令和7年度 秋期 情報処理安全確保支援士試験 午後 問題 問2 暗号資産の鍵管理と暗号技術の応用

テクノロジセキュリティ技術セキュリティ管理

この問題は2025(R7)秋 情報処理安全確保支援士 午後に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・数式・図表参照の調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

学習ガイド

暗号資産交換業の暗号鍵管理を題材に、暗号技術の応用力を試す問題です。楕円曲線暗号によるデジタル署名の基礎から、共通鍵による鍵の暗号化、施設内での署名処理の運用ルール、さらに買収に伴う鍵管理体制の問題点まで、暗号を「使う」場面の設計判断が問われます。この記事では、秘密鍵がどこに存在し誰が触れられるかを一貫して追跡する図を用意し、各設問の解答をその図の上で根拠付けます。

この記事で押さえる論点

  • デジタル署名の生成・検証と鍵の役割を正確に説明する
  • コールドウォレット運用と鍵の暗号化(ラッピング)の設計を理解する
  • 組織変更(買収)に伴う鍵管理の問題点を特定する

問題本文

問2 暗号資産交換業におけるセキュリティに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。

A社は従業員50名の暗号資産交換業者である。A社では,3年前から暗号資産Bコインを取り扱っており,20万人の顧客が暗号資産口座を開設している。A社には財務部があり,顧客の預けた時価200億円相当のBコインを顧客に代わって保有し管理している。

〔Bコインの仕組み〕

Bコインは,楕円曲線暗号を用いたデジタル署名方式を用いて,分散型台帳で管理される。Bコインの保有者が,別の者にBコインを送ることを移転という。Bコインを移転する際は,まず,Bコインの移転先,移転数量などを含むバイナリ形式で表現されたBコインの移転指示情報(以下,移転情報という)に対して,移転元の署名鍵を用いてデジタル署名し,次に,そのデジタル署名済みの移転情報をBコインの分散型台帳を保存するサーバ(以下,Bコインノードという)の一つに送付する。デジタル署名済みの移転情報は,移転元の署名鍵に対応する検証鍵を用いて検証することができる。同一の移転情報は一度しか分散型台帳に記録されず,重複してBコインが移転されることはない。Bコインノードは,誰でも自由にインターネット上に立ち上げることができる。

〔A社のシステム構成〕

A社のシステム構成を図1に,機器の概要を表1にそれぞれ示す。

図1 A社のシステム構成(抜粋)
図の説明テキスト

A社のシステム構成を示すネットワーク構成図。クラウド基盤には仮想FW、VPNゲートウェイ、顧客向けサーバ、従業員向けサーバ、基幹サーバ、台帳サーバが含まれる。A社本社にはFW、L3SW、業務PCが含まれ、施設Kには鍵管理PCが置かれている。

表1 A社の機器の概要(抜粋)
図の説明テキスト

A社の機器の名称とその概要をまとめた表。VPNゲートウェイ、顧客向けサーバ、従業員向けサーバ、基幹サーバ、台帳サーバ、業務PC、鍵管理PC、仮想FWの概要が記載されている。

施設Kには鍵管理PCと監視カメラだけが設置してあり,施設Kはネットワークから遮断されている。監視カメラの映像は,監視カメラの内蔵ストレージに保存され,定期的に内蔵ストレージから別の媒体にコピーして保管される。施設Kの出入口には金属探知機がある。A社が保有し管理するBコインの署名鍵(以下,署名鍵Sという)は鍵管理PCに保存してあり,対応する検証鍵(以下,検証鍵Vという)は基幹サーバに保存してある。施設Kには,サイドチャネル攻撃を防ぐ対策が施されている。

A社は施設Kについて平常時の運用ルールを図2のとおり定めている。

図2 施設Kの平常時の運用ルール(抜粋)
図の説明テキスト

施設Kの平常時の運用ルールをまとめた図。

  1. 財務部の従業員だけに入室を許可する。
  2. 電子機器の持込み及び持出しは,会社の用意したUSBメモリ(以下,業務用メディアという)の持込み及び持出しだけを許可する。

