令和4年度 春期 システムアーキテクト試験 午後II 問2 業務プロセスのデジタル化と利用者の習熟支援(論述)

学習ガイド

紙媒体を中心とした既存業務を見直し、情報システムを活用して業務効率化を図る取り組みを扱う問題です。デジタル化の対象プロセスの選定、移行に伴って生じる業務上の課題への対策、そして利用者が新しい業務手順へスムーズに慣れるための支援策が問われます。設問アで対象業務と改善目標を明記し、設問イでは対象プロセスと想定されるリスクへの具体的対策を詳述します。設問ウではシステムに組み込んだ案内機能や工夫を挙げ、利用者の定着を促す手順を整理して論述します。

この記事で押さえる論点

  • 現行業務の課題からデジタル化によって狙う業務改善の内容を説明できる
  • 改善対象の業務プロセスと、デジタル化に伴い生じる課題への対応策を述べられる
  • 業務手順の変更に対して利用者が円滑に習熟できるよう情報システムに組み込んだ支援策を説明できる

問題本文

業務のデジタル化について

近年,紙媒体の管理コストの削減及び業務の効率化を目的とした,情報システムを活用したデジタル化が加速している。デジタル化の実現によって,情報が検索しやすくなったり,モノの動きがリアルタイムに把握できたりすることで業務改善が図れる。

システムアーキテクトは,現行の業務において改善の余地がある業務プロセスを見極めてデジタル化することが求められる。一方,現行の業務をデジタル化した場合に生じる課題を想定し,対応策を検討しておくことも必要である。例えば,りん議業務をリモートワーク環境でも実施できるようにするために,ワークフローシステムを用いて業務をデジタル化する場合,次のように検討する。

  • 従来の印鑑の代替とするために,承認欄にログインユーザの氏名,所属,職位及びタイムスタンプを記録するようにする。
  • 決裁ルートに長期の不在者がいた場合でも,緊急で決裁が必要な案件を円滑に処理するために,代理決裁者を設ける仕組みにする。
  • 情報漏えいや決裁者のなりすましなどのセキュリティリスクに対処するために,アクセス権限管理の強化やログの監視ができるようにする。

また,紙媒体などで運用していた業務をデジタル化すると,業務手順が従来と変わるので,利用者が新しい業務に習熟するまでに時間が掛かることがある。そこで,例えばどの業務で作成されたか判別できるように業務の頭文字で電子文書をアイコン化する,情報システムへのガイド機能を組み込むなど,利用支援の仕組みを工夫する。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。

設問と解答・解説

設問ア

配点 34点

あなたが携わった業務のデジタル化について,対象業務,情報システムの概要,デジタル化を通じて実現を期待した業務改善の内容を,800字以内で述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)17点
  • 17点: 対象業務、情報システムの概要、実現を期待した業務改善の内容がすべて具体的かつ明確に記述されている。
  • 13点: 3つの要素は記述されているが、一部において具体性に欠ける。
  • 8点: 3つの要素のうち1つが欠落しているか、全体的に具体性に乏しい。
  • 4点: 記述が断片的であり、対象業務やシステムの概要を十分に把握できない。
  • 0点: 要求された要素が記述されていない。
論理性(構造)17点
  • 17点: デジタル化の目的と、対象業務・システム概要の関連性が非常に論理的であり、業務内容を的確に把握していることが読み取れる。
  • 13点: 全体として論理的な構成であるが、一部で目的とシステム構成のつながりがやや不明瞭である。
  • 8点: 論理的なつながりが弱く、デジタル化による改善の道筋が分かりにくい。
  • 4点: 論理性が乏しく、記述内容に一貫性が見られない。
  • 0点: 全く論理的でない、または無関係な記述である。

解説

本設問は、自身が携わった業務のデジタル化を題材に、システムアーキテクトとしての経験や見識を問う論述問題の導入部分です。後続の設問を展開するための前提条件となるため、状況設定をわかりやすく正確に記述する必要があります。

