令和7年度 秋期 情報処理安全確保支援士試験 午後 問題 問3 インターネットバンキングとリモートワーク環境の導入
この問題は2025(R7)秋 情報処理安全確保支援士 午後に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
リモートワーク環境の導入を題材に、VPNサービスとインターネットバンキングのセキュリティ設定を扱う問題です。DNSSEC・DoH・TLSの名称を答える知識問題から、SAMLとMFAを用いるVPNの段階的な利用計画に沿って設定・依頼内容を具体的に記述する設問まで、導入プロジェクトの実務そのものが問われます。この記事では、導入フェーズごとに変わる前提を整理し、各空欄が「なぜその段階で必要か」から解答を導きます。
この記事で押さえる論点
- DNSSEC・DoH・TLS、SAML連携及びMFAの認証方式を理解する
- 段階的な移行計画での設定・依頼事項を具体化する
- 利用規程とネットワーク設定の整合を確認する
出題情報
- 出題
- 2025(R7)秋 情報処理安全確保支援士 午後 問3
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
働き方改革の一環としてリモートワークの導入が広まっている。リモートワークに使用するインフラの導入には,効率的な業務の実現に加え,必要なセキュリティレベルの確保を検討することが重要である。本問では,リモートワーク環境の導入を題材として,IT環境のセキュリティ対策及びVPNサービスの導入方法を問う。
問3では,インターネットバンキングの利用とリモートワーク環境の導入を題材に,社内のIT環境のセキュリティ対策及びVPNサービスの導入方法について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
情報システムのセキュリティ強化に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
P社は,従業員100名の機械部品商社である。P社には,総務部,営業部,技術部が,また,総務部には経理係と情報システム係がある。
従業員には,一人1台の社有PC及び社有スマートフォン(以下,両者を併せて情報端末といい,スマートフォンをスマホという)を貸与している。さらに,社有スマホの故障,災害発生などの緊急時については,個人所有のスマホの利用を許可している。
情報端末以外のP社の情報システムの管理は,総務部のH部長配下の情報システム係のT主任とFさんが行っている。各部には,情報システム係をサポートする情報セキュリティ推進者がいる。
P社では,表1に示す情報端末などの利用規程を定めている。

図の説明テキスト
表1 情報端末などの利用規程(抜粋)
| 項番 | 情報端末など | 項目 | 規程 |
|---|---|---|---|
| 1 | 社有PC | (1)初期設定 | ・次の初期設定を情報システム係がP社内で行う。 - Q社のマルウェア対策ソフトを導入し、リアルタイムスキャンを有効にする。 - 起動時及び起動後1時間ごとにQ社のマルウェア定義ファイル配布サイトに接続して更新するように設定する。 |
| (2)OS | ・ベンダーがサポートしているバージョンX又はバージョンY 1)を利用する。 ・利用者は、脆弱性修正プログラムがリリースされたら、OSのアップデート機能を用いて、2週間以内に適用する。 |
||
| (3)確認 | ・各部の情報セキュリティ推進者が、利用者が項番1(2)に従って適切に利用しているかどうかを毎月確認する。 | ||
| 2 | 社有スマホ、緊急時に利用する個人所有のスマホ | (1)OS | ・利用者は、脆弱性修正プログラムがリリースされたら1週間以内に適用する。 |
| (2)アプリケーションプログラム(以下、アプリという) | ・利用者は、毎週スマホのアプリ管理機能で最新化を行う。 ・利用者は、アプリ内での認証機能には、可能であれば、生体認証を利用する。 |
||
| (3)スマホのスクリーンロック | ・一定時間操作がない場合は、スクリーンロックが行われるように設定する。 ・スクリーンロックの解除には、可能であれば、生体認証を利用する。 |
||
| 注1) バージョンXは1年後にサポート終了を迎える。バージョンYはその後継である。 |
〔社有PCのOSの現状〕
社有PCは,バージョンXから,バージョンYへのOSの移行中である。移行は,各部の情報セキュリティ推進者の管理の下,6か月以内に完了させることになっている。
〔情報システムの現状〕
