令和7年度 秋期 応用情報技術者試験 午後 問題 問1 サプライチェーン攻撃への対策

テクノロジセキュリティ技術セキュリティ管理ネットワーク

この問題は2025(R7)秋 応用情報技術者 午後に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

学習ガイド

企業グループのネットワークを舞台に、サプライチェーン攻撃への対策を問う問題です。取引先や子会社を踏み台にするビジネスサプライチェーン攻撃と、利用ソフトウェアの部品に混入するソフトウェアサプライチェーン攻撃の2類型を区別し、それぞれの技術的対処と情報管理の原則を確認します。この記事では、自社で統制できる範囲とできない範囲の境界を意識しながら、選択式・記述式それぞれの解答根拠を整理します。

この記事で押さえる論点

  • ビジネス/ソフトウェアサプライチェーン攻撃の違いを説明する
  • グループ会社を経由した侵入への技術的対処を選択する
  • 内部不正の抑止策と脆弱性対策(SBOM等)の考慮点を述べる

問題本文

企業グループのセキュリティ対策に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

Z社は,産業機械を製造する企業で,L社をはじめとする複数の子会社を含めてZ社グループを形成している。Z社グループでは,Webベースの業務システムが複数運用されており,グループ各社が共通で利用できる共通業務システムと各社内だけから利用できる個別業務システムの2種類がある。共通業務システムはZ社の内部ネットワーク内のセグメントG中に構築され,グループ各社の拠点間を接続したインターネットVPN経由でアクセスされる。個別業務システムは各社が個別に構築しており,インターネットVPN経由も含めて社外からはアクセスできない。
業務システムは全てZ社グループ外に委託して開発したものであり,共通業務システムの運用管理はZ社の情報システム部が,個別業務システムの運用管理は各社の情報システム部が,それぞれ行っている。業務システムが稼働しているサーバ及び従業員が使用しているPCについては,各社の情報システム部が設定及び運用管理をしている。Z社グループのネットワーク構成(抜粋)を図1に示す。

図1 Z社グループのネットワーク構成(抜粋)
図の説明テキスト

Z社グループのネットワーク構成図。インターネットを介してZ社とL社が接続されている。両社のルータ間には破線で「インターネットVPN」が構築されている。

Z社のネットワーク構成:

  • インターネットに「ルータ」が接続されている。
  • ルータの下位に「FW」が接続されている。
  • FWの下位に「L2SW」と「L3SW」が接続されている。
  • L2SWには「セグメントG」が接続されており、その中に「共通業務システム」が存在する。
  • L3SWには「Z社個別業務システム」と複数の「PC」が接続されている。

L社のネットワーク構成:

  • インターネットに「ルータ」が接続されている。
  • ルータの下位に「FW」が接続されている。
  • FWの下位に「L3SW」が接続されている。
  • L3SWには「L社個別業務システム」と複数の「PC」が接続されている。

凡例:
FW: ファイアウォール
L2SW: レイヤー2スイッチ
L3SW: レイヤー3スイッチ
破線: インターネットVPN

〔Z社の現状のセキュリティ対策〕

Z社の現状のセキュリティ対策は次のとおりである。

  • 対策1:aの考え方に基づき,インターネットからZ社の内部ネットワークへの攻撃を入口となるFWで防いでいる。具体的には,子会社からのインターネットVPN経由での共通業務システムへのアクセスは許可し,インターネットからZ社内へのその他のアクセスは,共通業務システムへのアクセスも含めて禁止している。
  • 対策2:Z社内の,PC及び業務システムが稼働しているサーバにはマルウェア対策ソフトを導入している。
  • 対策3:Z社内の,PC,業務システムが稼働しているサーバ及びネットワーク機器に対し,各ベンダーからの脆弱性情報やアップデート情報を日次で確認して,適宜セキュリティパッチの適用やアップデートを実施している。
  • 対策4:Z社内の業務システムは,導入時に脆弱性診断を実施している。脆弱性が発見された場合は,利用開始までに対応を実施している。

