令和5年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午後I問題 問2 未知マルウェア対策製品の導入とログ管理の見直し

テクノロジセキュリティ管理セキュリティ技術

この問題は2023(R5)春 ITサービスマネージャ 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

学習ガイド

生命保険会社が挙動監視型マルウェア対策とログ管理を導入する事例です。時刻同期、ログ保全、管理サーバの配置を、証跡の完全性という観点から整理します。業務ツールの過検知に対する事後対応と、承認前に安全性を確認する予防手順の違いも解説します。本文・表・図の根拠を行き来し、用語だけを暗記するのではなく、短い記述にも判断の理由を残して解答する手順を示します。

この記事で押さえる論点

  • 挙動監視型の未知マルウェア対策と検知対象外登録の仕組みを説明できる
  • NTPによる時刻同期と内部セグメント配置がログ分析に果たす役割を整理する
  • 業務ツールの過検知に対して事前テストと保守サービスを組み合わせた手順を記述する
  • 保守サービスの時間帯と運用ルールの矛盾から契約見直しの理由を導く

問題本文

問2 情報セキュリティの管理に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

J社は,首都圏で生命保険の各種保険商品を販売する中堅企業である。J社の営業日は,月曜日から金曜日までの平日である。J社の情報システム部は,営業支援のための営業システムを運用しており,運用時間は,営業日の9時から19時までである。J社営業部の営業員は,営業部のPCを使って,営業管理サーバで稼働する営業システムを利用する。J社のシステム構成を図1に示す。

図1 J社のシステム構成
図の説明テキスト

図1 J社のシステム構成
J社のネットワーク構成図。

  • 「インターネット」を中心に各ネットワークやサービスが接続されている。
  • 「J社営業部」: 複数の「PC」が「LAN3」に接続されており、「LAN3」は「L3SW」を介して「IP-VPN」に接続されている。
  • 「IP-VPN」: J社営業部とJ社情報システム部を接続する。
  • 「J社情報システム部」: 「L3SW」がIP-VPNと接続し、内部ネットワークと繋がっている。また、「FW」を介してインターネットと接続されている。内部ネットワークには「LAN1」と「LAN2」がある。
    • 「LAN1」: 「プロキシサーバ」と「メールサーバ」が接続されている。
    • 「LAN2」: 「営業管理サーバ」と「ウイルス対策サーバ」が接続されている。
  • 「クラウド事業者」: インターネット経由で接続されており、「業務データ」を保持する「ストレージサービス」を提供している。
    図の下部に以下の注記がある。
  • LAN1: インターネットに接続するサーバを設置するセグメント
  • LAN2: LAN1及びLAN3だけからアクセス可能なセグメント
  • LAN3: 営業部のPCを設置するセグメント
  • FW: ファイアウォール
  • L3SW: レイヤー3スイッチ

営業員は,電子メールを利用し,メールサーバを経由して社外のJ社の顧客と連絡を行っている。また,営業員は,クラウド事業者が提供するストレージサービスを利用し,営業活動に必要な業務データを保存している。ストレージサービスでは,利用者の要求に応じて容量を動的に拡張できる。なお,クラウド事業者とのインターネットを介した通信は,セキュリティ上の安全性が確保されている。

〔業務の生産性を向上させる活動〕

営業部では,本年からPCで稼働する業務効率化ツール(以下,業務ツールという)を使って,営業員の業務の生産性を向上させる活動を推進しており,業務効率向上推進委員として,M氏を任命している。なお,業務ツールは,営業員が自ら作成する。

M氏は,営業員に対して業務ツール作成方法の指導や好事例の紹介を行うとともに,業務ツール利用についての作業管理を行っている。作業管理の手順を図2に示す。

図2 作業管理の手順
図の説明テキスト

四角い枠の中に1から5までの作業手順が箇条書きで記載されており、下部に「図2 作業管理の手順」というキャプションがあります。
① 営業員は,業務ツールを作成する場合,M氏に事前に作成申請を行う。
② M氏は,業務効率向上の可能性などを判断し,業務ツールの作成申請を承認する。
③ 営業員は,承認を得てから業務ツールを作成し,完成後にM氏に利用申請を行う。
④ M氏は,完成した業務ツールの利用申請を承認する。
⑤ 営業員は,業務ツールの実行ファイルを営業部内のPCにインストールして使用する。

