令和5年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後II 問1 マルチクラウド化とBGP・VRRPによる可用性向上
この問題は2023(R5)春 ネットワークスペシャリスト 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。
学習ガイド
IaaS障害を契機に、マルチクラウドとマルチホーム接続へ移行するネットワーク更改です。BGP、静的経路、VRRPの設定順序を時系列で追い、順序を誤った場合の通信断を確認します。インターネット出口の変更が送信元IPアドレスへ与える影響も整理します。本文・表・図の根拠を行き来し、用語だけを暗記するのではなく、短い記述にも判断の理由を残して解答する手順を示します。
この記事で押さえる論点
- DNSラウンドロビンとTTL短縮でプロキシサーバの切替えを設計できる
- BGPのメッセージ・LOCAL_PREF・next-hop-selfの役割を整理する
- 静的経路とBGPの優先順位からVRRP導入順序と削除手順の理由を説明できる
- インターネット出口変更に伴う送信元IPアドレス変化の影響と対策を記述できる
出題情報
- 出題
- 2023(R5)春 ネットワークスペシャリスト 午後II 問1
- 配点
- 100点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
オンプレミスからクラウドサービスへの移行が進み,クラウドサービスを利用する企業はますます増えている。業務環境の可用性についてクラウド事業者に依存する傾向が強くなり,事業継続性の観点から対策が必要となっている。また,企業の情報システム部門が,企業内部のクラウドサービス利用を全て把握することが困難なケースも想定される。本問では,マルチクラウド利用による可用性向上を題材として,BGPやVRRPを利用した可用性向上,これらを組み合わせたネットワーク構成の考慮点及びインターネット接続の変更に伴うグローバルIPアドレスの変更による影響と対策について問う。
問1では,マルチクラウド利用による可用性向上を題材に,BGPやVRRPを利用した可用性向上,これらを組み合わせたネットワーク構成及びインターネット接続方法の変更による影響と対策について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
問1 マルチクラウド利用による可用性向上に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
A社は,従業員500人のシステム開発会社である。A社では,IaaSを積極的に活用して開発業務を行ってきたが,利用しているIaaS事業者であるB社で大規模な障害が発生し,開発業務に多大な影響を受けた。A社のシステム部では,利用するIaaS事業者をもう1社追加してマルチクラウド環境にし,本社を中心にネットワーク環境も含めた可用性向上に取り組むことになり,Eさんを担当者として任命した。
現在のA社のネットワーク構成を図1に示す。

図の説明テキスト
現在のA社のネットワーク構成を示す図。全体の構成要素として「インターネット」「A社本社」「A社営業所」「D社閉域NW」「B社IaaS」「SaaS」がある。
- インターネット: SaaSおよびA社本社のR10に接続されている。
- A社本社: R10はFW10に接続。FW10はL2SW11, L2SW10, L3SW10に接続。L2SW11はDMZ (192.168.0.0/24) にあり、コンテンツDNSサーバ、プロキシサーバA、キャッシュDNSサーバを収容する。L3SW10は内部ネットワークのL2SW12, L2SW15に接続し、これらには監視サーバやPCが接続されている。FW10に繋がるL2SW10はR11を介してD社閉域NWへ接続。
- D社閉域NW: A社本社のR11、B社IaaS向けのR12、A社営業所向けのR21と接続している。
- B社IaaS (192.168.1.0/24): R12を介してD社閉域NWに接続され、開発サーバB、ファイルサーバBを収容する。
- A社営業所: R21を介してD社閉域NWからR20へ接続。R20はL2SW20を介して内部ネットワークのPCに接続する。
凡例として、R: ルータ、FW: ファイアウォール、L2SW: レイヤー2スイッチ、L3SW: レイヤー3スイッチ、D社閉域NW: 回線事業者であるD社が提供する閉域ネットワークサービス、と記載されている。
図1の概要を次に示す。
- A社は本社と2か所の営業所で構成されている。
- D社閉域NWを利用して,本社と2か所の営業所を接続している。R11及びR20といったA社とD社閉域NWとを接続するルータは,D社からネットワークサービスとして提供されている。
- D社閉域NWとB社IaaSは相互接続しており,A社はD社閉域NW経由でB社IaaSを利用している。
- A社のネットワークでは静的経路制御を利用している。
- B社からは,Webブラウザを利用した画面操作によって,IaaS上に仮想ネットワーク,仮想サーバを簡単に構築できる管理コンソールが提供されている。
- A社のシステム部は,受託した開発業務ごとに開発サーバBを構築し,A社の担当部門に引き渡している。開発サーバBの運用管理は担当部門で実施する。
- システム部は,共用のファイルサーバBを構築し,A社の全部門に提供している。
- A社の全部門で利用する電子メールやチャット,スケジューラーなどのオフィスアプリケーションソフトウェアはインターネット上のSaaSを利用している。これらのSaaSはHTTPS通信を用いている。
- A社の一部の部門では,担当する業務に応じてインターネット上のSaaSを独自に契約し,利用している。これらのSaaSでは送信元IPアドレスによってアクセス制限をしているものもある。これらのSaaSもHTTPS通信を用いている。
- プロキシサーバAは,従業員が利用するPCやサーバからインターネット向けのHTTP通信,HTTPS通信をそれぞれ中継する。従業員はプロキシサーバとして proxy.a-sha.co.jp をPCのWebブラウザやサーバに指定している。
