令和3年度 秋期 システム監査技術者試験 午後Ⅱ 問題 問2 他の監査や評価の手続・結果を利用したシステム監査の計画策定(論述)

学習ガイド

社内規程に基づく業務監査や内部統制の評価など、他の監査や評価の手続と結果をシステム監査で利用する計画を論じる午後II問題です。設問アでは監査の目的・概要と利用する他の監査等を示し、設問イでそれを利用できると考えた理由を書きます。設問ウでは、担当者の能力・独立性や手続の適切性などの評価のポイントと、想定どおりでなかった場合に見直す監査計画の内容を述べます。

この記事で押さえる論点

  • 計画するシステム監査の目的に適合する他の監査や評価の手続・結果を特定できる
  • システム監査において他の監査等を利用できると判断した合理的な理由を説明できる
  • 他の監査等が利用できるかの評価ポイントと、想定外の場合の計画見直し内容を述べられる

問題本文

他の監査や評価として実施された手続とその結果を利用したシステム監査の計画について

企業におけるITの利活用は,経営や業務に幅広い影響を与えている。そこで,システム監査以外に,社内規程に基づく業務監査,法令に基づく内部統制の経営者評価,認証取得・維持のための内部監査などにおいて,ITに関する様々な監査や評価が実施されている。このような監査や評価として実施された手続とその結果(以下,他の監査等という)をシステム監査で利用することは,システム監査の効率向上だけではなく,監査対象部門の負担を軽減する上でも有効である。

他の監査等を利用する場合には,システム監査の計画策定時に,当該システム監査の目的に照らして利用可能な他の監査等があるかどうかを検討する必要がある。その上で,他の監査等が利用できるかどうかを検討し,利用可能と想定される他の監査等の範囲を特定する。

また,他の監査等を実施した担当者の能力・独立性,実施された手続の適切性,指摘事項のフォローアップの妥当性などを踏まえて,他の監査等が当該システム監査の目的に照らして想定どおり利用できるかどうかを評価することが重要になる。評価した結果,例えば,システム変更後の業務が含まれていなかったり,想定外の新たな指摘事項が発見されたりなど,想定どおりではなかった場合には,当該システム監査の計画を見直す必要がある。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問と解答・解説

設問ア

配点 34点

あなたが携わった組織において,計画又は実施したシステム監査の目的・概要,及び利用可能と想定又は利用した他の監査等の概要を,800字以内で述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)17点
  • 17点: システム監査の目的・概要と、利用可能と想定(又は利用)した他の監査等(業務監査・内部統制の経営者評価・内部監査などとして実施された手続とその結果)の概要の両方を具体的に述べ、テンプレートや手続書の利用に終始していない。
  • 8点: システム監査の目的・概要と他の監査等の概要のどちらか一方が欠けているか抽象的である、または他の監査等がテンプレートや手続書の利用にとどまっている。
  • 0点: 白紙、または題意外(他の監査等に当たるものを述べていない)。
論理性(構造)17点
  • 17点: システム監査の目的に照らして、他の監査等が利用可能である範囲が論理的に整理されている。
  • 8点: システム監査の目的と他の監査等の整合性がやや不明確である。
  • 0点: 論理的なつながりが見られない。

解説

本設問は、システム監査の計画・実施において、監査の効率向上や監査対象部門の負担軽減を図るため、他の監査や評価によって実施された手続とその結果をシステム監査で利用可能かどうかを適切に検討する能力を問うものです。問題文では、社内規程に基づく業務監査、法令に基づく内部統制の経営者評価、認証取得・維持のための内部監査などの監査や評価として実施された手続とその結果を「他の監査等」と呼んでいます。