出庫依頼は平均して1日5件あり,毎営業日に出庫依頼の処理(以下,出庫業務という)が行われる。出庫業務の処理手順を図3に示す。

図3 出庫業務の処理手順(概要)
図の説明テキスト

出庫業務の処理手順(手順1〜手順3)が記載された図。基幹サーバ、業務PC、鍵管理PCを用いたファイルのダウンロード、署名、アップロードの手順が示されている。

〔Bコインの不正移転への対策強化〕

A社の経営陣は,保有し管理するBコインの不正移転のうち,第三者の攻撃によるもの及び従業員一人の不正によるものの防止策を強化したいと考えた。そこで,セキュリティ部に所属する情報処理安全確保支援士(登録セキスペ)のJさんに,そういった不正移転の想定事例をまとめるよう指示した。Jさんは図4のとおり想定事例をまとめた。

図4 想定事例
図の説明テキスト

第三者の攻撃による想定事例(a)と従業員一人の不正による想定事例(b)が記載された図。事例(a)の中には、「図3の手順2(i)と(ii)の間及び(vi)と(vii)の間のそれぞれにおいてマルウェアXに特定の処理をさせる。」という記述がある。

A社の経営陣は出庫業務の処理手順を見直すよう財務部に指示した。財務部は,想定事例(a)に対しては,不正な移転情報を検知できるように,図5に示すシステム及び手順の改修案を考えた。

図5 システム及び手順の改修案
図の説明テキスト

システム及び手順の改修案をまとめた図。メッセージダイジェストを用いた照合ファイルの生成や確認手順の追加が記載されている。

A社の経営陣がこの改修案をJさんにレビューさせたところ,Jさんは,この改修案では,正規の移転情報を記録したファイルの一つを不正な移転情報に書き換えた上で,メッセージダイジェストが一致するように照合ファイルを書き換えることができてしまうと指摘し,改修案において,照合ファイルにメッセージダイジェストを記録する代わりに基幹サーバ及び署名アプリに共通鍵をもたせ,その共通鍵を使ったaを記録するよう提言した。

想定事例(b)に対して財務部は,出庫業務の担当者に対する研修を強化する対策に加えて,図3の手順2の作業中における不正行為の機会を減らす対策を講じることにした。

A社の経営陣がセキュリティ部に業務PCのログと監視カメラの映像を分析させたところ,事業開始以来,流出事案につながる不正の兆候は発見されなかった。

〔M社によるA社の買収〕

半年後,従業員200名で暗号資産交換業を営むM社がA社を買収し,A社の事業はM社に統合されることになった。M社では,M社の署名鍵をT社製ハードウェアセキュリティモジュール(以下,HSMという)に格納し,HSMをHSM管理用のサーバ(以下,HSM管理サーバという)にUSBケーブルで接続してから操作している。HSM管理サーバは,M社内のLANに接続されている。

事業統合に伴って,施設Kを閉鎖し,署名鍵SをM社に移管する方針になった。M社では署名鍵のネットワーク経由での送信を禁止する業務規程がある。そこでM社はA社に,図6に示す署名鍵Sの移送及び確認方法を提案した。

図6 署名鍵Sの移送及び確認方法
図の説明テキスト

作業1から作業5までの署名鍵Sの移送および確認の手順を示した図。

A社の経営陣から指示があり、Jさんがこの方法によって安全に署名鍵Sを移送できるかどうかを検討したところ、図6の方法には幾つかの問題点があることが分かった。そこで、Jさんは、図7を起案した。

図7 Jさんの案
図の説明テキスト

Jさんが提案した署名鍵Sの移送手順(作業1〜作業8)を示した図。作業3には「bcし」という記述が、作業6には「dし、得られたeをHSMに登録する」という記述がある。

Jさんは当初、図7の案では、図7の作業4で移送用メディアが盗難に遭ったとしても署名鍵Sは漏えいしないと考えていた。しかし、Jさんが図7の案を詳細に検討したところ、作業2及び4で移送用メディアを安全に持ち運びできたとしても、HSM管理サーバが仮にマルウェアに感染し、その結果、攻撃者の指示によって図7の作業1で移送用メディアに保存されるファイルが書き換えられ、かつ、図7の作業5で移送用メディアの内容を読み取られてしまった場合には、署名鍵Sが攻撃者に漏えいするリスクがあると分かった。

そこでJさんは、HSMの機能を利用して、移送用メディアに保存されるファイルの改ざんを検知できるように改良した手順をA社及びM社の経営陣に提案した。その結果、改良した手順を用いて施設KからHSMまで署名鍵Sを移送することが決定した。