- A社は,本社設置のR10を経由してインターネットに接続している。FW10にはグローバルIPアドレスを付与しており,FW10を経由するインターネット宛ての通信はNAPT機能によってIPアドレスとポート番号の変換が行われる。
- キャッシュDNSサーバは,PCやサーバからの問合せを受け,ほかのDNSサーバへ問い合わせた結果を応答する。キャッシュDNSサーバは複数台設置されている。
- コンテンツDNSサーバは,PCやサーバのホスト名などを管理し,PCやサーバなどに関する情報を応答する。コンテンツDNSサーバは複数台設置されている。
- 監視サーバは,ICMPを利用する死活監視(以下,ping監視という)を用いてDMZやIaaSにあるサーバの監視を行っている。監視サーバで検知された異常はシステム部の担当者に通知され,復旧作業などの必要な対応が行われる。
システム部では,ネットワーク環境の可用性向上の要件を次のとおりまとめた。
- 新規にC社のIaaSを契約し,B社IaaSと併せたマルチクラウド環境にし,D社閉域NW経由で利用する。
- A本社とD社閉域NWとの接続回線を追加し,マルチホーム接続とする。
- インターネット接続を本社経由からD社閉域NW経由に切り替える。
可用性向上後のA社のネットワーク構成を図2に示す。

図の説明テキスト
可用性向上後のA社のネットワーク構成を示す図。中央の「D社閉域NW」を中心に各拠点が接続されている。
- インターネット: 上部に位置し「SaaS」と接続。FW40を介してD社閉域NWおよびルータR12に接続。
- A社本社: 左側に位置。FW10とL2SW10を介してルータR11, R13でD社閉域NWに接続。内部は「DMZ (192.168.0.0/24)」と「内部ネットワーク」に分かれている。
- A社営業所: 下部中央に位置。ルータR20とR21を介してD社閉域NWに接続。
- B社IaaS (192.168.1.0/24): 右側上部に位置。ルータR14を介してD社閉域NWに接続。内部に開発サーバB、ファイルサーバB、プロキシサーバBが存在する。
- C社IaaS (192.168.2.0/24): 右側下部に位置。D社閉域NWに接続。内部に開発サーバC、ファイルサーバC、プロキシサーバCが存在する。
〔B社とC社のIaaS利用〕
C社からも,B社と同様に管理コンソールが提供されている。B社IaaSに構築された仮想ネットワーク,仮想サーバとC社IaaSに構築された仮想ネットワーク,仮想サーバはD社閉域NWを経由して相互に通信できる。
Eさんは,B社とC社のIaaS利用方針を次のとおり策定した。
- C社IaaSにファイルサーバCを新たに構築し,ファイルサーバBと常に同期をとるように設定する。A社従業員はファイルサーバB又はファイルサーバCを利用する。
- B社IaaSにプロキシサーバBを,C社IaaSにプロキシサーバCを新たに構築し,プロキシサーバAから切り替える。
- B社IaaSを利用して開発サーバBを,C社IaaSを利用して開発サーバCを構築し,A社の担当部門に引き渡す。
〔プロキシサーバの利用方法の検討〕
Eさんは,IaaSに構築するプロキシサーバBとプロキシサーバCの利用方法を検討した。プロキシサーバの利用方法の案を表1に示す。

図の説明テキスト
表1 プロキシサーバの利用方法の案
| 案 | 概要 |
|---|---|
| 案1 | 平常時はプロキシサーバBを利用し,プロキシサーバBに障害が発生した際にはプロキシサーバCを利用するように切り替える。 |
| 案2 | 平常時からプロキシサーバB及びプロキシサーバCを利用し,片方に障害が発生した際には正常稼働しているもう片方を利用するように切り替える。 |
Eさんは,従業員が利用するプロキシサーバを,DNSの機能を利用して制御することを考えた。プロキシサーバに障害が発生した際には,DNSの機能を利用して切り替える。
プロキシサーバに関するDNSゾーンファイルの記述内容を表2に示す。

図の説明テキスト
表2 プロキシサーバに関するDNSゾーンファイルの記述内容
| DNSゾーンファイルの記述内容 | |
|---|---|
| 現在の設定 | proxy.a-sha.co.jp. IN A 192.168.0.145 ; 従業員が指定するホスト proxya.a-sha.co.jp. IN A 192.168.0.145 ; プロキシサーバAのホスト |
| 案1の初期設定 | proxy.a-sha.co.jp. IN A 192.168.1.145 ; 従業員が指定するホスト proxya.a-sha.co.jp. IN A 192.168.0.145 ; プロキシサーバAのホスト proxyb.a-sha.co.jp. IN A 192.168.1.145 ; プロキシサーバBのホスト proxyc.a-sha.co.jp. IN A 192.168.2.145 ; プロキシサーバCのホスト |
| 案2の初期設定 | proxy.a-sha.co.jp. IN A 192.168.1.145 ; 従業員が指定するホスト proxy.a-sha.co.jp. IN A 192.168.2.145 ; 従業員が指定するホスト proxya.a-sha.co.jp. IN A 192.168.0.145 ; プロキシサーバAのホスト proxyb.a-sha.co.jp. IN A 192.168.1.145 ; プロキシサーバBのホスト proxyc.a-sha.co.jp. IN A 192.168.2.145 ; プロキシサーバCのホスト |
| 注記: 切替え期間中の設定を含む。 |
Eさんは,プロキシサーバの監視運用について検討した。監視サーバで利用できる①ping監視では不十分だと考え,新たにTCP監視機能を追加し,プロキシサーバのアプリケーションプロセスが動作するポート番号にTCP接続可能か監視することにした。また,監視対象として,従業員がプロキシサーバとして指定するホストに加えて,プロキシサーバA,プロキシサーバB,プロキシサーバCのホストを設定することにした。
