル名「UDP」を正確に記述している。
- 1点: トランスポート層の別のプロトコル(TCPなど)を記述している。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
VXLANでカプセル化されたパケットは、トランスポート層のプロトコルとして UDP を使用します。通常、宛先ポート番号には4789が用いられます。
高得点のポイント
- プロトコル名「UDP」を正しく記述していること
(4)
本文中の下線①について、この情報が図2中のどのヘッダー又はイーサネットフレームに含まれるか。図2中の字句を用いて答えよ。
模範解答
イーサネットフレーム
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 「イーサネットフレーム」と正確に抜き出して記述している。
- 1点: 意味は通じるが、指定された図中の字句と完全に一致しない。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
VXLANカプセル化において、仮想マシン(VM)などのエンドポイントが送受信する元のデータは、VXLANペイロードとなる イーサネットフレーム です。
高得点のポイント
- 対象のデータを図中の字句を用いて「イーサネットフレーム」として正しく抜き出していること
(5)
本文中の下線②について、この情報が図2中のどのヘッダー又はイーサネットフレームに含まれるか。図2中の字句を用いて答えよ。
模範解答
VXLANヘッダー
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 「VXLANヘッダー」と正確に抜き出して記述している。
- 1点: 意味は通じるが、指定された図中の字句と完全に一致しない。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
VNI (VXLAN Network Identifier) の情報は、カプセル化の際に付加される VXLANヘッダー に含まれます。
高得点のポイント
- 該当するヘッダー名を「VXLANヘッダー」として図中の字句を用いて正しく抜き出していること
(6)
本文中の下線③について、この情報が図2中のどのヘッダー又はイーサネットフレームに含まれるか。図2中の字句を用いて答えよ。
模範解答
IPv4ヘッダー
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 「IPv4ヘッダー」と正確に抜き出して記述している。
- 1点: 意味は通じるが、指定された図中の字句と完全に一致しない。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
VTEP間でVXLANパケットを転送するための送信元および宛先IPアドレスは、アンダーレイネットワークでのルーティングに使用される外部の IPv4ヘッダー に含まれます。
高得点のポイント
- 該当するヘッダー名を「IPv4ヘッダー」として図中の字句を用いて正しく抜き出していること
(7)
本文中の下線④について、宛先IPアドレスをIPマルチキャストのグループアドレスにして転送する目的を、45字以内で答えよ。
模範解答
同じレイヤー2のネットワークをもつ全てのリモートVTEPに転送するため
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 同じレイヤー2ネットワークを持つすべてのリモートVTEPに転送する必要性を正しく理解して記述している。
- 1点: リモートVTEPへ転送する旨は書かれているが、同一レイヤー2(同一VNI)に限定する記述が不足している。
- 0点: BUMトラフィックの転送目的を理解していない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: IPマルチキャストを利用する目的として妥当かつ自然な文章構造で記述されている。
- 1点: 意味は概ね通じるが、目的を説明する文章としてやや不自然な部分がある。
- 0点: 文章として成立していないか、論理が破綻している。
解説
BUMトラフィック(ブロードキャスト、マルチキャスト、宛先MACアドレスが未学習のユニキャスト)を受信したVTEPは、そのVNIがマッピングされているすべてのリモートVTEPにフレームを届ける必要があります。これを効率的に実現するため、宛先IPアドレスを対応するIPマルチキャストのグループアドレスに設定して転送します。
高得点のポイント
- 「同じレイヤー2のネットワークをもつ」ことを明記していること
- 「全てのリモートVTEPに転送する」目的を論理的に説明していること
設問1では,(1)cの正答率が低かった。VXLANはデータセンターのネットワークなどに採用される事例が少なくない。また,VXLANのカプセル化は,VXLANを理解する上で重要な技術の一つである。是非知っておいてもらいたい。
設問2
〔現行の検証ネットワーク〕について答えよ。
(1)
本文中の空欄dに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
LSDB
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の字句「LSDB」を正確に記述している。
- 1点: 関連する用語(LSAなど)を答えているが正解ではない。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
OSPFルータは、近接ルータとLSA (Link State Advertisement) を交換し、ネットワーク全体のトポロジ情報を LSDB (Link State Data Base) として保持します。
高得点のポイント
- トポロジデータベースを示す「LSDB」という略語を正しく記述していること
(2)
本文中の空欄eに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
最短経路
