令和3年度 春期 ネットワークスペシャリスト試験 午後Ⅰ 問題 問2 企業合併に伴うOSPFエリアの統合と経路集約によるループ防止
テクノロジネットワーク
学習ガイド
企業合併による2社のネットワーク統合を題材に、OSPFによる複雑な経路制御を解き明かす問題です。OSPFの基礎知識に加え、経路集約がもたらす効果とルーティングループの危険性、バックボーンエリアの分断を解消する仮想リンクの設計が問われます。図1のIPアドレス体系から集約設定の適用範囲を特定し、パケットが意図せずループする条件を導き出します。そして、図2の統合後の構成において、どのルータにどのような追加設定を行えば適切な経路が維持できるかを段階的に考察します。
この記事で押さえる論点
- OSPFのルータLSAに含まれる情報や最短経路を計算するアルゴリズムの名称を述べられる
- エリア境界ルータにおける経路集約の目的と、それに起因するルーティングループの発生メカニズムを説明できる
- 分断されたバックボーンエリアを論理的に接続する仮想リンクの役割と設定条件を説明できる
- OSPFネットワークにデフォルトルートを導入し、インターネット接続への経路を動的に伝播させる仕組みを説明できる
出題情報
- 出題
- 2021(R3)春 ネットワークスペシャリスト 午後I 問2
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
OSPFは,IPネットワークにおいて動的経路制御を行うためのルーティングプロトコルとして多く使われている。動的経路制御を利用した環境において安定したネットワーク運用を行うためには,ルーティングプロトコルを正しく理解することが重要である。また,近年において,クラウド内環境と企業内環境間をVPNで接続して,クラウド環境を自社内環境と同様に利用する形態もよく見られる。
本問では,OSPFプロトコルによるルーティング設計とIPsecトンネリングによるクラウド接続を題材に,ネットワーク設計と構築に必要な基本的スキルを問う。
問2では,企業におけるネットワーク統合を題材に,OSPFを利用した経路制御の基本について出題した。全体として,正答率は低かった。
問題本文
企業ネットワークの統合に関する次の記述を読んで,設問1〜4に答えよ。
D社は,本社及び三つの支社を国内にもつ中堅の商社である。D社の社内システムは,クラウドサービス事業者であるG社の仮想サーバでWebシステムとして構築されており,本社及び支社内のPCからインターネット経由で利用されている。このたびD社は,グループ企業のE社を吸収合併することになり,E社のネットワークをD社のネットワークに接続(以下,ネットワーク統合という)するための検討を行うことになった。
〔D社の現行のネットワークの概要〕
D社の現行のネットワークの概要を次に示す。
- PCは,G社VPC(Virtual Private Cloud)内にある仮想サーバにインターネットを経由してアクセスし,社内システムを利用する。VPCとは,クラウド内に用意されたプライベートな仮想ネットワークである。
- 本社と支社間は,広域イーサネットサービス網(以下,広域イーサ網という)で接続している。
- PCからインターネットを経由して他のサイトにアクセスするために,ファイアウォール(以下,FWという)のNAPT機能を利用する。
- PCからインターネットを経由してVPC内部にアクセスするために,G社が提供している仮想的なIPsec VPNサーバ(以下,VPC GWという)を利用する。
- FWとVPC GWの間にIPsecトンネルが設定されており,PCからVPCへのアクセスは,FWとVPC GWの間に設定されたIPsecトンネルを経由する。
- 社内のネットワークの経路制御には,OSPFを利用しており,OSPFプロトコルを設定している機器は,ルータ,レイヤ3スイッチ(以下,L3SWという)及びFWである。
- 本社のLANのOSPFエリアは0であり,支社1〜3のLAN及び広域イーサ網のOSPFエリアは1である。
- FWにはインターネットへの静的デフォルト経路を設定しており,①全社のOSPFエリアからインターネットへのアクセスを可能にするための設定が行われている。
D社の現行のネットワーク構成を図1に示す。

図の説明テキスト
D社の現行のネットワーク構成を示す図。
以下の要素で構成される:
