令和5年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後II 問2 目標未達成プロジェクトの根本原因究明と再発防止(論文)
この問題は2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
重要な目標の一部を達成できずに終結した経験を、組織のプロジェクトマネジメント能力向上へつなげる力を問う午後IIの論述問題です。解答例は公表されないため、設問ア〜ウの要求と講評から論述の設計図を組み立てます。鍵は、目標未達成の直接原因と根本原因を切り分け、当事者ヒアリングや技術調査だけに頼らず、客観的な第三者の参加や因果関係の段階的分析で根本原因に迫ること。さらに、その原因に対応した再発防止策を単発の研修で終わらせず、組織に定着させる工夫まで書き切ることが説得力の分かれ目です。
この記事で押さえる論点
- プロジェクトの独自性と未達成目標、ステークホルダへの影響を具体的に描写する
- 直接原因と根本原因を区別し、客観的な究明の方法・体制を論述する
- 根本原因に対応した再発防止策と、組織へ定着させる工夫を具体化する
- 当事者ヒアリングや技術調査に終始せず第三者活用・段階的分析を示す
出題情報
- 出題
- 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午後II 問2
- 配点
- 100点満点
- 模範解答
- 未公表(採点基準と解説から解答の方向性を読み取る)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
昨今の不確実性が高まるプロジェクト環境において,組織のプロジェクトマネジメント能力を高めるためには,重要な目標の一部を達成できずにプロジェクトを終結した(以下,目標未達成という)場合,その経験を学びの機会と捉えて組織のプロジェクトマネジメント能力の向上につなげる必要がある。本問は,目標未達成のプロジェクトチームとして,目標未達成の根本原因を究明する方法や体制,究明する過程で生かした第三者や組織内外の事例や知見,及び再発防止策を組織へ定着させる工夫について,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,プロジェクトマネジメント業務を担う者として有すべきプロジェクトの終結での適切なプロジェクト全体の総括に関する知識,経験,実践能力を評価する。
問2では,直接原因については,経験に基づき具体的に論述できているものが多かった。一方,根本原因の究明に至る行動において,客観的な立場で参加する第三者による原因の究明がなく,当事者にヒアリングするだけであったり,因果関係の整理や段階的な分析などの方法がなく,技術的な調査に終始するだけであったりするなど,根本原因の究明や再発防止策立案の知識や経験が乏しいと思われる論述も見受けられた。プロジェクトマネジメント業務を担う者として,目標を達成できずにプロジェクトを終結した経験を,自らの知識やスキルの向上とともに,組織のマネジメント能力の向上にもつなげてほしい。
問題本文
組織のプロジェクトマネジメント能力の向上につながるプロジェクト終結時の評価について
プロジェクトチームには,プロジェクト目標を達成することが求められる。しかし,過去の経験や実績に基づく方法やプロセスに従ってマネジメントを実施しても,重要な目標の一部を達成できずにプロジェクトを終結すること(以下,目標未達成という)がある。このようなプロジェクトの終結時の評価の際には,今後のプロジェクトの教訓として役立てるために,プロジェクトチームとして目標未達成の原因を究明して再発防止策を立案する。
目標未達成の原因を究明する場合,目標未達成を直接的に引き起こした原因(以下,直接原因という)の特定にとどまらず,プロジェクトの独自性を踏まえた因果関係の整理や段階的な分析などの方法によって根本原因を究明する必要がある。その際,プロジェクトチームのメンバーだけでなく,ステークホルダからも十分な情報を得る。さらに客観的な立場で根本原因の究明に参加する第三者を加えたり,組織内外の事例を参照したりして,それらの知見を活用することも有効である。
究明した根本原因を基にプロジェクトマネジメントの観点で再発防止策を立案する。再発防止策は,マネジメントプロセスを煩雑にしたりマネジメントの負荷を大幅に増加させたりしないような工夫をして,教訓として組織への定着を図り,組織のプロジェクトマネジメント能力の向上につなげることが重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。
設問と解答・解説
設問ア
あなたが携わったシステム開発プロジェクトの独自性,未達成となった目標と目標未達成となった経緯,及び目標未達成がステークホルダに与えた影響について,800字以内で述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 34点)
知識・理解度(内容)(20点)
- 20点: プロジェクトの独自性、未達成目標、経緯、ステークホルダへの影響が、実体験に基づき極めて具体的に記述されている。
- 15点: プロジェクトの独自性、未達成目標、経緯、影響が具体的に記述されている。
- 10点: 要求された要素の一部が欠けているか、具体性にやや欠ける記述となっている。