設問と解答・解説

設問1

楕円曲線暗号を用いたデジタル署名アルゴリズムを解答群の中から全て選び,記号で答えよ。

  1. AES
  2. ECDH
  3. ECDSA
  4. EdDSA
  5. RSA
  6. SHA-256

模範解答

選択肢ウ: ECDSA

選択肢エ: EdDSA

配点 3

解説

正解の根拠

本問では、楕円曲線暗号を用いたデジタル署名アルゴリズムを選択します。

  • ECDSA(Elliptic Curve Digital Signature Algorithm)は、DSAを楕円曲線暗号に応用したデジタル署名方式です。
  • EdDSA(Edwards-curve Digital Signature Algorithm)は、エドワーズ曲線という特殊な楕円曲線を利用した高速なデジタル署名方式です。
    これら2つが正解となります。

各選択肢の解説

  • ア(AES): 共通鍵暗号方式であり、デジタル署名アルゴリズムではありません。
  • イ(ECDH): 楕円曲線暗号を用いた鍵共有アルゴリズムであり、デジタル署名アルゴリズムではありません。
  • オ(RSA): 素因数分解問題の困難性を安全性の根拠とする公開鍵暗号・デジタル署名方式であり、楕円曲線暗号を用いていません。
  • カ(SHA-256): 暗号学的ハッシュ関数であり、デジタル署名アルゴリズムそのものではありません。

設問2

本文中の下線①について,攻撃にはどのような手法が考えられるか。手法を具体的に答えよ。

模範解答

施設Kの外から,鍵管理PCの作動音や鍵管理PCから放出される電磁波を観測し,署名鍵Sを推測する。

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 鍵管理PCの作動音や電磁波を観測するサイドチャネル攻撃であることが正確に記述されている。
  • 2: 電磁波や作動音のいずれか一方のみ、または観測対象がやや曖昧に記述されている。
  • 1: 外部からの観測について触れているが、電磁波や作動音などの具体的な言及がない。
  • 0: 上記以外。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 施設Kの外から観測し、署名鍵Sを推測するという一連のプロセスが論理的に記述されている。
  • 1: 攻撃のプロセスに飛躍や不足がある。
  • 0: 上記以外。

解説

正解の根拠

暗号鍵の管理において、物理的な隔離(エアギャップ)環境であっても、機器の物理的特性(消費電力、電磁波、作動音、処理時間など)を外部から観測することで暗号鍵を推測するサイドチャネル攻撃のリスクがあります。
解答では、攻撃者が「施設Kの外」という物理的な制限がある中で、「電磁波」や「作動音」といった物理的特性を観測し、「署名鍵S」を推測するという具体的な手法を記述する必要があります。

高得点のポイント

  • 攻撃の観測対象として、鍵管理PCの作動音や放出される電磁波を挙げていること。
  • 攻撃の目的が署名鍵Sを推測することであると明記していること。
  • 施設Kの外から観測するという物理的な攻撃の前提条件を含めていること。

設問3

(1)

図4中の下線②について,どのような処理をさせるのか。処理の内容を答えよ。

模範解答

(i)と(ii)の間: Bコインを攻撃者に移転する移転情報を記録したファイルを業務用メディア内に追加する。

(vi)と(vii)の間: Bコインを攻撃者に移転する署名済みの移転情報を記録したファイルを攻撃者に送信するとともに,業務用メディアから削除する。

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 不正な移転情報の追加、および署名済移転情報の送信と隠蔽(削除)の両方が記述されている。
  • 2: 移転情報の追加、または署名済情報の送信・削除のいずれか一方の処理内容のみが記述されている。
  • 1: 処理内容が曖昧または不正確である。
  • 0: 上記以外。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 業務手順上の適切なタイミングにおいて、マルウェアが行う処理が矛盾なく論理的に構成されている。
  • 1: 処理の流れやタイミングの記述にやや飛躍がある。
  • 0: 上記以外。

解説

正解の根拠

Bコインの不正移転を成立させるためには、マルウェアはオフライン環境の鍵管理PCで「攻撃者宛の移転情報」に署名させる必要があります。
業務手順の(i)と(ii)の間で、業務用メディアに不正な移転情報を追加すれば、業務担当者が気づかずに鍵管理PCで署名を付与してしまいます。
その後、署名済みの情報が記録された業務用メディアがオンライン環境の業務PCに戻されたタイミング((vi)と(vii)の間)で、マルウェアが署名済みの不正な移転情報を外部(攻撃者)に送信し、証拠隠滅のために削除する処理が考えられます。