次に,監視サーバでプロキシサーバBの異常を検知した際に,従業員がプロキシサーバの利用を再開できるようにするための復旧方法として,②DNSゾーンファイルの変更内容を案1,案2それぞれについて検討した。また,③平常時から proxy.a-sha.co.jpに関するリソースレコードの TTLの値を小さくすることにした。
これらの検討の結果,プロキシサーバの負荷分散ができること,及びプロキシサーバの有効活用ができることから案2の方が優れていると考え,Eさんは案2を採用することにした。
さらに,Eさんは,自動でプロキシサーバを切り替えるために,④DNSとは異なる方法で従業員が利用するプロキシサーバを切り替える方法も検討した。プロキシサーバを利用する側の環境に依存することから,DNSゾーンファイルの書換えによる切り替えと併用することにした。
〔マルチホーム接続〕
次に,EさんはD社閉域NWとのマルチホーム接続について検討した。A本社に増設するルータ及び回線はD社からネットワークサービスとして提供される。マルチホーム接続の設計についてD社担当者から説明を受けた。
D社担当者から説明を受けたマルチホーム接続構成を図3に示す。

図の説明テキスト
D社担当者から説明を受けたマルチホーム接続構成を示す図。
左側に「A社本社」、右側に「D社閉域NW」が配置されている。
【A社本社の構成】
- 「FW10」が「L2SW10」に接続されている。
- 「L2SW10」は「R11」および網掛けされた「R13」に接続されている。
- R11とR13は破線の角丸枠で囲まれており、両者間には両方向の破線矢印で「iBGP (internal BGP)」と記載されている。
【D社閉域NWの構成】 - 大きな楕円の中に「R12」と、網掛けされた「R14」が配置されている。
【接続関係】 - A社本社のR11とD社閉域NWのR12が両方向の実線矢印「eBGP (external BGP)」で接続されている。
- A社本社のR13とD社閉域NWのR14が両方向の実線矢印「eBGP (external BGP)」で接続されている。
【凡例・注記】 - 両方向矢印(実線および破線):BGP (Border Gateway Protocol) 接続
- 破線の角丸枠:VRRP (Virtual Router Redundancy Protocol)
- 注記:網掛け部分は、追加する機器を示す。
図3の概要は次のとおりである。
- 本社とD社閉域NWとの間で,新たにR13と専用線がD社からネットワークサービスとして提供される。R11とR13とを併せてマルチホーム接続とする。
- 増設する専用線の契約帯域幅は既設の専用線と同じにし,平常時は既設の専用線を利用し,障害発生時には増設する専用線を利用する。
- 既存のR11とR12は,静的経路制御からBGPによる動的経路制御に変更する。
- R11とR12との間,R13とR14との間はeBGPで接続する。⑤R11とR13との間はiBGPで接続し,あわせてnext-hop-self設定を行う。
- R11とR13との間ではVRRPを利用する。FW10はVRRPで定義する仮想IPアドレスをネクストホップとして静的経路設定を行う。
D社担当者からの説明を受けたEさんは,BGPについて調査した。
RFC 4271で規定されているBGPは,a間の経路交換のために作られたプロトコルで,TCPポート179番を利用して接続し,経路交換を行う。経路交換を行う隣接のルータをbと呼ぶ。BGPで交換されるメッセージは4タイプあり,表3に示す。

図の説明テキスト
表3 BGPで交換されるメッセージ
| タイプ | 名称 | 説明 |
|---|---|---|
| 1 | OPEN | BGP 接続開始時に交換する。 自 AS 番号, BGPID, バージョンなどの情報を含む。 |
| 2 | c | 経路情報の交換に利用する。 経路の追加や削除が発生した場合に送信される。 |
| 3 | NOTIFICATION | エラーを検出した場合に送信される。 |
| 4 | d | BGP 接続の確立や BGP 接続の維持のために交換する。 |
経路制御は,cメッセージに含まれるBGPパスアトリビュートの一つであるLOCAL_PREFを利用して行うとの説明をD社担当者から受けた。LOCAL_PREFは,iBGPピアに対して通知する,外部のASに存在する宛先ネットワークアドレスの優先度を定義する。BGPでは,ピアリングで受信した経路情報をBGPテーブルとして構成し,最適経路選択アルゴリズムによって経路情報を一つだけ選択し,ルータのeに反映する。LOCAL_PREFの場合では,最もf値をもつ経路情報が選択される。
また,Eさんは,D担当者から静的経路制御からBGPによる動的経路制御に構成変更する手順の説明を受けた。この時,⑥BGPの導入を行った後にVRRPの導入を行う必要があるとの説明だった。Eさんが説明を受けた手順を表4に示す。

図の説明テキスト
表4 Eさんが説明を受けた手順
| 項番 | 作業内容 |
|---|---|
| 1 | R13 及び R14 を増設する。 |
| 2 | R13 と増設する専用線とを接続する。 R14 と増設する専用線とを接続する。 R13 と L2SW10 とを接続する。 |
| 3 | R13 及び R14 のインタフェースに IP アドレスを設定する。 |
| 4 | ⑦増設した機器や回線に故障がないことを確認するために ping コマンドで試験を行う。 |
| 5 | R11〜R14 に BGP の設定を追加する。ただし,この時点では BGP 接続は確立しない。 |
| 6 | 全ての BGP 接続を確立させ,送受信する経路情報が正しいことを確認する。 |
| 7 | ⑧R11 及び R12 の不要になる静的経路制御の経路情報を削除する。 |
| 8 | R11 と R13 との間の VRRP で利用する新しい仮想 IP アドレスを割り当て,VRRP を構成する。 |
| 9 | FW10 において VRRP で利用する仮想 IP アドレスをネクストホップとする静的経路制御の経路情報を設定する。 |