P社では,V社のSaaS(以下,Vサービスという)及びW社のSaaS(以下,Wサービスという)を使っている。オンプレミスの情報システムはない。P社のネットワーク図を図1に示す。

図の説明テキスト
P社のネットワーク図(抜粋)を示す構成図。
中央に「インターネット」があり、以下の3つの構成要素と接続されている。
- Vサービス(左側):
「権威DNSサービス」「公開Webサービス」「Webメールサービス」「認証基盤サービス」が含まれる。 - P社(下側):
「M-FW」がインターネットと接続されており、M-FWの配下に「総務部LAN」「営業部LAN」「技術部LAN」が存在する。 - Wサービス(右側):
「W-GW」がインターネットと接続されており、その配下に破線で囲まれた「P社専用Wサービス(注1)」が存在する。「P社専用Wサービス」の中には「人事労務サービス」「販売管理サービス」「ファイルサービス」「社内Webサービス」が含まれる。
図の下部には以下の説明書きがある:
M-FW:多機能ファイアウォール
W-GW:Wサービスのレイヤー3ゲートウェイ
注記 総務部LAN,営業部LAN,技術部LANでは,レイヤー2スイッチ,無線ルータ及び情報端末の記載は省略している。社有PCは,P社内のLANのいずれかのレイヤー2スイッチ又は無線ルータに接続して業務を行う。
注1) P社専用に提供される四つのサービスを指す。
M-FWは,ステートフルパケットインスペクション型のファイアウォール機能,DNSキャッシュサーバ機能及びWebプロキシ機能をもつ。
Vサービスの構成要素の概要を表2に示す。

図の説明テキスト
表2 Vサービスの構成要素の概要(抜粋)
| 構成要素 | 構成要素の概要 |
|---|---|
| 権威DNSサービス | ・権威DNSサーバ機能を提供している。 ・次のプロトコルにも対応している。 - a: 応答にデジタル署名を付与する。 - b: HTTPSを用いてDNS通信する。 - DoT: cを用いてDNS通信を暗号化する。 |
| 認証基盤サービス | ・多要素認証(以下、MFAという)の利用が可能である。MFAの認証方式は次の3通りである。どれを使うかは契約企業の管理者が設定する。 認証方式1: 利用者ごとにあらかじめ登録した1件の電話番号へのSMS通知による認証 認証方式2: 利用者ごとにあらかじめ登録した1台のスマホでの認証アプリを用いた認証 認証方式3: 認証の都度、利用者が認証方式1又は2のいずれかを選択 P社では認証方式2を設定している。 ・契約企業の管理者又は利用者は、認証基盤サービスの設定画面(以下、MFA設定画面という)にアクセスし、必要な情報を設定する。 ・MFA設定画面への接続元IPアドレス制限が可能である。 |
W-GWには、ファイアウォール機能があり、P社専用Wサービスに接続可能なのはM-FWのグローバルIPアドレスに制限されている。
P社が利用しているグローバルIPアドレスを表3に示す。

図の説明テキスト
表3 P社が利用しているグローバルIPアドレス(抜粋)
| 機器又はサービス | IPアドレス |
|---|---|
| M-FWのインターネット側インタフェース | a1.b1.c1.d1 |
| P社専用Wサービス | a8.b8.c8.1〜a8.b8.c8.4 |
| Vサービスの認証基盤サービス | a9.b9.c9.d9 |
営業部及び技術部では、取引先から指定されたWebサービス(以下、取引先サービスという)を利用することがある。取引先サービスは複数あり、各取引先サービスで接続元IPアドレス制限を行っている。各取引先サービスでは、M-FWのグローバルIPアドレスからの接続は許可されている。
情報システム係は、社有PCの初期設定後に、図2に示す追加作業を行っている。

図の説明テキスト
- OSベンダーのOSアップデート配布サイト,Q社のマルウェア定義ファイル配布サイト,Vサービス,P社専用Wサービス(以下,四つを併せて基本サイトという)及び取引先サービスにアクセスし,正しく初期設定されたかどうかを確認する。
- Vサービス及びP社専用WサービスのURLをWebブラウザのブックマークに登録する。
〔インターネットバンキング変更の検討〕
経理係のGさんから情報システム係に,“現在利用しているY銀行のインターネットバンキング(以下,インターネットバンキングをIB,Y銀行のインターネットバンキングをY-IBという)からZ銀行のIB(以下,Z銀行のIBをZ-IBという)への変更を検討しているが,情報セキュリティの観点で,Z-IBを利用しても問題ないか教えてほしい”という相談があった。
