令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午後I 問2 小売業のオムニチャネル化と店舗・ネット通販のシステム統合
学習ガイド
輸入雑貨を扱う小売業が、実店舗とインターネット通販を融合させて売上回復を図る問題です。外部サイトでのネット通販の限界や、店舗の在庫管理・価格設定における課題にどう対応するかが問われます。解答に当たっては、ネット通販の弱点を実店舗の仕組みでどう補うかという視点が重要です。問題文の「方針」と「店舗の取組」を読み込み、店舗での受け取りや返品、在庫の融通、権限委譲といった各施策が、顧客の不満解消や販売機会の獲得にどう結びついているかを順番に確認していく手順を解説します。
この記事で押さえる論点
- 外部通販サイトの制約と手作業の課題から、自社ネット通販システムを新規構築する理由を説明できる
- 店舗受取や店舗間在庫調整が、顧客の不満解消と販売機会の損失防止にどう貢献するかを述べられる
- 体験教室などの実店舗ならではの強みを生かした販売促進策の狙いを説明できる
- 店長への価格変更権限の委譲とシミュレーション機能が、店舗の目標達成にどう役立つかを述べられる
出題情報
- 出題
- 2021(R3)春 ITストラテジスト 午後I 問2
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
ITストラテジストには,社内外の環境変化に応じたITを活用した経営戦略や情報戦略を策定する能力が求められる。
本問では,小売業のネット通販の推進を題材として,ITを活用した幾つかの施策と情報システム対策を策定する能力を評価する。具体的には,各施策の狙いや理由,その実現のために必要となる情報システムの機能の構築能力を問う。
問2では小売業の店舗販売とインターネット通信販売の融合について出題した。全体として正答率は平均的で,状況設定はおおむね理解されているようであった。
ITストラテジストは,社内外の環境変化に応じて,ITを活用した経営戦略や情報戦略を策定する能力を高めてほしい。
問題本文
小売業の店舗販売とインターネット通信販売の融合に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
R社は,センスが良く洗練された輸入雑貨やファッション小物類を扱う小売業であり,全国の主要都市のターミナル駅の駅前ショッピングビルなどに出店している。
〔R社の現状〕
R社の店舗は競合店にはないような商品の品ぞろえによって,若い世代や外国人旅行客に人気がある。また,出店駅の利用者や近隣住民の年齢及び世帯構成に合わせて店舗ごとに品ぞろえや販売価格に特徴を出していることから,これまではどの店舗でも売上げは好調で利益も確保できていた。しかし,今期は,社会環境が激変した影響から期初より来店客や旅行客が大幅に減少しており,全ての店舗で前年と比べて減収減益が予想され,新たな取組が必要と考えている。
また,インターネット通信販売(以下,ネット通販という)の取組として,これまで外部のネット通販サイトに,バイヤーのお薦め商品を中心に出品してきた。R社では,ネット通販サイトを通常の店舗と同様に一店舗とみなし,ネット通販サイトが提供するシステムを利用して,販売管理などの業務を,本社のネット通販専用PCで行っていた。
〔R社の情報システム〕
社内の主な情報システムには次のものがある。
- 基幹システム:販売管理サブシステム,発注管理サブシステム,在庫管理サブシステムから成る。基幹システムには,店舗に設置されたPOSレジとストアコンピュータを含む。
- 顧客管理システム:自社発行ポイントカードによって購買履歴などを管理する。
- ワークフロー(以下,WFという)システム:本社から店舗への通達,及び店舗から本社へのりん議を取り扱う。
- 本社事務処理システム:財務会計システム,人事給与システムなどの本社内だけで利用する情報システム群。
〔R社の課題〕
(1) ネット通販サイトに関する課題
ネット通販サイトについては,来店客数の減少と反比例して顧客の閲覧数は多くなっている。しかし,ネット通販サイトのルールに従った画面レイアウト,表示項目などの制約があり,取扱商品の良さをアピールしにくいことから,同じネット通販サイトに出店している他の事業者との間で際立った特徴が出しにくく,店舗の売上減少を補うまでには至っていない。また,実際に商品を試すことで購買意欲が高まるといったネット通販に不向きな商品も存在する。さらに,ネット通販では,返品や交換の手続が煩わしいことに対し,顧客からは不満が出ていた。