| 10 | FW10 で不要になる静的経路制御の経路情報を削除する。 |
Eさんは,設計どおりにマルチホームによる可用性向上が実現できたかどうかを確認するための障害試験を行うことにし,⑨想定する障害の発生箇所と内容を障害一覧としてまとめた。
〔インターネット接続の切替え〕
次に,Eさんはインターネット接続を本社経由からD社閉域NW経由へ切り替えることについて検討した。
インターネット接続の切替え期間中の構成を図4に示す。

図の説明テキスト
インターネット接続の切替え期間中のネットワーク構成図。
- 左側に「A社本社」。その内部に「DMZ 192.168.0.0/24」があり、中に「プロキシサーバA」(破線枠)と「L2SW11」がある。
- プロキシサーバAから上方向へ破線が伸び、「R10」(破線枠)を経由して上部の「インターネット」へ破線で接続されている。
- DMZ内のL2SW11から右へ「FW10」、さらに右の「L2SW10」へ実線で接続されている。FW10からも上方向へ破線が伸びてR10へ繋がっている。
- L2SW10から右へ分岐し、上は「R11」、下は「R13」に実線で接続されている。
- A社本社の右側に「D社閉域NW」がある。R11から「R12」へ、R13から「R14」へ実線で接続されている。
- D社閉域NW内に「FW40」があり、R12から実線で接続されている。FW40から上方向へ「インターネット」に実線で接続されており、インターネットから右側の「SaaS」へ実線で接続されている。
- R12から右側の「B社IaaS 192.168.1.0/24」枠(中にプロキシサーバB)へ実線で接続されている。
- R14から右側の「C社IaaS 192.168.2.0/24」枠(中にプロキシサーバC)へ実線で接続されている。
- 凡例として「------- : インターネット接続の切替え期間中だけ利用する。」と記載されている。
FW40を使ってインターネット接続する。FW40はD社からネットワークサービスとして提供される。FW40には新たにグローバルIPアドレスが割り当てられる。FW40を経由するインターネット宛ての通信はNAPT機能によってIPアドレスとポート番号の変換が行われる。A社とインターネットとの通信を,R10経由からFW40経由になるようにインターネット接続を切り替える。
Eさんは,設定変更の作業影響による通信中断時間を極力短くするために,⑩FW10の設定変更はD社閉域NWの設定変更とタイミングを合わせて実施する必要があると考えた。
Eさんは,⑪インターネット接続の切替えを行うと一部の部門で業務に影響があると考えた。対策として,全てのインターネット宛ての通信はFW40経由へと切り替えるが,⑫一定期間,プロキシサーバAからのインターネット宛ての通信だけは既存のR10経由になるようにする。あわせて,Eさんは,業務に影響がある一部の部門には切替え期間中はプロキシサーバAが利用可能なことを案内するとともに,⑬恒久対応として設定変更の依頼を事前に行うことにした。
Eさんは,プロキシサーバAのログを定期的に調査し,利用がなくなったことを確認した後に,プロキシサーバAを廃止することにした。
Eさんが検討した可用性向上の検討案は承認され,システム部では可用性向上プロジェクトを開始した。
設問と解答・解説
設問1
〔プロキシサーバの利用方法の検討〕について答えよ。
(1)
表2中の案2の初期設定について,負荷分散を目的として一つのドメイン名に対して複数のIPアドレスを割り当てる方式名を答えよ。
模範解答
DNSラウンドロビン
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: マルチクラウド利用やWeb閲覧の可用性向上の基礎となる負荷分散方式について完全に理解し、適切に記述できている。
- 1点: 負荷分散方式について部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 方式名が過不足なく論理的に構成されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
負荷分散を目的として一つのドメイン名に複数のIPアドレスを割り当てる技術は DNSラウンドロビン と呼ばれます。
高得点のポイント
- DNSラウンドロビン というキーワードを正確に記述すること。マルチクラウド環境やWeb閲覧の可用性向上における基礎知識として重要です。
(2)
本文中の下線①について,ping監視では不十分な理由を40字以内で答えよ。
模範解答
プロキシサーバのアプリケーションプロセスが停止した場合に検知できないから
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: Web閲覧の可用性向上における死活監視の限界(L3とL7の違い)を完全に理解し、適切に記述できている。
- 1点: 死活監視の限界について部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: プロセスの停止を検知できない理由が前後の文脈に沿って論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
pingは ICMP を利用するため、ネットワーク層(L3)の死活監視しかできません。そのため、OSやネットワークが稼働していれば応答してしまい、プロキシサーバ のアプリケーションプロセス(L7)が停止しても異常を検知できないという課題があります。
高得点のポイント
- ping監視の限界(アプリケーションレベルの停止を検知できない点)に言及すること。
- アプリケーションプロセス などのキーワードを含めて論理的に説明すること。
(3)
本文中の下線②について,表2の案1の初期設定を対象に,ドメイン名 proxy.a-sha.co.jp. の書換え後のIPアドレスを答えよ。
模範解答
192.168.2.145
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: ネットワーク構成の変更に伴う影響範囲を完全に理解し、該当するIPアドレスを特定できている。