なお,各子会社については,それぞれ独自にセキュリティ対策を実施している。

〔サプライチェーン攻撃の調査〕

ある日,Z社の情報システム部のB部長は,同業他社においてサプライチェーン攻撃による被害の事例が複数報告されていることを知り,T主任にサプライチェーン攻撃の事例を調査して整理するように指示した。

T主任が調査した結果,サプライチェーン攻撃には幾つかのパターンがあることが分かった。T主任が整理したパターンを次に示す。

(1) ビジネスサプライチェーン攻撃
標的とする会社の,セキュリティ対策が不十分な子会社や取引先などの関連会社を攻撃して,そこのシステムを踏み台として,内部ネットワークなどを経由して標的とする会社を攻撃する。

(2) サービスサプライチェーン攻撃
標的とする会社が利用しているITサービスの運営事業者などを攻撃して,そのサービスのアカウントを乗っ取ったり,そのサービスを経由してマルウェアを配布したりすることによって,最終的に標的とする会社を攻撃する。

(3) ソフトウェアサプライチェーン攻撃
標的とする会社の業務システムなどに導入しているソフトウェアの開発会社を攻撃してソースコードを改ざんしたり,業務システムなどで利用しているオープンソースのソフトウェアライブラリの脆弱性を利用したりすることによって,最終的に標的とする会社を攻撃する。

(1)〜(3)のパターンについて,T主任がB部長に報告したときの会話を次に示す。

  • B部長:サプライチェーン攻撃に対して,Z社グループの現状のセキュリティ対策は十分ですか。
  • T主任:不十分だと思います。Z社については,aの考え方で内部ネットワーク内の機器の防御を行っているので,攻撃者によって内部ネットワークに侵入されてしまうと,内部ネットワーク内の業務システムなどが容易に攻撃されるおそれがあります。
  • B部長:なるほど。実際,幾つかの共通業務システムは,インターネットVPN経由も含む内部ネットワークからであれば認証無しでアクセスすることが可能なので,内部ネットワークに侵入された場合に情報漏えいのリスクがあるということですね。その他の懸念はありますか。
  • T主任:業務システムについても懸念があります。システム導入以降は脆弱性診断を実施しておらず,導入以降に明らかになった脆弱性への対応ができていないおそれがあります。また,Z社グループ全体に視野を広げると,マルウェア対策ソフトの選定やネットワーク機器の設定など,各社がそれぞれ独自にセキュリティ対策を実施しているので,セキュリティ対策が不十分な会社が存在するおそれがあります。
  • B部長:分かりました。今後は各社任せにするのではなく,我々Z社が中心となってZ社グループ全体のセキュリティ対策を強化していく必要がありますね。Z社グループ全体として追加すべきセキュリティ対策を検討してください。

〔追加すべきセキュリティ対策〕

T主任はZ社グループ各社の現状のセキュリティ対策を調査し,追加すべきセキュリティ対策を検討して次のようにまとめた。なお,子会社に対してはこれらの対策に加えて,Z社グループ全体の統制を強化しサプライチェーン攻撃のリスク又は被害を低減する施策の実施を依頼する。

  • 対策5:全ての業務システムへのアクセスに対しては,従業員ごとに割り当てたIDとパスワードによる認証を行う。また,パスワードは類推されにくいものだけが利用できるようにシステムで制限する。加えて,bの原則に従い,各従業員に対して過剰な権限を与えないようにする。
  • 対策6:機密性の高い内部情報を扱う業務システムへのアクセスに対しては,多要素認証を行う。
  • 対策7:ネットワーク機器などの管理用アカウントのパスワードは類推されにくいものにする。特に,機器の型番ごとに共通であることが多いcパスワードの利用は禁止する。
  • 対策8:業務システム,業務システムが稼働しているサーバ及びネットワーク機器へのアクセスについては監視及びログの記録を行い,それらのログをdで分析することによって攻撃の予兆検知や早期発見を図る。また,業務システムやインターネットへのアクセスログが記録されていることをZ社グループ各社の従業員に周知し,データの持出しなどの内部不正を抑止する。
  • 対策9:業務システム,業務システムが稼働しているサーバ及びネットワーク機器については,機密情報の取扱いの有無などの重要度に応じて3か月から1年の周期で定期的な脆弱性診断を行い,発見された脆弱性への対応を行う。