- 支社1:PC群(2台)がL2SW1, L2SW2に接続。L2SW1はL3SW1とセグメントaで接続、L2SW2はL3SW1とセグメントbで接続。L3SW1は広域イーサ網に接続。
- 支社2:PC群(2台)がL2SW3, L2SW4に接続。L2SW3はL3SW2とセグメントcで接続、L2SW4はL3SW2とセグメントdで接続。L3SW2は広域イーサ網に接続。
- 支社3:PC群(2台)がL2SW5, L2SW6に接続。L2SW5はL3SW3とセグメントeで接続、L2SW6はL3SW3とセグメントfで接続。L3SW3は広域イーサ網に接続。
- 広域イーサ網:セグメントg。各支社のL3SWと本社のルータを接続。
- インターネット:G社VPCのVPC GW、本社のFWと接続。
- G社VPC:仮想サーバ群(2台)が仮想セグメント(セグメントn)に接続。仮想セグメントはVPC GWに接続。VPC GW(x.y.z.1)はインターネットに接続。
- 本社:
- ルータが広域イーサ網とL2SW7(セグメントh)を接続。
- FW(t.u.v.5)がインターネット(セグメントm)とL2SW7を接続。
- L2SW7の配下にL3SW4とL3SW5が接続。
- L3SW4の配下にL2SW8(セグメントi)とL2SW9(セグメントj)が接続。それぞれPCが接続。
- L3SW5の配下にL2SW10(セグメントk)とL2SW11(セグメントl)が接続。それぞれPCが接続。
注記として以下が記載されている。
- L2SW:レイヤ2スイッチ
- 注記1 a〜nは、セグメントを示す。
- 注記2 t.u.v.5及びx.y.z.1は、グローバルIPアドレスを示す。
D社の現行のネットワークにおける各セグメントのIPアドレスを表1に示す。

図の説明テキスト
表1 D社の現行のネットワークにおける各セグメントのIPアドレス
| セグメント | IPアドレス | セグメント | IPアドレス |
|---|---|---|---|
| a | 172.16.0.0/23 | h | 172.17.0.0/25 |
| b | 172.16.2.0/23 | i | 172.17.2.0/23 |
| c | 172.16.4.0/23 | j | 172.17.4.0/23 |
| d | 172.16.6.0/23 | k | 172.17.6.0/23 |
| e | 172.16.8.0/23 | l | 172.17.8.0/23 |
| f | 172.16.10.0/23 | m | t.u.v.4/30 |
| g | 172.16.12.64/26 | n | 192.168.1.0/24 |
G社は,クラウドサービス利用者のためにインターネットからアクセス可能なサービスポータルサイト(以下,サービスポータルという)を公開しており,クラウドサービス利用者はサービスポータルにアクセスすることによってVPC GWの設定ができる。D社では,VPC GWとFWに次の項目を設定している。
- VPC GW設定項目:VPC内仮想セグメントのアドレス(192.168.1.0/24),IPsec VPN認証用の事前a,FWの外部アドレス(t.u.v.5),D社内ネットワークアドレス(172.16.0.0/16,172.17.0.0/16)
- FW設定項目:VPC内仮想セグメントのアドレス(192.168.1.0/24),IPsec VPN認証用の事前a,VPC GWの外部アドレス(x.y.z.1),D社内ネットワークアドレス(172.16.0.0/16,172.17.0.0/16)
〔OSPFによる経路制御〕
OSPFは,リンクステート型のルーティングプロトコルである。OSPFルータは,隣接するルータ同士でリンクステートアドバタイズメント(以下,LSAという)と呼ばれる情報を交換することによって,ネットワーク内のリンク情報を集め,ネットワークトポロジのデータベースLSDB(Link State Database)を構築する。LSAには幾つかの種別があり,それぞれのTypeが定められている。例えば,bLSAと呼ばれるType1のLSAは,OSPFエリア内のbに関する情報であり,その情報には,cと呼ばれるメトリック値などが含まれている。また,Type2のLSAは,ネットワークLSAと呼ばれる。OSPFエリア内の各ルータは,集められたLSAの情報を基にして,dアルゴリズムを用いた最短経路計算を行って,ルーティングテーブルを動的に作成する。さらに,OSPFには,②複数の経路情報を一つに集約する機能(以下,経路集約機能という)がある。