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の字句「最短経路」を正確に記述している。
- 1点: 意味は近いが「最適経路」など別の用語を記述している。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
OSPFでは、構築したLSDBをもとにSPF(Shortest Path First)アルゴリズム(ダイクストラアルゴリズム)を用いて、各宛先ネットワークへの 最短経路 を計算してルーティングテーブルを作成します。
高得点のポイント
- OSPFの経路計算結果を示す「最短経路」という字句を正しく記述していること
(3)
本文中の下線⑤について、K社においてルータIDは、OSPFのネットワーク内で何を識別するものか。20字以内で答えよ。
模範解答
OSPFが動作する各L3SW
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: OSPFのルータIDが各ルータ(L3SW)を識別するものであることを正しく理解している。
- 1点: ネットワーク機器を識別することは触れているが、OSPFルータであるという特定が甘い。
- 0点: ルータIDの役割を理解していない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 対象を端的に識別する表現として自然な文章構造になっている。
- 1点: 意味は通じるが、表現が冗長であるか不自然な部分がある。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
OSPFネットワーク(自律システム内)において、ルータIDはOSPFが動作する個々のルータ(この検証ネットワークにおいては各L3SW)を一意に識別するための識別子です。
高得点のポイント
- 識別対象が「OSPFが動作する各L3SW」またはルータであることを明確に示していること
(4)
本文中の下線⑥について、ECMPを用いるために必要となる設計を、“経路”と“コスト”という字句を用いて45字以内で答えよ。
模範解答
複数ある経路のそれぞれの経路について,コストの合計値を同じ値にする。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 複数の経路におけるコストの合計値が同じ値になるように設計することを正しく理解している。
- 1点: コストを調整することには言及しているが、複数経路間で等しくするという条件の説明が不十分である。
- 0点: ECMPの要件を理解していない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 指定された語句を用いて、設計条件として妥当かつ自然な文章で記述されている。
- 1点: 意味は概ね通じるが、論理展開や係り受けにやや不自然な部分がある。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
ECMP (Equal Cost Multi Path) は、宛先への最適経路が複数存在する場合に、それらの経路にトラフィックを分散させる技術です。OSPFでECMPを利用するためには、対象となる複数の 経路 について、宛先までの コスト の合計値を同一にするようネットワークを設計する必要があります。
高得点のポイント
- 「経路」と「コスト」の両方の語句を使用していること
- 複数の経路のコストの合計値が等しくなるようにする設計であることを説明していること
(5)
本文中の下線⑦について、VTEPのIPアドレスに物理インタフェースのIPアドレスではなく、ループバックインタフェースのIPアドレスを使用するのはなぜか。45字以内で答えよ。
模範解答
一つの物理インタフェースに障害があってもVTEPとして動作できるから
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 物理インタフェースの障害時でもVTEPとして動作を継続できる(冗長性が確保できる)理由を正しく理解している。
- 1点: 障害耐性について触れているが、VTEPとしての動作継続という観点での説明が不足している。
- 0点: ループバックインタフェースを利用する目的を理解していない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 理由を説明する文章として妥当かつ自然な構造で記述されている。
- 1点: 意味は概ね通じるが、文脈としてやや不自然な部分がある。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
物理インタフェースのIPアドレスをVTEPのIPアドレスとした場合、その物理リンクに障害が発生するとVTEPとして通信できなくなります。常にアップ状態を維持するループバックインタフェースのアドレスを利用し、ルーティングによって複数の経路で到達できるように設計することで、単一の物理リンク障害時でもVTEPとして継続動作できるようになります。
高得点のポイント
- 物理インタフェースの障害に耐えられる冗長性(可用性)の観点を説明していること
(6)
表1中の空欄アに入れる適切な通信可否を、表1の凡例に倣い“○”又は“×”で答えよ。
模範解答
×
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の記号「×」を正確に記述している。
- 0点: 無回答、または誤った記号を記述している。
解説
検証ネットワークにおける各通信の可否についての問題です。VTEP間のトンネルが確立されているか、アンダーレイにおけるOSPFのルーティングが適切に行われているか、およびテナントごとのVLAN/VNIの分離が正しく機能しているかを基に判定します。
高得点のポイント
- 与えられた条件に基づく通信可否を正確に判定し、正しい記号(×)を記述していること
(7)
表1中の空欄イに入れる適切な通信可否を、表1の凡例に倣い“○”又は“×”で答えよ。
模範解答
×
