令和3年度 春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅱ 問題 問2 環境変化に伴う機能追加での業務要件の分析と設計上の工夫(論述)
テクノロジシステム開発技術
学習ガイド
法改正やビジネス環境の変化を背景とした情報システムへの機能追加について論じる午後II問題です。既存環境への影響を考慮した要件分析と設計の工夫が問われます。最初に機能追加の背景と求められた業務要件を明確にします。続いて、要件をどのような視点から分析し、システム設計に落とし込んだかの経緯を描きます。最後に、既存システムへの影響を抑えるため、あるいは移行を円滑にするために組み込んだ設計上の工夫を具体的に構成します。
この記事で押さえる論点
- 法改正やサービス形態の変化など機能追加が必要になった背景と業務要件を説明できる
- 業務要件を契約条件や業務プロセスなどの複数の視点から分析した過程を述べられる
- 分析結果に基づいて既存システムへの影響を抑えつつ機能追加を行う設計内容を説明できる
- 移行準備や他システム連携など、円滑な機能追加を実現するための設計上の工夫を述べられる
出題情報
- 出題
- 2021(R3)春 システムアーキテクト 午後II 問2
- 配点
- 100点満点
- 模範解答
- 未公表(採点基準と解説から解答の方向性を読み取る)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
法改正やサービスのサブスクリプション化などを背景に情報システムの機能追加が必要になることが増えている。
システムアーキテクトは,このような情報システムの機能追加において,要件を対象業務の制約条件,業務プロセス,関連する情報システムの機能など様々な視点で分析し設計する。
本問は,情報システムの機能追加で実施した設計について,業務要件の分析の視点と分析方法,設計の結果,設計で工夫したことについて,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,システムアーキテクトに必要な要件の分析及び設計の能力などを評価する。
問2では,情報システムの機能追加における業務要件の分析と,その結果に基づく設計について,具体的に論述することを期待した。多くの論述が業務要件の分析とその設計について具体的に述べていた。一方で,業務要件の分析の視点がなく業務要件そのものを分析結果とした論述や,“要件を実現する設計”だけにとどまり,分析結果に基づく設計とは言い難い論述も散見された。システムアーキテクトは,業務と情報システムを橋渡しする役割を担う。そのため,業務と情報システム双方の視点から業務要件を分析し,分析結果に基づいて設計を進めることを心掛けてほしい。
問題本文
情報システムの機能追加における業務要件の分析と設計について
現代の情報システムは,法改正,製品やサービスのサブスクリプション化などを背景に機能追加が必要になることが増えている。
このような機能追加において,例えば,新サービスの提供を対外発表直後に始めるという業務要件がある場合,システムアーキテクトは次のように業務要件を分析し設計する。
- 新サービスの特性がどのようなものなのかを,契約条件,業務プロセス,関連する情報システムの機能など様々な視点で分析する。
- 新サービスは従来のサービスと請求方法だけが異なるという分析結果の場合,情報システムの契約管理機能と請求管理機能の変更が必要であると判断する。
- 契約管理機能では,契約形態の項目に新サービス用のコード値を追加して,追加した契約形態を取扱い可能にする。同時に請求管理機能に新たな請求方法のためのコンポーネントを追加し,新サービスの請求では,このコンポーネントを呼び出すように設計する。
このような設計では,例えば次のような設計上の工夫をすることも重要である。
- 対外発表前にマスタを準備するために,契約形態のマスタに適用開始日時を追加し,適用開始前には新サービスを選択できないようにしておく。
- 他のシステムに影響が及ばないようにするために,外部へのインタフェースファイルを従来と同じフォーマットにするための変換機能を用意する。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。
設問と解答・解説
設問ア
あなたが携わった情報システムの機能追加について,対象の業務と情報システムの概要,環境の変化などの機能追加が必要になった背景,対応が求められた業務要件を,800字以内で述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準
- 17点: 対象業務とシステムの概要、機能追加の背景が極めて具体的に記述されており、プロジェクトの前提が明確に理解できる。
- 12点: 対象業務とシステムの概要、機能追加の背景が具体的に記述されている。
- 6点: 概要や背景の記述がやや抽象的であるか、一部の情報が不足している。
- 0点: 概要や背景が不明確であるか、記述されていない。