〔情報セキュリティ対策の現状〕

情報システム部では,情報セキュリティ対策として,ウイルス対策サーバを設置し,PC及び各サーバ(以下,これらをJ社機器という)で,パターンマッチング方式によるウイルスチェックを行っている。また,情報セキュリティ管理の運用ルールでは,情報セキュリティインシデントが発生した場合は,インシデント対応手順に従って即時に対応し,解決に時間が必要なインシデントが発生したときでも,当日中にはインシデントの解決方法を決定することなどを定めている。

情報セキュリティインシデントが発生した場合は,J社機器のログを分析し,原因を調査している。毎月1回,営業日以外の日に行うシステム保守作業で,システム保守員が,各サーバのシステム時刻を正しい時刻に設定し直しているが,複数の機器のログを突き合わせたときに,それぞれのシステム時刻が正確ではなく,時間軸での発生事象の流れを正確に把握できないことがある。また,J社機器の各種ログは,それぞれのJ社機器の内蔵ストレージに記録しており,最新3か月分を保存できるようにしている。

〔情報セキュリティ対策強化の取組〕

昨今,他社において,マルウェア感染によって業務システムが長時間停止し,大きな事業影響を受ける事例が発生している。そこで情報システム部では,情報セキュリティ対策強化の取組を行うこととなり,情報システム部のITサービスマネージャK氏が,J社の情報セキュリティ対策を点検した。この結果,“未知マルウェアへの対応”及び“ログ管理方法の見直し”が必要であり,対策を検討することとした。

〔未知マルウェアへの対応〕

J社で実施しているパターンマッチング方式のウイルスチェックは,検査対象のファイルを,既知の脅威情報を基にしたパターン情報と比較し,一致したものをウイルスとして検知するだけである。そこで,未知の脅威に対応できるように,パターンマッチング方式以外の手法を用いた未知マルウェア対策システムを導入することとした。

K氏は,各社の製品を調査し,L社の製品(以下,Lソフトという)を選定した。これに伴い,J社機器にLソフトを導入し,管理用の未知マルウェア対策サーバ(以下,Lサーバという)を,J社情報システム部に設置する。Lソフトの主な機能は次のとおりである。

  • 実行ファイルの挙動を監視できる検査エンジンを有するLソフトが,機器内のファイルを監視し,不正プログラムを検知する。監視する挙動としては,ファイルオープン及び削除の大量な繰り返しなどである。
  • Lソフトが不正プログラムを検知した場合,当該J社機器及びLサーバの画面に検知メッセージを表示し,不正プログラムを検体として採取する。
  • 検知対象外とする実行ファイルの指定ができる。Lサーバに検知対象外とする実行ファイルを登録すると,登録された実行ファイルのハッシュ値が,Lソフトを導入しているJ社機器に自動的に配付される。J社機器で,Lソフトの検査エンジンが実行ファイルの異常な挙動を検知した場合は,当該実行ファイルのハッシュ値を求め,事前に配付されたハッシュ値と比較して検知対象外とするか否かを判定し,一致した場合は検知対象外とする。

また,L社は,Lソフトに関連して,二つの保守サービスを提供している。L社の保守サービスの概要は,表1のとおりである。

表1 L社の保守サービスの概要
図の説明テキスト

表1 L社の保守サービスの概要

保守サービスの名称 サービス時間 サービス内容
標準サポート L社の営業日の 9 時 〜 20 時 ・L ソフトの仕様の問合せ及び不具合発生時の解析対応を行う。
・L ソフトが採取した不正プログラムの検体を解析し,マルウェアなのか,又は安全なファイルなのかの判定を行う。
プレミアムサポート 24 時間 365 日 標準サポート保守サービスの内容に加えて次のサービス内容を提供する。
・L ソフト導入会社に対して,セキュリティ診断及びコンサルティングを行う。
注記 L社は,検体の解析依頼を受付後,2時間以内に解析結果を回答する。標準サポート保守サービスで,受付時刻が18時以降の場合,解析に時間が掛かるときは,回答が翌営業日になることがある。なお,L社の営業日は,月曜日から金曜日までの平日である。

