令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午後 問題 問5 セキュリティ強化と柔軟性向上を目的としたVLANと無線LANの導入
テクノロジネットワーク
学習ガイド
製造業の社内LANにおいて、セキュリティ強化と柔軟な運用を目指してネットワーク構成を変更する問題です。部署を分けるためのVLANの割り当てや、アクセス制御リストの設定、LANケーブルの規格の選択、無線LAN導入時の注意点などが問われます。現状と変更後のネットワーク構成図を比較し、各部署の接続先とスイッチのポートに設定すべきVLANの対応を整理して解き進めます。
この記事で押さえる論点
- 部署ごとのアクセス制御を実現するためのVLAN構成とACLの設定を説明できる
- UTPケーブルと光ファイバケーブルの伝送特性の違いと用途を述べられる
- 無線LANアクセスポイントへのPoEによる電力供給の利点を説明できる
- タグVLANを利用してフロア間の部署移動に柔軟に対応する仕組みを述べられる
出題情報
- 出題
- 2021(R3)秋 応用情報技術者 午後 問5
- 配点
- 20点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
昨今,サイバーセキュリティ対策の一環として,既設LANをゾーン分割し,ゾーン間のアクセス制御を行うことが普及しつつある。
本問では,既設LANのネットワーク構成変更を題材に,物理配線やネットワークスイッチに関する基本的な理解,及びVLANを用いたゾーン分割に関する理解について問う。
問5では,LANのネットワーク構成変更を題材に,物理配線やネットワークスイッチの構成,VLANを用いたサブネットワークの分割について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
LANのネットワーク構成変更に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。
K社は,従業員約200名の自動車部品製造会社である。主に国内自動車メーカから注文を受けて,駆動系部品の開発・設計・製造を行っている。K社の事務所は,工場敷地内の3階建ての事務棟に置かれており,各フロアで企画部,開発製造部,営業部及び総務部の,事務所勤務を行う社員約100名が業務を行っている。
事務棟にはK社LANが敷設されており,社員は一人1台のデスクトップPC(以下,DPCという)を使って各自の業務を行っている。現在のK社LANは,サーバを接続するサーバLAN,DPCを接続するPC LAN,及びDMZの三つのサブネットワークで構成されている。無線LANは未導入で,DPCは有線LANで接続している。各部署の業務で扱っている重要情報と,それを管理するサーバを表1に示す。また,現在のK社ネットワーク構成を図1に示す。

図の説明テキスト
表1 K社が各部署で扱っている重要情報とそれを管理するサーバ
| 部署名 | 重要情報名 | サーバ名 |
|---|---|---|
| 企画部 | 経営情報 | 経営管理サーバ |
| 開発製造部 | 設計情報 | 設計管理サーバ |
| 営業部 | 顧客情報 | 顧客管理サーバ |
| 総務部 | 社員情報 | 社員管理サーバ |

図の説明テキスト
K社のネットワーク構成図。
インターネットがFW(ファイアウォール)に接続され、FWはDMZ (192.168.201.0)およびL3SW(レイヤ3スイッチ)に接続されている。
L3SWはL2SW(レイヤ2スイッチ)に接続され、L2SWがPC LAN (192.168.10.0)に接続されている。PC LANには複数のDPCが接続されている。
L3SWはサーバLAN (192.168.101.0)にも直接接続されている。
サーバLANには、経営管理サーバ (192.168.101.11)、設計管理サーバ (192.168.101.12)、顧客管理サーバ (192.168.101.13)、社員管理サーバ (192.168.101.14) が接続されている。
図の右側に「FW: ファイアウォール」「L3SW: レイヤ3スイッチ」「L2SW: レイヤ2スイッチ」という凡例がある。
図の左下に「注記1 DMZ上のサーバは省略している。」「注記2 各サブネットワークのサブネットマスクは, 255.255.255.0 である。」とあり、さらにその下にキャプション「図1 現在のK社ネットワーク構成」が記載されている。
PC LANとサーバLANはL3SW及びL2SWで接続されており,各DPCから全てのサーバにアクセスすることができる。各サーバ内の情報には,社員IDとパスワードで認証を行い,許可された社員だけがアクセスできる。