ネット通販サイトの売上げはネット通販専用PCから基幹システムへ手作業で連携させており,基幹システムで最新の売上把握ができていない。
(2) 商品在庫の確保と値引きに関する課題
色やサイズなどの種類が多い商品は,顧客の需要に応じた在庫を確保できず,人気のある種類が品切れになる店舗もある。また,商品の一部には,地域によって流行があるので,ある地域でブームになった商品は,その地域にある店舗では品切れになることがある。品切れ時には取り寄せの対応をするが,入荷するまで時間が掛かったり顧客が再来店しなかったりして,顧客,店舗とも不満がある。売行きが急激に向上しブームと判断された場合は,店舗ではその商品の在庫を大量に確保してきた。しかし,ブームが終わって長期間在庫として残ってしまった場合は,値引きしてでも売り切りたいと考えている。
R社では,店舗ごとに達成すべき幾つかの目標値を本社から月次で指示している。目標値の一つに店舗の粗利率があり,店長はこの達成状況を常にモニタリングしている。店舗では,商品を値引き販売する場合には,店長がWFシステムを使って本社の商品本部に商品の値引き額の承認を取る必要がある。これに時間が掛かることから,すぐに価格設定できず,販売機会を逃している。
〔ネット通販の強化とネット通販システムの構築〕
競合他社でも店舗販売からネット通販へのシフトを進めていることや,社会環境の激変などから,R社は店舗で商品を陳列し顧客を待つだけでは売上回復は見込めないと考えた。そこで,店舗売上げの落ち込みを補完すべく,ネット通販を強化することにし,取組に当たっての方針を次のように定めた。
- 画像だけでは顧客が商品の良さに気付かず,購入に至らない場合があるので,対策をする。
- 顧客がネット注文後に届いた品物を見て,想像していたものと違っていた場合に,簡単に返品や交換ができる仕組みを提供する。
上記の方針に沿って新規にネット通販システムを構築し,外部のネット通販サイトから切り替えることにした。
〔店舗の取組〕
(1) 店舗でのネット通販システムの活用
ネット通販における取扱商品は,全ての店舗の取扱商品を網羅させる。顧客がネット通販で購入決済した商品を,顧客が会社の帰りなどに最寄りの任意の店舗の受取専用ロッカーで受け取れる仕組みを導入する。店舗受取の注文があると,配送センタや他店舗の在庫から搬送したり,店舗の商品在庫からピックアップしたりして,翌日中にはネット通販の購入品を顧客が指定した受取専用ロッカーに準備しておく。受取専用ロッカーは決済時に設定した暗証番号で解錠できる。さらに,顧客は,受取時に商品が想像していたものと違っていた場合には購入品をその場で返品や交換ができるようにする。また,顧客が店舗で気に入った商品を見つけたものの,その店舗にはないサイズや色の商品であり,かつ,他店舗や配送センタに在庫がある場合は,店舗間で調整をすることで,顧客はその店舗で注文,決済してネット通販の流通経路に乗せられるようにする。
店舗受取分や店舗からのネット通販の流通経路に乗せて配送した分は,当該店舗の売上げとみなして,店舗のインセンティブにする。
(2) 体験重視の販売促進
ネット通販において,顧客の閲覧は多数あるものの売上げが伸びていない商品については,使用感や使用方法などを体験する無料の体験教室を開催し,顧客が実際に商品に触れたり使ったりできるようにする。スペースに余裕のない店舗ではこの様子を撮影した動画を店舗のディジタルサイネージで表示する。
(3) 店長の権限拡大
店長の裁量で店舗ごとに柔軟に販売価格を変更できる仕組みにする。価格設定に当たっては,店舗で損益シミュレーションをできるようにする。変更された販売価格はすぐに売場の電子棚札に表示させる。
〔情報システムの対応〕
これらの取組を推進するために,R社は情報システムを次のとおり整備することにした。
- 新規にネット通販システムを自社内に構築するとともに,基幹システムでは,ネット通販システムの売上げを連携するための機能を開発する。
- 在庫管理サブシステムでは,ネット通販システムと連携して,配送センタ及び店舗の全商品を管理する機能を開発する。
- ネット通販システムは柔軟に画面レイアウトや表示項目を設定できる機能を開発する。
設問と解答・解説
設問1
〔ネット通販の強化とネット通販システムの構築〕について,売上回復につなげるために新規にネット通販システムを構築するのはなぜか。25字以内で述べよ。
模範解答
外部のネット通販サイトの制約が解消するから
採点基準
- 3点: 「外部のネット通販サイトの制約」が解消されることを適切に指摘している。
- 2点: 制約の解消について言及しているが、内容がやや不十分である。