T主任が検討の結果をB部長に報告したところ,ソフトウェアサプライチェーン攻撃への対策として"対策9"に加えて実施すべき内容があると指摘された。そこでT主任は,業務システムなどで使用しているソフトウェア製品及びライブラリについて,名称,バージョン,開発会社名などを一覧にまとめたeを作成することを,"対策10"としてセキュリティ対策に追加することにした。

T主任は"対策10"も含めてB部長に改めて報告し,追加すべきセキュリティ対策が承認された。

設問と解答・解説

設問1

本文中の a , b , d , e に入れる適切な字句を,それぞれ解答群の中から選び,記号で答えよ。

(1)

本文中のaに入れる適切な字句を,解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. CASB
  2. MDM
  3. need-to-know
  4. RASP
  5. SBOM
  6. SIEM
  7. SLCP
  8. 境界防御
  9. サンドボックス
  10. ゼロトラスト
  11. 多層防御

模範解答

選択肢ク: 境界防御

配点 2

解説

正解は ク(境界防御) です。

本問はネットワークセキュリティの基本概念について問う問題です。従来、企業のネットワークセキュリティは、社内ネットワーク(安全)とインターネットなどの外部ネットワーク(危険)の境界にファイアウォールやIDS/IPSなどを設置して防御する 「境界防御」 というモデルが主流でした。しかし、近年ではクラウドサービスの普及やテレワークの拡大により、社内外の境界が曖昧になっているため、すべての通信を信頼せずに検証する ゼロトラスト の考え方が重要視されています。

各選択肢の解説

  • ア(CASB): Cloud Access Security Broker の略。企業が利用する複数のクラウドサービスのセキュリティを可視化・統制するソリューションです。
  • イ(MDM): Mobile Device Management の略。スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末を一元管理するシステムです。
  • ウ(need-to-know): 情報管理の基本原則で、「その業務を行うために情報を知る必要がある人にのみアクセス権を付与する」という考え方です。
  • エ(RASP): Runtime Application Self-Protection の略。アプリケーションの実行環境に組み込まれ、実行時の攻撃を検知・防御する技術です。
  • オ(SBOM): Software Bill of Materials の略。ソフトウェアに含まれるコンポーネントや依存関係をリスト化した構成表です。
  • カ(SIEM): Security Information and Event Management の略。様々な機器やシステムのログを集約し、相関分析によって異常を検知するシステムです。
  • キ(SLCP): Software Life Cycle Process の略。ソフトウェアの開発から保守・廃棄までのライフサイクル全体を定義したプロセスです。
  • ク(境界防御): 正解です。
  • ケ(サンドボックス): 外部から隔離された安全な仮想環境でプログラムを実行し、悪意のある振る舞いがないかを検証する技術です。
  • コ(ゼロトラスト): ネットワークの境界に依存せず、すべてのアクセス要求を都度検証・認可するセキュリティモデルです。
  • サ(多層防御): 攻撃が単一の防御網を突破しても、別の防御網で食い止められるように複数のセキュリティ対策を重ねる考え方です。

(2)

本文中のbに入れる適切な字句を,解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. CASB
  2. MDM
  3. need-to-know
  4. RASP
  5. SBOM
  6. SIEM
  7. SLCP
  8. 境界防御
  9. サンドボックス
  10. ゼロトラスト
  11. 多層防御