〔セキュリティ強化のための対策〕
K社では,サーバの認証情報の設定ミスによって,総務部の一部の社員が顧客情報を入手して閲覧できる状態になっていたというインシデントが発生した。K社では同種のインシデントへの対策として,セキュリティの強化を行うことになった。まず,PC LANを部署ごとに異なるサブネットワークに分割し,サブネットワークごとに接続可能なサーバを定め,それ以外のサーバへのアクセスを遮断することにした。また,ランサムウェアなどの新たな脅威に対応できるウイルス対策ソフトを全てのDPCに導入することにした。サーバLAN上にウイルス対策ソフトの更新サーバを導入し,全てのDPCから定期的にアクセスして,ウイルス定義ファイルを最新の状態にすることにした。更新サーバのIPアドレスは192.168.101.21とした。
ネットワーク構成の変更を担当することになった総務部のLさんは,各フロアに設置されているL2SWを利用して,既設のPC LANを部署ごとに異なるサブネットワークに分割し,各サブネットワークにVLANを割り当てることを考えた。分割後のK社ネットワーク構成案を図2に,L3SWのアクセスコントロールリストを表2に示す。

図の説明テキスト
K社ネットワーク構成案のネットワーク構成図(「K社」の枠内)。
- 右上に「インターネット」があり、「FW」に接続されている。
- FWには「DMZ (192.168.201.0)」と「L3SW」が接続されている。
- L3SWには「3階 L2SW-3」「2階 L2SW-2」「1階 L2SW-1」の3台がそれぞれ1本の線で接続されている。また、L3SWは下側の「サーバ LAN (192.168.101.0)」に接続されている。
- L2SW-3: 上側の「企画部 LAN (192.168.64.0, VLAN64)」と下側の「総務部 LAN (192.168.67.0, VLAN67)」の二つのLANに接続。
- L2SW-2: 「開発製造部 LAN (192.168.65.0, VLAN65)」に接続。
- L2SW-1: 「営業部 LAN (192.168.66.0, VLAN66)」に接続。
- サーバ LAN に接続されているサーバ:
- 「経営管理サーバ (192.168.101.11)」
- 「設計管理サーバ (192.168.101.12)」
- 「顧客管理サーバ (192.168.101.13)」
- 「社員管理サーバ (192.168.101.14)」
- 「更新サーバ (192.168.101.21)」
- 枠の下部に以下の注記がある:
- 注記1 DMZ 上のサーバや各 LAN 上の DPC は省略している。
- 注記2 VLAN64〜VLAN67 は VLAN ID を示す。
- 注記3 各サブネットワークのサブネットマスクは,255.255.255.0 である。
- キャプション:「図2 サブネットワーク分割後のK社ネットワーク構成案」

図の説明テキスト
表2 L3SWのアクセスコントロールリスト(抜粋)
| 項番 | 送信元IPアドレス | 宛先IPアドレス | 処理 |
| 1 | 192.168.64.0/24 | (省略) | 許可 |
| 2 | 192.168.65.0/24 | a | 許可 |
| 3 | 192.168.66.0/24 | (省略) | 許可 |
| 4 | 192.168.67.0/24 | (省略) | 許可 |
| 5 | 192.168.64.0/ b | 192.168.101.21 | 許可 |
| 6 | ANY | ANY | 遮断 |
注記1 サブネットマスク長を指定しないIPアドレスはホストIPアドレス(サーバやDPCに付与するIPアドレス)を示す。
注記2 ANYは対象が全てのIPアドレスであることを示す。
注記3 L3SWのダイナミックパケットフィルタリング機能によって,戻りパケットは通過できるものとする。
注記4 アクセスコントロールリストは,項番の小さい順に参照され,最初に該当したルールが適用される。
Lさんが検討したセキュリティ強化のための対策案を総務部内で説明したところ,表3に示す課題が指摘された。Lさんは,各課題に対して対策を検討した。

図の説明テキスト
表3 総務部内で指摘された課題
| 項番 | 課題 |
| 1 | 既設の PC LAN はカテゴリ 5 の UTP ケーブルを使って配線されており,DPC とは 100BASE-TX で接続している。ネットワークの速度が遅く業務に支障が出ているので,改善してほしいと各部署から要望があがっている。 |
| 2 | フロア間の管路に余裕がなく,既設のケーブルを撤去しないとフロア間に新しいケーブルを配線できない。 |