高得点のポイント

  • マルウェアが業務用メディアに不正な移転情報を追加する処理を記述していること。
  • 鍵管理PCで付与された署名済みの移転情報を攻撃者に送信する処理を記述していること。
  • 発見を遅らせるためにファイル情報を削除する隠蔽処理を含めていること。
  • これらの処理が業務手順上の適切なタイミングで行われることを示していること。

(2)

本文中のaに入れる共通鍵を使った適切な暗号技術を答えよ。

模範解答

メッセージ認証符号

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(5点)

  • 5: 「メッセージ認証符号」または「MAC」と正確に解答している。
  • 2: メッセージ認証の仕組みについて言及しているが、正確な名称ではない。
  • 0: デジタル署名など、誤った暗号技術を解答している。

解説

正解の根拠

本文中の空欄aには、「共通鍵」を使った適切な暗号技術が入ります。
データの完全性と送信元の認証を同時に行う技術であり、共通鍵暗号方式の仕組みを利用するものはメッセージ認証符号(MAC: Message Authentication Code)です。
デジタル署名などの回答は公開鍵暗号方式を利用するため、ここでは不適切です。

高得点のポイント

  • メッセージ認証符号(またはMAC)という用語を正確に記述できていること。

(3)

本文中の下線③について,対策を具体的に答えよ。

模範解答

当日担当者を複数名とし,互いに確認しながら作業を実施するように手順を変更する。

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 当日担当者を複数名とし、互いに確認(相互牽制)する仕組みが記述されている。
  • 2: 複数名での作業には言及しているが、互いに確認する目的や手順が不明確である。
  • 1: 作業担当者の変更などに触れているが、複数名での確認といった具体的な対策になっていない。
  • 0: 上記以外。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 業務手順をどのように変更するかが具体的かつ論理的に記述されている。
  • 1: 手順の変更内容が抽象的である。
  • 0: 上記以外。

解説

正解の根拠

内部不正(担当者による不正な持ち出しや操作)を防ぐための基本的なセキュリティ対策は、一人の人間に権限と作業を集中させないことです。
当日担当者が単独で作業を行える状況が脆弱性を生んでいるため、複数名での作業とし、相互に確認(ダブルチェック)させるプロセスを導入することが具体的な対策となります。

高得点のポイント

  • 作業担当者を複数名にすることを明記していること。
  • 担当者同士が互いに確認(相互牽制、ダブルチェック)しながら作業を実施する旨を記述していること。

設問3(1)は,正答率がやや低かった。一般に,攻撃者が不正行為を行うために用いる手段を推測することは,セキュリティを強化する上で重要である。システム構成及び業務手順を詳細に把握し,既存業務における弱点を見つけられるようにしてほしい。設問3(2)は,正答率が低かった。“デジタル署名”という解答が多く見られた。さまざまな暗号技術をしっかり理解してほしい。

設問4

〔M社によるA社の買収〕について答えよ。

(1)

本文中の下線④について,問題点のうちリスクの最も高いものを答えよ。

模範解答

作業2において,パスワードで暗号化した署名鍵Sと紙に書き留めたパスワードを一緒に移送している点

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 暗号化された情報(署名鍵S)と復号鍵(パスワード)が一緒に移送されているリスクを正確に指摘している。
  • 2: 暗号化情報とパスワードの管理不備には触れているが、「一緒に移送している」という具体的なリスクへの言及が弱い。
  • 1: 暗号鍵の扱いに問題があることは認識しているが、パスワードの同封リスクが指摘できていない。
  • 0: 上記以外。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 対象となる作業(作業2)と、リスクとなる行為(一緒に移送)が明確に対応して論理的に記述されている。
  • 1: 対象作業の特定や状況の記述に曖昧さがある。
  • 0: 上記以外。

解説

正解の根拠

情報の機密性を担保するためにデータを暗号化しても、そのデータを復号するための「鍵(パスワード)」を同時に、同じ経路で送付してしまっては、第三者に両方を奪われた際に容易に復号されてしまいます。
本文中の作業2において、暗号化された署名鍵Sと、その暗号化に用いたパスワードを書き留めた紙を一緒に金庫に入れて移送している点は、暗号鍵管理の原則(鍵の分離管理)に反する非常に高いリスクを伴う行為です。