模範解答

選択肢ウ: need-to-know

配点 2

解説

正解は ウ(need-to-know) です。

本問は情報管理とアクセス制御の基本原則について問う問題です。need-to-knowの原則(最小権限の原則) は、「ある情報を知る必要がある(業務上必要不可欠な)者にのみ、その情報へのアクセス権を与える」という考え方です。これにより、万が一アカウントが侵害されたり、内部不正が発生したりした場合でも、被害の範囲を最小限に抑えることができます。

各選択肢の解説

  • ア(CASB): クラウド利用の可視化・統制ソリューションです。誤りです。
  • イ(MDM): モバイルデバイス管理システムです。誤りです。
  • ウ(need-to-know): 正解です。 業務上必要な人にのみアクセス権限を付与する原則です。
  • エ(RASP): アプリケーション実行時の自己防衛技術です。誤りです。
  • オ(SBOM): ソフトウェアの部品構成表です。誤りです。
  • カ(SIEM): ログの統合管理・相関分析システムです。誤りです。
  • キ(SLCP): ソフトウェアのライフサイクルプロセスを指します。誤りです。
  • ク(境界防御): ネットワークの境界で脅威を遮断する従来型の対策です。誤りです。
  • ケ(サンドボックス): 隔離環境で不審なプログラムを検証する仕組みです。誤りです。
  • コ(ゼロトラスト): 全てのアクセスを信頼せず検証するセキュリティモデルです。誤りです。
  • サ(多層防御): 複数の防御手段を組み合わせて防御力を高める手法です。誤りです。

(3)

本文中のdに入れる適切な字句を,解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. CASB
  2. MDM
  3. need-to-know
  4. RASP
  5. SBOM
  6. SIEM
  7. SLCP
  8. 境界防御
  9. サンドボックス
  10. ゼロトラスト
  11. 多層防御

模範解答

選択肢カ: SIEM

配点 2

解説

正解は カ(SIEM) です。

本問はセキュリティ監視とログの分析システムに関する問題です。サイバー攻撃や内部不正を早期に発見するためには、ファイアウォール、プロキシサーバ、認証サーバなど、ネットワーク上の様々な機器やアプリケーションから出力されるログを集約し、複数のログを横断して 相関分析 を行うことが効果的です。この役割を担うシステムを SIEM(Security Information and Event Management) と呼びます。

各選択肢の解説

  • ア(CASB): クラウドサービスの利用状況を監視・制御する仕組みです。誤りです。
  • イ(MDM): 企業が従業員に貸与する端末などを管理する仕組みです。誤りです。
  • ウ(need-to-know): アクセス権の付与に関する原則です。誤りです。
  • エ(RASP): アプリケーション自体に組み込まれる保護機能です。誤りです。
  • オ(SBOM): ソフトウェアのコンポーネント構成表です。誤りです。
  • カ(SIEM): 正解です。
  • キ(SLCP): ソフトウェアの開発や保守のプロセス定義です。誤りです。
  • ク(境界防御): ネットワーク境界での防御手法です。誤りです。
  • ケ(サンドボックス): 隔離された仮想環境でのマルウェア検知技術です。誤りです。
  • コ(ゼロトラスト): 新しいセキュリティの前提・モデルです。誤りです。
  • サ(多層防御): 複数の防御策を組み合わせる考え方です。誤りです。

(4)

本文中のeに入れる適切な字句を,解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. CASB
  2. MDM
  3. need-to-know
  4. RASP
  5. SBOM
  6. SIEM
  7. SLCP
  8. 境界防御
  9. サンドボックス
  10. ゼロトラスト
  11. 多層防御

模範解答

選択肢オ: SBOM

配点 2

解説

正解は オ(SBOM) です。

本問はソフトウェアサプライチェーン攻撃への対策として重要なキーワードを問う問題です。近年、OSS(オープンソースソフトウェア)などのサードパーティ製コンポーネントに潜む脆弱性を悪用した攻撃が深刻化しています。これに対処するため、自社が利用しているソフトウェアに「どのようなコンポーネント(部品)が、どのようなバージョンで含まれているか」を一覧化した構成管理表である SBOM(Software Bill of Materials) を作成・管理することが推奨されています。