- 17点: 対応が求められた業務要件が背景と完全に整合し、システムアーキテクトの視点から極めて明確に記述されている。
- 12点: 対応が求められた業務要件が明確に記述されている。
- 6点: 業務要件の記述が抽象的であるか、背景との論理的なつながりが薄い。
- 0点: 業務要件が不明確であるか、単なる要望の羅列になっている。
解説
本設問は、自身が携わった情報システムの機能追加プロジェクトについて、その概要と背景、および求められた業務要件を明確に提示することが求められています。システムアーキテクトとしての論述の土台となる重要な部分です。
高得点のポイント
- 対象業務と情報システムの概要を過不足なく具体的に説明できているか
- 法改正やサービスのサブスクリプション化など、機能追加が必要になった環境の変化や背景が論理的に説明されているか
- 上記の背景から導出される対応が求められた業務要件が、システムアーキテクトの視点で明確に定義されているか
- 以上の内容を800字以内で簡潔かつ論理的にまとめているか
設問イ
設問アで述べた機能追加において,あなたは業務要件をどのような視点でどのように分析したか。またその結果どのような設計をしたか,800字以上 1,600字以内で具体的に述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準
- 17点: 業務と情報システム双方の多様な視点から業務要件を分析しており、その視点と分析方法が極めて論理的かつ具体的に記述されている。
- 12点: 業務要件の分析の視点と方法が具体的に記述されている。
- 6点: 分析の視点が不足しているか、分析方法の記述が抽象的である。
- 0点: 分析の視点がなく業務要件そのものを分析結果としているなど、分析過程が記述されていない。
- 16点: 分析結果に基づきどのような設計を行ったかが極めて妥当かつ具体的に記述され、要件から設計への展開に高い説得力がある。
- 11点: 分析結果に基づく設計の内容が具体的に記述されている。
- 6点: 要件を実現する設計のみにとどまり分析結果との関連が薄いか、設計内容が抽象的である。
- 0点: 分析結果に基づく設計とは言い難いか、設計内容が記述されていない。
解説
本設問は、設問アで提示した業務要件に対し、システムアーキテクトとしてどのような視点で分析を行い、その結果をどのように設計に落とし込んだかを論述する、本問題の中核となる部分です。
高得点のポイント
- 業務要件そのものを分析結果とするのではなく、対象業務の制約条件、業務プロセス、関連する情報システムの機能など、業務と情報システム双方の視点から分析を行っているか
- 分析の過程(視点と方法)が具体的に示されているか
- 要件を単に実現する設計にとどまらず、分析結果に裏付けられた設計として論理的に展開されているか
- これらの内容を800字以上1,600字以内で詳細かつ具体的に論述しているか
設問ウ
設問イで述べた機能追加における設計において,どのような目的でどのような工夫をしたか,600字以上 1,200字以内で具体的に述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準
- 17点: 設計において達成すべき目的が明確であり、施した工夫がシステムアーキテクトの視点から極めて具体的に記述されている。
- 12点: 設計における目的と、そのための工夫が具体的に記述されている。
- 6点: 目的や工夫の記述が抽象的であるか、一般的な設計手法の羅列にとどまっている。
- 0点: 目的や工夫が不明確であるか、記述されていない。
- 16点: 記述された工夫が目的に対して極めて妥当であり、機能追加に伴う影響や課題を適切に解決していることが説得力をもって論じられている。
- 11点: 記述された工夫が目的に対して妥当であり、一定の実効性が論理的に説明されている。
- 6点: 工夫の目的に対する妥当性や、実効性の説明が不十分である。
- 0点: 工夫の妥当性や効果が論じられていない。
解説
本設問は、設問イで論述した設計内容において、システムアーキテクトとしてどのような目的を持ち、どのような工夫を凝らしたかを問うものです。実務経験に基づく高度な実践能力が評価されます。
問題文にある「対外発表前にマスタを準備するために,契約形態のマスタに適用開始日時を追加し,適用開始前には新サービスを選択できないようにしておく」「他のシステムに影響が及ばないようにするために,外部へのインタフェースファイルを従来と同じフォーマットにするための変換機能を用意する」といった具体的な目的と手段の対応関係を意識して論述を構成する必要があります。
高得点のポイント
- 設問イで述べた設計に対して、どのような目的があったかが明確に定義されているか
- その目的を達成するための工夫の内容が、機能追加に伴う制約や影響を考慮した上で具体的に示されているか
- 目的と工夫の間に論理的な整合性があり、システムアーキテクトとしての高度な知見や経験が反映されているか
- これらの内容を600字以上1,200字以内で説得力をもって論じているか