| 3 | 近い将来,無線 LAN を導入し,DPC をノート PC に置き換えることを検討したい。各フロアに無線 LAN アクセスポイント(以下,無線 AP という)を設置する準備をしておきたい。 |
| 4 | 部署ごとの人員増減に伴って,近い将来部署を配置するフロアが変更となる可能性がある。その際にもケーブルの配線変更を最小限にしたい。 |
〔物理配線の検討〕
表3の項番1,項番2の課題に対応して,既設のPC LAN用のケーブルを撤去し,新たなケーブルを配線することにした。フロア内のL2SWからDPCまでの配線は,①1000BASE-T方式に対応したUTPケーブルとした。また,1階のサーバルームに設置したL3SWから各フロアのL2SWまでは,②最大10Gビット/秒で通信可能な光ファイバケーブルとした。
〔無線LAN導入の検討〕
表3の項番3の課題に対して,事務棟の各フロアで無線APの設置に適した場所の調査を行った。その結果,電源の確保が困難な設置場所が判明した。また,事務棟が東西方向に約 50 m と細長く,部屋を仕切る壁が厚いことや金属製の扉が多いことも確認した。
そこで,各フロアに設置するL2SWを今後リプレースする場合には,UTPケーブルで無線APに電力供給が可能なc機能を備える機器を導入することにした。また,③導入予定の無線APと各DPCの設置位置での電波強度の調査を行うことにした。
〔VLAN構成の検討〕
表3の項番4の課題に対して,一つのフロアに複数部署が混在したり,部署がフロア内やフロア間で移動する可能性を考慮して,ネットワークスイッチのポート単位にVLANを設定するポートベースVLANではなく,一つのポートに複数のVLANを同時に設定できるdVLANの機能を備えるネットワークスイッチを導入することにした。
現状の部署の配置を前提とした,ネットワークスイッチのフロア配置を図3に示す。図2のネットワーク構成を図3のネットワークスイッチで構成した場合の,各ネットワークスイッチのVLAN構成の案を表4に示す。
Lさんの検討案は総務部内で承認され,具体的な実施計画を策定することになった。

図の説明テキスト
各階の部署配置とネットワークスイッチの接続関係を示す図。
左上に「事務棟」とあり、各階の右端に「3階」「2階」「1階」と記されている。
3階:総務部はポートP32、企画部はポートP33を介してL2SW-3に接続。L2SW-3のポートP31からL3SWのポートP3へ接続。
2階:開発製造部があり、ポートP22を介してL2SW-2に接続。L2SW-2のポートP21から下層のL3SWへ接続。
1階:営業部があり、ポートP12を介してL2SW-1に接続。L2SW-1のポートP11からL3SWのポートP1へ接続。L3SWのポートP2には2階から、P3には3階からの線が接続されている。
注記:「Pn は各ネットワークスイッチのポート ID を示す。」
キャプション:「図3 現状の部署の配置を前提としたネットワークスイッチのフロア配置」

図の説明テキスト
表4 各ネットワークスイッチの VLAN 構成の案
| ネットワークスイッチ | ポートID | 設定する VLAN ID |
|---|---|---|
| L3SW | P1 | VLAN66 |
| P2 | VLAN65 | |
| P3 | e | |
| L2SW-1 | P11 | VLAN66 |
| P12 | VLAN66 | |
| L2SW-2 | P21 | f |
| P22 | f | |
| L2SW-3 | P31 | e |
| P32 | VLAN67 | |
| P33 | VLAN64 |
設問と解答・解説
設問1
表2中のaに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
192.168.101.12
採点基準
- 2点: 表2の項番2の宛先IPアドレスとして、設計管理サーバのIPアドレス「192.168.101.12」を正確に解答している。
- 1点: 解答に部分的な理解が見られるが、完全なIPアドレスの記述に至っていない。
- 0点: 無解答、または上記に該当しない誤答。
解説
表2のアクセスコントロールリスト項番2は、送信元IPアドレスが 192.168.65.0/24 の通信を許可する設定です。
- 図2より、
192.168.65.0/24は開発製造部LANのネットワークアドレスです。 - 表1より、開発製造部が業務で扱う重要情報は「設計情報」であり、これを管理するサーバは「設計管理サーバ」です。
- したがって、開発製造部LANからアクセスを許可すべき宛先IPアドレスは、設計管理サーバのIPアドレスとなります。
- 図2より、設計管理サーバのIPアドレスは
192.168.101.12です。
高得点のポイント
