令和4年度 春期 システムアーキテクト試験 午後II 問3 組込みシステムの高度な自動化と安全性に配慮した機能分担(論述)

学習ガイド

センサや通信技術の進歩を背景に、各種装置や機器の自動化を進めた組込みシステム開発の事例を論じる問題です。システム固有の特徴や制約を踏まえ、自動化の目的設定から人や他機器との協調、フェールセーフをはじめとする安全性確保までの一貫した設計思想が問われます。設問アで開発背景と明確な達成目標を掲げ、設問イではハードウェア制約に応じた機能分担と安全対策を具体化します。設問ウでは初期目標に対する達成度を評価し、将来に向けた技術的課題を導き出します。

この記事で押さえる論点

  • 組込みシステムで自動化が求められた背景と、設定した目的および定量的な目標を説明できる
  • ハードウェアの制約や環境特性を踏まえ、人や他機器との機能分担および安全性の対策を述べられる
  • 自動化の目標に対する達成度を客観的に評価し、運用や環境変化を見据えた今後の課題を説明できる

問題本文

IoT, AIなどの技術進展に伴う組込みシステムの自動化について

組込みシステムは,以前から各種装置の自動化に貢献してきた。機械的・電気的に制御されていた装置の自動化に始まり,近年はセンサの高度化,プロセッサ能力・通信技術の向上に伴い,IoTに依拠した他機器との協調動作など,高度な自動化も実現している。例えば自動車において,車速を一定に保つだけの制御から,カメラ・レーダとの協調で,前方車両との距離を保つ制御ができるようになっている。

単一機能の自動化,複数機能を組み合わせた自動化のいずれの場合も次のような点を考慮する必要がある。

  • システムの特徴及び制約:例えば,使用環境,有人・無人,無停止稼働,遠隔操作などのシステムの特徴,及びメモリ容量・演算速度などの制約事項
  • 自動化の目的の把握及び目標の設定:例えば,一部の作業などの自動化による負荷の軽減・分散を目的とし,自動搬送装置によって作業負荷を軽減するなど。
  • 自動化する範囲及び機能分担:例えば,ドローンでは姿勢制御を自動化し,人は操縦に集中する。自動検査装置では,画像の取得は装置側で自動化し,AIによる欠陥判定はサーバで行うなど。
  • 安全性への配慮:例えば,人との協調動作における誤操作,誤動作への対応,他機器との協調においては,故障の影響の伝搬を軽減する工夫など

組込みシステムのシステムアーキテクトは,自動化の目的の把握及び目標の設定を行い,人及び他機器との機能分担について安全性への配慮を含めて検討し,システムの特徴と制約に基づいて組込みシステムを構築する必要がある。

あなたの経験と考えに基づいて,設問ア~ウに従って論述せよ。

設問と解答・解説

設問ア

配点 34点

あなたが携わった組込みシステムの概要,自動化の要求の背景・経緯,並びに目的及び目標について,800字以内で述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)18点
  • 18点: システムの概要、自動化の要求の背景・経緯、目的と目標の全てが具体的に網羅され、アーキテクトとしての明確な視点が示されている。
  • 14点: 要素は全て含まれているが、一部の記述において具体性がやや不足している。
  • 9点: 記述が一般的な内容にとどまる、またはシステム概要や目的・目標のいずれかの要素が不足している。
  • 5点: 記述内容が不十分であり、システムの概要や目的が明確に伝わらない。
  • 0点: 記述がない、または題意と無関係である。
論理性(構造)16点
  • 16点: 背景・経緯から目的・目標の設定に至る論理展開が非常に明確で一貫している。
  • 12点: 背景・経緯と目的・目標の関係が概ね論理的に説明されている。
  • 8点: 論理展開にやや飛躍が見られる、または一貫性が一部欠けている。
  • 4点: 背景・経緯と目的・目標の間の論理的なつながりが不明確である。
  • 0点: 論理性が全くない。

解説

本設問は、組込みシステムのシステムアーキテクトとして、自身が携わったシステムの自動化に関する概要と目的・目標を明確に記述することが求められています。

【問題の本文・図表】に基づき、自動化には「一部の作業などの自動化による負荷の軽減・分散」といった目的設定が必要不可欠です。また、問題文の講評(question_commentary)において「システム構成の記述が不十分で自動化の目的が不明な論述が散見された」と指摘されていることから、システムの概要を第三者(採点者)に分かりやすく説明した上で、自動化の目的と達成すべき目標を具体的に論述する必要があります。