現在,経理係では,振込みを,操作担当者と操作確認者の2名で行っており,Z-IBへの変更後も同様に2名で行うことを計画している。
IBでは取引を認証するための専用のハードウェアトークンとして,数字が入力できるトークン(以下,数字入力トークンという)とカメラ付きトークンの2種類のトークンがあり,Y-IBでは数字入力トークンを,Z-IBではカメラ付きトークンを使用している。IBにおけるトークンの種別と認証方法の概要を表4に示す。

図の説明テキスト
表4 IBにおけるトークンの種別と認証方法の概要(抜粋)
| トークンの種別 | 認証方法の概要 |
|---|---|
| 数字入力トークン | (省略) |
| カメラ付きトークン | IBは,ログイン後の操作で,Web画面に入力された取引内容を基に2次元コードを生成してWeb画面に表示する。操作担当者がカメラ付きトークンで2次元コードを読み取ると,カメラ付きトークンは,2次元コードを基に認証番号を生成し,取引内容及び認証番号をカメラ付きトークンのディスプレイに表示する。操作担当者は,認証番号をWeb画面に入力する。 |
IBでは,振込先の金融機関名,店名,口座種別,口座番号(以下,金融機関名,店名,口座種別,口座番号を口座情報という)の改ざんによって,攻撃者の用意した口座(以下,攻撃者口座という)に振り込んでしまう被害が発生している。T主任はFさんに,このような被害に遭うリスクをY-IBとZ-IBそれぞれで検討し,どちらのIBの方がリスクが低いかを比較するよう指示した。
〔攻撃者口座に振り込んでしまうリスクの検討〕
P社において想定される振込先の口座情報の改ざん手口には,IBにアクセスする社有PCに感染させたマルウェアによる方法などがある。
Fさんは,まず,Y-IBについてリスクを検討した。Y-IBでの振込みの流れを図3に示す。

図の説明テキスト
枠で囲まれた1〜8の手順と注記からなるリスト。
- 操作担当者が,Web画面で,振込先の金融機関名及び店名を選択する。
- 操作担当者が“次へ”ボタンをクリックした後,Web画面で,振込先の口座種別及び口座番号を入力する。
- 操作担当者が“次へ”ボタンをクリックした後,Web画面に振込先の口座名義人が表示される。振込先の金融機関又は操作した時刻によっては表示されないことがある。
- 操作担当者が,Web画面で,振込金額を入力する。
- 操作担当者が“次へ”ボタンをクリックした後,数字入力トークンに振込先の口座番号を入力する。
- 数字入力トークンは,口座番号と時刻情報を基に認証番号を生成し,表示する。操作担当者が,Web画面で,認証番号を入力する。
- 操作担当者が“次へ”ボタンをクリックした後,Web画面に振込元の口座情報,振込先の口座情報及び振込金額が表示される。
- 操作担当者が,Web画面で“振込”ボタンをクリックすると,振込みが実行される。
注記 全ての操作において操作確認者は表示内容と入力内容を確認し,操作担当者と操作確認者の両方が合意したら次に進む。
Fさんは,図3を基に,操作担当者が仮に偽のサーバにアクセスした場合に攻撃者口座に振り込まれてしまうまでにやり取りされる情報を考えた。やり取りの流れを図4に,図4でやり取りされる情報を表5に示す。

図の説明テキスト
シーケンス図。左から「数字入力トークン」「操作担当者のWebブラウザ」「偽のサーバ」「Y-IBのWebサイト」のライフラインがある。
矢印によるやり取り:
(1) 操作担当者のWebブラウザ → 偽のサーバ
(2) 偽のサーバ → Y-IBのWebサイト
(3) Y-IBのWebサイト → 偽のサーバ
(4) 偽のサーバ → 操作担当者のWebブラウザ
(5) 操作担当者のWebブラウザ → 偽のサーバ
(6) 偽のサーバ → Y-IBのWebサイト
(7) Y-IBのWebサイト → 偽のサーバ
(8) 偽のサーバ → 操作担当者のWebブラウザ
(9) 操作担当者のWebブラウザ → 偽のサーバ
(10) 偽のサーバ → Y-IBのWebサイト
(11) Y-IBのWebサイト → 偽のサーバ
(12) 偽のサーバ → 操作担当者のWebブラウザ
(13) 操作担当者のWebブラウザ → 数字入力トークン (破線)
(14) 数字入力トークン → 操作担当者のWebブラウザ (破線)
(15) 操作担当者のWebブラウザ → 偽のサーバ
(16) 偽のサーバ → 操作担当者のWebブラウザ
(17) 操作担当者のWebブラウザ → 数字入力トークン (破線)
(18) 数字入力トークン → 操作担当者のWebブラウザ (破線)
(19) 操作担当者のWebブラウザ → 偽のサーバ