K氏は,J社の営業システムの運用時間及びL社の保守サービスの費用を考慮して,標準サポート保守サービスをL社と契約した。

〔ログ管理方法の見直し〕

J社で運用しているシステムについて,現在のログ管理は,情報セキュリティ対策面で幾つかの課題があることから,ログ管理方法を見直すこととした。表2に,現状のログ管理の課題及び検討した対策内容を示す。

表2 現状のログ管理の課題及び検討した対策内容
図の説明テキスト

表2 現状のログ管理の課題及び検討した対策内容

区分 課題 対策内容
記録 複数の J 社機器のログを突き合わせたときに、それぞれのシステム時刻が正確ではなく、ログの分析に支障があるので、常に正確な時刻でのログ記録が必要である。 NTP サーバを導入することによって、各 J 社機器が常に正確な時刻でログを記録する。複数のログを突き合わせたときに、a できるようにする。
収集 取得した各種ログが J 社機器に分散しており、ログの調査・分析時に効率が悪いので、効率的に活用できるようにする必要がある。 ログ管理システムを新たに構築し、各 J 社機器が取得したログをログ管理システムのサーバに収集し、一元的に管理して効率向上を図る。
管理 災害やサイバー攻撃などによって、J 社内で管理しているログの消失などの被害が発生するリスクがあるので、可用性の確保が必要である。 新たに導入するログ管理システムで一元管理する各種ログについて、b し、被害発生時に速やかに復旧できるようにする。

K氏は,“未知マルウェアへの対応”及び“ログ管理方法の見直し”の検討結果について,情報システム部のN部長に報告し,承認を得た。その後,対策を実施し,運用を開始することとした。

〔インシデントの発生とその対応〕

J社機器にLソフトを導入し,運用を開始後,ある日の18時30分頃に,営業部にある複数の営業員のPCで,不正プログラムが検知された。そこで,インシデント対応手順に従って,営業部の全PCのLANケーブルを緊急抜線し,PC利用を中止した。連絡を受けたK氏は,PC操作状況を営業員にヒアリングした結果,“ある業務ツールの利用を開始してすぐに,不正プログラムの検知メッセージが表示された”とのことであった。K氏は,採取されていた検体をL社に送付し,営業部でのPC操作状況を伝えて解析依頼を行った。

19時50分に,L社から“検体は,安全な実行ファイルであると確認できた。検体の挙動をLソフトが過検知して検知メッセージを表示した”との解析結果の回答があった。なお,検体は,営業システム内にある大量の保険契約ファイルのオープンを順次繰り返して自動処理する業務ツールであった。そこで,K氏は,翌営業日から,PCを利用して業務を再開できると判断した。

K氏は,情報セキュリティインシデントの対応状況を整理し,業務再開に向けた承認を得るため,情報システム部のN部長に報告した。N部長から,“当該業務ツールが再び過検知されないように,対策を講じた上で業務を再開すること”との指示があった。そこで,K氏は,過検知対策を講じ,業務を再開した。また,今後,今回と同様なインシデントの発生を防ぐために,日常的に実施する対策として,図2の作業管理の手順を見直し,図2の④の業務ツール利用申請の承認前に,情報システム部が実施する手順を新たに追加して当該業務ツールが安全なファイルであることを確認することにした

〔発生したインシデントの振り返り〕

K氏は,今回発生した情報セキュリティインシデントを振り返り,一連の対応について,N部長に報告した。N部長から,“一連の対応の妥当性は確認できたが,L社との保守サービスの契約が現在のままだと,情報セキュリティ管理の運用ルールを守れない場合があるので,L社との保守契約を見直すこと”との指摘があった。そこで,K氏は,プレミアムサポート保守サービスに契約を変更することにした。

