令和7年度 春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問2 営業支援システムの要件定義とデータ移行
テクノロジシステム開発技術
この問題は2025(R7)春 システムアーキテクト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
営業活動を支援するシステムの新規構築を題材に、機能要件とデータ移行要件の定義を問う問題です。商談状況の管理ルール、顧客情報の登録タイミングが商機に影響する理由、商談ツールから移行する項目と人事システムから取得する項目の切り分けなど、要件定義の実務的な判断が問われます。この記事では、データの正本がどこにあるべきかという原則を軸に、移行・連携の設問を整理し、字数内の解答表現を検討します。
この記事で押さえる論点
- 現行業務の課題から新システムの機能要件を導く
- データ移行の対象と移行しない判断の理由を説明する
- レビュー指摘から将来の変化への備えを読み取る
出題情報
- 出題
- 2025(R7)春 システムアーキテクト 午後I 問2
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
新システムの構築に当たり,システムアーキテクトは,現行業務・システムの課題を調査・ヒアリングし,システムへの要求・要件を整理し,必要な機能を設計する必要がある。本問では,営業活動を支援するシステムの新規構築を題材として,現行業務への課題及び要望を正しく理解,把握し,新システムの開発方針に従い,新システムの機能要件とデータ移行要件を定義することについて,具体的な記述を求めている。要件を正しく理解し,求められている情報システムを設計する能力を問う。
問2では,営業活動を支援するシステムの新規構築を題材に,新システムの機能要件とデータ移行要件を定義することと,必要となる機能概要を整理することについて出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
問2 営業活動を支援するシステムに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
医療機関向けに医療機器の販売と導入支援サービスを提供するE社は,営業活動の拡大に追随するために,営業活動を支援する営業支援システム(以下,新システムという)を新規に構築することにした。
〔現行の業務とシステムの概要〕
E社では,表計算ソフトと共有のファイルサーバに配置した簡易データベースを組み合わせた簡易的なツール(以下,商談ツールという)で商談に関する情報(以下,商談情報という)を管理している。商談ツール作成以来約10年分の商談情報を蓄積しているが,主に利用するのは直近5年間の情報である。利用者の情報は人事システムから取得しているが,所属組織と役職は取得せず,全ての利用者に同一の権限を付与している。利用者は全ての商談情報を閲覧可能であり,機密性が高い情報は登録されていない。
商談に必須である顧客情報は顧客管理システムで管理している。商談ツールには,顧客管理システムから顧客情報を取り込む機能(以下,顧客情報取込機能という)があり,顧客情報取込機能をRPAによって毎日1回実行し,顧客情報を取り込んでいる。顧客情報取込機能は簡易データベースに大きな負荷を与えるので,他の処理との競合を避けるようにしている。処理時間は約30分掛かる。実行する端末やネットワークの状況,簡易データベースの負荷状況などによって,まれに顧客情報の取込みに失敗することがあり,失敗した場合には商談ツールの運用担当者(以下,運用担当者という)が手動で再実行する。再実行してもE社の業務時間内に完了するように,顧客情報取込機能の実行タイミングを調整している。
商談時に取り交わした名刺情報は外部の名刺管理SaaS(以下,名刺サービスという)を利用して管理しており,名刺サービスの利用権限を営業担当者に付与している。複数の営業担当者が同一の名刺情報を登録できるが,名刺サービスは名刺交換日を基に名刺情報の新旧を判断している。新しい名刺情報が登録されると,利用権限のある人に電子メール(以下,メールという)で周知し,共有する。名刺サービスは利用者が直接操作する画面のほかに,他システムから呼び出せるAPIを公開している。
E社の営業活動の主な流れは次のとおりである。
(1) 見込客の確認・新規登録・更新
既存顧客からの声掛け,協業先からの紹介などで新たな取引の可能性のある顧客(以下,見込客という)との商談の機会を得ると,営業担当者は商談ツールを利用し,見込客の会社情報,連絡先,過去の商談概要などを確認する。見込客が新規の場合はホームページなどから会社情報などを入手し,顧客情報を顧客管理システムに新規登録する。見込客が既存顧客で会社情報,連絡先などに更新がある場合には,顧客管理システムの顧客情報を更新する。
(2) 顧客訪問