高得点のポイント

  • あなたが携わった組織におけるシステム監査の目的と概要が明確に記述されていること。
  • 利用可能と想定(又は利用)した「他の監査等」の概要が、単なる公開・社内のテンプレートや手続書の利用ではなく、実際に実施された監査や評価の手続・結果として記述されていること。
  • 他の監査等がセキュリティやプライバシー全般に及ぶ場合などにおいて、システム監査で利用できる範囲を適切に絞り込んで特定できていること。
  • 対象となるシステム監査の目的と、利用する他の監査等の範囲に整合性があること。

設問イ

配点 33点

設問アで述べた他の監査等について,システム監査で利用可能と想定した理由を含め,700字以上1,400字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)16点
  • 16点: 一般論に終始せず、具体的な理由や利用範囲、手続が明確に記述されている。
  • 8点: 利用理由が一般論に留まっている、または利用範囲が明確でない。
  • 0点: 記述がない、または全く的外れである。
論理性(構造)17点
  • 17点: 設問アの状況設定と一貫しており、かつ設問ウの評価ポイントと混同せずに想定理由を論述できている。
  • 8点: 設問ウの評価ポイントを先取りして記述してしまっているなど、構成に難がある。
  • 0点: 設問アからの論理的な連続性がない。

解説

本設問は、設問アで提示した「他の監査等」について、システム監査において利用できる範囲や手続を明確にし、なぜ利用可能と想定したのかを論理的に説明する能力を問うものです。

高得点のポイント

  • 設問アで提示したシステム監査の目的に対して、なぜその「他の監査等」が利用可能と考えたのか、一般論に終始せず具体的な理由を挙げていること。
  • 利用できる範囲や実施された手続の内容が明確に記述されていること。
  • 設問ウで問われている「利用できるかどうかを評価するためのポイント」とは明確に区別し、本設問ではあくまで「計画・想定段階での利用理由や範囲」を述べていること。
  • 設問アから続く一貫した状況設定のもとで論理展開されていること。

論述している他の監査・評価に関する具体的な論述及びその理由についても,利用できる範囲や手続が明確でなかったり,設問アで論述したシステム監査の目的に対して利用する他の監査等の論述が一般論に終始したりする論述が目立った。設問イについては,設問ウの“利用できるかどうかを評価するためのポイント”を記載し,結果的に設問イの内容が論述されていないような解答が散見された。

設問ウ

配点 33点

設問イで述べた他の監査等が利用できるかどうかを評価するためのポイント,及び想定どおりではなかった場合に見直すべきシステム監査の計画の内容について,700字以上1,400字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)16点
  • 16点: 担当者の独立性・能力や手続の適切性などの評価ポイントが明確であり、監査範囲や手続等の計画見直し内容が具体的に示されている。
  • 8点: 評価ポイントや計画見直しの内容が抽象的である、またはどちらか一方が欠けている。
  • 0点: 記述がない、または全く的外れである。
説得力(考察)17点
  • 17点: 設問ア・イからの一貫性があり、想定外の事象に応じた計画変更として実務的な説得力がある。
  • 8点: 計画見直し案の妥当性や説得力がやや弱い。
  • 0点: 説得力がなく、非現実的な対応となっている。

解説

本設問は、他の監査等の結果を盲目的に利用するのではなく、その妥当性を客観的に評価する視点と、想定通りにいかなかった場合に監査計画を柔軟に見直す対応力を問うものです。

高得点のポイント

  • 他の監査等が想定どおり利用できるかを評価するポイントとして、問題文に示されている「担当者の能力・独立性」「実施された手続の適切性」「指摘事項のフォローアップの妥当性」などを踏まえた具体的な基準が述べられていること。
  • 評価の結果、「システム変更後の業務が含まれていなかった」「想定外の新たな指摘事項が発見された」などの想定外の事態が生じた場合に対し、システム監査の計画(監査範囲の拡大・縮小、監査手続の追加、スケジュールや要員の変更など)をどのように見直すかが説得力をもって記述されていること。
  • 設問ア・イで設定したシステム監査の目的や状況と一貫した論理展開であること。

Spineチーム