令和4年度 宅地建物取引士資格試験 問1

権利関係物権変動

この問題は2022年度(R4)に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

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次の1から4までの記述のうち、民法の規定、判例及び下記判決文によれば、正しいものはどれか。

(判決文)
所有者甲から乙が不動産を買い受け、その登記が未了の間に、丙が当該不動産を甲から二重に買い受け、更に丙から転得者丁が買い受けて登記を完了した場合に、たとえ丙が背信的悪意者に当たるとしても、丁は、乙に対する関係で丁自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り、当該不動産の所有権取得をもって乙に対抗することができるものと解するのが相当である。

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正解: 選択肢3

本問は、不動産の二重譲渡における背信的悪意者からの転得者の地位に関する判例(最判平成8年10月29日)の理解を問う問題です。

民法177条は、不動産に関する物権の得喪及び変更は登記をしなければ「第三者」に対抗することができないと定めていますが、判例により、登記の欠缺を主張することが信義に反するものと認められる背信的悪意者は、同条の「第三者」に含まれないとされています。
さらに、問題文の判決文にあるように、背信的悪意者からの転得者については、転得者自身が第一買主に対する関係で背信的悪意者と評価されない限り、登記を備えれば所有権取得を対抗できると解されています。

各選択肢の解説

  • 選択肢1:誤り
    不動産を二重に買い受けたCが背信的悪意者に該当する場合、Cは民法177条の保護を受ける「第三者」に当たりません。したがって、Cは自らが登記を備えていても、第一買主Bに対して所有権の取得を対抗することはできません。

  • 選択肢2:誤り
    第二買主Cが背信的悪意者でない(単なる悪意者または善意者である)場合、Cは正当な利益を有する「第三者」に該当します。この場合は純粋な対抗関係となり、先に登記を備えた方が優先されるため、登記が未了のBはCに対して所有権の取得を対抗することができません。

  • 選択肢3:正しい
    問題文の判決文によれば、転得者Dは「丁(D)自身が背信的悪意者と評価されるのでない限り」対抗できるとされています。これを裏返せば、転得者D自身が第一買主Bに対する関係で背信的悪意者に該当する場合には、DはBに対して当該不動産の所有権取得を対抗することができないことになります。

  • 選択肢4:誤り
    第二買主Cが、Bが登記未了であることにつき悪意(知っている)であっても、それが信義則に反するような背信的悪意に該当しない限り、Cは民法177条の「第三者」として保護されます。したがって、先に登記を完了したCは、Bに対して所有権の取得を対抗することができます。