設問と解答・解説

設問1

〔ログ管理方法の見直し〕について答えよ。

(1)

表2中の a に入れる適切な字句を,25字以内で具体的に答えよ。

模範解答

時間軸での発生事象の流れを正確に把握

時系列でインシデント状況を正確に把握

採点基準(配点 7点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 「時間軸での発生事象の流れを正確に把握する」といった時系列でのインシデント状況把握の目的が明確に記述されている。
  • 3: インシデント状況把握の目的は記述されているが、「時間軸」や「時系列」といった時間的要素が不足している。
  • 2: 「ログを正確に把握する」など目的が抽象的で不十分である。
  • 1: キーワードは含まれるが、文意が不明瞭である。
  • 0: 記述がない、または全く的外れな内容。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 不足や冗長なく簡潔かつ論理的な文章で表現されている。
  • 2: 論理構成は概ね適切だが、やや冗長な表現や説明不足が見られる。
  • 1: 文章のつながりが不自然であり、意図が読み取りにくい。
  • 0: 記述がない、または全く論理的でない。

解説

NTPを用いた時刻同期の目的について問う問題です。

解説

複数のサーバやネットワーク機器において、ログの時刻がずれていると、インシデント発生時に 時間軸での発生事象の流れ を正確に追跡することが困難になります。
そのため、すべての機器で NTP 等を用いて時刻同期を行い、時系列でインシデント状況 を正確に把握できるようにすることが重要です。

高得点のポイント

  • 時刻のずれを防ぐ目的が「インシデントの状況把握」や「事象の流れの把握」であることを明記している。
  • 「時系列で」「時間軸で」といった時間的な整合性に関するキーワードが含まれている。

(2)

表2中の下線(ア)について,ログ管理システムのサーバを設置する場所は,図1中のどのセグメントがよいか。

  1. LAN1
  2. LAN2

模範解答

選択肢ア: LAN1

選択肢イ: LAN2

配点 5

解説

LAN1(ア)とLAN2(イ)のどちらも正解です。いずれもFWの内側にある内部セグメントであり、外部から攻撃を受けにくいため、一元管理するログを改ざんから守れます。LAN1はインターネットと通信するサーバ用、LAN2はLAN1とLAN3からだけアクセスできるセグメントという違いはありますが、どちらも要件を満たします。

(3)

また,情報セキュリティ管理の観点から,そのセグメントとする理由について,40字以内で答えよ。

模範解答

内部セグメントは,外部から攻撃を受けにくく,ログの改ざんから守れるから

採点基準(配点 7点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 内部セグメントは「外部から攻撃を受けにくい」ことと、「ログの改ざんから守れる」ことの両方が記述されている。
  • 3: 「外部から攻撃を受けにくい」または「ログの改ざんから守れる」のいずれか一方のみが明確に記述されている。
  • 2: セキュリティ上の利点に触れているが、内容が抽象的である。
  • 1: 断片的なキーワードのみで、十分な説明になっていない。
  • 0: 記述がない、または全く的外れな内容。

説得力(考察)(3点)

  • 3: 情報セキュリティ管理の観点から、設置場所の特性と脅威からの保護が論理的かつ説得力を持って結びつけられている。
  • 2: 理由は述べられているが、設置場所の特性と脅威の結びつきがやや弱い。
  • 1: 理由として成立しておらず、説得力に欠ける。
  • 0: 記述がない、または無関係な内容。

解説

ログ管理サーバを内部セグメントに設置する理由を問う問題です。

解説

ログは、インシデント発生時の原因究明や証跡として非常に重要です。
攻撃者がシステムに侵入した際、自身の痕跡を消すために ログの改ざん や削除を試みることがあります。
そのため、ログ管理サーバは 外部から攻撃を受けにくい内部セグメント に設置し、安全に保護する必要があります。