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の記号「×」を正確に記述している。
- 0点: 無回答、または誤った記号を記述している。
解説
検証ネットワークにおける各通信の可否についての問題です。テナントごとの論理分割(VNIの相違など)により通信が到達しないケースを正しく判定します。
高得点のポイント
- 与えられた条件に基づく通信可否を正確に判定し、正しい記号(×)を記述していること
(8)
表1中の空欄ウに入れる適切な通信可否を、表1の凡例に倣い“○”又は“×”で答えよ。
模範解答
×
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の記号「×」を正確に記述している。
- 0点: 無回答、または誤った記号を記述している。
解説
検証ネットワークにおける各通信の可否についての問題です。トポロジとルーティングの設定状況から、通信が成立しないことを判定します。
高得点のポイント
- 与えられた条件に基づく通信可否を正確に判定し、正しい記号(×)を記述していること
(9)
表1中の空欄エに入れる適切な通信可否を、表1の凡例に倣い“○”又は“×”で答えよ。
模範解答
×
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の記号「×」を正確に記述している。
- 0点: 無回答、または誤った記号を記述している。
解説
検証ネットワークにおける各通信の可否についての問題です。VNIのミスマッチやルーティングの欠如により通信できないことを判定します。
高得点のポイント
- 与えられた条件に基づく通信可否を正確に判定し、正しい記号(×)を記述していること
(10)
表1中の空欄オに入れる適切な通信可否を、表1の凡例に倣い“○”又は“×”で答えよ。
模範解答
○
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の記号「○」を正確に記述している。
- 0点: 無回答、または誤った記号を記述している。
解説
検証ネットワークにおける各通信の可否についての問題です。同一テナントに属し、VNIが正しくマッピングされたVTEP間での通信であるため、正常に到達することを判定します。
高得点のポイント
- 与えられた条件に基づく通信可否を正確に判定し、正しい記号(○)を記述していること
(11)
表1中の空欄カに入れる適切な通信可否を、表1の凡例に倣い“○”又は“×”で答えよ。
模範解答
×
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の記号「×」を正確に記述している。
- 0点: 無回答、または誤った記号を記述している。
解説
検証ネットワークにおける各通信の可否についての問題です。異なるテナント間など、条件を満たさない通信であるため到達しないことを判定します。
高得点のポイント
- 与えられた条件に基づく通信可否を正確に判定し、正しい記号(×)を記述していること
設問2では,(1)e,(2)の正答率が低かった。OSPFは多くのネットワーク技術者にとって設計,構築及び運用など,様々な場面で必要とされる技術である。OSPFの仕組みや仕様を正しく理解してほしい。
設問3
〔現行の検証NWにおけるVTEPの動作〕について答えよ。
(1)
本文中の下線⑧について、VXLANパケットの宛先IPアドレスを答えよ。
模範解答
239.0.0.1
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解のIPアドレス「239.0.0.1」を正確に記述している。
- 1点: 別のアドレス(VMのIPアドレスなど)を誤って記述している。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
アンダーレイネットワークにおいて、BUMトラフィックをフラッディングするためにVNIに関連付けられたマルチキャストグループアドレスを宛先IPアドレスとして指定します。本文・図表の設定値より、該当するアドレスは 239.0.0.1 となります。
高得点のポイント
- 正しいIPマルチキャストアドレスを記述していること
(2)
本文中の下線⑨の動作について、L3SW31がL3SW11のVTEP宛てに転送するために、L3SW11からARP要求フレームを含むVXLANパケットを受信したときに学習する情報を、45字以内で答えよ。
模範解答
VM11のMACアドレス,VNI及びL3SW11のVTEPのIPアドレス
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: MACアドレス、VNI、VTEPのIPアドレスの3つの情報が関連付けられて学習されることを正しく理解している。
- 1点: いずれかの要素が欠けているか、IPアドレスの指定が不正確(VMのIPアドレスと混同している等)である。
- 0点: VTEPでのデータプレーン学習の仕組みを理解していない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 学習する情報の羅列として適切かつ自然な表現になっている。
- 1点: 意味は通じるが、表現が冗長であるか不自然な部分がある。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
VTEPは、受信したVXLANパケットから送信元VMの情報を学習し、MACアドレスアドレステーブル(対向VTEPの情報)を更新します。このとき、内部イーサネットフレームの送信元MACアドレス(VM11のMACアドレス)、VXLANヘッダのVNI、および外部IPヘッダの送信元IPアドレス(L3SW11のVTEPのIPアドレス)を関連付けて学習します。
高得点のポイント
- 学習対象として「VMのMACアドレス」「VNI」「送信元VTEPのIPアドレス」の3要素を挙げていること
(3)
表2中の空欄キに入れる適切な字句を、図3及び図4中の字句を用いて答えよ。
模範解答
10010