各選択肢の解説

  • ア(CASB): クラウドセキュリティのソリューションであり、構成管理ではありません。誤りです。
  • イ(MDM): モバイル端末の管理ソリューションです。誤りです。
  • ウ(need-to-know): 情報アクセス権の原則です。誤りです。
  • エ(RASP): 実行時アプリケーション保護技術です。誤りです。
  • オ(SBOM): 正解です。
  • カ(SIEM): セキュリティログの分析システムです。誤りです。
  • キ(SLCP): ソフトウェアライフサイクルプロセスの定義です。誤りです。
  • ク(境界防御): 従来型のネットワークセキュリティモデルです。誤りです。
  • ケ(サンドボックス): 仮想環境でのマルウェア動的解析システムです。誤りです。
  • コ(ゼロトラスト): 何も信頼しないことを前提とするセキュリティ概念です。誤りです。
  • サ(多層防御): 防御層を多重化する考え方です。誤りです。

設問2

本文中の c に入れる適切な字句を,5字以内で答えよ。

模範解答

初期

採点基準(配点 4点)

正確性(内容)(4点)

  • 4: 「初期」と完全に一致する解答をしている。
  • 2: 「既定」や「デフォルト」など、文脈上意味は通じるが本文からの抜き出し/想定される最適語句と完全には一致していない。
  • 0: 不適切な解答、または無解答。

解説

正解は 初期 です。

本問は、システムや機器の導入時におけるセキュリティ上の不備について問う穴埋め問題です。ネットワーク機器やサーバーなどの導入時には、ベンダーがあらかじめ設定している 初期パスワード(デフォルトパスワード) がそのまま放置されるケースが散見されます。攻撃者は公開されている機器のマニュアル等から初期パスワードを容易に入手できるため、設定を変更していない機器はサイバー攻撃の格好の標的となります。

高得点のポイント

  • 本文の文脈に合うよう、指定された「初期」という語句を正確に記述できていること。

設問3

(1)

本文中の下線①について,具体的な施策として適切でないものを解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. Z社グループ各社で業務システムを開発する場合,開発委託先の会社においてセキュリティ対策が十分に実施されているかを委託前に審査する。
  2. Z社グループ各社でセキュリティインシデントが発生した場合の報告及び対応のフローを定める。
  3. Z社グループ各社の個別業務システムを全てセグメントGに移動し,システムの詳細を把握している各社の情報システム部が引き続き管理する。
  4. Z社グループ各社のネットワーク機器の設定ポリシーを強固なものに統一する。

模範解答

選択肢ウ: Z社グループ各社の個別業務システムを全てセグメントGに移動し,システムの詳細を把握している各社の情報システム部が引き続き管理する。

配点 2

解説

正解は です。

本問はグループ企業全体に対する包括的なセキュリティ対策として、適切でないもの を選ぶ問題です。サプライチェーン攻撃に対抗するためには、自社だけでなく関連会社も含めて一貫したセキュリティガバナンスを効かせることが重要です。

各選択肢の解説

  • : 開発委託先のセキュリティ対策状況を事前審査することは、ビジネスサプライチェーン攻撃を防ぐ上で極めて適切な施策です。
  • : インシデント発生時の報告・対応フローをグループ全体で統一しておくことは、被害の拡大防止や迅速な対応のために必須であり適切な施策です。
  • : 正解(適切でない)です。 グループ全体のシステムを特定のネットワークセグメント(G)に集約した場合、システムの運用やセキュリティポリシーの適用も統合・一元管理する必要があります。物理的・論理的に移動させたにもかかわらず、運用管理を「引き続き各社の情報システム部」がバラバラに行うのでは、統制が効かず脆弱性を生む原因となるため不適切です。
  • : ネットワーク機器の設定ポリシーをグループ全体で強固なものに統一することは、セキュリティレベルの底上げに直結する適切な施策です。