- 0点: 「来店客数の減少」や「閲覧数の増加」など、現状の記述にとどまっており、新規構築の直接的な理由が示されていない。
- 3点: 「〜制約が解消するから」のように、理由として論理的で簡潔な文になっている。
- 1点: 論理構成にやや難があるか、冗長である。
- 0点: 理由として成立していない。
解説
正解の根拠
〔R社の課題〕の「(1) ネット通販サイトに関する課題」に、「ネット通販サイトのルールに従った画面レイアウト,表示項目などの制約があり,取扱商品の良さをアピールしにくいことから,同じネット通販サイトに出店している他の事業者との間で際立った特徴が出しにくく,店舗の売上減少を補うまでには至っていない」と記載されています。
したがって、新規にネット通販システムを構築する直接的な理由は、この既存サイト特有の制約を解消し、自社商品の良さをアピールして売上回復につなげるためです。
高得点のポイント
- 既存の外部ネット通販サイトに存在する「制約」が売上不振の一因であることに言及できているか。
- 自社でシステムを構築することで、その制約が「解消」または「回避」されるという論理を含めること。
- 「来店客数の減少」や「閲覧数の増加」といった単なる状況の列挙ではなく、システムの新規構築に踏み切った直接的な狙いを述べること。
設問1は,正答率がやや低かった。“来店客数の減少”や“閲覧数の増加”という現在の状況を記述した解答が散見された。外部のネット通販サイトの制約の多さが,新規にネット通販システムを構築する背景にあることに気付いてほしい。
設問2
〔店舗の取組〕について,(1)〜(5)に答えよ。
顧客のどのような場合を想定して,ネット通販の購入品を店舗で受け取れる仕組みにしたのか。30字以内で述べよ。
模範解答
商品が想像していたものと違う場合にその場で対応する。
採点基準
- 3点: 「商品が想像していたものと違う場合」に「その場で返品や交換ができる(対応する)」ことが明確に示されている。
- 1点: 「想像していたものと違う」こと、または「返品や交換」のいずれか一方のみの言及にとどまる。
- 0点: 「店舗のインセンティブになる」など、R社側の利点を解答しており、顧客のどのような場合かという問いに答えていない。
- 3点: 顧客の想定される状況(〜な場合)と、対応(〜する)が適切に繋がっている。
- 1点: 構成がやや不自然で意図が伝わりにくい。
- 0点: 文意が通らない。
解説
正解の根拠
〔ネット通販の強化とネット通販システムの構築〕の方針において、「顧客がネット注文後に届いた品物を見て,想像していたものと違っていた場合に,簡単に返品や交換ができる仕組みを提供する」と定められています。
また、〔店舗の取組〕の「(1) 店舗でのネット通販システムの活用」には、「顧客は,受取時に商品が想像していたものと違っていた場合には購入品をその場で返品や交換ができるようにする」と記述されています。
これらが店舗で直接受け取れる仕組みを導入した具体的な顧客の想定シーンです。
高得点のポイント
- 顧客側の状況として「商品が想像していたものと違う場合」という具体的なシチュエーションを記述すること。
- 店舗受取の利点である「その場で対応(返品や交換)する」という目的を明記すること。
- 「店舗のインセンティブになる」など、R社側(企業側)の都合や利点ではなく、「顧客のどのような場合を想定して」という問いの主語に適切に答えること。
店舗にない商品でも他店舗や配送センタに在庫がある場合,ネット通販の流通経路に乗せて配送できるようにした狙いは何か。25字以内で述べよ。
模範解答
品切れ時にも顧客がすぐに購入できるから
採点基準
- 3点: 「品切れ時」でも「すぐに購入できる」という、需要変動に対応した顧客の利便性向上や販売機会確保の狙いが示されている。
- 1点: 商品の取り寄せが可能になることには触れているが、品切れの解消や迅速な購入への言及が不足している。
- 0点: 「店舗のインセンティブになる」など、的はずれな解答になっている。
- 3点: 品切れ時でも顧客がすぐに購入できるという、需要の変動に対応した狙いとして妥当に記述されている。
- 1点: 配送できるという手段の言い換えにとどまっている。
- 0点: 「店舗のインセンティブになる」など店舗側の利点になっている、又は狙いが妥当でない。
解説
正解の根拠
〔R社の課題〕の「(2) 商品在庫の確保と値引きに関する課題」に、「人気のある種類が品切れになる店舗もある。(中略)品切れ時には取り寄せの対応をするが,入荷するまで時間が掛かったり顧客が再来店しなかったりして,顧客,店舗とも不満がある」と記載されています。