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の数値「10010」を正確に記述している。
- 1点: 別のVNIや関連する数値を記述している。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
L3SW11からVM31に向けての通信で利用されるテナント(VLAN)に対応するVNIです。図3および図4の構成より、該当するテナントの通信はVNI 10010 でカプセル化されます。
高得点のポイント
- 図中の字句から正しいVNIの数値を導き出し記述していること
(4)
表2中の空欄クに入れる適切な字句を、図3及び図4中の字句を用いて答えよ。
模範解答
10.0.0.31
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解のIPアドレス「10.0.0.31」を正確に記述している。
- 1点: 宛先と送信元を逆にして記述している、あるいはVMのIPアドレスを記述している。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
ARP応答はL3SW31からL3SW11へユニキャストで返送されます。この際のVXLANパケットの外部IPv4ヘッダにおける送信元IPアドレスは、送信元VTEPであるL3SW31のIPアドレス 10.0.0.31 となります。
高得点のポイント
- 図中の字句から正しい送信元VTEPのIPアドレスを導き出し記述していること
(5)
表2中の空欄ケに入れる適切な字句を、図3及び図4中の字句を用いて答えよ。
模範解答
10010
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の数値「10010」を正確に記述している。
- 1点: 別のVNIや関連する数値を記述している。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
カプセル化されたARP応答パケットを受け取ったL3SW11は、VXLANヘッダのVNIを確認します。当該テナントのVNIである 10010 に基づき、適切なVLAN(テナントネットワーク)にフレームを展開します。
高得点のポイント
- 図中の字句から正しいVNIの数値を導き出し記述していること
(6)
表2中の空欄コに入れる適切な字句を、図3及び図4中の字句を用いて答えよ。
模範解答
10.0.0.11
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解のIPアドレス「10.0.0.11」を正確に記述している。
- 1点: 宛先と送信元を逆にして記述している、あるいはVMのIPアドレスを記述している。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
ARP応答のVXLANパケットの外部IPv4ヘッダの宛先IPアドレスは、ARP要求の送信元であった対向のVTEP(L3SW11)のIPアドレス 10.0.0.11 となります。
高得点のポイント
- 図中の字句から正しい宛先VTEPのIPアドレスを導き出し記述していること
設問3では,(3)ク,コの正答率がやや低かった。クとコの解答が逆であったり,VMのIPアドレスにしていたりする誤った解答が散見された。L3SW11及びL3SW31で行われる処理自体は複雑ではないので,本文をよく読んで正答を導き出すよう心掛けてもらいたい。
設問4
〔新検証NWの設計〕について答えよ。
(1)
本文中の下線⑩について、ルートリフレクタを用いる利点を“iBGP”という字句を用いて25字以内で答えよ。
模範解答
iBGPピアの数を減らすことができる。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: ルートリフレクタの導入によりiBGPピア(セッション)数を削減できるという利点を正しく理解している。
- 1点: 管理が容易になること等には触れているが、ピア数の削減という具体的な効果の説明が不足している。
- 0点: ルートリフレクタの利点を理解していない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 指定された語句を用いて、利点を説明する文章として妥当かつ自然な構造で記述されている。
- 1点: 意味は概ね通じるが、文脈としてやや不自然な部分がある。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
BGPにおいて、iBGP(Internal BGP)ピアは原則としてフルメッシュ構成にする必要があります。しかし、ネットワークの規模が大きくなるとピア数が膨大になるため、ルートリフレクタを導入することで、各ルータはルートリフレクタとのみピアを確立すればよくなり、iBGPピアの数を大幅に減らすことができます。
高得点のポイント
- 「iBGP」という字句を使用していること
- ピア(セッション)の数を削減できるという効果を簡潔に説明していること
(2)
また、図5中のL3SW01及びL3SW02をルートリフレクタとして冗長化するときに、ループを防止するために設定するIDの名称を答えよ。
模範解答
クラスターID
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 正解の字句「クラスターID」を正確に記述している。
- 1点: 意味は近いが「ルータID」など別のID名称を記述している。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
ルートリフレクタを冗長化するために複数配置する場合、それらを一つのグループ(クラスター)として扱います。このとき、ルーティングループを防止するために各ルートリフレクタに共通の クラスターID(Cluster ID)を設定し、経路情報(CLUSTER_LIST)に付与します。
高得点のポイント
- ループ防止のために設定するIDの名称「クラスターID」を正しく記述していること
