令和5年度 春期 システムアーキテクト試験 午後Ⅰ 問4 顔認証基盤のアーキテクチャとエッジ認証の設計
この問題は2023(R5)春 システムアーキテクト 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。
学習ガイド
ホテル向け顔認証システムと、事業者共通の顔認証基盤を設計する問題です。顔情報、識別情報、事業者情報がどこで関連付けられ、どのシステムへ送られるかを図の矢印に沿って追います。認証対象を絞れる場合にエッジ認証を選ぶ理由も整理します。本文・表・図の根拠を行き来し、用語だけを暗記するのではなく、短い記述にも判断の理由を残して解答する手順を示します。
この記事で押さえる論点
- 顔認証基盤と事業者依存システムを分離し、識別情報の関連付けでマルチサービスを実現する仕組みを説明できる
- 図2の矢印と表1の機能から、顔認証端末が識別情報を会員管理システムに送る流れを追跡する
- 公的証明書との照合による本人確認と、事業者情報を送る目的を記述する
- 認証対象を絞り込める場面に限ってエッジ認証を使う理由と端末の情報消去の必要性を判断する
出題情報
- 出題
- 2023(R5)春 システムアーキテクト 午後I 問4
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
生体情報の取得デバイスの発達や,AIを活用した認証技術の進化によって,生体認証だけで様々なサービスが享受できるシステムが実用化されてきている。システムアーキテクトは,基盤とアプリケーションとを分離し,将来に向けて汎用性・拡張性のあるシステム開発を行うとともに,エッジの処理能力を活用した負荷分散設計も考慮しなければならない。本問では,ホテル事業者向けの顔認証システムを題材として,システムアーキテクトに求められる,要件分析から導かれる生体認証基盤の処理内容の理解力,生体認証基盤を事業者向けの個別システムに適用するためのシナリオの理解力,及び負荷分散のためのエッジコンピューティングを検討する能力を問う。
問4では,ホテルチェーンを展開する事業者向けの顔認証システム,及び顔認証を提供する基盤システムを題材に,要件分析を基にした顔認証基盤の構築,顔認証基盤の適用性検討から得られるエッジコンピューティングの必要性と処理内容について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
問4 ホテルチェーンを展開する事業者向けの顔認証システム,及び顔認証を提供する基盤システムに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
生体認証は,人間の身体的特徴や行動的特徴を用いて本人であることを認証する仕組みであり,暗証番号やパスワード,又はカードなどの物による認証に代わり忘却や紛失のおそれのない認証方式として実用化が進められてきた。
生体認証機器メーカーであるF社は,指紋,虹彩,静脈紋,顔などを利用した様々な生体認証端末を開発している。F社はこれらの機器を販売するとともに,システムインテグレーターとして,単一事業者向けに生体認証端末と制御用PCを利用したシステムの開発も行っている。今般,ホテルチェーンを展開する事業者(以下,ホテル事業者という)からF社に対して,顧客体験価値向上のため,ホテルの利用者が顔認証だけで系列ホテルが提供する様々なサービスやホテル事業者と提携する事業者のサービス(以下,提携サービスという)を受けられるシステム(以下,本システムという)の開発が打診され,F社で検討を行った。
〔開発を打診された本システムの主な機能〕
本システムの主な機能を次に示す。
- ホテルの利用者は,事前に顔認証に必要な情報(以下,顔情報という)を登録して宿泊予約を行えば,宿泊日に各ホテルのチェックインカウンターに設置された顔認証端末で顔認証を行うだけでチェックインが可能となる。
- チェックイン完了後,宿泊ルームの開錠やホテル内施設の利用など,各ホテルが提供する様々なサービスの利用が顔認証だけで可能になる。
- 上記サービスは系列ホテルの全てで利用可能である。
- ホテルの利用者は,レンタカーや宅配サービスなど,提携サービスも顔認証だけで利用することができる。
F社において自社開発の実現性を検討した結果,これまで開発してきた単一事業者向けのシステムに比べて規模は大きくなるが,F社の自社保有技術をコアとする新たなアーキテクチャを構築することで対応可能であると結論付け,本システムの開発を進めることになった。本システムのサービスの概要を図1に示す。

図の説明テキスト
「図1 本システムのサービスの概要」というキャプションの図。要素間の関係が矢印で示されている。下部に「顔情報」の楕円があり、その上にある「顔認証」という横長の長方形(背景グレー)に矢印が向かっている。「顔認証」からは上に分岐する形で、「チェックイン」「宿泊ルーム開錠」「ホテル内施設利用」「提携サービス利用」の4つの楕円へそれぞれ矢印が引かれている。
〔本システムの要件検討〕