店舗間の在庫を融通し合い、ネット通販の流通経路に乗せて配送することで、品切れによって顧客が再来店しなくなる不満を解消し、即時に購入手続きを完了させることができます。
高得点のポイント
- 店舗で発生している「品切れ」という具体的な課題状況に言及すること。
- 入荷待ちや再来店の必要をなくし、「すぐに購入できる」ようにするという施策の狙いを記述すること。
- 単に配送するという手段を述べるだけでなく、需要の変動に対応した顧客の不満解消や販売機会の確保という目的に繋げること。
体験重視の販売促進に取り組む狙いは何か。30字以内で述べよ。
模範解答
顧客が良さに気付いていない商品の紹介機会を増やす。
採点基準
- 3点: 「良さに気付いていない商品(閲覧はあるが売れていない商品)」の「紹介機会を増やす」ことが過不足なく示されている。
- 1点: 単に「商品の良さを伝えるため」など、対象商品(良さに気付かれていない)の特定が不十分である。
- 0点: 目的が全く異なる記述になっている。
- 3点: 商品の状態と、販促活動の目的が論理的に構成されている。
- 1点: 理由や目的の構成が不明瞭である。
- 0点: 論理破綻している。
解説
正解の根拠
〔ネット通販の強化とネット通販システムの構築〕の方針において、「画像だけでは顧客が商品の良さに気付かず,購入に至らない場合がある」と分析されています。
これに対する対応策として、〔店舗の取組〕の「(2) 体験重視の販売促進」で、「ネット通販において,顧客の閲覧は多数あるものの売上げが伸びていない商品については,使用感や使用方法などを体験する無料の体験教室を開催し」と述べられています。
閲覧されているのに売れない、すなわち「良さに気付いていない商品」の良さを実体験(紹介)してもらう機会を増やすことが狙いです。
高得点のポイント
- 施策の対象が「閲覧は多いが購入に至らない商品」、言い換えれば「良さに気付いていない商品」であることを特定すること。
- 体験教室や動画などの手段を通じて、その商品の良さを伝える「紹介機会を増やす」という目的を明示すること。
- 単なる「売上向上」といった抽象的な理由ではなく、商品の特性と体験の論理的な結びつきを示すこと。
店長の裁量で販売価格を変更できる仕組みにする理由は何か。20字以内で述べよ。
模範解答
販売機会を逃さないようにしたいから
採点基準
- 3点: 迅速な価格設定による「販売機会を逃さない」という目的が明確に記述されている。
- 1点: 「すぐに価格設定するため」など手段の記述にとどまり、究極の目的(販売機会の確保)に言及していない。
- 0点: 全く異なる内容である。
- 3点: 「〜ようにしたいから」「〜ため」など、理由として簡潔にまとまっている。
- 1点: 冗長であるか、文末表現が理由として不適切。
- 0点: 理由の形になっていない。
解説
正解の根拠
〔R社の課題〕の「(2) 商品在庫の確保と値引きに関する課題」において、「商品を値引き販売する場合には,店長がWFシステムを使って本社の商品本部に商品の値引き額の承認を取る必要がある。これに時間が掛かることから,すぐに価格設定できず,販売機会を逃している」と指摘されています。
店長の裁量による迅速な価格変更を可能にするのは、この手続きによる遅れを排除し、販売機会を逃さないようにするためです。
高得点のポイント
- 本社からの承認待ちによって価格設定に時間が掛かっているという業務上の背景を踏まえること。
- 価格設定を素早く行うことによる究極の目的である「販売機会を逃さない」ことを理由として明確に述べること。
- 単に「すぐに価格設定するため」といった手段を理由とするのではなく、その先のビジネス上のメリット(販売機会の確保)に言及すること。
店舗で損益シミュレーションができる機能を開発する理由は何か。25字以内で述べよ。
模範解答
店長が店舗の目標粗利率への影響を確認するから
採点基準
- 3点: 「店舗の目標粗利率」に対して、値引き等が与える「影響を確認する」ことが明記されている。
- 1点: 「粗利率」あるいは「影響の確認」のどちらか一方のみに触れられている。
- 0点: シミュレーションの対象や目的が的外れである。
- 3点: 本社から指示される目標値(粗利率)の達成という観点から、説得力のある理由となっている。
- 1点: 背景の関連付けが弱く、説得力に欠ける。
- 0点: 妥当な考察がない。
解説
正解の根拠
〔R社の課題〕の「(2) 商品在庫の確保と値引きに関する課題」に、「店舗ごとに達成すべき幾つかの目標値を本社から月次で指示している。目標値の一つに店舗の粗利率があり,店長はこの達成状況を常にモニタリングしている」とあります。