高得点のポイント

  • 問題点として、暗号化された署名鍵Sパスワードを同時に扱っていることを指摘していること。
  • それらを一緒に移送している(分離管理されていない)という具体的な行為を挙げていること。

(2)

図7中のbに入れる適切な字句をb〜eの解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. 暗号鍵E
  2. 検証鍵V
  3. 署名鍵S
  4. 復号鍵D

模範解答

選択肢ウ: 署名鍵S

配点 2

解説

正解の根拠

公開鍵基盤やデジタル署名の仕組みにおいて、署名対象のデータに対して署名を行うために必要なのは署名鍵(秘密鍵)です。
A社側で署名を生成する仕組みであるため、図7の空欄bに入るのは署名鍵S(ウ)となります。

各選択肢の解説

  • ア(暗号鍵E): 公開鍵暗号においてデータを暗号化するための鍵であり、署名生成には使用しません。
  • イ(検証鍵V): 署名の正当性を検証するための公開鍵であり、署名生成には使用しません。
  • エ(復号鍵D): 暗号化されたデータを元に戻すための秘密鍵であり、ここでは不適切です。

(3)

図7中のcに入れる適切な字句をb〜eの解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. 暗号鍵E
  2. 検証鍵V
  3. 署名鍵S
  4. 復号鍵D

模範解答

選択肢ア: 暗号鍵E

配点 2

解説

正解の根拠

図7のプロセスにおいて、署名鍵Sを安全にM社へ送付するためには、M社の公開鍵(暗号化のための鍵)を用いてデータを保護する必要があります。
したがって、空欄cに入るのはM社が生成した鍵ペアのうちの公開鍵である暗号鍵E(ア)です。

各選択肢の解説

  • イ(検証鍵V): 署名の検証に用いる鍵であり、暗号化には使用しません。
  • ウ(署名鍵S): A社が作成した秘密鍵であり、暗号化に用いるものではありません。
  • エ(復号鍵D): M社がデータを元に戻すための秘密鍵であり、A社での暗号化には使用しません。

(4)

図7中のに入れる適切な字句をあ,いの解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. 暗号化
  2. 検証
  3. デジタル署名
  4. 復号

模範解答

選択肢オ: 暗号化

配点 2

解説

正解の根拠

空欄cで指定された暗号鍵E(公開鍵)を用いて行われる処理は、データの秘匿性を確保するための暗号化です。よって空欄あには暗号化(オ)が入ります。

各選択肢の解説

  • カ(検証): 署名の正当性を確認する処理であり、データの保護処理ではありません。
  • キ(デジタル署名): データの完全性と否認防止のための処理であり、暗号鍵Eを用いた秘匿化処理とは異なります。
  • ク(復号): 暗号化されたデータを元に戻す処理であり、ここでは不適切です。

(5)

図7中のdに入れる適切な字句をb〜eの解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. 暗号鍵E
  2. 検証鍵V
  3. 署名鍵S
  4. 復号鍵D

模範解答

選択肢エ: 復号鍵D

配点 2

解説

正解の根拠

M社側で受け取った暗号化データを元に戻すためには、暗号化に用いた暗号鍵Eと対になる秘密鍵が必要です。
したがって、空欄dに入るのはM社が保持している復号鍵D(エ)となります。

各選択肢の解説

  • ア(暗号鍵E): 暗号化に用いる公開鍵であり、復号には使用できません。
  • イ(検証鍵V): 署名の検証に用いる公開鍵であり、復号には使用できません。
  • ウ(署名鍵S): A社の署名用秘密鍵であり、暗号化データの復号には使用しません。

(6)

図7中のに入れる適切な字句をあ,いの解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. 暗号化
  2. 検証
  3. デジタル署名
  4. 復号

模範解答

選択肢ク: 復号

配点 2

解説

正解の根拠

暗号化されたデータに対して、対になる秘密鍵(復号鍵D)を用いて元のデータを取り出す処理は復号です。よって空欄いには復号(ク)が入ります。

各選択肢の解説

  • オ(暗号化): データを秘匿する処理であり、M社側で行うデータの取り出し処理ではありません。
  • カ(検証): 署名の正当性を確認する処理であり、ここでは不適切です。
  • キ(デジタル署名): 署名を生成する処理であり、暗号化されたデータを取り出す処理ではありません。