F社のシステムアーキテクトであるG氏は,本システムの開発に当たり,開発要件の検討を行い,次の機能要件及び非機能要件を抽出した。
(1) 機能要件
- ホテルの利用者が事前に顔情報を登録する際に,運転免許証,パスポート,マイナンバーカードなど,利用者の顔写真付きの公的証明書との照合によって,本人であることを確認する手段(以下,本人確認という)を提供する。
- ホテル内施設の店舗での決済を顔認証で行う場合など,精度の高い認証が求められるサービスに対しては,顔認証に加え,ワンタイムパスワードによる追加の認証もサポートする。
- ホテル事業者のシステムだけでなく,提携する事業者のシステムに対しても共通の顔認証機能を提供する(以下,マルチサービスという)。
- 本システムは,宿泊予約などを登録,管理するシステム(以下,会員管理システムという),及び提携する事業者のシステムと連携して動作する必要がある。これをシステム間連携という。
(2) 非機能要件
- 本システムに登録可能な顔情報の件数は,ホテルチェーンへの全展開や提携する事業者の拡大などを考慮し,最大 100 万人分を想定する。また,顔情報を入力してから認証結果が得られるまでの実用的な時間は 1 秒以内とする。
- ホテルの利用者の顔情報などの個人情報を扱うので,その保管や通信に高度なセキュリティが要求される。
- 将来的にホテル事業者以外の様々な事業者のシステムに適用できるよう,汎用性・拡張性の高いアーキテクチャとする。
〔本システムの開発方針〕
G氏は抽出した要件に基づき,次のように開発方針を整理した。
(1) アーキテクチャ構築方針
本システムのアーキテクチャを,顔認証機能を提供する基盤システム(以下,顔認証基盤という)とホテル事業に依存するシステムとに分離することで,ホテル事業者だけでなくほかの事業者のシステムへの適用を容易にする。また,顔認証基盤の拡張によって,将来的に顔認証だけでなく,様々な生体認証機能を提供できるようにする。
(2) サーバ構築方法の選択
利用者の顔情報の登録,管理及び顔認証処理をサーバに集約する。このサーバを顔認証サーバという。さらに,顔認証サーバは次の理由から,クラウドサービス上に構築することとする。
- 初期費用及び維持管理費用の削減を図ることができる。
- セキュリティを確保するための機能が充実している。
(3) マルチサービスの実現
マルチサービスを実現するために,事業者が利用者を識別するための情報(以下,識別情報という)を利用者の顔情報と関連付ける仕組みを開発する。識別情報の例としては,ホテル事業者であれば,会員管理システムにおける会員番号が該当する。このような関連付けによって,顔認証によって個人を特定し,その識別情報を事業者に提供することができる。
(4) 利用者のスマートフォンの活用
利用者のスマートフォン(以下,スマホという)を使用して顔認証に必要な情報を入力するため,顔情報の登録,本人確認,追加の認証などを行うスマホのアプリケーションプログラム(以下,アプリという)を開発する。
(5) システム間連携の実現
システム間連携を実現するために,顔認証サーバを利用する顔認証APIを開発し,事業者が利用できるようにする。また,事業者のシステムと顔認証端末及び利用者のスマホとを連携させるため,事業者のシステムにアクセスする事業者システムAPIをF社が定義し,事業者で実装後,F社が利用できるようにしてもらう。
〔顔認証基盤のアーキテクチャ〕
G氏は顔認証基盤のアーキテクチャ構築が最も重要であると考え,顔認証基盤の検討から着手した。顔認証基盤の概要を図2に,顔認証基盤が提供する機能を表1に示す。

図の説明テキスト
顔認証基盤のシステム構成図。
【構成要素】
- クラウドサービス: 内包する要素として「顔認証サーバ」とその下層に「顔認証API」がある。
- 事業者のシステム: 内包する要素として「事業者システムAPI」がある。
- 顔認証端末
- 利用者のスマホ
【接続・矢印の関係】 - クラウドサービスの「顔認証API」と「利用者のスマホ」の間には双方向の矢印がある。
- クラウドサービスの「顔認証API」と「顔認証端末」の間には双方向の矢印がある。
- クラウドサービスの「顔認証API」と「事業者のシステム」の「事業者システムAPI」の間には双方向の矢印がある。
- 「顔認証端末」から「事業者のシステム」の「事業者システムAPI」へ向かう片方向の矢印がある。

図の説明テキスト
| 構成要素 | 機能説明 |
|---|---|
| 利用者のスマホ | ・利用者のスマホで利用者の顔を撮影し,顔情報を取得した後,顔認証サーバに送信する。 ・顔の撮影後,利用者の顔写真付きの公的証明書も撮影し,顔認証機能を使用してアプリが本人確認を行う。又は,スマホの近距離無線通信機能を使用して,公的証明書から情報が読み取れる場合は,その情報を使用してアプリが本人確認を行う。 ・利用者が事業者のシステムにスマホでサインイン後,顔を撮影すると,アプリは顔情報を取得し,事業者のシステムに送信する。 |