D社では,支社へのネットワーク経路を集約することを目的として,③ある特定のネットワーク機器で経路集約機能を設定している(以下,この集約設定を支社ネットワーク集約という)。支社ネットワーク集約がされた状態で,本社のL3SWの経路テーブルを見ると,a〜gのそれぞれを宛先とする経路(以下,支社個別経路という)が一つに集約された,e/16を宛先とする経路が確認できる。また,D社では,支社ネットワーク集約によって意図しない④ルーティングループが発生してしまうことを防ぐための設定を行っているが,その設定の結果,表2に示すOSPF経路が生成され,ルーティングループが防止される。

図の説明テキスト
表2 ルーティングループを防ぐ OSPF 経路
| 設定機器 | 宛先ネットワークアドレス | ネクストホップ |
|---|---|---|
| f | g | Null0 |
注記 Null0 はパケットを捨てることを示す。
〔D社とE社のネットワーク統合の検討〕
D社とE社のネットワーク統合を実現するために,情報システム部のFさんが検討することになった。Fさんは,E社の現行のネットワークについての情報を集め,次のようにまとめた。
- E社のオフィスは,本社1拠点だけである。
- E社の本社は,D社の支社1と同一ビル内の別フロアにオフィスを構えている。
- E社の社内システム(以下,E社社内システムという)は,クラウドサービス事業者であるH社のVPC内にある仮想サーバ上でWebシステムとして構築されている。
- E社のPCは,インターネットVPNを介して,E社社内システムにアクセスしている。
- E社のネットワークの経路制御はOSPFで行っており全体がOSPFエリア0である。
- E社のネットワークのIPアドレスブロックは,172.18.0.0/16を利用している。
情報システム部は,Fさんの調査を基にして,E社のネットワークをD社に統合するための次の方針を立てた。
- ネットワーク統合後の早急な業務の開始が必要なので,現行ネットワークからの構成変更は最小限とする。
- E社のネットワークとD社の支社1ネットワークを同一ビルのフロアの間で接続する(以下,この接続をフロア間接続という)。
- フロア間接続のために,D社の支社1のL3SW1とE社のL3SW6の間に新規サブネットを作成する。当該新規サブネット部分のアドレスは,E社のIPアドレスブロックから新たに割り当てる。新規サブネット部分のOSPFエリアは0とする。
- 両社のOSPFを一つのルーティングドメインとする。
- H社VPC内の仮想サーバはG社VPCに移設し,統合後の全社から利用する。
- E社がこれまで利用してきたインターネット接続回線及びH社VPCについては契約を解除する。
Fさんの考えた統合後のネットワーク構成を図2に示す。

図の説明テキスト
図2 Fさんの考えた統合後のネットワーク構成
ネットワークの構成要素と接続関係:
- G社VPC: 仮想サーバとVPC GWが仮想セグメントで接続されている。VPC GWはインターネットに接続されている。
- 支社1: L3SW1配下にL2SW1(セグメントa), L2SW2(セグメントb)がありPCが接続されている。
- 支社2: L3SW2配下にL2SW3(セグメントc), L2SW4(セグメントd)がありPCが接続されている。
- 支社3: L3SW3配下にL2SW5(セグメントe), L2SW6(セグメントf)がありPCが接続されている。
- 広域イーサ網: セグメントg。支社1〜3のL3SW(L3SW1, L3SW2, L3SW3)と本社のルータを相互に接続している。
- 本社: インターネットからFW、広域イーサ網からルータを介してL2SW7に接続されている。L2SW7とL3SW4・L3SW5の間はセグメントh。L3SW4配下にL2SW8(セグメントi), L2SW9(セグメントj)。L3SW5配下にL2SW10(セグメントk), L2SW11(セグメントl)。それぞれ末端にPCが接続されている。
- E社: 上部にL2SW12があり、その配下にL3SW6, L3SW7が接続されている。L3SW6と支社1のL3SW1の間がフロア間接続(破線)で繋がれている。L3SW6配下にL2SW13, L2SW14、L3SW7配下にL2SW15, L2SW16があり、それぞれPCが接続されている。