- 1点: IPアドレスの特定において部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 要求されたIPアドレスが明確に記述されている。
- 1点: 記述にやや不明瞭な部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
表2の案1では、proxy.a-sha.co.jp. をプロキシサーバBからプロキシサーバCへ切り替えます。図のC社IaaSにあるプロキシサーバCのIPアドレスは 192.168.2.145 です。
(4)
本文中の下線③について,TTLの値を小さくする目的を40字以内で答えよ。
模範解答
キャッシュDNSサーバがキャッシュを保持する時間を短くするため
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: DNSレコードのTTLによるキャッシュ保持の仕組みと可用性向上への影響を完全に理解できている。
- 1点: TTLの仕組みについて部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 目的が前後の文脈に沿って論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
DNSの TTL (Time To Live) はキャッシュDNSサーバがそのレコードをキャッシュとして保持する時間です。TTLを小さくすることで、IPアドレス変更時に古い情報が早く破棄され、新しいIPアドレスへの切り替えが迅速に行われます。
高得点のポイント
- キャッシュ の保持時間を短くするという目的が含まれていること。
- 迅速な切り替えに向けた仕組みを論理的に説明できていること。
(5)
本文中の下線④について,DNSとは異なる方法を20字以内で答えよ。
模範解答
プロキシ自動設定機能を利用する。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: Web閲覧の可用性向上におけるプロキシ自動設定機能の存在を完全に理解できている。
- 1点: プロキシ設定の方法について部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 機能名が前後の文脈に沿って論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
DNSを用いた切り替え以外に、ブラウザ等の設定で プロキシ自動設定機能 (WPAD) やPACファイルを利用する方法があります。
高得点のポイント
- Web閲覧の可用性向上に寄与する プロキシ自動設定機能 に言及していること。
(6)
また,その方法の制限事項を,プロキシサーバを利用する側の環境に着目して25字以内で答えよ。
模範解答
対応するPCやサーバでしか利用できない。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: プロキシ自動設定機能の仕組みとクライアント環境に依存する制限事項を完全に理解できている。
- 1点: 制限事項について部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 制限事項が前後の文脈に沿って論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
プロキシ自動設定機能は、ブラウザなど 対応するPCやサーバ(アプリケーション) でしか利用できないという制限事項があります。すべてのソフトウェアがPACファイル等に対応しているわけではありません。
高得点のポイント
- 対応するPCやサーバ でのみ動作するという環境上の制約を明記すること。
設問1では,(5)の正答率が低かった。従業員が行う業務において,Webアプリケーションソフトウェアを利用する機会は増えており,Web閲覧の可用性向上は重要である。プロキシ自動設定機能は是非知っておいてもらいたい。
設問2
〔マルチホーム接続〕について答えよ。
(1)
本文中及び表3中の空欄 aに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
AS
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: BGP等のプロトコルにおける自律システムの概念を正しく理解し、空欄に該当する字句を完全に正確に記述できている。
- 2点: 部分的に正しいが表記に不備がある。
- 0点: 不正確である。
解説
解説
インターネットにおける独立したルーティングドメインは AS (Autonomous System) と呼ばれます。
高得点のポイント
- 空欄の文脈に合致するよう AS を正確に記述すること。
(2)
本文中及び表3中の空欄 bに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
ピア
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: BGPにおける隣接ルータの呼称を正しく理解し、空欄に該当する字句を完全に正確に記述できている。
- 2点: 部分的に正しいが表記に不備がある。
- 0点: 不正確である。
解説
解説
BGPで接続を確立し、経路情報を交換する隣接ルータを ピア (Peer) と呼びます。
高得点のポイント
- ピア という用語を正確に記述できていること。
(3)
本文中及び表3中の空欄 cに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
UPDATE
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: BGPのメッセージタイプを正しく理解し、空欄に該当する字句を完全に正確に記述できている。
- 2点: 部分的に正しいが表記に不備がある。
- 0点: 不正確である。