(20) 偽のサーバ → Y-IBのWebサイト
注記1 番号は流れの順序を示す。
注記2 破線はトークン操作を伴うやり取りを示す。

図の説明テキスト
表5 図4でやり取りされる情報(抜粋)
| 図4の番号 | やり取りされる情報 |
|---|---|
| (2) | 攻撃者口座の金融機関名及び店名 |
| (6) | 攻撃者口座の口座種別及び口座番号 |
| (7) | 攻撃者口座の口座名義人 |
| (8) | (7)の各文字を空白に置き換えた文字列 |
| (10) | 攻撃者による書換え後の振込金額 |
| (13) | d |
| (14) | 認証番号 |
| (16) | 図5のポップアップ画面 |
| (17) | e |
| (18) | 認証番号 |
図4の(16)〜(19)は図3にない流れなので,操作担当者及び操作確認者が図3の流れを理解していれば,違和感を覚える可能性が高い。しかし,図3の流れを理解していなければ,気付くことなくだまされてしまうリスクも排除できない。
次に,Z-IBについてリスクを検討した。Z-IBの場合,振込先の口座情報を改ざんされたとしても,改ざん後の口座情報などの取引内容がカメラ付きトークンのディスプレイに表示されるので,口座情報が改ざんされたことに気付きやすい。
Fさんは,これらの検討結果を踏まえ,攻撃者口座に振り込んでしまうリスクはZ-IBの方が低いとT主任に報告した。T主任は報告の内容に加えて他の機能も比較し,P社での利用においてZ-IBのセキュリティ対策に問題がないことを確認した。T主任はGさんに,Y-IBよりZ-IBの方が被害に遭うリスクが低く,利用しても問題がないと回答し,経理係ではY-IBからZ-IBに変更することにした。
〔リモートワークの検討〕
各部から育児,看護及び介護を理由とした,自宅でのリモートワーク導入の要望が挙がったことから,H部長は,経理係のIBの利用及び情報システム係の情報システムの管理はリモートワークの対象外にする前提で,全従業員のリモートワークに必要なインフラを検討するようT主任に指示した。また,リモートワーク実施に当たって必要となる情報セキュリティ対策を併せて検討するように指示した。
T主任とFさんは,最初に,リモートワークに必要なインフラを検討することにした。まず,R社のモバイルルータ(以下,R-MRという)及びR-MRを用いるインターネット接続サービス(以下,Rサービスという)について調査した。その結果,Rサービスではインターネットに接続したときに割り当てられるグローバルIPアドレスに,固定グローバルIPアドレスを割り当てることはできないことが分かった。次に,HTTPSを用いたVPNサービスであるK社セキュリティサービス(以下,Kサービスという)を調査した。Kサービスの利用方法は図6のとおりである。

図の説明テキスト
枠内に以下のテキストとUI要素が配置されている。
・「高額の振込みのため,本人確認が必要です。」
・「本人確認のため,次の数字を数字入力トークンに入力してください。」
・「1 2 3 4 5 6 7 1)」
・「トークンに表示される認証番号を入力し,送信ボタンを押してください。」
・認証番号を入力するための空のテキストボックス
・「送信」ボタン、「キャンセル」ボタン
枠外の下部には「注1) 図4の(16)で送られてきた数字」という注記があり、その下にキャプション「図5 ポップアップ画面」が配置されている。

図の説明テキスト
- 専用のソフト(以下,Kソフトという)を用いて接続する。
- 認証には,Vサービスの認証基盤サービスをIdPとするSAMLを利用できる。
- Kサービス接続時に,接続元PCのOSのバージョン,OSの脆弱性修正プログラム適用状況,マルウェア定義ファイルのバージョン(以下,三つを併せてPC情報という)をチェックし,接続の可否を判定できる。アカウント名,PCのシリアル番号,PC情報及び接続可否はログに記録される。接続を許可するPC情報の条件は契約企業の管理者アカウントで設定できる。
- Kサービス経由でのインターネットアクセス時の送信元IPアドレスとして,契約者専用のKサービス用固定グローバルIPアドレスを指定することができる。
- インターネットアクセス時のURLフィルタリングサービスがある。HTTPS通信の場合,Kサービスと接続元PCとの間のHTTPS通信,Kサービスとインターネットのアクセス先との間のHTTPS通信のそれぞれを終端し,KサービスでURLフィルタリングを行う。
- URLフィルタリングサービスの除外リストにFQDNを登録すると,そのサイト宛てのHTTPS通信は,KサービスではHTTPS通信の終端を行わない。