- OSPFエリア1(灰色背景): 支社1〜3(セグメントa〜f)と広域イーサ網(セグメントg)、および広域イーサ網から本社のルータまでの接続部分を包含している。
- OSPFエリア0(灰色背景): 本社のL2SW7(セグメントh)以下(L3SW4・L3SW5、セグメントi〜l)と、E社のL2SW12以下(L3SW6・L3SW7、L2SW13〜L2SW16)が、それぞれ別の網掛けで包含されている。L3SW1とE社L3SW6を結ぶフロア間接続(破線)にも網掛けが付き、E社側のエリア0の網掛けにつながっている。本社のルータとFWは網掛けの外にある。
- 注記:
----は、フロア間接続を示す。- 灰色背景の領域は、OSPFエリアを示す。
- a〜l は、セグメントを示す。
Fさんは,両社間の接続について更に検討を行い,課題を次のとおりまとめた。
- フロア間を接続しただけでは,OSPFエリア0がOSPFエリア1によって二つに分断されたエリア構成となる。そのため,フロア間接続を行っても⑤E社のネットワークからの通信が到達できないD社内のネットワーク部分が生じ,E社からインターネットへのアクセスもできない。
- 下線⑤の問題を解決するために,⑥NW機器のOSPF関連の追加の設定(以下,フロア間OSPF追加設定という)を行う必要がある。
- フロア間接続及びフロア間OSPF追加設定を行った場合,D社側のOSPFエリア0とE社側のOSPFエリア0は両方合わせて一つのOSPFエリア0となる。このとき,フロア間OSPF追加設定を行う2台の機器はいずれもエリア境界ルータである。また,OSPFエリアの構成としては,OSPFエリア0とOSPFエリア1がこれらの2台のエリア境界ルータで並列に接続された形となる。その結果,D社ネットワークで行われていた支社ネットワーク集約の効果がなくなり,本社のOSPFエリア0のネットワーク内に支社個別経路が現れてしまう。それを防ぐためには,⑦ネットワーク機器への追加の設定が必要である。
- E社のネットワークセグメントから仮想サーバへのアクセスを可能とするためには,FWとVPC GWに対してE社のアドレスを追加で設定することが必要である。
これらの課題の対応で,両社のネットワーク全体の経路制御が行えるようになることを報告したところ,検討結果が承認され,ネットワーク統合プロジェクトリーダにFさんが任命された。
設問と解答・解説
本文中の空欄aに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
共有鍵
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 軽微な表記揺れがあるが、意味は正しく伝わる。
- 0点: 指定された字句と一致しない、または解答がない。
本文中の空欄bに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
ルータ
採点基準
- 3点: 「ルータ」と解答している。長音符(ルーター)、全角半角、大文字小文字(router)だけの違いは満点。
- 1点: 意味は通じるが別の語(「ルータLSA」など)。
- 0点: ネットワーク・エリアなど別の字句、または解答がない。
本文中の空欄dに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
ダイクストラ
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。英字表記「Dijkstra」(大文字小文字は問わない)や「ダイクストラ法」も満点とする。
- 1点: 軽微な表記揺れがあるが、意味は正しく伝わる。
- 0点: 指定された字句と一致しない、または解答がない。
解説
OSPFにおける最短経路計算のアルゴリズムに関する知識が問われています。
OSPFエリア内の各ルータは、収集したLSAを基に構築されたLSDB (Link State Database) を用い、自身を起点とした最短経路木 (SPF Tree) を計算します。この計算には ダイクストラ (Dijkstra) アルゴリズムが用いられます。したがって、空欄dには「ダイクストラ」が入ります。
本文中の空欄eに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
172.16.0.0
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 軽微な表記揺れがあるが、意味は正しく伝わる。