店長に価格決定の裁量を広げた結果、無計画な値引きを行うと店舗の粗利率目標を下回るリスクがあります。そのため、事前にシミュレーションを行い、自店舗の目標粗利率にどう影響するかを確認する必要があるからです。
高得点のポイント
- 経営・本社から求められている重要な指標である「目標粗利率」というキーワードを含めること。
- 値引きなどの独自の価格設定が、その指標にどのような「影響」を与えるかを事前に「確認」するためであると結論づけること。
設問2(2)は,正答率がやや低かった。“店舗のインセンティブになる”というR社の店舗の利点を解答したものが見受けられた。R社の取組の狙いは,需要の変動への対応にあることを理解してほしい。
設問3
〔情報システムの対応〕について,(1),(2)に答えよ。
基幹システムでネット通販システムの売上げを連携する機能を開発するのは,どのようなR社の課題を解決するためか。25字以内で述べよ。
模範解答
ネット通販の売上げを手作業で連携していた課題
採点基準
- 4点: 「売上げ」を「手作業で連携していた」という業務上の課題が明確に指摘されている。
- 2点: 最新の売上把握ができていないことには触れているが、直接的な原因(手作業)への言及が欠けている。
- 0点: 「在庫をネット通販にも流通させる」など、課題の内容を取り違えている。
- 3点: 解決すべき課題が簡潔に「〜課題」として論理的にまとまっている。
- 1点: 要約が不十分で冗長な記述になっている。
- 0点: 意味が通らない。
解説
正解の根拠
〔R社の課題〕の「(1) ネット通販サイトに関する課題」において、「ネット通販サイトの売上げはネット通販専用PCから基幹システムへ手作業で連携させており,基幹システムで最新の売上把握ができていない」という運用上の課題が記載されています。
新規ネット通販システムの構築に合わせて基幹システム側に連携機能を開発するのは、この手作業による連携作業を自動化し、リアルタイムでの売上把握を可能にするためです。
高得点のポイント
- 売上データを手動(手作業)で入力・連携しているという根本原因を指摘できているか。
- 単に「最新の売上把握ができていない」という結果論ではなく、その裏にある「手作業による連携」というR社独自の業務課題を明示できているか。
- 「在庫をネット通販にも流通させる」といったような、R社の具体的な課題に基づかない一般的な解答を避けること。
在庫管理サブシステムでネット通販システムと連携する機能は,どのようなR社の取組に対応するものか。30字以内で述べよ。
模範解答
顧客がネット通販の購入品を店舗で受取可能にする取組
採点基準
- 4点: 「ネット通販の購入品」を「店舗で受取可能にする」というR社独自の取組が明確に記載されている。
- 2点: 店舗とネットの連携には触れているが、「店舗での受取」という核となる取組が明示されていない。
- 0点: 「在庫をネット通販にも流通させる」など、一般的または見当違いの取組を挙げている。
- 3点: 取組として「ネット通販の購入品を顧客が店舗で受け取れるようにする(店舗受取)」ことが明確で、在庫管理サブシステムとの連携機能が対応する取組として筋が通っている。
- 1点: 取組の記述が曖昧で連携機能との対応が弱い。
- 0点: 「在庫をネット通販にも流通させる」など一般的な解答となっている。
解説
正解の根拠
〔店舗の取組〕の「(1) 店舗でのネット通販システムの活用」には、「顧客がネット通販で購入決済した商品を,顧客が会社の帰りなどに最寄りの任意の店舗の受取専用ロッカーで受け取れる仕組みを導入する」とあります。これを実現するために、「配送センタや他店舗の在庫から搬送したり,店舗の商品在庫からピックアップしたりして」準備を行うプロセスが記述されています。
この配送センタや全店舗の在庫を把握・融通して店舗受取を実現するために、在庫管理サブシステムとネット通販システムの連携機能が必要になります。
高得点のポイント
- ネット通販と店舗の融合における具体的な施策である「ネット通販の購入品」を「店舗で受取可能にする」ことに言及できているか。
- システムによる在庫情報の連携が、単なるデータの統合目的ではなく「顧客が実店舗で受け取る」というR社の独自サービス(取組)の実現のためであることを明示できているか。
- 「在庫をネット通販にも流通させる」といった一般的で曖昧な表現ではなく、R社特有の取組に即して解答すること。
設問3(2)は,正答率が低かった。“在庫をネット通販にも流通させる”などの一般的な解答が見受けられた。R社の独自の取組に即して解答してほしい。