- 5点: 各要素の記述が抽象的であり、プロジェクトの状況が不明確である。
- 0点: 要求された要素がほとんど記述されていない、またはプロジェクトマネジメントと無関係である。
論理性(構造)(14点)
- 14点: 経緯と目標未達成の因果関係が論理的に整理されており、ステークホルダへの影響との繋がりも明確である。
- 10点: 因果関係や事象の繋がりが概ね論理的に記述されている。
- 7点: 論理展開にやや飛躍が見られる箇所がある。
- 3点: 因果関係が不明確であり、文脈の繋がりが不自然である。
- 0点: 論理的な構成が全くなされていない。
解説
設問の意図
昨今の不確実性が高まるプロジェクト環境において、組織のプロジェクトマネジメント能力を高めるためには、目標未達成の経験を学びの機会と捉え、組織の能力向上につなげることが求められます。本問では、携わったプロジェクトの独自性、未達成となった目標とその経緯、ステークホルダへの影響について、具体的な状況説明が求められています。
高得点のポイント
- プロジェクトの独自性を明確に記述すること。
- 未達成となった目標と、それに至った経緯を論理的に説明すること。
- 目標未達成がステークホルダに与えた影響を漏れなく具体的に記述すること。
設問イ
設問アで述べた目標未達成の直接原因の内容,根本原因を究明するために行ったこと,及び根本原因の内容について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 33点)
知識・理解度(内容)(18点)
- 18点: 直接原因と根本原因が明確に区別され、客観的な第三者の参加や因果関係の整理・段階的分析など、根本原因究明に向けた行動が実体験に基づき詳細に記述されている。
- 14点: 原因究明のために行った行動や各原因の内容が具体的に記述されているが、客観性や分析手法の記述がやや浅い。
- 9点: 当事者のヒアリングや技術的な調査のみに留まるなど、根本原因究明のためのアプローチに関する知識や経験がやや不足している。
- 5点: 直接原因のみが記述されているか、究明手順が抽象的で不十分である。
- 0点: 要求された要素が記載されていない。
説得力(考察)(15点)
- 15点: 究明プロセスが論理的かつ説得力があり、プロジェクト全体の総括として妥当な根本原因が導き出されている。
- 11点: 究明プロセスと導き出された根本原因の結びつきに一定の説得力がある。
- 8点: 究明プロセスから根本原因に至る考察にやや飛躍が見られる。
- 4点: 直接原因から根本原因への深掘りが浅く、考察としての説得力に欠ける。
- 0点: 考察が全く見られない。
解説
設問の意図
目標未達成の経験を総括し、再発防止につなげるためには、表面的な原因だけでなく根本原因の究明が不可欠です。本問では、直接原因と根本原因の区別、および根本原因を究明するための客観的・論理的なアプローチ(第三者の活用など)に関する知識と実践能力が評価されます。
高得点のポイント
- 目標未達成の直接原因と根本原因を明確に区別して記述すること。
- 当事者へのヒアリングや技術的調査に終始せず、客観的な立場で参加する第三者による原因究明や、因果関係の整理・段階的な分析など、根本原因究明のために行った行動を具体的に含めること。
- プロジェクトマネージャとしての経験に基づく、説得力のある原因分析プロセスを示すこと。
設問ウ
設問イで述べた根本原因を基にプロジェクトマネジメントの観点で立案した再発防止策,及び再発防止策を組織に定着させるための工夫について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 33点)
知識・理解度(内容)(18点)
- 18点: 根本原因に対応したPM観点での再発防止策が明確であり、それを組織全体へ定着させる工夫が実効性のある形で具体的に記述されている。
- 14点: 再発防止策と組織定着の工夫が具体的に記述されているが、PM観点や実効性の面でやや物足りない部分がある。
- 9点: 再発防止策が抽象的であるか、組織定着のための工夫が一般的な内容(単なる研修の実施など)に留まっている。
- 5点: PMとしての観点が欠如しているか、組織定着に向けた工夫について言及されていない。
- 0点: 要求された要素が記載されていない。
説得力(考察)(15点)
- 15点: 再発防止策が根本原因と論理的に結びついており、組織のプロジェクトマネジメント能力向上につながる説得力のある考察がなされている。
- 11点: 再発防止策と根本原因の結びつきや、組織への効果について一定の説得力がある。
- 8点: 根本原因と再発防止策の関連性がやや弱く、説得力に欠ける部分がある。
- 4点: 場当たり的な対応に終始しており、根本的な解決策や組織定着としての説得力がない。
- 0点: 考察が全く見られない。
解説
設問の意図
目標未達成のプロジェクトから得た教訓を、個人の反省に留めず組織全体の資産とすることが重要です。本問では、究明した根本原因に基づく再発防止策と、それを組織に定着させるための実効性ある仕組み・工夫についての論述が求められています。
高得点のポイント
- 設問イで特定した根本原因に対し、プロジェクトマネジメントの観点から有効な再発防止策を立案すること。
- 個人や当該プロジェクトの枠を超え、組織のプロジェクトマネジメント能力向上につながるよう、再発防止策を組織に定着させるための工夫を具体的に論述すること。