解説
解説
BGPにおいて経路情報の追加や削除を通知するメッセージは UPDATE メッセージです。
高得点のポイント
- BGPのメッセージタイプである UPDATE を正しく記述していること。
(4)
本文中及び表3中の空欄 dに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
KEEPALIVE
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: BGPのメッセージタイプを正しく理解し、空欄に該当する字句を完全に正確に記述できている。
- 2点: 部分的に正しいが表記に不備がある。
- 0点: 不正確である。
解説
解説
BGPピア間で接続が維持されていることを定期的に確認するためのメッセージは KEEPALIVE メッセージです。
高得点のポイント
- KEEPALIVE を正しく記述していること。
(5)
本文中及び表3中の空欄 eに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
ルーティングテーブル
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: ネットワーク機器における経路制御の基本概念を正しく理解し、空欄に該当する字句を完全に正確に記述できている。
- 2点: 部分的に正しいが表記に不備がある。
- 0点: 不正確である。
解説
解説
ルータがパケットを転送する際に参照する宛先ネットワークごとのネクストホップ情報を格納したものは ルーティングテーブル です。
高得点のポイント
- ルーティングテーブル というネットワーク機器の基本概念を正しく記述していること。
(6)
本文中及び表3中の空欄 fに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
大きい
採点基準(配点 4点)
正確性(内容)(4点)
- 4点: BGPの属性と経路選択の優先度を正しく理解し、空欄に該当する字句を完全に正確に記述できている。
- 2点: 部分的に正しいが表記に不備がある。
- 0点: 不正確である。
解説
解説
BGPの経路選択において、Local Preference属性の値は 大きい 方が優先されます。
高得点のポイント
- 経路情報がどのように変化し選択されるかのルール(値が 大きい)を正しく記述していること。
(7)
本文中の下線⑤について,next-hop-self設定を行うと,iBGPで広告する経路情報のネクストホップのIPアドレスには何が設定されるか。15字以内で答えよ。
模範解答
自身のIPアドレス
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: BGP導入過程におけるルータの経路情報の変化(ネクストホップの制御)を具体的にイメージし、完全に理解できている。
- 1点: 経路情報の変化について部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 設定対象のIPアドレスが前後の文脈に沿って論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
next-hop-self 設定を行うと、eBGPから学習した経路をiBGPピアへ広告する際に、ネクストホップを 自身のIPアドレス に書き換えます。これにより、iBGPピアがネクストホップへの到達性を失うことを防ぎます。
高得点のポイント
- ネクストホップに設定されるのが 自身のIPアドレス であることを簡潔に記述すること。
(8)
表3について,BGPピア間で定期的にやり取りされるメッセージを一つ選び,タイプで答えよ。
模範解答
4
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: BGPプロトコルにおけるメッセージタイプを完全に理解し、正しく選択できている。
- 1点: メッセージタイプについて部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 要求されたタイプ番号が正確に記述されている。
- 1点: 記述にやや不明瞭な部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
BGPピア間で定期的にやり取りされるのはKEEPALIVEメッセージです。表3においてKEEPALIVEメッセージのタイプは 4 です。
高得点のポイント
- BGPメッセージの種類と対応する番号を正しく選択・記述していること。
(9)
また,そのメッセージが一定時間受信できなくなるとどのような動作をするか。30字以内で答えよ。
模範解答
BGP接続を切断し,経路情報がクリアされる。
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: BGP導入過程におけるルータの動作と経路情報の変化を具体的にイメージし、完全に理解できている。
- 1点: ルータの動作について部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 動作内容が前後の文脈に沿って論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
KEEPALIVEメッセージが一定時間受信できなくなると、ピアのダウンと判断され、BGP接続を切断し、経路情報がクリアされる という動作をします。
高得点のポイント
- BGP接続の切断 と 経路情報のクリア(削除) の両方に言及し、論理的に説明すること。
(10)
本文中の下線⑥について,BGPの導入を行った後にVRRPの導入を行うべき理由を,R13が何らかの理由でVRRPマスターになったときのR13の経路情報の状態を想定し,50字以内で答えよ。
模範解答
VRRPマスターになったR13が経路情報を保持していないと受信したパケットを転送できないから