高得点のポイント

  • 自身が携わった組込みシステムの構成概要が、用途や役割を含めて明確に記述されていること
  • 自動化が求められた背景や経緯が、使用環境や利用者の課題と結びつけて具体的に説明されていること
  • 自動化によって解決したい目的と、それを測るための具体的な目標が設定されていること

設問イ

配点 33点

設問アで述べた組込みシステムについて,システムの特徴と制約に基づく自動化における課題と課題への対策を,人及び他機器との機能分担,安全性への配慮を含めて,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

知識・理解度(内容)11点
  • 11点: 課題、対策、機能分担、安全性への配慮がアーキテクトの視点から極めて具体的に論述されている。
  • 8点: 各要素が含まれているが、一部の記述において具体性が不足している。
  • 5点: 記述が一般的な内容にとどまる、または一部の要素が不足している。
  • 2点: 記述が不十分であり、実装の細部のみに終始している等、アーキテクトとしての視点が欠ける。
  • 0点: 記述がない、または題意と無関係である。
論理性(構造)11点
  • 11点: システムの特徴・制約から課題が適切に導出され、対策との整合性が極めて高い。
  • 8点: 特徴・制約と課題・対策の間に論理的なつながりがある。
  • 5点: 特徴・制約に基づく課題・対策の導出にやや論理的な飛躍がある。
  • 2点: 特徴・制約と課題・対策の関連性が不明確である。
  • 0点: 論理性が全くない。
説得力(考察)11点
  • 11点: 人や他機器との機能分担、安全性への配慮に基づく対策が深く考察され、実務経験に基づく極めて高い説得力がある。
  • 8点: 対策に関する考察がなされており、十分な説得力がある。
  • 5点: 考察がやや表面的であり、説得力に欠ける部分がある。
  • 2点: 考察が浅く、単なる事実や対策の羅列となっている。
  • 0点: 考察が全くない。

解説

本設問は、設問アで提示したシステムの特徴と制約に基づき、自動化における課題とその対策を論述することが求められています。

【問題の本文・図表】で例示されているように、システムの特徴・制約には「使用環境、有人・無人、無停止稼働、遠隔操作」「メモリ容量・演算速度」などが該当します。また、機能分担の例として「ドローンでは姿勢制御を自動化し、人は操縦に集中する」、安全性への配慮として「人との協調動作における誤操作・誤動作への対応」「故障の影響の伝搬を軽減する工夫」が挙げられています。
これらを踏まえ、実装レベルの細部に留まらず、アーキテクトの視点から課題と対策を論じる必要があります。

高得点のポイント

  • システムの特徴と制約が明確であり、それらに起因する自動化の課題が具体的に抽出されていること
  • 人や他機器との適切な機能分担について検討されていること
  • 誤操作や故障対応など、安全性への配慮を含んだ対策が論理的かつ具体的に提示されていること
  • 実装の細部に偏らず、システム全体を見据えたアーキテクチャの視点で考察されていること

設問ウ

配点 33点

設問イで述べた組込みシステムに関する記述を基に,自動化の目標に対する達成度,評価,今後の課題について,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。

模範解答

模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。

採点基準

論理性(構造)17点
  • 17点: 評価結果に基づき、今後の課題が論理的かつ明確に導き出されている。
  • 13点: 評価から今後の課題への論理展開が適切である。
  • 9点: 評価と今後の課題のつながりにやや飛躍がある。
  • 5点: 評価と今後の課題のつながりが不明確である。
  • 0点: 論理展開が破綻している。
説得力(考察)16点
  • 16点: 目標の達成度と評価が客観的かつ深く考察され、実務経験に基づく極めて高い説得力がある。
  • 12点: 達成度と評価に関する考察が適切であり、十分な説得力がある。
  • 8点: 考察がやや主観的または表面的であり、説得力に不足が見られる。
  • 4点: 考察が浅く、説得力がない。
  • 0点: 考察が全くない。

解説

本設問は、設問ア・イまでの内容を踏まえ、最初に設定した自動化の目標に対する達成度、システムの評価、および今後の課題について論述することが求められています。

システムアーキテクトは、構築したシステムが本来の目的(負荷軽減や安全性向上など)をどの程度達成できたかを客観的に評価し、そこから得られた知見を今後のシステム拡張や別の課題解決に繋げる能力が問われます。

高得点のポイント

  • 設問アで設定した「目的と目標」に対する達成度が、定量的または具体的に示されていること
  • 実施した対策の有効性や残存するリスクについて、アーキテクト視点での客観的な評価が行われていること
  • 評価結果から、今後の課題とその対応方針が論理的かつ説得力を持って導出されていること

Spineチーム