- 契約企業の管理者アカウントでログの検索及び参照ができる。
- 契約企業向けに用意された設定画面(以下,Kサービス設定サイトという)へのアクセスを許可する接続元IPアドレスを設定することができる。
- Kソフトは,利用者が,PCのWebブラウザからKサービス設定サイトにHTTPSでアクセスしてダウンロードし,インストールする。インストール時には,契約企業を識別するIDを設定する。
次に,T主任とFさんは,リモートワーク用の新規社有PC導入時の追加の初期設定手順及びP社におけるリモートワークでのKサービスの利用方針を検討し,検討結果をそれぞれ図7,図8にまとめた。

図の説明テキスト
- 利用者が認証基盤サービスにアカウントをもっていない場合,情報システム係が認証基盤サービスでアカウントの作成を行う。
- 情報システム係は,あらかじめダウンロードしておいた最新の脆弱性修正プログラムを社有PCに適用する。
- 項番1でアカウントが作成された場合,利用者は社有スマホに認証アプリをインストールする。利用者は自身のアカウントを使い,P社内から社有PCを使ってMFA設定画面にログインし,社有スマホの認証アプリを登録する。
- 利用者はP社内から社有PCを使ってKサービス設定サイトにアクセスし,Kソフトのダウンロード及びインストールを行う。
- 利用者はKサービス経由で,図2を行う。

図の説明テキスト
- リモートワーク時には,Kサービスを利用する。
- Kサービスの管理者はT主任とFさんとする。
- 認証にVサービスのMFAを利用する。
- 図6の項番3については,表1の項番1(2)を満たしていないPCからの接続を拒否するように設定する。
- 図6の項番4を利用する。
- 図6の項番5を利用する。
- 図6の項番6については,URLフィルタリングサービスの除外リストに,基本サイトのFQDN,取引先サービスのFQDNを登録する。
- 図6の項番8については,①Kサービス設定サイトへのアクセスはP社内だけからできるよう制限する。
T主任とFさんは検討を進め,Kサービスを用いれば,リモートワーク用の社有PCがP社内のLANに接続されている場合でもHTTPS通信のURLフィルタリングサービスが適用できると考えた。そのため,リモートワーク時に限らず,P社出勤時も経理係のIBの利用及び情報システム係の情報システムの管理を除き,社有PCでのKサービスの利用を必須にする方針とした。
FさんとT主任は,まとめた内容をH部長に報告し,了承を得た。
〔段階的な利用計画〕
T主任とFさんは,Rサービス及びKサービスを,T主任とFさんが情報システムの管理以外の業務に利用する先行利用と,全従業員で利用する全体利用の2段階で行うことにした。
Fさんは,図8以外に必要となる変更について,次の案をT主任に報告した。
(1) W社に設定変更を依頼する。
(2) M-FWのファイアウォール機能では社内からのHTTP通信を禁止とし,HTTPS通信の宛先はKサービスだけを許可する。
(3) 各取引先サービスについて,次の依頼を取引先に行う。
依頼: f 。
T主任は,(2)について,問題を指摘し,許可する宛先の追加を指示した。Fさんは,②追加する宛先をT主任に報告し,了承を得た。
T主任は,これまでの検討結果をH部長に報告し,先行利用実施の許可を得た。
〔先行利用の実施とOS移行の施策〕
先行利用では,利用中に社有スマホが故障し,認証ができないという問題が発生した。そこで,H部長とも相談し,社有スマホの故障時でもKサービスが利用できるように,MFA設定画面で次の二つを行った。
・管理者のアカウントで,認証方式を表2の認証方式3に変更する。
・先行利用の利用者アカウントについては,g。
T主任とFさんは,1か月間,Kサービスを社内から利用し,基本サイトの利用などに問題がないことを確認した。
次に,T主任とFさんは,社有PCをRサービスに接続し,Kサービスを利用することにした。1か月間利用し,同様に問題がないことを確認した。
T主任とFさんは,現状,社有PCのOSの移行が滞っていることから,③情報システム係がKサービスを活用して移行を促進させる施策を考えた。
T主任は,先行利用の振返り及びOS移行の施策をH部長に報告した。H部長は,Kサービスがリモートワーク及び情報セキュリティの強化に有効であると判断し,リモートワークの導入を進めていくことにした。
設問と解答・解説
設問1
〔情報システムの現状〕について答えよ。
(1)
表2中のaに入れる適切な字句を,英字10字以内で答えよ。
模範解答
DNSSEC