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: BGPやVRRPといったプロトコル導入過程のルータ経路情報の変化を具体的にイメージし、問題の発生理由を完全に理解できている。
- 1点: 導入順序の理由について部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 経路情報の状態とパケット転送不可の因果関係が論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
BGPの経路情報が収束する前にVRRPによってR13がマスターになると、R13はL2SW10からのパケットを受信しても、経路情報を保持していないため転送できず 通信断が発生します。そのため、BGP導入後にVRRPを導入する必要があります。
高得点のポイント
- R13が 経路情報を保持していない 状態を想定できていること。
- その結果、受信したパケットを転送できない という通信上の影響を論理的に説明していること。
(11)
表4中の下線⑦について,pingコマンドの試験で確認すべき内容を20字以内で答えよ。
模範解答
パケットロスが発生しないこと
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: ネットワーク構成の切り替え試験において確認すべき可用性の指標を完全に理解できている。
- 1点: 試験の確認内容について部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 確認内容が前後の文脈に沿って論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
冗長化されたネットワークにおいて、機器の再起動等による切り替え試験では、通信の連続性が保たれるか、すなわち パケットロスが発生しないこと を確認する必要があります。
高得点のポイント
- ネットワーク切り替え時の影響として、パケットロス の有無に着目して記述していること。
(12)
また,pingコマンドの試験で確認すべき送信元と宛先の組合せを二つ挙げ,図3中の機器名で答えよ。
模範解答
①送信元: R13 宛先: FW10 (又は 送信元: FW10 宛先: R13 又は 送信元: R13 宛先: R11 又は 送信元: R11 宛先: R13)、②送信元: R13 宛先: R14 (又は 送信元: R14 宛先: R13)
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: マルチクラウド利用による可用性向上構成における試験対象の通信フローを完全に理解できている。
- 1点: 試験対象の機器組み合わせについて部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 要求された組み合わせが過不足なく明確に記述されている。
- 1点: 記述にやや不明瞭な部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
障害時の経路切り替えを確認するためには、マルチホーム接続における各ルータ間の疎通を試験する必要があります。具体的には、内部向けおよび外部向けとなる 送信元: R13 宛先: FW10 や 送信元: R13 宛先: R14 などの組み合わせでping試験を実施します。
高得点のポイント
- マルチホーム構成における重要な中継点同士の組み合わせを機器名を用いて正確に挙げていること。
(13)
表4中の下線⑧について,R11及びR12では静的経路制御の経路情報を削除することで同じ宛先ネットワークのBGPの経路情報が有効になる。その理由を40字以内で答えよ。
模範解答
経路情報は,BGPと比較して静的経路制御の方が優先されるから
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: 静的経路と動的経路(BGP)が競合した際の優先度のルールを完全に理解できている。
- 1点: 優先度のルールについて部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 優先関係とその結果が前後の文脈に沿って論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
ルータは同一宛先への複数の経路情報を学習した場合、アドミニストレーティブディスタンスなどの優先度を比較します。通常、BGPよりも静的経路制御の方が優先される ため、静的経路を削除しないとBGPで学習した経路が有効になりません。
高得点のポイント
- 静的経路制御 の方が BGP と比較して優先度が高い(優先される)というルーティングの基本原理を記述していること。
(14)
本文中の下線⑨について,想定する障害を六つ挙げ,それぞれの障害発生箇所を答えよ。ただし,R12とR14についてはD社で障害試験実施済みとする。
模範解答
①R11、②R13、③R11とR12とを接続する回線、④R13とR14とを接続する回線、⑤R11とL2SW10とを接続する回線、⑥R13とL2SW10とを接続する回線
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(2点)
- 2点: マルチホーム接続構成における単一障害ポイントの網羅的な特定方法を完全に理解できている。
- 1点: 障害ポイントの特定について部分的に理解している。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 要求された6箇所の障害ポイントが明確に記述されている。
- 1点: 記述にやや不明瞭または不足する部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
障害試験では、想定される全ての単一障害ポイントを確認する必要があります。R12とR14を除くルータやスイッチ、およびそれらを結ぶ回線が対象となります。具体的には、R11、R13の機器障害、ならびに R11とR12の回線、R13とR14の回線、R11とL2SW10の回線、R13とL2SW10の回線 の障害を想定します。
