宅建 平成2年度 試験 問6
権利関係抵当権・担保物権
Aは, BからBの所有地を2,000万円で買い受けたが, 当該土地には, CのDに対する1,000万円の債権を担保するため, Cの抵当権が設定され, その登記もされていた。この場合, 民法の規定によれば, 次の記述のうち誤っているものはどれか。
解答・解説
正解: 3. Cは, BのAに対する代金債権について, 差押えをしなくても, 他の債権者に優先して, 1,000万円の弁済を受けることができる。
正解の根拠
本問は誤っている記述を選ぶ問題であり、選択肢3が誤り(正解)となります。
抵当権者は、目的物の売却代金等に対しても権利を行使することができます(物上代位)。しかし、これを行使するためには、払渡し又は引渡しの前に自ら差押えをしなければなりません(民法304条1項)。したがって、「差押えをしなくても」とする記述は誤りです。
各選択肢の解説
- 選択肢1(正しい): 出題当時の民法では、買主は、売買の目的である不動産について存する抵当権の実行によりその所有権を失ったときは、契約の解除をすることができました(旧民法567条1項)。つまり、抵当権が設定されていること自体を知らなかったという理由だけでは、直ちに解除することはできませんでした。
- 選択肢2(正しい): 出題当時の民法では、買い受けた不動産について抵当権の登記があるときは、買主は、滌除(てきじょ)の手続が終わるまで、その代金の支払を拒絶することができました(旧民法577条)。
- 選択肢3(誤り): 上記の通り、物上代位権を行使して他の債権者に優先して弁済を受けるためには、払渡し前に差押えをする必要があります。
- 選択肢4(正しい): 買主Aが抵当権の実行を免れるために債務者Dの債務を弁済した場合、Aは本来の債務者であるDに対して求償権を行使して支払いを請求することができます(民法500条)。また、出題当時の民法では、売主Bに対しても、買主が所有権を保存するために費用を支出したとして、その費用の償還を請求することができました(旧民法567条2項)。
現行法での扱い(2026年4月1日時点)
2004年施行の改正で滌除が抵当権消滅請求に置き換わり、選択肢 2は誤りとなりました。また、2020年施行の改正により、抵当権の実行で所有権を失ったときの解除等の規定が廃止され、移転した権利の契約不適合等に変わりました。抵当権付きで引き受けることが契約の内容かが問題文にないため、選択肢 1と選択肢 4は正誤が決まりません。現行法での正解は選択肢 2と選択肢 3の複数となります。