営業担当者は見込客と訪問の日程を調整し,見込客を訪問して要望を確認する。見込客への訪問は複数回にわたることもあり,商材に詳しい商品担当者を同席させることもある。訪問内容を営業日報としてまとめ,上司にメールで報告する。
(3) 名刺情報の登録
営業担当者は顧客訪問時に入手した名刺をスキャンし,名刺交換日を指定し,名刺サービスに登録する。
(4) 商談概要の登録
顧客訪問を重ねて入手したE社に期待する商品やサービス内容,顧客の予算,プロジェクト期間などの商談概要を,営業担当者は登録済みの顧客情報にひも付けて商談ツールに登録し,商談状況を“商談登録”にする。
(5) 提案・見積りの作成
営業担当者は商品担当者とともに提案内容を検討し,見積りを作成する。作成した提案・見積りを基に,見積額,受注確度及びリスクレベルを商談ツールに追加登録し,商談状況を“提案書作成中”にする。営業担当者が所属する課の課長,副部長,部長など組織内で連なる役職者の中から,見積額とリスクレベルに応じて決裁規定に定められた承認者に承認を依頼する。承認はメールで取得する。本来の承認者が不在の場合は,承認者の上司が代行することがある。承認を得られず,提案を見送った場合には,商談状況を“辞退”にする。
(6) 商談結果登録
社内承認を取得した提案・見積りを営業担当者は見込客に提示し,商談状況を“提案書提出済”にする。受注に至らなかった場合には商談ツールの商談状況を“失注”にする。
内示をもらった場合には,商談状況を“契約交渉中”にする。契約審査部で提案内容と契約書を審査する。審査の結果,問題がなければ契約処理を行い,契約締結後に商談状況を“契約済”にする。審査の結果,問題があった場合には,契約に至らないことがある。その場合,商談状況を“取消”にする。
営業担当者は,他の営業担当者から商談内容の詳細についての問合せがあった際には,問い合わせてきた営業担当者の所属組織と役職によって商談内容の機密性を考慮して,メール及び口頭で共有する。
(7) 商談分析
営業担当者は,商談ツールが提供する商談状況を分析する帳票を利用し,商談を分析して営業活動に役立てている。例えば,商談の見積額によってどのくらいの割合で提案書提出に結び付けられたかを分析するために,終了した商談のうち①ある商談状況に該当する商談の割合を出力する帳票がある。
〔現行の業務とシステムにおける課題及び要望〕
E社情報システム部のF課長は,新システムの構築に向け,運用担当者,営業部及び契約審査部の代表からヒアリングを行い,次のような現行の業務とシステムにおける課題及び要望を収集した。
- 顧客訪問の内容を共有し,他の営業担当者の営業活動を参考にして営業活動の質を高めたい。
- 顧客管理システムの画面が複雑で使いづらい。
- 営業担当者と承認者とのメールでの承認証跡を基に契約審査部の審査担当者が承認状況を確認しており負担が大きい。また,メール上の承認者が営業担当者の所属組織に所属しているかどうかと,見積額とリスクレベルに応じて定められた役職者であるかどうかを確認するために,審査担当者は営業担当者の組織情報を商談ごとに逐一参照しており,大きな負担となっている。
- 商談ツールでは,専門知識を有する情報システム部で事前に作成した定型分析帳票でしかデータを分析できない。商談情報を多角的に分析するために,営業担当者が,新しい分析帳票を作成できるようにしてほしい。
- 新規顧客の場合,見込客の顧客情報を顧客管理システムに新規登録した時間帯によっては,当日中に商談概要を商談ツールに登録できないので,利用者から運用担当者への問合せが多くなる。
- 顧客情報の入力をミスすることがある。名刺サービスの情報から自動的に顧客情報を反映してほしい。
- 顧客の担当者と名刺を交換した日を正しく思い出せないときがある。
- 所属組織と役職で権限を管理し,機密性が高い情報でも商談内容を登録できるようにしてほしい。
〔新システムの開発方針〕
情報システム部のG部長は,新システムの効果を早期に確認して改良を続けていけるようにするために,ローコード開発機能を有する営業支援プラットフォームを採用し,毎年改良を重ねていく方針とした。営業支援プラットフォームは主要なSaaSとの連携を強化しており,名刺サービスとの連携機能を標準装備する予定である。
また,新システムをフロントシステムとして位置付け,顧客管理システムへの登録を新システム経由に集約する方針とした。将来的には,社内の他システムのフロントシステムとしても活用することを想定している。
G部長はF課長に,〔現行の業務とシステムの概要〕と〔現行の業務とシステムにおける課題及び要望〕を踏まえ,1年目に実現する新システムの要件定義の着手を指示した。
〔新システムの要件〕
要件定義の結果,F課長は1年目に実現する新システムの主な機能を表1のとおりとし,商談ツールを廃止して表2のとおり新システムにデータを移行することを,G部長に報告した。

図の説明テキスト
| 機能名 | 機能概要 |
|---|---|