(2)

本文中の下線②について,内部不正の抑止につながる理由を30字以内で答えよ。

模範解答

不正の発覚リスクが高いことが心理的障壁になるから

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 「不正の発覚リスクが高い(見つかる可能性が高い)」といった心理的効果の要因を適切に記述している。
  • 1: 内部不正対策の記述としては方向性が合っているが、「発覚リスク」「心理的障壁」のいずれかの要素が欠けている。
  • 0: 記述がない、または内部不正の抑止理由として不適切。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 「〜から」「〜ため」など、理由を説明する文脈として不自然でない日本語で構成されている。
  • 0: 文脈が破綻している、または理由を答える形式になっていない。

解説

解答例: 不正の発覚リスクが高いことが心理的障壁になるから

本問は内部不正対策に関する問題です。内部不正が発生するメカニズムを説明する理論として 「不正のトライアングル」 があります。これは「動機(プレッシャー)」「機会」「正当化」の3つの要素が揃ったときに不正が行われるというものです。
監視カメラの設置やPCの操作ログを取得していることを従業員に周知・明示することは、このうちの 「機会」 を低減させる効果があります。「不正を行ってもすぐに見つかってしまう」という認識を植え付けることで、不正行為に対する心理的なハードル(障壁)を高くし、未然に防ぐ抑止力となります。

高得点のポイント

  • 「発覚のリスクが高いこと(見つかる可能性が高いこと)」 に言及している。
  • それが 「心理的障壁(抑止力)となる」 という因果関係を論理的に記述できている。

(3)

本文中の下線③について,B部長は何を懸念して指摘したと考えられるか。脆弱性対策の観点に着目して35字以内で答えよ。

模範解答

脆弱性が発見された際に影響範囲を迅速に判断できないこと

採点基準(配点 3点)

知識・理解度(内容)(2点)

  • 2: 「脆弱性発見時」に「影響範囲が迅速に判断(特定)できない」という構成要素を不足なく記述している。
  • 1: 脆弱性発見時の対応遅れについては言及しているが、「影響範囲の特定」などの具体的な問題の核心に触れられていない。
  • 0: 記述がない、または脆弱性対策の観点として不適切。

論理性(構造)(1点)

  • 1: 懸念事項として「〜こと」「〜点」などの形で結ばれ、自然な日本語で記述されている。
  • 0: 文脈が破綻している、または懸念事項を説明する文構造になっていない。

解説

解答例: 脆弱性が発見された際に影響範囲を迅速に判断できないこと

本問はソフトウェア構成管理(SBOMなど)の目的と、それが欠如した際のリスクについて問う問題です。
現代のソフトウェア開発では、多数のオープンソースソフトウェア(OSS)やサードパーティ製ライブラリが利用されています。これらの構成情報を正確に管理できていないと、新たな脆弱性(ゼロデイ脆弱性など)が公表されたときに、「自社のどのシステムでそのコンポーネントが使われているか」を特定するのに多大な時間がかかってしまいます。その結果、パッチ適用や回避策の実施が遅れ、サイバー攻撃の被害を受けるリスクが高まることが最大の懸念事項です。

高得点のポイント

  • 「脆弱性が発見(公表)された際」 という状況の前提を含めている。
  • 構成管理ができていないことによる直接的な悪影響として、「影響範囲の特定(判断)が迅速にできないこと」 を指摘している。

設問3(2)は,正答率がやや低かった。内部不正への対策として,不正を検知できるようにするといった技術的な対策に着目しがちではあるが,それらに加えて不正を未然に防止するために,不正のトライアングルの三要素を低減させるといった心理的な面での対策もあることを是非知っておいてほしい。設問3(3)は,正答率が平均的であった。攻撃者は日々更新される脆弱性情報を悪用して攻撃してくる。したがって対策する側としても迅速な対応ができるような仕組みを作ることが重要である。