IPA IT戦略・ITガバナンス・EA — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

会社全体の業務と情報システムを、部署ごとにばらばらに作らず一つの見取り図のもとでそろえていくための考え方と、その旗振りを誰が担うかを扱う分野です。全社の見取り図を描く手法も、方針を決める側と実行する側の分担も、国が示したDXの指針も、個々のシステムの作り方より一段上の判断にかかわります。

2. 実際の出題のされ方

全社のIT活用の旗振り役や、業務とシステムを全体として見直す手法は、説明文や事例を手がかりに名前を答える形で出題されています。情報システム戦略の責任を負う役職、IT基本計画で明確にする事項の組合せ、ルールを決める活動に当たるものは、ITパスポートで答えさせています。同じ区分では、ITガバナンスに関する記述を選ぶ問題、ITの利用を評価する役割を担う者を空欄に入れる問題、現状と理想像の差から移行計画を立てる手法を選ぶ問題、会計システムのように安定稼働が求められるシステムの概念を選ぶ問題もあります。

EAとSOAの説明、EAの四つの分類体系に含まれるアーキテクチャ、参照モデルのBRMとして提供されるものは、応用情報技術者の午前で選ばせています。国の指針や制度についても、同じ区分でデジタルガバナンス・コード2.0の説明、DX認定制度の認定基準に含まれる事項、DX推進指標でITシステムに求められる要素を選ぶ問題があります。

システムの類型や監査の場面からの問いもあります。SoEの説明やDX推進指標の説明を答える問いはITストラテジストの午前IIで、情報システムを対象にしたデューデリジェンスの説明を選ぶ問題と、システム管理基準(平成30年)がITガバナンスの説明に採用したモデルや経営陣に望ましいとした原則を問う問題はシステム監査技術者の午前IIで取り上げられています。

3. 学習のポイント

EAは組織全体を、SOAは個々のシステムの組み立て方を設計の対象にします。EAは、組織の業務とシステムをいくつかの層に分けた見取り図にまとめ、部分ごとの作り込みで全体が食い違うのを防ぐ枠組みです。SOAは、システムを組み立てる部品の単位をどう決めるかという設計の考え方です。

SoRとSoEの境目は、システムに優先させる性質にあります。SoRは取引などの記録を誤りなく残し続けることを優先し、SoEは利用者とのやり取りに合わせて機能を素早く変えていけることを優先します。

ルールを決める活動かルールに従って行動する活動かは、その活動の結果がほかの活動の基準になるかどうかで判断できます。

デジタルガバナンス・コードとDX推進指標では、使う人の立場が異なります。前者は経営者がとるべき対応をまとめた指針で、後者は社内の関係者が自社の現状と課題を確かめ合うための自己診断の物差しです。

4. 間違えやすいところ

IT基本計画を策定するときに明確にする事項として、発生したインシデントへの管理手順を含めた誤った記述がありました。インシデントが起きたときの手順は、稼働中のシステムを運用する段階で定めておくものです。

DX認定制度の認定基準に、DXによる成果の目標をすでに達成し終えていることまで含めた誤答肢がありました。認定で見るのはDXを進める準備が整っているかどうかで、成果を出し終えたかどうかではありません。

DX推進指標がITシステムについて経営者に確かめさせる事項として、データを速く使うために部門ごとの作りやすさを全体の整合より優先しているかを挙げた誤答肢がありました。部門ごとに最適化したシステムは部門の間でデータが分断されやすく、DXの基盤として求められる姿とは向きが逆です。

ITガバナンスについて適切な記述を選ぶ問題では、ITサービスの運用で成果を上げた事例を集めた枠組みを当てはめた誤答肢がありました。それはITILの説明で、運用の現場が使う手引きに当たります。

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