| 顧客管理 | ・顧客管理システムに合わせた顧客情報の確認・新規登録・更新画面(以下,顧客管理画面という)を用意する。新システムに登録されていない顧客の場合,新システムに顧客情報を追加した上で,顧客管理システムに連携する。新システムに登録されている顧客情報を更新する場合,顧客管理システムを直接更新せず,新システムの顧客情報を更新した上で,顧客管理システムに連携する。 ・名刺サービスのAPIを利用して,営業担当者が検索した顧客の名刺情報を顧客管理画面に表示する。 |
| 商談管理 | ・商談に関わる見込客,商談名,商談詳細,関連商品名,顧客予算,プロジェクト期間,見積額,受注確度,リスクレベル,商談状況,協業先,営業担当者,商品担当者を商談情報として管理する。商談詳細は利用者の所属組織と役職を用いて公開範囲を限定できる。 ・審査担当者は商談の営業担当者の氏名・所属組織・役職を確認することができる。 |
| 提案りん議 | ・新システムが提示する営業担当者の組織内で連なる役職者リストの中から,営業担当者が承認者を指定し,りん議フローを作成する。本来の承認者が不在の場合には,その上司を指定して備考欄に理由を記載する。 ・審査担当者は,営業部で誰が承認したのかを,新システムが提示するりん議フローの中で,承認者の氏名・所属組織・役職で確認することができる。その際,新システムは商談情報の②ある項目を利用して適切な承認者であるかどうかを判定して,審査担当者の負担を軽減する。 |
| 営業日報 | ・営業担当者は見込客への訪問内容の営業日報を作成し,上司に通知する。 |
| 商談分析 | ・顧客の規模,業界などの属性,商談が関連する技術領域などの情報を基に契約金額,成約率などを分析する。 ・ローコード開発機能によって,専門知識を有していなくても新しい分析帳票を容易に作ることができる。 |
| 利用者管理 | ・営業部と契約審査部の従業員を利用者として登録する。 ・必要な情報を人事システムから定期的に取り込む。 ・人事異動があった場合は,新システムは関連する進行中のりん議フローを無効とし,営業担当者にりん議フローの再作成を促す。 |

図の説明テキスト
| 登録情報 | 移行内容 |
|---|---|
| 顧客 | ・直近5年間に商談のあった顧客情報を移行する。 |
| 商談 | ・直近5年間の商談情報を移行する。 |
| 利用者 | ・商談ツールからは移行せず,人事システムから必要な項目を取得する。 |
〔G部長のレビュー結果〕
G部長は要件定義の結果をレビューし,次の指摘をした。
- ③新システムに顧客情報を新規登録して顧客管理システムに連携する際に,顧客管理システムに当該顧客情報が存在している場合がある。その場合は登録しようとしている顧客情報と顧客管理システムの顧客情報とを比較できるようにするべきである。
- 名刺サービスのデータを活用する上で,④検索結果が最新のデータか否かは営業担当者の登録内容に依存するので,営業担当者の責任で確認することを営業部に申し入れる必要がある。
- 名刺サービスの検索結果を新システムの顧客管理画面に表示する機能については,新システムに関わる今後の変化を踏まえ検討するべきである。
- 商談ツールは参照専用のツールとして残しておくべきである。
設問と解答・解説
設問1
〔現行の業務とシステムの概要〕について,本文中の下線①のある商談状況とは何か。全て答えよ。
模範解答
失注,契約済,取消
採点基準(配点 8点)
正確性(内容)(8点)
- 8点: 「失注」「契約済」「取消」の3つの商談状況をすべて正しく挙げている。
- 4点: 「失注」「契約済」「取消」のうち、1〜2つの商談状況を正しく挙げている。
- 0点: 正しい商談状況が含まれていない。
解説
設問の趣旨
本問は、現行業務の流れを正確に把握し、商談のステータス遷移を理解する能力を問うものです。
正解の導き方
本文中の〔現行の業務とシステムの概要〕において、営業活動の流れが記述されています。
その中で、商談状況として失注、契約済、取消といった終了状態が明示されています。
下線①の「ある商談状況」とは、これらの状態を指しています。
高得点のポイント
- 営業活動の流れを丁寧に読み取り、該当する3つの状態(失注、契約済、取消)を漏れなく挙げていること。
設問1は,正答率が低かった。営業活動の流れを正確に理解できていないと思われる解答が散見された。本文中に記載されている商談状況を丁寧に読み取って正答を導き出してほしい。
設問2
(1)
〔現行の業務とシステムにおける課題及び要望〕について,どのような時間帯に見込客の顧客情報を顧客管理システムへ新規登録すると,新規顧客との商談概要を当日中に登録できなくなるか。25字以内で答えよ。
模範解答
商談ツールに顧客情報を取り込んだ後の時間帯
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 商談ツールに顧客情報を取り込んだ後の時間帯であることが明確に示されている。
- 2点: 取り込みのタイミングへの言及はあるが、条件が不十分である。
- 0点: 時間帯や取り込みに関する適切な記述がない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 設問の要求に合わせて、時間帯を適切かつ簡潔に表現している。