- 開発製造部LANからアクセスを許可すべきサーバが設計管理サーバであることを把握し、図2から正確なIPアドレスを解答できていること。
表2中のbに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
22
採点基準
- 2点: クラスレス(CIDR)による経路集約を理解し、適切なサブネットマスク長として「22」を正確に解答している。
- 1点: 経路集約の意図は理解しているが、計算ミス等によりサブネットマスク長が誤っている。
- 0点: 無解答、または固定値(24など)を指定している等、上記に該当しない誤答。
解説
表2のアクセスコントロールリスト項番5は、送信元IPアドレス 192.168.64.0/b から、宛先IPアドレス 192.168.101.21(図2の更新サーバ)への通信を許可する設定です。
本文の〔セキュリティ強化のための対策〕に、「全てのDPCから定期的にアクセスして」と記載されています。
- 全てのDPCが存在するサブネットワークは、図2より以下の4つです。
- 企画部LAN:
192.168.64.0/24 - 総務部LAN:
192.168.67.0/24 - 開発製造部LAN:
192.168.65.0/24 - 営業部LAN:
192.168.66.0/24
- 企画部LAN:
- これらのネットワークアドレスの第3オクテット(64〜67)を2進数で表すと以下のようになります。
- 64:
01000000 - 65:
01000001 - 66:
01000010 - 67:
01000011
- 64:
- 上位6ビット(
010000)までが共通しているため、この4つのサブネットワークは/22(第1・第2オクテットの16ビット + 第3オクテットの6ビット)のプレフィックス長で経路集約して1つのネットワークアドレス192.168.64.0/22として表現できます。 - したがって、サブネットマスク長を示す
bには 22 が入ります。
高得点のポイント
設問1のbは,正答率が低かった。サブネットマスク長の指定では,よく使われるクラスC(24ビット)などの固定値だけでなく,クラスレス(CIDR)の可変値も指定可能であることを理解してほしい。また,セキュリティの観点から,アクセコントロールリストでは最小限のアドレス範囲を指定して通信を許可することが望ましいことも理解してほしい。
設問2
〔物理配線の検討〕について,(1),(2)に答えよ。
本文中の下線①に該当するUTPケーブルの規格を,解答群の中から全て選び,記号で答えよ。
模範解答
選択肢イ: カテゴリ5e
選択肢ウ: カテゴリ6
選択肢エ: カテゴリ6a
解説
1000BASE-T は、最高通信速度1Gビット/秒(1000Mビット/秒)のEthernet規格です。
この規格で通信を行うためには、カテゴリ5e以上の伝送特性を満たすUTPケーブルを使用する必要があります。
各選択肢の解説
- ア(カテゴリ3): 誤りです。10BASE-Tの規格にのみ対応しており、1000BASE-Tでの通信には利用できません。
- イ(カテゴリ5e): 正解です。1000BASE-Tの通信に標準的に対応しているUTPケーブルの規格です。
- ウ(カテゴリ6): 正解です。カテゴリ5eの上位規格であり、1000BASE-Tでの通信に対応しています。
- エ(カテゴリ6a): 正解です。10GBASE-Tに対応する上位規格ですが、下位互換性があるため1000BASE-Tでの通信にも対応しています。
本文中の下線②で,光ファイバケーブルを採用した理由を,UTPケーブルの伝送特性と比較して,20字以内で述べよ。
模範解答
通信可能な最長距離が長いから
採点基準
- 1点: 光ファイバケーブルがUTPケーブルよりも長距離の通信に適している特性を理解し、解答に含めている。
- 0点: 光ファイバケーブルの長距離通信の特性に言及できていない、または無解答。
- 1点: 光ファイバケーブルを採用した理由を「〜から」「〜ため」の形で述べ、通信可能な距離など伝送特性の優位として書かれている(「UTPより」と比較対象を明示しなくてよい)。
- 0点: 理由になっていない、又は伝送特性でない(価格・工事のしやすさなど)。
解説
本文中〔物理配線の検討〕にて、1階のサーバルームから各フロアのL2SWへの配線に光ファイバケーブルを採用しています。
- フロア間をまたぐ配線は距離が長くなる傾向があります。
- UTPケーブルの伝送距離は規格上最大100mですが、光ファイバケーブルは規格によりますが数kmから数十kmといった長距離の伝送が可能です。
- したがって、UTPケーブルと比較した光ファイバケーブルの伝送特性上の長所として、「通信可能な最長距離が長い」点が挙げられます。
高得点のポイント