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 「DNSSEC」と正しく記述できている。
- 0点: 「DNSSEC」と記述されていない。
解説
キャッシュDNSサーバと権威DNSサーバ間の通信において、応答の真正性を確認し、DNSキャッシュポイズニング攻撃を防ぐための仕組みは DNSSEC (DNS Security Extensions) です。
- DNSSEC は公開鍵暗号方式を利用してDNS応答にデジタル署名を付与し、改ざんがないことを保証します。
- 本問では、リモートワーク等のIT環境導入において重要なセキュリティ用語の知識が問われています。
高得点のポイント
- DNSSEC という語句を正確に解答する。
(2)
表2中のbに入れる適切な字句を,英字5字以内で答えよ。
模範解答
DoH
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 「DoH」と正しく記述できている。
- 0点: 「DoH」と記述されていない。
解説
DNS通信を暗号化して盗聴や改ざんを防ぐ技術のうち、HTTPSの通信ポート(443番)を利用する仕組みは DoH (DNS over HTTPS) です。
- リモートワーク環境や公衆Wi-Fiの利用において、DNS通信の暗号化はプライバシー保護やセキュリティレベルの確保に重要です。
- 同様の技術に DoT (DNS over TLS) がありますが、これは専用ポート(853番)を使用します。表の「HTTPSの通信ポートを使用」という条件から DoH が特定できます。
高得点のポイント
- 通信ポートがHTTPSであることを手掛かりに DoH を正確に導出する。
(3)
表2中のcに入れる適切な字句を,英字5字以内で答えよ。
模範解答
TLS
採点基準(配点 4点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 「TLS」と正しく記述できている。
- 0点: 「TLS」と記述されていない。
解説
Webサイトへの安全なアクセスを提供するHTTPS通信において、トランスポート層での暗号化を担うプロトコルは TLS (Transport Layer Security) です。
- 現在、SSLに代わり広く標準として用いられている暗号化プロトコルが TLS です。
- リモートワーク環境からのアクセスにおいて、通信経路の暗号化は必須のセキュリティ要件です。
高得点のポイント
- TLS という語句を正確に解答する。
設問2
(1)
d について答えよ。
模範解答
選択肢イ: 攻撃者による書換え前の口座番号
配点 3点
解説
インターネットバンキングにおける振込時のトランザクション署名において、利用者がハードウェアトークンに入力すべき値について問う問題です。
- MITB(Man-in-the-Browser)攻撃では、利用者が入力した正しい振込先口座番号が、ブラウザ内でマルウェアによって攻撃者の口座番号に書き換えられます。
- トランザクション署名の目的は、利用者が意図した正しい口座番号に基づいてワンタイムパスワードを生成し、サーバ側で検証することです。
- したがって、利用者はハードウェアトークンに対して 「攻撃者による書換え前の口座番号」 を入力する必要があります。
各選択肢の解説
- ア (攻撃者口座の口座番号): 誤りです。これをトークンに入力して生成された署名は攻撃者の口座への振込を正当化してしまうため、攻撃を防げません。
- イ (攻撃者による書換え前の口座番号): 正解です。利用者が意図した正しい口座番号を使用することで、サーバ側が不正な書き換えを検知できます。
(2)
e について答えよ。
模範解答
選択肢ア: 攻撃者口座の口座番号
配点 3点
解説
MITB攻撃を受けている状況下において、マルウェアに感染した利用者のPCからインターネットバンキングのサーバへ送信される情報について問う問題です。
- 利用者がブラウザで正しい振込先口座番号を入力しても、MITB攻撃によってブラウザ内部でデータが改ざんされます。
- その結果、PCのブラウザからサーバへ実際に送信される振込要求のデータは 「攻撃者口座の口座番号」 となります。
- 一方で、利用者がトークンで生成した署名は「書換え前の口座番号」に基づいているため、サーバ側で受信した口座番号と署名の不整合が検知され、攻撃を防ぐことができます。
各選択肢の解説
- ア (攻撃者口座の口座番号): 正解です。マルウェアによって書き換えられた情報がサーバに送信されます。