(7)

図7中のeに入れる適切な字句をb〜eの解答群の中から選び,記号で答えよ。

  1. 暗号鍵E
  2. 検証鍵V
  3. 署名鍵S
  4. 復号鍵D

模範解答

選択肢ウ: 署名鍵S

配点 2

解説

正解の根拠

復号処理によって最終的にM社側で取り出される元のデータは、A社が送付したかった署名鍵Sです。よって空欄eには署名鍵S(ウ)が入ります。

各選択肢の解説

  • ア(暗号鍵E): M社の公開鍵であり、取り出す対象のデータではありません。
  • イ(検証鍵V): 署名検証用の公開鍵であり、ここでの対象データではありません。
  • エ(復号鍵D): M社の秘密鍵であり、復号に用いる鍵そのものです。

(8)

本文中の下線⑤について,Jさんが考えていた根拠を答えよ。

模範解答

復号鍵Dがないので,暗号化された署名鍵Sは復号できない。

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 復号鍵Dがないため、暗号化された署名鍵Sを復号できない仕組みを正確に理解し記述している。
  • 2: 復号できないことは理解しているが、復号鍵Dという具体的な要素への言及が不足している。
  • 1: 公開鍵暗号の非対称性に関する理解が不十分である。
  • 0: 上記以外。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 必要な鍵がないという原因から、復号できないという結果に至る論理が明確に示されている。
  • 1: 原因と結果の結びつきが弱い、または説明不足である。
  • 0: 上記以外。

解説

正解の根拠

公開鍵暗号方式(ハイブリッド暗号方式の鍵配送部分などを含む)において、公開鍵(暗号鍵E)で暗号化されたデータは、それと対になる秘密鍵(復号鍵D)を持っていなければ復号することができません。
攻撃者が経路途中で暗号化された署名鍵Sを窃取したとしても、攻撃者はM社が厳重に管理している復号鍵Dを所持していないため、元の署名鍵Sを取り出すことは不可能です。

高得点のポイント

  • データを元に戻すために必要な復号鍵Dが攻撃者の手元にないことを指摘していること。
  • その結果として、暗号化された署名鍵Sを復号できないという結論を明確に述べていること。

(9)

本文中の下線⑥について,攻撃者はファイルを何に書き換えるか。書換え後のファイルの内容を答えよ。

模範解答

攻撃者の生成した鍵ペアの暗号鍵

採点基準(配点 5点)

知識・理解度(内容)(3点)

  • 3: 攻撃者が生成した鍵ペアの暗号鍵(公開鍵)にすり替える中間者攻撃の手法を正確に記述している。
  • 2: 暗号鍵の書き換えには言及しているが、「攻撃者が生成した」という主体が不明確である。
  • 1: 書き換える対象が暗号鍵であることが明記されていない。
  • 0: 上記以外。

論理性(構造)(2点)

  • 2: 誰の、どのような鍵に書き換えるのかが論理的かつ具体的に記述されている。
  • 1: 記述に曖昧さがあり、書き換えの内容が完全に特定できない。
  • 0: 上記以外。

解説

正解の根拠

鍵配送における典型的な攻撃手法である中間者攻撃(Man-in-the-Middle Attack)に関する問題です。
M社からA社へ暗号鍵E(公開鍵)を送信する際、攻撃者が経路上で通信を傍受し、自身が生成した別の公開鍵(暗号鍵)にすり替えてA社に送ります。
A社はすり替えられた攻撃者の暗号鍵を使って署名鍵Sを暗号化してしまうため、攻撃者は自身の持つ秘密鍵(復号鍵)でそれを復号し、署名鍵Sを窃取することが可能になります。

高得点のポイント

  • 書き換える内容が暗号鍵(公開鍵)であることを明示していること。
  • その暗号鍵が、M社のものではなく攻撃者自身が生成した鍵ペアのものであることを正確に表現していること。

設問4(1)は,正答率が平均的であった。情報の暗号化において暗号鍵としてパスワードを用いることは一般的であり,適切にパスワードを管理すれば情報の機密性を守ることができる。しかし,攻撃者が暗号文とパスワードを同時に入手できれば情報が攻撃者に知られてしまう。パスワードなどの暗号鍵及び暗号化した情報の管理方法を併せて検討してほしい。