令和4年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅱ 問題 問1 事業環境の変化に伴う計画変更への対応(論述)

学習ガイド

システム開発プロジェクトの実行中に事業環境が変化し、外部のステークホルダから計画変更を求められた経験を論じる午後II問題です。計画変更に伴う機会と脅威を分けて捉え、それぞれへの対応策と確定した計画変更の内容、実施の状況と評価を構成します。機会と脅威を同じ変更から別々に導く論述の骨組みを示します。

この記事で押さえる論点

  • 事業環境の変化と、外部のステークホルダから受けた計画変更の要求を因果関係で描く
  • 計画変更に伴う機会(プラスの影響)と脅威(マイナスの影響)を分けて特定する
  • 機会を生かす対応策と脅威を抑える対応策をそれぞれ具体化し、反映した計画変更の内容を確定する
  • 計画変更の実施状況と、事業環境の変化への対応としての評価を論理的につなぐ

問題本文

システム開発プロジェクトにおける事業環境の変化への対応について

システム開発プロジェクトでは,事業環境の変化に対応して,プロジェクトチームの外部のステークホルダからプロジェクトの実行中に計画変更の要求を受けることがある。このような計画変更には,プロジェクトにプラスの影響を与える機会とマイナスの影響を与える脅威が伴う。計画変更を効果的に実施するためには,機会を生かす対応策と脅威を抑える対応策の策定が重要である。

例えば,競合相手との差別化を図る機能の提供を目的とするシステム開発プロジェクトの実行中に,競合相手が同種の新機能を提供することを公表し,これに対応して営業部門から,差別化を図る機能の提供時期を,予算を追加してでも前倒しする計画変更が要求されたとする。この計画変更で,短期開発への挑戦というプラスの影響を与える機会が生まれ,プロジェクトチームの成長が期待できる。この機会を生かすために,短期開発の経験者をプロジェクトチームに加え,メンバーがそのノウハウを習得するという対応策を策定する。一方で,スケジュールの見直しというマイナスの影響を与える脅威が生まれ,プロジェクトチームが混乱したり生産性が低下したりする。この脅威を抑えるために,差別化に寄与する度合いの高い機能から段階的に前倒しして提供していくという対応策を策定する。

策定した対応策を反映した上で,計画変更の内容を確定して実施し,事業環境の変化に迅速に対応する。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜設問ウに従って論述せよ。

設問と解答・解説

設問ア

配点 34点

あなたが携わったシステム開発プロジェクトの概要と目的,計画変更の背景となった事業環境の変化,及びプロジェクトチームの外部のステークホルダからプロジェクトの実行中に受けた計画変更の要求の内容について,800字以内で述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)18点
  • 18点: プロジェクトの概要と目的、事業環境の変化の背景、外部ステークホルダからの計画変更要求のすべてが極めて具体的かつ明確に記述されている。
  • 14点: 要求された要素がすべて記述されており、概ね具体的である。
  • 11点: 要求された要素は含まれているが、具体性にやや欠ける。
  • 7点: 一部の要素が不足している、または記述が全体的に曖昧である。
  • 0点: 内容が全く見当違いか、記載がない。
論理性(構造)16点
  • 16点: 文章の構成が極めて論理的であり、事業環境の変化と要求内容の繋がりが一貫している。
  • 13点: 論理展開が自然であり、構成も適切である。
  • 10点: 一部論理の飛躍があるが、全体としては理解できる。
  • 6点: 論理の飛躍が多く、文脈の繋がりが分かりにくい。
  • 0点: 論理性が全くないか、記載がない。

解説

設問の意図と背景 本問は、プロジェクトマネージャとして、事業環境の変化に伴う計画変更の要求にどのように対応するか、その前提となる状況設定を明確に論述することを求めています。

高得点のポイント

  • プロジェクトの概要と目的を読み手がイメージできるよう明確に記述すること。
  • 背景となる事業環境の変化(市場動向、競合の出現、法規制の変更など)を具体的に説明すること。
  • 外部のステークホルダ(顧客、スポンサー、規制当局など)からの計画変更の要求の内容が、前述の事業環境の変化と論理的に結びついていること。

設問イ

配点 33点

設問アで述べた計画変更の要求を受けて策定した,機会を生かす対応策,脅威を抑える対応策,及び確定させた計画変更の内容について,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)17点
  • 17点: 機会を生かす対応策と脅威を抑える対応策が両方とも具体的かつプロジェクトの状況に即しており、確定させた計画変更の内容が極めて妥当である。
  • 14点: 両対応策が明確に記述されており、確定させた計画変更の内容も概ね妥当である。
  • 10点: 対応策のどちらかがやや抽象的であるか、プロジェクトの状況との整合性が少し弱い。
  • 7点: 機会を生かす対応策が不明確であるなど、対応策や計画変更の内容に関する記述が不十分である。
  • 0点: 内容が全く見当違いか、記載がない。
論理性(構造)16点
  • 16点: 設問アで述べた背景・要求と、本設問の対応策・計画変更内容が極めて論理的に繋がっており、一貫性がある。
  • 13点: 概ね論理的に繋がっている。
  • 10点: 一部繋がりが不明確な箇所がある。
  • 6点: 繋がりが不自然であり、前提条件から乖離している。
  • 0点: 論理性が全くないか、記載がない。

解説

設問の意図と背景 本問の中心となる設問であり、計画変更を単なるリスク(脅威)としてだけでなく、前向きな機会としても捉え、それをどのように計画に反映させたかが問われます。

高得点のポイント

  • 脅威を抑える対応策に加えて、機会を生かす対応策が自身の経験に基づいて具体的に論述されていること。
  • 機会を生かす対応策が不明確であったり、プロジェクトの状況に即していない論述は低評価となります。変化への適応力を高める工夫を明確にすること。
  • 上記の対応策を踏まえて、確定させた計画変更の内容が実現可能かつ論理的に説明されていること。

設問ウ

配点 33点

設問イで述べた計画変更の実施の状況及びその結果による事業環境の変化への対応の評価について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

説得力(考察)17点
  • 17点: 実施状況が具体的に記述され、事業環境の変化への対応という観点での評価が極めて客観的かつ深い考察に基づいている。
  • 14点: 実施状況が明確に記述され、妥当な評価が行われている。
  • 10点: 評価がやや主観的であるか、考察の深さが少し足りない。
  • 7点: 実施状況の記述が不十分であるか、評価が単なる感想に留まっている。
  • 0点: 内容が全く見当違いか、記載がない。
論理性(構造)16点
  • 16点: 設問イで決定した計画変更に基づく実施状況と評価が、論理的かつ一貫して記述されている。
  • 13点: 設問イとの整合性が取れている。
  • 10点: 設問イとの整合性が一部弱い。
  • 6点: 設問イとの整合性が取れていない。
  • 0点: 論理性が全くないか、記載がない。

解説

設問の意図と背景 実施した計画変更が、当初の目的である事業環境の変化への対応においてどのような結果をもたらしたか、その客観的な評価を問うものです。

高得点のポイント

  • 設問イで確定させた計画変更の実施状況(どのように進めたか、困難はあったか等)が具体的に述べられていること。
  • 結果が事業環境の変化にどのように適応したかについて、成功や課題の要因分析を含めた客観的な評価がなされていること。
  • 単なる感想ではなく、プロジェクトマネージャとしての視点から、今後のプロジェクトに活かせる考察が含まれていると説得力が増します。

Spineチーム