高得点のポイント

  • 「外部からの攻撃を受けにくい」という設置場所の特性に触れている。
  • 「ログの改ざん(または削除・消失)を防ぐ」というセキュリティ上の目的が明記されている。

(4)

表2中の b に入れる具体的な対策内容を,図1中の字句を使って30字以内で答えよ。

模範解答

ストレージサービスを使って,バックアップを保存

採点基準(配点 7点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 「ストレージサービス」を利用して「バックアップ」を保存するという対策内容が明確に記述されている。
  • 3: バックアップの保存については記述されているが、「ストレージサービス」という指定語句が使用されていない、またはその逆。
  • 2: データの退避や保存に触れているが、具体的な手段が不足している。
  • 1: 断片的なキーワードのみで対策として不十分。
  • 0: 記述がない、または全く的外れな内容。

論理性(構造)(3点)

  • 3: 指定された字句を用いて簡潔かつ適切な対策として記述されている。
  • 2: 指定字句は用いられているが、文章構造がやや不自然である。
  • 1: 文脈が通じず、対策の意図が伝わらない。
  • 0: 記述がない、または無関係な内容。

解説

ログの保全性を高めるための具体的な対策内容を答える問題です。

解説

ログ管理システム自体が障害やランサムウェアなどの被害を受けた場合に備え、ログの バックアップ を安全な場所に退避しておく必要があります。
図1中の字句を利用し、外部の ストレージサービス などを活用してバックアップを保存することが、効果的な対策となります。

高得点のポイント

  • 図中の字句である「ストレージサービス」を正確に使用している。
  • 「バックアップ」を保存・取得するという対策の目的が明確に記述されている。

設問1(2)の解答で,セグメントを選択する理由は,正答率がやや低かった。情報セキュリティ管理の観点から,セキュリティへの脅威やリスクといった内容を解答してほしい。

設問2

(1)

本文中の下線(イ)について,業務再開後に当該業務ツールが再び過検知されないために必要な対策の内容を30字以内で答えよ。

模範解答

当該業務ツールの実行ファイルをLサーバに登録する。

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 「当該業務ツールの実行ファイル」を対象として、「Lサーバに登録する」という対策が明確に記述されている。
  • 3: 対象または対策のいずれかの記述がやや曖昧である(例:「業務ツールを登録する」のみなど)。
  • 2: ホワイトリスト化などの対策に触れているが、具体性(Lサーバへの登録など)が不足している。
  • 1: 関連するキーワードはあるが、具体的な対策内容になっていない。
  • 0: 記述がない、または的外れな内容。

論理性(構造)(4点)

  • 4: 過検知を防ぐための一連の処理が論理的かつ簡潔にまとめられている。
  • 3: 論理構成は概ね適切だが、一部冗長または不足している部分がある。
  • 2: 対策の意図は読み取れるが、文章のつながりが不自然である。
  • 1: 文脈が不明瞭であり、意図が伝わらない。
  • 0: 記述がない、または無関係な内容。

解説

マルウェア対策ソフトによる業務ツールの過検知(誤検知)を防ぐための運用上の対策を答える問題です。

解説

正当な業務ツールが未知のマルウェアとして誤検知されてしまった場合、業務再開後に再び検知されて利用できなくなる事態を防ぐ必要があります。
そのため、安全性が確認された 業務ツールの実行ファイル については、マルウェア対策製品の管理サーバ(Lサーバ)において、検知対象外(ホワイトリスト)として登録する運用上の処理が必要です。

高得点のポイント

  • 対策の対象が「当該業務ツールの実行ファイル」であることが明記されている。
  • 実施すべき具体的なアクション(Lサーバへの登録、検知対象外設定など)が的確に記述されている。

(2)

本文中の下線(ウ)について,情報システム部が実施する具体的な手順を50字以内で答えよ。

模範解答

完成した業務ツールをLソフトでテストし,検知した場合は安全かどうかの判定をL社に依頼する。

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 「情報システム部がLソフトでテストを実施する」ことと、「検知した場合はL社に安全判定を依頼する」ことの両方が記述されている。
  • 3: テスト実施または判定依頼のいずれか一方が欠けている、もしくは曖昧である。
  • 2: 安全確認を行うことには触れているが、具体的な手段(LソフトやL社)が不足している。
  • 1: 関連するキーワードのみで、具体的な手順として成立していない。
  • 0: 記述がない、または無関係な内容。