高得点のポイント

・対象業務の明確化:どのような業務を対象としたのか、その規模や特性を具体的に記述する。 ・情報システムの概要:対象業務をどのようにデジタル化するシステムなのか、全体像を端的に説明する。 ・期待した業務改善の内容:紙媒体の削減、管理コストの低減、業務効率化など、システム導入によってどのような改善効果を狙ったのかを明確に示す。

設問イ

配点 33点

設問アで述べた業務改善を実現するために,どのような業務プロセスを,どのようにデジタル化することを検討したか。また,どのような課題があり,どのような対応策を検討したか。800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)17点
  • 17点: デジタル化する業務プロセスとその手法、およびデジタル化によって生じる課題と対応策が極めて詳細かつ具体的に記述されている。
  • 13点: 要求された各要素は記述されているが、課題や対応策の具体性がやや不足している。
  • 8点: 要素の一部が欠落している、あるいは全体的に具体性に乏しい。
  • 4点: 記述が断片的であり、十分な業務知識や技術の適用理解が示されていない。
  • 0点: 要求された内容が記述されていない。
説得力(考察)16点
  • 16点: 「現行業務の課題」ではなく「デジタル化によって生じる課題」を正しく設定し、問題文の事例をなぞらない独自の工夫ある対応策が示されている。
  • 12点: 課題の設定は適切であるが、対応策がやや一般的であるか、問題文の事例にやや依存している。
  • 8点: 課題設定が題意からやや逸れているか、対応策の説得力に欠ける。
  • 4点: 趣旨に沿わない課題(現行業務の課題など)を設定しているか、受験者の工夫が全くうかがえない。
  • 0点: 課題や対応策に関する考察が全くない。

解説

本設問は、設問アで設定した前提をもとに、デジタル化の具体的なプロセスと、それに伴う課題・対応策を論理的に説明する能力が問われます。

高得点のポイント

・業務プロセスとデジタル化の検討:改善効果が高いと見極めたプロセスと、そのデジタル化の手法を具体的に記述する。 ・デジタル化によって生じる課題の想定:「現行業務の課題をシステムで解決した」ではなく、「業務をデジタル化したことによって新たに生じる課題(例:決裁ルートの停滞、セキュリティリスクなど)」を正しく設定する。 ・対応策の具体性:問題文の事例をなぞるだけでなく、システムアーキテクトとしての自身の経験に基づいた独自の工夫や実効性のある解決策を論理的に説明する。

設問ウ

配点 33点

設問イで検討した内容について,利用者がデジタル化した業務に習熟できるよう,どのように工夫したか。情報システムに組み込んだ利用支援の仕組みを含めて,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

論理性(構造)16点
  • 16点: 設問イで検討した内容を踏まえ、業務手順の変化に対する利用者の習熟支援策が論理的かつ一貫して展開されている。
  • 12点: 設問イとの関連性は見られるが、支援策の展開において一部論理的な飛躍がある。
  • 8点: 設問イとのつながりが弱く、唐突な支援策が提示されている。
  • 4点: 設問イの内容と関連性がなく、論理性に欠ける。
  • 0点: 論理的な構成が全くなされていない。
説得力(考察)17点
  • 17点: 利用者が業務に習熟するための工夫と、情報システムに組み込んだ利用支援の仕組みが具体的であり、独自の工夫と優れた考察が示されている。
  • 13点: 利用支援の仕組みは記述されているが、工夫や効果の観点で説得力がやや不足している。
  • 8点: 支援の仕組みが一般的であり、システムアーキテクトとしての独自の工夫が見られない。
  • 4点: システム上の支援策への言及がない、または内容が非常に薄い。
  • 0点: 考察や工夫が全く記述されていない。

解説

本設問は、デジタル化によって業務手順が変化する利用者に対する支援策について、システムアーキテクトとしての工夫を具体的に論述する能力が問われます。

高得点のポイント

・習熟に向けた工夫:利用者が新しい業務プロセスに早く慣れるための業務面や運用面での工夫を記述する。 ・システムに組み込んだ利用支援の仕組み:アイコン化やシステムへのガイド機能の組み込みなど、情報システム上の機能として実装した利用支援を具体的に説明する。 ・一貫性のある論述:設問イで検討した業務プロセスや課題に対応した、実効性のある支援策となっているかを示す。

Spineチーム