- 光ファイバケーブルがUTPケーブルよりも長距離のデータ伝送に適しているという物理特性を理解していること。
- 「UTPケーブルの伝送特性と比較して」という指定に従い、通信可能な距離の長さについて言及できていること。
設問2は,(1)(2)ともに正答率が低かった。LAN高速化の需要に伴い新しい規格の策定が今後も続くと考えられるので,UTPケーブルや光ファイバケーブルの規格については,最新の動向に常に注意を払ってほしい。
設問3
〔無線LAN導入の検討〕について,(1),(2)に答えよ。
本文中のcに入れる適切な字句を,アルファベット3字で答えよ。
模範解答
PoE
採点基準
- 2点: UTPケーブルで電力供給が可能な機能として「PoE」を正確に解答している(大文字小文字の違いは問わない(POE・poe も2点))。
- 1点: 解答にスペルミス等の軽微な誤りがあるが、PoEを意図していることが読み取れる。
- 0点: 無解答、または上記に該当しない誤答。
解説
無線LANアクセスポイント(無線AP)のように、天井や壁面など電源の確保が困難な場所に設置されるネットワーク機器に対して、データ通信用のUTPケーブルを利用して電力を供給する技術を PoE(Power over Ethernet)と呼びます。
本文中の「UTPケーブルで無線APに電力供給が可能」という説明から、cには「PoE」が入ります。
高得点のポイント
- UTPケーブル経由で電力を供給する機能の名称として「PoE」を正確に解答できていること。
本文中の下線③について,電波強度の調査を実施せずに無線APを導入した場合に,発生するおそれのある不具合を,Lさんの調査結果を踏まえて,30字以内で述べよ。
模範解答
PCの通信に必要な電波強度が確保できない。
採点基準
- 1点: DPC(PC)の設置位置で通信に必要な電波強度が確保できない(電波が届かない・通信できない・不安定になる)ことを述べている。壁・金属製の扉・細長い建物といった調査結果への言及は必須でない。
- 0点: 電波強度・通信不良に触れない。
- 1点: 電波強度の調査を省いた結果として起こる不具合の形で述べている。
- 0点: 不具合になっていない(例:調査に時間がかかる)。
解説
本文中のLさんの調査結果として、事務棟は「東西方向に約 50 m と細長く,部屋を仕切る壁が厚いことや金属製の扉が多い」ことが確認されています。
- これらの物理的な特徴は、無線LANの電波を大きく遮蔽・減衰させる要因となります。
- したがって、事前に実際の設置環境で電波強度の調査を行わずに無線APを導入すると、障害物の影響で電波が十分に届かず、DPCの設置位置において「通信に必要な電波強度が確保できない」という不具合が発生するおそれがあります。
高得点のポイント
- Lさんの調査結果(壁が厚い、金属製の扉が多いなど)が電波の減衰を招く要因であることを理解していること。
- 電波強度の調査を怠ることで、PCが通信するために必要な電波が届かない(確保できない)という結果を論理的に記述できていること。
設問4
〔VLAN構成の検討〕について,(1)〜(3)に答えよ。
本文中のdに入れる適切な字句を5字以内で答えよ。
模範解答
タグ
採点基準
- 2点: 一つのポートに複数のVLANを設定できる機能として「タグ」を正確に解答している。
- 1点: 解答に軽微な誤字・脱字等があるが、タグVLANを意図していることが読み取れる。
- 0点: 無解答、または上記に該当しない誤答。
解説
VLANの構成方式に関する問題です。
- ネットワークスイッチのポートごとに単一のVLANを割り当てる方式を ポートベースVLAN と呼びます。
- 一方で、通信するイーサネットフレームにVLAN IDを示す識別情報(タグ)を付与することで、一つのポートで複数のVLANの通信を混在させて送受信できる方式を タグVLAN と呼びます。
本文中の「一つのポートに複数のVLANを同時に設定できる」という説明から、dには「タグ」が入ります。
高得点のポイント
- 一つのポートで複数のVLANを扱うための技術的名称として「タグ」を正確に解答できていること。
表4中のeに入れる適切なVLAN IDを全て答えよ。
模範解答
VLAN64,VLAN67
採点基準
- 2点: VLAN64とVLAN67の両方を過不足なく答えている(順序不問、「64,67」のようにVLANを省いた表記も可)。
- 1点: どちらか一方だけ、又は両方を含むが余分なVLAN ID(VLAN65・VLAN66)が混ざる。
- 0点: どちらも含まない。
解説
表4の e は、L3SWのポートP3およびL2SW-3のポートP31に設定するVLAN IDです。
- 図3より、L3SWのポートP3はL2SW-3のポートP31と接続されており、3階との通信経路となっています。