(3)
本文中の空欄fに入れる適切な字句を、本文中の字句を用いて答えよ。
模範解答
Unknown Unicast
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 本文中から「Unknown Unicast」と正確に抜き出して記述している。
- 1点: 意味は通じるが、本文中の字句と完全に一致しない。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
BUMトラフィックは、Broadcast、Unknown Unicast(宛先MACアドレスが未学習のユニキャスト)、Multicastの総称です。EVPNにおいてこれらのトラフィックのフラッディング処理は重要な設計課題となります。
高得点のポイント
- 本文中の表記に従い「Unknown Unicast」を正確に抜き出していること
(4)
本文中の空欄gに入れる適切な字句を、本文中の字句を用いて答えよ。
模範解答
ESI
採点基準(配点 3点)
正確性(内容)(3点)
- 3点: 本文中から「ESI」と正確に抜き出して記述している。
- 1点: 意味は通じるが、本文中の字句と完全に一致しない。
- 0点: 無回答、または全く誤った内容である。
解説
EVPNを利用してCE機器を複数のPE(VTEP)にマルチホーミング(冗長接続)させる構成では、同一のイーサネットセグメントを識別するために ESI (Ethernet Segment Identifier) という識別子を使用します。
高得点のポイント
- 本文中の表記に従い「ESI」を正確に抜き出していること
(5)
本文中の下線⑪について、現行の検証NWと比較したときの利点を25字以内で答えよ。
模範解答
二つの回線の帯域を有効に利用できる。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: All-Active構成により両方の回線帯域を有効利用できる(負荷分散できる)利点を正しく理解している。
- 1点: 冗長性にのみ言及しており、帯域の有効利用や負荷分散というActive-Active構成ならではの利点の説明が不足している。
- 0点: マルチホーミングの利点を理解していない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 現行ネットワークとの比較として妥当かつ自然な文章で記述されている。
- 1点: 意味は概ね通じるが、文脈としてやや不自然な部分がある。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
EVPNのマルチホーミング技術(ESIによる識別)とAll-Active冗長化を組み合わせることで、従来のSTP等によるActive-Standby構成と異なり、ブロックされるポートがなくなり 二つの回線の帯域を有効に利用 しながら負荷分散を行うことが可能になります。
高得点のポイント
- 回線(リンク)の帯域を両方とも有効利用できる(負荷分散・アクティブ/アクティブで利用できる)旨を記述していること
(6)
本文中の下線⑫について、VTEPは宛先IPアドレスにセットするリモートVTEPのIPアドレスをどのように学習するか。20字以内で答えよ。
模範解答
MP-BGPを用いて学習する。
採点基準(配点 3点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: EVPNにおけるコントロールプレーン(MP-BGP)を用いた学習方式であることを正しく理解している。
- 1点: BGPによる学習であることには触れているが、MP-BGPであることの特定が甘い。
- 0点: 学習方式を理解していない。
論理性(構造)(1点)
- 1点: 手段を説明する文章として成立している。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
従来のVXLAN(データプレーン学習)とは異なり、EVPNではコントロールプレーンとして MP-BGP (Multiprotocol BGP) を利用します。これにより、MACアドレスやリモートVTEPのIPアドレス等の情報をBGPの拡張ルートとして事前に交換・学習します。
高得点のポイント
- 学習手段として「MP-BGPを用いて」学習することを明示していること
(7)
本文中の下線⑫について、あるVLAN IDをセットされたARP要求フレームは、VTEPによってどのようなリモートVTEPに転送されるか。“VNI”という字句を用いて40字以内で答えよ。
模範解答
VLAN IDに対応するVNIをもつ全てのリモートVTEP
採点基準(配点 3点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 対象のVNIを持つすべてのリモートVTEPが転送先となることを正しく理解している。
- 1点: リモートVTEPであることには触れているが、同一VNIを持つものに限定する条件の記述が不足している。
- 0点: イングレスレプリケーションの転送先を理解していない。
論理性(構造)(1点)
- 1点: 転送先を特定する名詞句や文章として成立している。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
EVPNのイングレスレプリケーション(Ingress Replication)において、BUMトラフィックであるARP要求を受信したVTEPは、マルチキャストを利用せず、対象の VLAN IDに対応するVNI が設定されている全てのリモートVTEPに対して個別にユニキャストでパケットを複製して転送します。
高得点のポイント
- 「VNI」という字句を使用していること
- 転送対象が「対応するVNIをもつ全てのリモートVTEP」であることを明確に記述していること
設問4では,(1)の正答率が低かった。設問2のOSPFと同様に,BGPも様々な場面で利用されている重要なネットワーク技術である。BGPについても理解を深めてほしい。