| 顔認証端末 | ・カメラを搭載した汎用タブレット端末であり,利用者が顔を撮影すると,顔情報を取得して,事業者の情報とともに顔認証サーバに送信し,認証結果として識別情報を受信する。 ・追加の認証を行う場合,顔認証サーバから利用者のスマホにワンタイムパスワードを送信し,利用者が受信したワンタイムパスワードを顔認証端末から入力することで認証する。 ・事業者のシステムに対して,認証結果として識別情報を送信する。 ・顔認証端末を複数の事業者で共有し,対応する事業者のシステムと連携することが可能である。 |
| 顔認証サーバ | ・利用者のスマホから送信された顔情報をクラウドサービスのデータベースに登録,管理する。 ・顔認証端末から受信した顔情報から顔認証を行い,認証結果として事業者に関連付く識別情報を顔認証端末に送信する。 ・事業者のシステムからの要求で,顔情報と識別情報とを関連付ける。 |
| 事業者のシステム | ・利用者のスマホからの要求で,識別情報及びスマホから送信された顔情報を顔認証サーバに送信する。 ・顔認証端末から認証結果を受信し,認証された識別情報から利用者を特定して,様々なサービスを提供する。 |
〔本システムへの顔認証基盤の適用性検討〕
G氏は,ホテルの利用者が本システムを利用して,予約からホテル内施設及び提携サービスが利用できるようになるまでのシナリオを想定し,処理を明確にすることで,本システムへの顔認証基盤の適用性の検討を行った。
- 本システムを利用するホテルの利用者がスマホで顔を撮影すると,アプリは顔情報を顔認証サーバに送信する。さらに,ホテルの利用者が会員管理システム及び提携する事業者のシステムにスマホからサインインして顔を撮影すると,顔認証サーバで顔情報と識別情報との関連付けが行われる。
- ホテルの利用者は会員管理システムにサインインして宿泊予約を行う。
- 宿泊日当日に,ホテルの利用者がホテルのチェックインカウンターに設置された顔認証端末で顔を撮影すると,顔認証サーバが顔認証を行い,認証結果として識別情報を顔認証端末に送信する。
- 顔認証端末は受信した識別情報をaすることで,チェックインを完了する。
- 以降,ホテルの利用者がホテル内施設を利用する際,同様に顔認証端末で顔を撮影すると,bであるかどうかを判定し,ホテル内施設でのサービスの可否を決定する。
- 提携サービスでは,ホテルの利用者が顔認証端末で顔を撮影すると,本システムは提携サービスの利用者として顔認証を行い,識別情報を用いてホテルの利用者にサービスを提供する。
検討の結果,顔認証端末,会員管理システム及びアプリからの顔情報の送信頻度が非常に高く,顔認証サーバでの認証に影響することが想定された。これに対して,顔認証サーバをクラウドサービス上でスケールアウトしただけでは,非機能要件で規定した性能要件を達成できないことが判明した。そこで,G氏は顔認証端末だけでローカルな認証を行うエッジ認証機能が必要であると考え,実装することにした。具体的には,チェックインを予定しているホテルの利用者の認証に必要な情報を,会員管理システムからの要求によって,毎日,顔認証サーバから顔認証端末にダウンロードし,顔認証端末だけでローカルな認証を行うなどの機能である。
設問と解答・解説
設問1
〔本システムへの顔認証基盤の適用性検討〕について答えよ。
(1)
本文中の 空欄 a に入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
会員管理システムに送信
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 情報の送信先が「会員管理システム」であることが明確に記述されている。
- 0点: 送信先の記述がない、または誤っている。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 情報などを「送信」するというアクションが適切に示されている。
- 0点: 送信に関するアクションの記述がない、または誤っている。
解説
ホテル事業者向けの顔認証システムにおいて、顔認証基盤とアプリケーションを分離し、汎用性・拡張性のあるシステムを構築するための要件分析に関する問題です。
顔認証の処理を行った後、その認証結果に基づいてシステムがどのように連携するかを問われています。本システムにおいて、認証された利用者の情報は会員管理システムに対して送信される必要があります。
高得点のポイント
- 送信先が 会員管理システム であることを明確にする。
- アクションとして情報等を 送信 することが適切に記述されている。
(2)
本文中の 空欄 b に入れる,会員管理システムが行う確認内容を20字以内で答えよ。
模範解答
チェックイン完了後のホテルの利用者
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 対象が「チェックイン完了後」の状態であることが明確に記述されている。
- 2点: チェックインに関する言及はあるが、状態(完了後など)が不明確である。