- 0点: 指定された字句と一致しない、または解答がない。
解説
IPアドレスの経路集約に関する問題です。
表1より、支社1〜3および広域イーサ網のセグメントa〜gのIPアドレスは以下のようになっています。
- a:
172.16.0.0/23 - b:
172.16.2.0/23 - c:
172.16.4.0/23 - d:
172.16.6.0/23 - e:
172.16.8.0/23 - f:
172.16.10.0/23 - g:
172.16.12.64/26
これらはすべて第2オクテットが 16 である 172.16.X.X の範囲に含まれています。したがって、これらを /16 のプレフィックス長で一つに集約したネットワークアドレスは 172.16.0.0/16 となります。空欄eには「172.16.0.0」が入ります。
設問2
本文中の下線①について,設定の内容を25字以内で述べよ。
模範解答
OSPFへデフォルトルートを導入する。
採点基準
- 2点: 導入先がOSPFであることが明確に記述されている。
- 0点: OSPFへの言及がない、または不適切。
- 3点: デフォルトルート(デフォルト経路)を導入・再配送することが明確に記述されている。
- 1点: 静的経路の導入など、方向性は合っているが用語が不正確。
- 0点: デフォルトルートに関する記述がない。
解説
OSPFを利用したネットワークからインターネットへの経路制御に関する問題です。
本文中には「FWにはインターネットへの静的デフォルト経路を設定しており」とあります。社内のPCがインターネットへアクセスするためには、社内のOSPFルータ(L3SWやルータなど)が、宛先が分からないパケットをFWへ転送するように経路情報を保持している必要があります。
これを実現するためには、FWに設定された静的デフォルト経路(0.0.0.0/0)をOSPFの経路情報として社内のOSPFエリア内に広告(再配送)する必要があります。したがって、設定内容は「OSPFへデフォルトルートを導入する。」となります。
高得点のポイント
- 導入・再配送の対象プロトコルが OSPF であることを明記する
- 導入する経路が デフォルトルート(あるいはデフォルト経路)であることを明確にする
設問2は,正答率が低かった。OSPFでのデフォルト経路の取扱いは,企業内ネットワークからインターネットを利用するような一般的なネットワーク構成において必要な基本事項なので,よく理解してほしい。
設問3
〔OSPFによる経路制御〕について,(1)〜(4)に答えよ。
本文中の下線②について,この機能を使って経路を集約する目的を25字以内で述べよ。
模範解答
ルーティングテーブルサイズを小さくする。
採点基準
- 2点: ルーティングテーブルサイズに関する記述が明確に含まれている。
- 0点: ルーティングテーブルサイズに関する記述がない。
- 1点: サイズを小さくする(削減・縮小する)旨が示されている。
- 0点: 目的が不明確、または記述がない。
本文中の下線③について,経路集約を設定している機器を図1中の機器名で答えよ。
模範解答
ルータ
採点基準
- 2点: 本社と広域イーサ網の境界にある機器を正しく特定できている。
- 0点: 機器の特定が誤っている。
- 1点: 図1中の機器名「ルータ」で答えている。長音符(ルーター)だけの違いは正しい記述とみなす。
- 0点: 「L3SW4」「FW」など別の機器の記述である。
本文中の下線④について,ルーティングループが発生する可能性があるのは,どの機器とどの機器の間か。二つの機器を図1中の機器名で答えよ。
模範解答
ルータとFWの間
採点基準
- 1点: 「ルータ」が正しく含まれている。長音符(ルーター)も可。表記の違いと二つの機器の順序(FWとルータの間)は問わない。
- 0点: 「ルータ」が含まれていない。
- 2点: デフォルトルートの転送先である「FW」が正しく含まれている。「ファイアウォール」も可。表記の違いと二つの機器の順序(FWとルータの間)は問わない。
- 0点: 「FW」が含まれていない。
解説
経路集約によるルーティングループの発生箇所を特定する問題です。
本社の「ルータ」は、支社のネットワーク(エリア1)を 172.16.0.0/16 に集約して本社のネットワーク(エリア0)に広告しています。もし、社内から 172.16.0.0/16 の範囲に含まれるが、実際には存在しない未割り当てのIPアドレス(例: 172.16.20.1 など)宛のパケットが送信された場合を考えます。