- イ (攻撃者による書換え前の口座番号): 誤りです。マルウェアはサーバに送信する通信内容を不正なものに書き換えるため、書換え前の正しい情報は送信されません。
設問2は,正答率がやや高かった。インターネットバンキングの振込みの流れやハードウェアトークンの特徴を理解し,攻撃手法を正しく想定できていることがうかがえる。
設問3
図8中の下線①について,設定内容を具体的に答えよ。
模範解答
Kサービス設定サイトへのアクセスが許可される接続元IPアドレスをa1.b1.c1.d1に制限する。
採点基準(配点 8点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 接続元IPアドレスを「a1.b1.c1.d1」に制限する旨が明確に記述されている。
- 2点: アクセス制限について言及しているが、IPアドレスの指定が不十分である。
- 0点: 記載がない、または誤っている。
論理性(構造)(4点)
- 4点: 「Kサービス設定サイト」へのアクセスに関する制限であることが論理的に伝わる記述となっている。
- 2点: 制限対象の記述が不明確である。
- 0点: 論理的に読み取れない。
解説
図8中の下線①「Kサービス設定サイトへのアクセス制限」の具体的な設定内容について問う問題です。
- Kサービス設定サイトへの不正アクセスを防ぐためには、アクセスを許可する発信元IPアドレスを社内の特定のIPアドレスに制限する必要があります。
- 設問の文脈から、社内のプロキシサーバなどを経由して外部へアクセスする際の送信元IPアドレスである a1.b1.c1.d1 に限定することが求められます。
高得点のポイント
- Kサービス設定サイト へのアクセス制限であることを明確にする。
- 許可する接続元IPアドレスとして a1.b1.c1.d1 を正確に指定する。
設問4
〔段階的な利用計画〕について答えよ。
(1)
本文中のfに入れる依頼の内容を具体的に答えよ。
模範解答
各取引先サービスへの接続を許可するIPアドレスとして,P社専用のKサービス用固定グローバルIPアドレスを登録してもらう
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 許可IPアドレスとして「P社専用のKサービス用固定グローバルIPアドレス」を登録する旨が含まれている。
- 1点: 固定IPアドレスの登録には触れているが、指定内容(P社専用、Kサービス用など)が不十分である。
- 0点: 記載がない、または誤っている。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 各取引先サービスに対して登録を依頼するという目的や対象が論理的に構成されている。
- 1点: 取引先への依頼であることの文脈が不十分である。
- 0点: 論理的に読み取れない。
解説
VPNサービスを利用した段階的な利用計画において、取引先に対してどのような依頼を行うべきかを問う問題です。
- リモートワーク環境へ移行し、P社がVPNサービス(Kサービス)を利用して取引先サービスへ接続するようになると、インターネットへ出る際の接続元IPアドレスが従来のものから変化します。
- 取引先側で接続元IPアドレス制限を行っている場合、通信が遮断されてしまうため、新たな接続元IPアドレスを許可リストに追加してもらう必要があります。
- P社が利用するVPNサービスのIPアドレスは 「P社専用のKサービス用固定グローバルIPアドレス」 です。
高得点のポイント
- 各取引先サービスへの接続を許可するIPアドレス の追加依頼であることを明記する。
- 登録を依頼するIPアドレスが 「P社専用のKサービス用固定グローバルIPアドレス」 であることを正確に記載する。
(2)
本文中の下線②について,追加する宛先を答えよ。
模範解答
Z-IB,OSベンダーのOSアップデート配布サイト,認証基盤サービス及びKサービス設定サイトへのHTTPSサービス
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 「Z-IB」「OSベンダーのOSアップデート配布サイト」「認証基盤サービス」「Kサービス設定サイト」の4つの宛先が網羅されている。
- 2点: 上記のうち3つが記載されている。
- 1点: 上記のうち1〜2つが記載されている。
- 0点: 記載がない。
論理性(構造)(3点)
- 3点: HTTPSサービスなどの必要なプロトコルやサービスの目的を補完して論理的に列挙している。
- 1点: 列挙の形式が不明確である。
- 0点: 論理的に読み取れない。
解説