- 0点: 状態に関する記述がない、または誤っている。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 対象者が「ホテルの利用者」であることが適切に記述されている。
- 0点: 対象者に関する記述がない、または誤っている。
解説
顔認証システムを実際のホテルの業務フロー(チェックイン手続き等)にどう適用するかを問う問題です。顔認証基盤は汎用的に利用されますが、ホテル事業者の個別システムとしては、どの状態の利用者を認証の対象とするかを管理する必要があります。
この空欄では、すでに本人確認と手続きを終えた、チェックイン完了後 の ホテルの利用者 であることが確認内容として求められます。
高得点のポイント
- 対象利用者の状態が チェックイン完了後 であることを明記する。
- 対象が ホテルの利用者 であることを適切に表現している。
設問2
顔認証基盤について答えよ。
(1)
利用者が顔情報を登録する際,アプリが行う本人確認の内容を30字以内で答えよ。
模範解答
公的証明書の顔写真と撮影した顔画像とで顔認証を行う。
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 「公的証明書の顔写真」と「撮影した顔画像」という2つの情報が明記されている。
- 1点: いずれか一方の情報の記述にとどまっている。
- 0点: 比較対象となる情報が記述されていない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 対象の情報を用いて「顔認証(照合)」を行うことが適切に表現されている。
- 0点: 顔認証や照合を行う旨の記述がない。
解説
利用者が自身の顔情報を安全かつ正確にシステムに登録するプロセスに関する問題です。生体情報の取得デバイスや認証技術の進化により、アプリ上で厳格な本人確認が可能になっています。
ここでは、利用者が提示する 公的証明書の顔写真 と、その場で 撮影した顔画像 を照合し、顔認証を行う ことが求められます。
高得点のポイント
- 比較対象として 公的証明書の顔写真 と 撮影した顔画像 の2つが明記されている。
- これらを用いて 顔認証(または照合)を行う ことが記述されている。
(2)
事業者のシステムから顔情報と識別情報を受信したときに,顔認証サーバが行う処理内容を40字以内で答えよ。
模範解答
受信した顔情報で認証を実施し,一致した顔情報に識別情報を関連付ける。
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 受信した顔情報で「顔認証を実施」することが明記されている。
- 0点: 顔認証を実施する旨の記述がない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 認証に成功した(一致した)顔情報に対して「識別情報を関連付ける」ことが適切に表現されている。
- 0点: 関連付けに関する記述がない、または誤っている。
解説
顔認証サーバが事業者システムとどのように連携するか、具体的な処理手順を問う問題です。顔情報と識別情報の関連付けの方法や運用方法を理解することが重要です。
顔認証サーバは、受信した顔情報をもとに 認証を実施 し、その認証において 一致した顔情報に識別情報を関連付ける という手続きを行います。正答率が低かった設問であり、顔認証基盤が多様な事業者に対して汎用的に適用できる仕組み(識別情報の紐付け)を正確に理解する必要があります。
高得点のポイント
- 受信した顔情報で 認証を実施 する旨を含んでいる。
- 認証で 一致した顔情報に識別情報を関連付ける ことが示されている。
(3)
顔認証端末が利用者の顔認証を行う際,顔情報に加え,事業者の情報を顔認証サーバに送信する目的を20字以内で答えよ。
模範解答
当該事業者の識別情報を特定するため
採点基準(配点 5点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 「識別情報を特定する」という目的が明確に記述されている。
- 0点: 識別情報の特定に関する記述がない。
論理性(構造)(2点)
- 2点: 特定対象が「当該事業者の」識別情報であることが明記されている。
- 0点: 特定する対象のスコープ(当該事業者)が不明確である。
解説
事業者の情報を顔認証サーバに送信する目的を問う問題です。出題者のコメントにもあるように、正答率が低い問題でした。
複数の事業者が相乗りする顔認証基盤においては、顔情報単体では対象を正確に管理できません。顔情報に加えて事業者の情報を送信することで、当該事業者の識別情報 を確実に 特定する ことが目的となります。具体的な目的を漏らさず記述することが求められます。
高得点のポイント
- スコープとして 当該事業者の 識別情報であることが明確にされている。
- その識別情報を 特定するため という具体的な目的が記述されている。