- 図2より、3階のL2SW-3には「企画部LAN(VLAN64)」と「総務部LAN(VLAN67)」が接続されています。
- したがって、L3SWとL2SW-3の間の経路(ポートP3およびP31)には、企画部と総務部の両方のイーサネットフレームを通過させる必要があります。
- よって、設定すべきVLAN IDは「VLAN64」と「VLAN67」となります。
高得点のポイント
- 3階のL2SW-3に接続されている部署が企画部と総務部であることを図2・図3から正確に読み取れていること。
- 当該ポートで両部署の通信を通過させる必要があることを理解し、「VLAN64」と「VLAN67」の2つを過不足なく解答できていること。
表4中のfに入れる適切なVLAN IDを全て答えよ。
模範解答
VLAN65
採点基準
- 2点: VLAN65だけを答えている(「65」も可)。
- 1点: VLAN65を含むが余分なVLAN IDが混ざる。
- 0点: VLAN65を含まない。
解説
表4の f は、L2SW-2のポートP21およびP22に設定するVLAN IDです。
- 図3より、2階に設置されているL2SW-2には「開発製造部」のみが接続されています。
- 図2より、開発製造部LANに割り当てられているVLAN IDは「VLAN65」です。
- ポートP22は開発製造部LANを構成するDPCへの接続ポートであり、ポートP21はL3SWへ接続するアップリンクポートです。2階には他の部署が存在しないため、通過するVLANはVLAN65のみとなります。
- よって、設定すべきVLAN IDは「VLAN65」となります。
高得点のポイント
- 2階のL2SW-2に接続されている部署が開発製造部のみであることを図3から正確に読み取れていること。
- 開発製造部のVLAN IDが「VLAN65」であることを図2から特定し、正確に解答できていること。
図3のフロア配置に対して,総務部が1階に移動した場合,VLAN構成に変更を加える必要がある。このうち,変更を加えるべきL3SWのポートのポートIDを全て答えよ。
模範解答
P1,P3
採点基準
- 2点: P1とP3の両方を過不足なく答えている(順序不問)。
- 1点: どちらか一方だけ、又は両方を含むが余分なポート(P2)が混ざる。
- 0点: どちらも含まない。
解説
図3の現状のフロア配置では、総務部(VLAN67)は3階に配置されており、L3SWのポートP3を経由して通信しています。
総務部が1階に移動した場合、1階のL2SW-1を経由して通信を行うことになります。
これに伴い、L3SWにおいて以下の変更が必要となります。
- ポートP3(3階向け):総務部が移動していなくなるため、VLAN構成を変更する必要があります。
- ポートP1(1階向け):総務部が新たに移動してくるため、既存の構成に加えてVLAN構成を変更する必要があります。
したがって、設定変更を加えるべきL3SWのポートIDは「P1」と「P3」となります。
高得点のポイント
- 総務部の移動元である3階向けの「P3」と、移動先である1階向けの「P1」の双方でVLAN設定の変更が必要であることを理解し、漏れなく解答できていること。
図3のフロア配置に対して,総務部が1階に移動した場合の,変更内容を30字以内で述べよ。
模範解答
総務部のVLAN67をP1に設定しP3から削除する。
採点基準
- 1点: 総務部の移動に伴い、移動元(P3)からのVLAN67の設定削除と、移動先(P1)へのVLAN67の設定追加の両方の変更内容を正確に記述できている。
- 0点: 設定の削除または追加のいずれかが欠落している、不適切なポートやVLAN IDを指定している、または無解答。
解説
総務部が3階から1階へ移動することに伴う、L3SWにおける具体的なVLAN構成の変更内容です。
- 総務部のLANには「VLAN67」が割り当てられています。
- 3階から移動することにより、3階のL2SW-3へ接続するL3SWのポートP3では総務部の通信が不要となります。
- 一方、1階へ移動することにより、1階のL2SW-1へ接続するL3SWのポートP1で新たに総務部の通信を通す必要があります。
- したがって、L3SWにおいて「総務部のVLAN67をP1に設定しP3から削除する」という変更を行います。
高得点のポイント
- どのVLAN ID(VLAN67)に対する変更であるかを明示できていること。
- 移動元ポート(P3)からの設定削除と、移動先ポート(P1)への設定追加の両方の操作を過不足なく記述できていること。
設問4(1)は,正答率が低かった。LANのサブネットワークへの分割を柔軟に行うために,タグVLANの機能や構成方法を理解してほしい。