説得力(考察)(4点)

  • 4: 事前確認と保守サービスの活用という、情報セキュリティ管理の観点に基づいた妥当な手順が説得力を持って記述されている。
  • 3: 手順の妥当性は概ね示されているが、安全性を担保する理由付けや文脈のつながりがやや弱い。
  • 2: 手順の羅列にとどまり、情報セキュリティ管理としての説得力が不足している。
  • 1: 記述が断片的で手順としての妥当性がない。
  • 0: 記述がない、または的外れな内容。

解説

新たに作成した業務ツールを本番環境へ導入する前に、情報システム部が実施すべき安全確認の手順を答える問題です。

解説

安全かどうかの確認を怠り、無条件で検知対象外にするのは 情報セキュリティ管理 の観点から不適切です。
まずは、完成した業務ツールを Lソフト(マルウェア対策ソフト) 環境下でテスト実行する必要があります。
その上で、もし過検知された場合には、保守サービスを利用して提供元である L社 に解析と安全性の判定を依頼し、安全が確認されてから運用に組み込むという手順が求められます。

高得点のポイント

  • 情報システム部内での「Lソフトを用いた事前テスト」を実施することが書かれている。
  • テストで検知された場合の対応として、「L社に判定(解析)を依頼する」というステップが含まれている。

設問2(2)は,正答率がやや低かった。安全なファイルであることの事前確認なしで業務ツールを検知対象外として登録する誤答が多かった。情報システム部でテストを行い,必要に応じて保守サービスを利用して安全なファイルかどうかを確認する具体的な手順を導き出してほしい。

設問3

〔発生したインシデントの振り返り〕について,本文中の下線(エ)で保守契約を見直す理由を40字以内で答えよ。

模範解答

解析依頼時刻が18時以降の場合,L社の回答が翌営業日になる可能性があるから

採点基準(配点 8点)

知識・理解度(内容)(4点)

  • 4: 「解析依頼時刻が18時以降の場合」などの時間的制約と、「L社の回答が翌営業日になる可能性がある」という影響が明確に記述されている。
  • 3: 時間的制約または翌営業日への影響のいずれかが欠けている、または曖昧である。
  • 2: 運用上の問題があることには触れているが、具体的な制約や影響の記述が不足している。
  • 1: 関連キーワードはあるが、具体的な理由になっていない。
  • 0: 記述がない、または的外れな内容。

説得力(考察)(4点)

  • 4: 標準サポートでは情報セキュリティ管理の運用ルールが守れなくなるリスクが、論理的かつ説得力を持って説明されている。
  • 3: リスクは提示されているが、運用ルールとの関連や論理展開がやや弱い。
  • 2: 事実の列挙にとどまり、見直す理由としての説得力が不足している。
  • 1: 理由として成立しておらず、意図が不明瞭である。
  • 0: 記述がない、または無関係な内容。

解説

標準サポートの保守契約では運用上の課題が生じる理由を答える問題です。

解説

標準サポートのサービス提供時間が限られている場合、18時以降の夜間などにインシデントが発生し、解析を依頼しても、回答が翌営業日 に持ち越されてしまいます。
これにより、組織が定めた「迅速にインシデント対応を行い業務影響を最小限にする」といった 運用ルール を遵守できなくなるおそれがあるため、保守契約の見直しが必要です。

高得点のポイント

  • 時間帯(18時以降、夜間など)によるサポート対応の遅れが指摘されている。
  • 「回答が翌日になる」など、インシデント対応の遅延に直結する具体的な影響が記述されている。

設問3は,正答率がやや低かった。標準サポートの保守サービスでは,解析依頼の時間帯によっては,情報セキュリティ管理の運用ルールが守れない場合があることを具体的に解答してほしい。