設問2(2),(3)は,顔情報と識別情報の関連付けの方法,及び識別情報の使われ方について出題したが,正答率が低かった。特に(3)は,具体的な目的が記述できていない解答が散見された。識別情報の構築方法や運用方法を通して,顔認証基盤が様々な事業者への適用を可能にしていることを理解してほしい。
設問3
エッジ認証機能について答えよ。
(1)
エッジ認証を行うために,顔認証サーバから顔認証端末に最低限ダウンロードすべき情報を二つ答えよ。
模範解答
顔情報,識別情報
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: ダウンロードすべき情報の一つとして「顔情報」が適切に挙げられている。
- 0点: 「顔情報」の記述がない、または誤っている。
説得力(考察)(3点)
- 3点: もう一つの情報として「識別情報」が適切に挙げられている。
- 0点: 「識別情報」の記述がない、または誤っている。
解説
エッジコンピューティング環境で顔認証を行う際、デバイスに事前配布すべき必要最小限の情報を問う問題です。
ネットワーク通信の遅延を抑え、エッジ側でリアルタイムに認証を完結させるためには、照合の元となる 顔情報 と、認証結果として必要になる 識別情報 の2つを顔認証端末にダウンロードしておく必要があります。
高得点のポイント
- ダウンロードすべき情報として 顔情報 が挙げられている。
- もう一つの必要な情報として 識別情報 が挙げられている。
(2)
エッジ認証機能を有効に機能させるために,エッジ認証はどのような場合に使用すべきか。本システムにおける具体例を挙げて40字以内で答えよ。
模範解答
チェックインを予定しているホテルの利用者など,認証対象を絞り込める場合
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: エッジ認証を使用する条件として「認証対象を絞り込める場合」であることが説明されている。
- 2点: 絞り込みに関する言及はあるが、適用条件としての表現が曖昧である。
- 0点: 認証対象の絞り込みに関する記述がない。
説得力(考察)(3点)
- 3点: 「チェックインを予定しているホテルの利用者」などの本システムにおける具体例が適切に挙げられている。
- 0点: 具体例がない、または不適切である。
解説
エッジ認証の適用条件とその具体例を問う問題です。一般にエッジコンピューティング用デバイスは、ハードウェアの制約から限られた情報しか内部に保持できません。
そのため、エッジ認証は 認証対象を絞り込める場合 に使用する必要があります。本システムにおける具体例として、チェックインを予定しているホテルの利用者 などを提示し、どのような場合に使用すべきかを明確に記述することが求められます。
高得点のポイント
- エッジ認証の適用条件が 認証対象を絞り込める場合 であることを説明している。
- 本システムに即した具体例(例:チェックインを予定しているホテルの利用者 など)が適切に挙げられている。
(3)
エッジ認証を行う顔認証端末は,遠隔からの指示で保持している情報を消去できるようにした。その理由を30字以内で答えよ。
模範解答
紛失などの場合に,利用者の個人情報を消去するため
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 情報を消去する目的が「利用者の個人情報を消去するため」であることが示されている。
- 2点: 情報の消去には触れているが、個人情報等の保護観点が弱い。
- 0点: 情報の消去に関する記述がない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 遠隔消去が必要となる状況として「紛失などの場合」という条件が記述されている。
- 0点: インシデント等が発生した条件の記述がない。
解説
エッジデバイスが保持する情報のセキュリティ管理に関する問題です。
顔認証端末はエッジ側で処理を完結させるために顔情報などの機密データを保持しています。物理的なデバイスであるため、紛失や盗難 などのインシデントに備える必要があります。そのような場合に、遠隔からの指示で 利用者の個人情報を消去するため の機能が必須となります。
高得点のポイント
- 情報を消去する目的が 利用者の個人情報を消去・保護するため であることが示されている。
- 遠隔消去が必要となる状況として 紛失(や盗難など)の場合 という条件が記述されている。
設問3(2)は正答率が低かった。具体例のない解答や,具体例だけで,どのような場合に使用すべきかが不明な解答が散見された。エッジコンピューティングは,リアルタイム性の確保や負荷分散の目的で導入されるが,一般にエッジコンピューティング用のデバイスは,ハードウェア制約から限られた情報しか内部に保持できない場合が多い。本システムでは,チェックインを予定している利用者やチェックインを完了した利用者など,認証対象を絞り込むことで,顔認証端末内部に保持する情報を限定し,エッジ認証を適用可能としていることを理解してほしい。