社内からVPNサービスを利用する場合に、初期設定時やVPN接続前に必要となる通信先を問う問題です。
- VPNトンネルが確立する前であっても、システムの正常な動作やセキュリティを確保するために許可すべき通信が存在します。
- 題意や表の要件から、以下の通信が必要であることが読み取れます。
- Z-IB への接続
- OSベンダーのOSアップデート配布サイト への接続
- 認証基盤サービス への接続
- Kサービス設定サイト への接続
- これらがVPN接続前でも適切に通信できるよう、宛先としてプロトコル(HTTPSサービス)も含めて追加設定する必要があります。
高得点のポイント
- VPN接続前に必要な4つの通信先(Z-IB、OSアップデート配布サイト、認証基盤サービス、Kサービス設定サイト)を漏れなく記述する。
- 通信プロトコルとして HTTPSサービス であることを含める。
設問4(2)は,正答率が低かった。社内からVPNサービスを利用する場合に,初期設定時及びVPN接続前に必要な通信も踏まえて解答してほしい。
設問5
〔先行利用の実施とOS移行の施策〕について答えよ。
(1)
本文中のgに入れる設定内容を具体的に答えよ。
模範解答
認証方式1の電話番号として,個人所有スマホの電話番号を登録する
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: 代替手段として「個人所有スマホの電話番号」を利用する旨が記載されている。
- 1点: 個人所有スマホの利用には触れているが、電話番号を登録することが不明確である。
- 0点: 記載がない、または誤っている。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 「認証方式1の電話番号」として登録することが明確に記述されている。
- 1点: 登録箇所についての記述が不十分である。
- 0点: 論理的に読み取れない。
解説
リモートワーク環境における認証の代替策に関する問題です。
- 会社支給のスマートフォンの故障時などにおいて、二要素認証の強度が低下しないよう、安全な代替手段を用意しておく必要があります。
- 認証基盤の仕様上、電話番号を利用した認証方式(認証方式1)が用意されているため、代替の連絡先として 個人所有スマホの電話番号 を登録することが有効な施策となります。
高得点のポイント
- 設定対象が 認証方式1の電話番号 であることを明示する。
- 登録する内容が 個人所有スマホの電話番号 であることを記載する。
(2)
本文中の下線③について,施策を具体的に答えよ。
模範解答
Kサービス接続時のログからOSがバージョンXの社有PCを抽出し,アカウント名から利用者を特定後,利用者の所属する部の情報セキュリティ推進者に報告し,バージョンYへの移行を促してもらう。
採点基準(配点 6点)
知識・理解度(内容)(3点)
- 3点: ログから「OSバージョンXのPC」と「利用者(アカウント)」を特定するプロセスが記載されている。
- 1点: 対象の抽出については触れているが、利用者の特定まで踏み込めていない。
- 0点: 記載がない、または誤っている。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 情報セキュリティ推進者に報告し、バージョンYへの移行を促すという事後対応が論理的に記述されている。
- 1点: 報告または移行促進のいずれかが欠けている。
- 0点: 論理的に読み取れない。
解説
旧OS(バージョンX)が利用されている社有PCに対する、OS移行の施策を問う問題です。
- リモートワーク環境において、サポートが終了したOSや古いバージョンのOSを使用することはセキュリティリスクとなります。
- まず、Kサービス接続時のログ を分析して、OSバージョンXのPCを利用しているアカウントを抽出し、利用者を特定します。
- その後、管理面の手続きとして、利用者の所属する部の情報セキュリティ推進者に報告 し、新しいOS(バージョンY)への移行を促してもらうフローが必要です。
高得点のポイント
- Kサービスのログから OSがバージョンXの社有PC と 利用者(アカウント) を特定するプロセスを含める。
- 情報セキュリティ推進者に報告 し、バージョンYへの 移行を促す という事後対応を明確に記述する。
設問5(1)は,正答率が平均的であった。外部の攻撃者の不正アクセスを防止する上で,リモートワーク環境における認証は重要な役割である。本環境で利用する認証基盤の仕様を踏まえ,スマートフォン故障時にもセキュリティ強度を落とすことのない代替策を解答してほしい。