- 本社の「ルータ」は、この宛先への個別経路を持たないため、自身が保持するデフォルトルートに従い、パケットをインターネット方向である「FW」へ転送します。
- 「FW」は、OSPFにより「ルータ」から
172.16.0.0/16の集約経路を受け取っているため、このパケットの宛先が社内ネットワークであると判断し、再び「ルータ」へ転送します。
このようにして、「ルータ」と「FW」の間でパケットがループし続けることになります。
高得点のポイント
- 経路集約によりデフォルトルートへ転送してしまう ルータ を特定する
- OSPFによって集約経路を受け取っており、パケットを折り返してしまう FW を特定する
表2中の空欄fに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
ルータ
採点基準
- 3点: 「ルータ」と解答している。長音符(ルーター)、全角半角、大文字小文字だけの違いは満点。
- 1点: 本社のルータを指していると読めるが別の呼び方(「ABR」「エリア境界ルータ」など)。
- 0点: FW・L3SW4など別の機器、または解答がない。
解説
経路集約時のルーティングループを防ぐための設定(Null0ルーティング)に関する問題です。
前問で確認した通り、ルーティングループは集約経路に包含されるが実際の個別経路が存在しない宛先へのパケットが、デフォルトルートに従ってFWに送られることで発生します。
これを防ぐためには、経路集約を行う機器である「ルータ」(空欄f)において、集約したネットワークアドレスである 172.16.0.0/16(空欄g)を宛先とし、ネクストホップをパケットを破棄するインターフェースである Null0 とする静的経路(ディスカードルート)を設定します。
これにより、実際の個別経路が存在しない宛先のパケットは Null0 へ送られ破棄されるため、ループが防止されます。
表2中の空欄gに入れる適切な字句を答えよ。
模範解答
172.16.0.0/16
採点基準
- 3点: 指定された字句と完全に一致している。
- 1点: 軽微な表記揺れがあるが、意味は正しく伝わる。
- 0点: 指定された字句と一致しない、または解答がない。
設問4
〔D社とE社のネットワーク統合の検討〕について,(1)〜(3)に答えよ。
本文中の下線⑤について,到達できないD社内ネットワーク部分を,図2中のa〜lの記号で全て答えよ。
模範解答
h
i
j
k
l
採点基準
- 2点: 本社側のエリア0に含まれるセグメントを認識できている。
- 0点: 到達不可となるセグメントの認識が誤っている。
- 1点: 「h, i, j, k, l」の全てが過不足なく解答されている。
- 0点: 不足や余分な記号が含まれている。
解説
OSPFのエリア設計規則と、エリア分断時の通信に関する問題です。
OSPFでは、バックボーンエリアである「エリア0」は一つに連続している必要があり、すべての他のエリアはエリア0に隣接していなければならないという厳密なルールがあります。
図2において、フロア間接続をエリア0として設定した場合、E社側のエリア0と、本社側のエリア0が、広域イーサ網を含むエリア1によって分断された状態となります。OSPFの仕様上、分断されたエリア0同士の間で直接経路情報を交換することはできず、エリア1を経由して別のエリア0へ経路情報を伝えることもできません。
したがって、E社のネットワーク(E社側のエリア0)からは、エリア1の機器(支社1〜3)へは通信できますが、分断された向こう側にあるD社本社のエリア0には経路が到達せず通信できません。図2においてD社本社のエリア0に含まれるセグメントは h, i, j, k, l です。
高得点のポイント
- エリア0の分断により影響を受けるのが 本社側 のネットワークであることを理解する
- 該当するセグメント記号
h, i, j, k, lを全て過不足なく解答する
本文中の下線⑥について,フロア間OSPF追加設定を行う必要がある二つの機器を答えよ。
模範解答
ルータ
L3SW1
採点基準
- 1点: 「ルータ」が正しく含まれている。
- 0点: 「ルータ」が含まれていない。
- 2点: 「L3SW1」が正しく含まれている。
- 0点: 「L3SW1」が含まれていない。
解説
分断されたOSPFエリア0を論理的に接続するための設定に関する問題です。