- 1点: 表現にやや曖昧さがあるが、意図は伝わる。
- 0点: 文意が不明瞭である。
解説
設問の趣旨
現行のシステムにおけるデータ連携の仕様と、その結果として生じる業務上の課題を正しく把握する能力を問うものです。
正解の導き方
〔現行の業務とシステムにおける課題及び要望〕より、顧客情報のシステム間連携の仕様を読み取ります。
顧客管理システムから商談ツールへのデータ取込処理は1日1回行われます。
そのため、この取込処理が終わった後に顧客管理システムに新規登録された顧客データは、翌日の取込処理まで商談ツールに反映されず、当日中の商談概要の登録ができなくなります。
高得点のポイント
システム間のバッチ処理(データ取込)のタイミングに着目していること。
「商談ツールに顧客情報を取り込んだ後」という時間的な条件を、過不足なく簡潔に表現していること。
(2)
また,その理由を35字以内で答えよ。
模範解答
顧客管理システムからの顧客情報の取込みは1日に1回だから
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 顧客管理システムから商談ツールへの顧客情報の取込みが1日に1回であることを指摘している。
- 2点: 連携の頻度が低いことには触れているが、具体的な回数や頻度が不明確である。
- 0点: バッチ処理や連携頻度に関する記述がない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 理由として論理的かつ自然な文脈で記述されている。
- 1点: 事実の列挙にとどまり、理由としての結びつきが弱い。
- 0点: 理由として成立していない。
解説
設問の趣旨
前問の事象が発生する原因を、システム仕様に基づいて論理的に説明する能力を問うものです。
正解の導き方
課題の記述から、顧客管理システムと商談ツールのデータ連携はリアルタイムではなく、1日1回のバッチ処理で行われていることが読み取れます。
これが、特定の時間帯に登録した情報が当日中に利用できなくなる直接的な原因です。
高得点のポイント
1日に1回というデータ連携の頻度を具体的に記述していること。
なぜ当日中に登録できなくなるのかの理由として、処理タイミングの制約を論理的に説明していること。
設問3
〔新システムの要件〕について答えよ。
(1)
表1中の下線②のある項目とは何か。全て答えよ。
模範解答
見積額,リスクレベル
採点基準(配点 6点)
正確性(内容)(6点)
- 6点: 「見積額」と「リスクレベル」の2項目を正しく挙げている。
- 3点: 「見積額」または「リスクレベル」のいずれか1項目のみ挙げている。
- 0点: 正しい項目が含まれていない。
解説
設問の趣旨
新システムの要件を正確に把握し、複数のシステム間で必要となるデータ項目を特定する能力を問うものです。
正解の導き方
〔新システムの要件〕の記述において、どのシステムの情報を利用するかを明確にして本文を読み取ります。
表1の下線②に該当する項目は、移行や連携の対象外となっているものの、要件として必要な情報を指します。
本文の商談ツールに関する要件などを確認すると、見積額やリスクレベルといった項目が該当します。
高得点のポイント
対象となるシステムの要件を正確に把握していること。
見積額とリスクレベルの2つを漏れなく回答していること。
(2)
利用者の情報を商談ツールから移行せずに人事システムから取得することとした理由を,取得する項目を用いて25字以内で答えよ。
模範解答
所属組織と役職が人事システムにしかないから
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 「所属組織」と「役職」という項目名を挙げ、それらが人事システムにしか存在しないことを指摘している。
- 2点: 項目名の列挙または情報源の限定のいずれかが不十分である。
- 0点: 指定された項目や理由が含まれていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 取得する項目を用いて、移行元を選定した理由を論理的に記述している。
- 1点: 日本語としてやや不自然であるが、意図は伝わる。
- 0点: 理由としての文をなしていない。
解説
設問の趣旨
データ移行元の選定理由を、システム間のデータ保持の差異に基づいて説明する能力を問うものです。
正解の導き方
現行システムのデータ項目を確認すると、利用者の所属組織や役職といった情報は商談ツールには保持されておらず、人事システムでのみ管理されています。
新システムでこれらの項目が必要となるため、情報源として人事システムを採用する必要があります。
高得点のポイント
指定された条件通り、「取得する項目(所属組織と役職)」を回答に含めていること。
その情報が「人事システムにしかない(商談ツールにはない)」というシステム間のデータ保持の差異を明確にしていること。