高得点のポイント
- 該当するルータ機器本体および各接続回線の計6箇所を網羅的に挙げていること。
設問2では,(4)の正答率がやや低かった。BGPやVRRPといったプロトコルを導入する過程において,ルータの経路情報がどのように変化するか,具体的にイメージできるようしっかり理解をしてほしい。
設問3
〔インターネット接続の切替え〕について答えよ。
(1)
本文中の下線⑩について,D社閉域NWの設定変更より前にFW10のデフォルトルートの設定変更を行うとどのような状況になるか。25字以内で答えよ。
模範解答
ルーティングのループが発生する。
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: ネットワーク設定変更のタイミング誤りによって発生するルーティング上の根本原因を完全に理解している。
- 2点: 根本原因を概ね理解している。
- 1点: 部分的にしか理解できていない。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: ルーティングループが発生する事象が前後の文脈に沿って論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
D社閉域NW側のルーティング設定が追いついていない状態でFW10のデフォルトルートだけを変更すると、パケットが両者間で往復を繰り返し、ルーティングのループが発生 します。インターネットが利用不可になるという表面的な影響ではなく、根本的なネットワーク事象を捉える必要があります。
高得点のポイント
- 単なる通信断ではなく、ルーティングのループ という技術的な原因・状態を的確に表現すること。
(2)
本文中の下線⑪について,業務に影響が発生する理由を20字以内で答えよ。
模範解答
送信元IPアドレスが変わるから
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: インターネット接続の変更に伴うグローバルIPアドレスの変更によるSaaS等への影響を完全に理解している。
- 2点: 影響範囲を概ね理解している。
- 1点: 部分的にしか理解できていない。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 業務に影響が出る理由が論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
インターネット接続の切替えに伴い、外部へ出る際のNATプールが変更されるなどの理由で 送信元IPアドレスが変わる ため、送信元IPアドレスでアクセス制限をかけているSaaS等の業務に影響が出ます。
高得点のポイント
- インターネット接続の変更に伴うグローバルIPアドレスの変更という影響を、送信元IPアドレス というキーワードを用いて記述すること。
(3)
本文中の下線⑫について,FW10にどのようなポリシーベースルーティング設定が必要か。70字以内で答えよ。
模範解答
送信元IPアドレスがプロキシサーバAで宛先IPアドレスがインターネットであった場合にネクストホップをR10とする設定
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: ポリシーベースルーティングの仕組みと必要な設定項目(送信元・宛先・ネクストホップ)を完全に理解している。
- 2点: 必要な設定項目を概ね理解している。
- 1点: 部分的にしか理解できていない。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: PBRの条件とアクションが過不足なく論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
特定の通信(プロキシ経由)のみ別ルートでインターネットへ出すためには、ポリシーベースルーティング(PBR)を利用します。FW10において、送信元IPアドレスがプロキシサーバA であり、かつ 宛先IPアドレスがインターネット であるトラフィックの ネクストホップをR10とする ような設定が必要となります。
高得点のポイント
- 送信元IPアドレス と 宛先IPアドレス の条件を正確に特定していること。
- アクションとして ネクストホップをR10とする ことを論理的に構成していること。
(4)
本文中の下線⑬について,どのような設定変更を依頼すればよいか。40字以内で答えよ。
模範解答
SaaSの送信元IPアドレスによるアクセス制限の設定変更
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: インターネット接続の変更に伴うグローバルIPアドレス変更の対策として、外部サービス(SaaS)側での必要な設定変更を完全に理解している。
- 2点: 必要な設定変更を概ね理解している。
- 1点: 部分的にしか理解できていない。
- 0点: 全く理解できていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 依頼すべき設定内容が前後の文脈に沿って論理的に記述されている。
- 1点: 記述にやや論理性が欠ける部分がある。
- 0点: 記述が非論理的である。
解説
解説
接続先SaaSなどで旧送信元IPアドレスによるアクセス制限がかけられている場合、新環境からアクセスできるようにするため、SaaSの送信元IPアドレスによるアクセス制限の設定変更 を依頼する必要があります。
高得点のポイント
- SaaS における 送信元IPアドレス に基づく アクセス制限 の設定変更という要素を過不足なく盛り込んでいること。
設問3では,(1)の正答率がやや低かった。設定変更に伴うネットワークに対する影響を問う問題であるが,インターネットが利用不可になるなどの解答が散見された。ネットワーク技術者として根本の原因を突き止め,インターネットが利用不可になるのはなぜなのか,技術的な内容を解答してほしい。