前問の通り、エリア0がエリア1によって物理的に分断されてしまった場合、OSPFの 仮想リンク (Virtual Link) 機能を用いることで、エリア1をトランジットエリアとして通過させ、分断されたエリア0を論理的に接続することができます。
仮想リンクは、分断されたエリア0を接続するために、トランジットエリア(この場合はエリア1)の両端に位置するエリア境界ルータ (ABR) 間で設定します。図2において、E社側のエリア0とエリア1の境界ルータとなるのは支社1の L3SW1 であり、本社側のエリア0とエリア1の境界ルータとなるのは本社の ルータ です。したがって、この2台の間で仮想リンクの設定を行う必要があります。
高得点のポイント
- 仮想リンクの端点となる既存のABRである ルータ を正しく特定する
- 仮想リンクのもう一方の端点となる新規のABRである L3SW1 を正しく特定する
また,その設定内容を25字以内で述べよ。
模範解答
OSPF仮想リンクの接続設定を行う。
採点基準
- 2点: OSPF仮想リンク(Virtual Link)に関する言及がある。
- 0点: 仮想リンクへの言及がない。
- 1点: 接続設定を行うことが示されている。
- 0点: 設定内容が不明確。
本文中の下線⑦について,設定が必要なネットワーク機器を答えよ。
模範解答
L3SW1
採点基準
- 2点: フロア間接続によって新たにABRとして機能する機器を認識できている。
- 0点: 機器の認識が誤っている。
- 1点: 「L3SW1」と正しく記述されている。大文字小文字・全角半角だけの違いは正しい記述とみなす。
- 0点: 「L3SW1」以外の記述である。
解説
複数のABRが存在する場合の経路集約の追加設定が必要な機器を特定する問題です。
フロア間接続と仮想リンクの設定により、支社1の L3SW1 も新たにエリア0とエリア1を接続するエリア境界ルータ (ABR) となります。OSPFにおいて、異なるエリアへの経路集約はABRで行う必要があります。
本社の「ルータ」ではすでに支社ネットワーク集約が設定されていますが、新たに追加されたABRである L3SW1 にはその設定がないため、ここで追加の集約設定を行う必要があります。
高得点のポイント
- 仮想リンク設定により新たにABRとして機能するようになった機器を理解する
- 図2の表記に基づき、該当する機器 L3SW1 を正確に解答する
また,その設定内容を40字以内で述べよ。
模範解答
OSPFエリア1の支社個別経路を172.16.0.0/16に集約する。
採点基準
- 2点: 支社個別経路(エリア1の経路)を集約する旨が示されている。
- 0点: 経路集約に関する記述がない。
- 1点: 集約先のアドレスとして「172.16.0.0/16」が記述されている。
- 0点: 集約先アドレスが誤っている、または記述がない。
解説
新たに追加されたABRにおける経路集約の設定内容に関する問題です。
本社の「ルータ」ではすでに支社ネットワーク集約(172.16.0.0/16 への集約)が設定されていますが、新たに追加されたABRである L3SW1 にはその設定がないため、L3SW1はエリア1内の各支社の個別経路(172.16.X.X/23 など)をそのままエリア0(仮想リンクを経由して本社のエリア0)へ広告してしまいます。
これを防ぐためには、新たに追加されたABRである L3SW1 においても、本社の「ルータ」と同様に OSPFエリア1の支社個別経路を172.16.0.0/16に集約する 設定を行う必要があります。
高得点のポイント
- OSPFエリア1の支社個別経路 を集約の対象としていることを明記する
- 集約後のネットワークアドレスが 172.16.0.0/16 であることを明確にする
設問4(2)は,正答率が低かった。OSPF仮想リンクは,初期構築段階では想定外であったネットワーク統合を後から行う場合などに役立つもので,OSPFネットワーク設計の柔軟性を増すための有用な技術である。その動作原理や活用パターンについて是非理解してほしい。 設問4(3)は,正答率が低かった。特に,エリアボーダルータ(ABR)ではないルータを誤って解答する例が多く見られた。OSPFルータの種別とその見分け方,種別ごとの役割と動作を正しく理解した上で,本文中に示されたABRにおけるネットワーク集約に関する記述をきちんと読み取り,正答を導き出してほしい。