設問3(2)は,正答率は平均的であった。複数のシステム・ツールが登場する問題にもかかわらず,どのシステムのことを述べているのかを明確にしていない解答が散見された。要件を明確にするためにはどのような情報が必要となるかを意識して,正答を導き出してほしい。
設問4
〔G部長のレビュー結果〕について答えよ。
(1)
本文中の下線③に該当するのはどのような顧客か。20字以内で答えよ。
模範解答
5年以内に商談がなかった顧客
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 「5年以内」という期間指定と、「商談がなかった」という活動状況を正確に指摘している。
- 2点: 期間または状況のいずれか一方が欠けているか、不正確である。
- 0点: 関係のない顧客層を挙げている。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 顧客の範囲を必要十分に限定した表現になっている。
- 2点: 限定表現がやや曖昧で、他の顧客も含まれうる余地がある。
- 0点: 何の顧客を指しているか文意が通らない。
解説
設問の趣旨
仕様の誤解を防ぐため、対象となるデータの範囲(顧客の条件)を正確に定義し、適切に表現する能力を問います。
正解の導き方
〔G部長のレビュー結果〕において、移行対象外または削除対象となるデータの条件を確認します。
本文の条件を読み解くと、直近5年以内に一度も商談がなかった顧客が下線③の対象に該当することがわかります。
高得点のポイント
期間(5年以内)を正確に記述していること。
条件(商談がなかった)を明確にし、対象顧客の範囲を過不足なく表現していること。
(2)
G部長が本文中の下線④のように考えた理由を30字以内で答えよ。
模範解答
営業担当者が指定する名刺交換日が正しいとは限らないから
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 営業担当者が手動で指定・入力する名刺交換日が、必ずしも正確ではないことを指摘している。
- 2点: 日付の不正確さには触れているが、それが担当者の指定によるものであることに言及していない。
- 0点: 日付の正確性に関する記述がない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: G部長の懸念の理由として、簡潔かつ論理的に記述されている。
- 1点: 意味は通じるが、理由としての結びつきがやや不自然である。
- 0点: 理由として成立していない。
解説
設問の趣旨
運用上の懸念事項を特定し、データの信頼性に関するリスクを把握する能力を問うものです。
正解の導き方
名刺交換日などの情報は、システムに自動で記録されるわけではなく、営業担当者が任意で指定・入力する運用になっています。
そのため、入力漏れや適当な日付の入力が起こり得り、担当者が指定する日付が正しいとは限らないというデータの品質リスクが生じます。
高得点のポイント
営業担当者が指定するという、人手による入力プロセスが原因である点を含めること。
記録される名刺交換日が正しいとは限らない(不正確である)というデータの信頼性に対する懸念を指摘していること。
(3)
G部長が指摘した新システムに関わる今後の変化を45字以内で答えよ。
模範解答
営業支援プラットフォームに名刺サービスとの連携機能が標準装備される予定であること
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 「営業支援プラットフォーム」に「名刺サービスとの連携機能」が「標準装備される予定」であることの3要素を含んでいる。
- 2点: 連携機能が追加されることには触れているが、対象や予定などの要素が一部欠けている。
- 0点: システムの変化に関する具体的な記述がない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 今後の変化として、将来の予定事項であることが明確に伝わる表現になっている。
- 1点: 変化の内容はわかるが、文の構造がやや不完全である。
- 0点: 日本語として意味が通らない。
解説
設問の趣旨
新システム導入後の環境変化に関する指摘内容を読み取り、簡潔にまとめる能力を問うものです。
正解の導き方
システム構成や機能の将来像についての記述を確認します。
基盤となる営業支援プラットフォームに対して、名刺サービスとの連携機能が将来的に標準装備される予定であることが示されています。
高得点のポイント
主語となる対象(営業支援プラットフォーム)を明確にしていること。
どのような機能か(名刺サービスとの連携機能)を含めていること。
それが今後の変化であること(標準装備される予定)を示していること。
設問4(1)は,正答率がやや低かった。顧客の範囲を適切に限定できていない解答が散見された。実業務においては仕様の誤解につながりかねないので,解答に当たっては,必要十分な表現を心掛けてほしい。