令和3年度 春期 ITストラテジスト試験 午後I 問3 写真事業の資産を活用した学校向け写真販売ビジネスの企画
学習ガイド
印刷会社が保有するカメラマンやAI画像処理技術を生かし、小中学校向けの写真販売ビジネスを立ち上げる事例です。学校現場の職員が抱える業務負荷や、保護者が写真を選ぶ際の手間を、ITでどのように解決するかが論点となります。まずはヒアリング結果から現状の販売手順と課題を把握し、新システムの機能が誰のどんな不便を解消するのかを対応づけます。さらに、学校側からのプライバシーに関する要望への技術的な対応や、既存事業の強みを生かした追加提案の内容を、問題文の記述から探っていきましょう。
この記事で押さえる論点
- 既存事業の課題(カメラマンの稼働率低下)と強み(人的リソース)を踏まえた新規ビジネスの狙いを説明できる
- 学校職員の業務プロセスを分析し、システム化による負荷軽減の効果を述べられる
- AIを活用したレコメンド機能が、保護者の写真探しの手間をどう省くかを説明できる
- 保護者や学校からの要望に対し、自社の技術や既存サービスを生かしてどう応えるかを述べられる
出題情報
- 出題
- 2021(R3)春 ITストラテジスト 午後I 問3
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
ITストラテジストには,対象となる事業,業務環境の調査,分析を行い,全体システム化計画に基づいて個別システム化構想,計画を策定し,適切な個別システムを調達する能力が求められる。
本問では,印刷会社における写真購入システムの企画を題材として,設定された事業,業務環境の下で発生しているステークホルダの課題や要望を,適切な解決策に結びつける能力を問う。具体的にはステークホルダの有する課題に対してITを活用して解決を図る企画能力や,自社の開発した技術を活用して顧客に提案を行う提案能力を問う。
問3では,印刷会社の写真事業における新規ビジネスの企画について出題した。全体として正答率は平均的で,状況設定はおおむね理解されているようであった。
ITストラテジストは,顧客ニーズを的確に捉え,効果の高い解決策を策定する能力を高めてほしい。
問題本文
印刷会社の写真事業における新規ビジネスの企画に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
B社は,大手印刷会社である。事業部門として出版事業,広告事業,写真事業を有しており,機能部門としてデザイン部門,研究開発部門を有している。
〔B社の写真事業〕
B社の写真事業は,全国主要都市に写真スタジオを有しており,同一都市に複数の写真スタジオを展開している。写真スタジオでは,個人向けに七五三,成人式,結婚式などのライフイベントにおける写真撮影を行っており,撮影した写真をプリントし,販売している。写真スタジオには,カメラマンと事務スタッフがそれぞれ複数名勤務している。カメラマンはスタジオでの写真撮影を行うほか,出版事業,広告事業における写真撮影も行っている。しかし,近年高性能化したスマートフォン内蔵カメラの普及によって,かつてよりもカメラマンの稼働率が下がっている。
写真事業では,撮影した写真をプリント販売するのに加え,デザイン部門の協力を得て,撮影した写真を紙のアルバムとして編集し,販売している。B社Webサイトでは顧客別の専用ページ作成が可能になっている。専用ページにはB社で撮影した写真が保存されており,顧客は個人で撮影したディジタル写真をアップロードして追加することもできる。専用ページからアルバムに収録したい写真を選定することで,七五三,成人式,結婚式などの各ライフイベントに限定したアルバムや,ライフイベントを横断的に整理したアルバムを作成できる。アルバムは,デザイン性の高さから顧客の思い出に残るものとして,非常に高い評価を得ている。
研究開発部門では,ディープラーニングの顔認識技術を研究しており,写真事業に関連する領域では,写真に写っている“顔の識別”や“表情の分析”を行う機能を開発した。また,近年の法整備やプライバシー意識の高まりを踏まえて,写真の一部に対して自動でぼかしをいれる機能も開発した。
〔小中学校の状況〕
B社は人的リソースの有効活用を事業課題とし,一層のビジネス拡大に向けて,潜在顧客として写真撮影の機会が多いと思われる小中学校を対象としてニーズの有無に関する調査を行った。調査結果の概要は次のとおりであった。
- 全国の小中学校では遠足,運動会,文化祭などの学校行事に際して写真撮影を行っていることが多い。
- 写真撮影は学校の職員が行うケースと外部のカメラマンに外注するケースがある。
- 撮影した写真は都度保護者に販売することに加え,卒業アルバムの掲載写真としても利用している。
- 学校は,卒業アルバムを思い出に残る良いものにするために毎年非常に苦労している。
B社は,学校行事における写真撮影について,近隣の大規模中学校であるC中学校にヒアリングを行った。C中学校には各学年に複数のクラスが存在し,学校行事で撮影される写真も多数に上る。C中学校では次のプロセスで学校行事の写真を保護者に販売していることが分かった。
① 学校の職員が,学校行事に際して写真を撮影する。
② プリントした写真を学校の職員が校内に掲示する。
③ 保護者が来校し,購入する写真を選定する。
④ 保護者が,購入希望の写真を注文票に記入し学校の職員に提出する。
⑤ 学校の職員が写真の注文を取りまとめる。
⑥ 注文票と撮影媒体を業者に渡し,業者が写真をプリントして保護者に受け渡す。
現在C中学校では,学校の職員が写真撮影を行っている。これは,同一都市の小中学校が同一日に学校行事を実施することが多く,カメラマンを調達することに苦労した経験によるものである。学校の職員は,上記プロセスを行う上で多くの手作業を行う必要があり,業務負荷が高いと感じている。また,保護者は写真の閲覧をするためだけに来校する必要があることや,掲示されている多数の写真の中から自分の子供を探し出すこと,自分の子供が良い表情で写っている写真を探し出すことが手間であると感じている。
B社は以上の状況をチャンスと見て,主要都市の大規模小中学校における行事写真ビジネス(以下,新規ビジネスという)を立ち上げることにした。
〔新規ビジネスの概要〕
- 図1に示す写真購入システムを新たに開発し,次のプロセスで写真撮影販売サービスを実施する。
① B社が小中学校と写真撮影,販売代行契約を締結する。
② B社カメラマンが,学校行事に派遣されて写真を撮影し,写真をストレージにアップロードする。
③ 保護者が,B社に対して氏名,住所,電子メールアドレス,パスワード,子供の所属学校名とともにアカウントの発行を申請する。
④ B社が,保護者に対してアカウントを発行する。
⑤ 保護者がアカウントページから写真を閲覧し,購入希望の写真を選択する。
⑥ B社が購入希望情報を確認し,各保護者に写真を紙媒体又はデータで送付する。 - 写真購入システムに表示する写真には“sample”のすかし文字を表示する。
- 写真購入システムには写真レコメンド機能を実装する。写真レコメンド機能では,研究開発部門で開発をしたディープラーニング技術を活用し“顔の識別”と“表情の分析”を行う。“顔の識別”ではまず,保護者が自分の子供の写っている写真を数枚選択する。すると,それらの写真に共通して写っている顔を識別し,ストレージから当該識別した顔と似た顔が写っている写真を優先してレコメンドする。また,“表情の分析”では,撮影した写真の中から表情が笑顔のものを優先してレコメンドする。

図の説明テキスト
写真購入システムの概要を示すシステム構成図。
左側の外部アクターに「学校」「保護者」「B社カメラマン」が配置されている。
右側のシステム枠「B社」の中に「写真購入システム」「ストレージ」が配置されている。
「写真購入システム」の中には「アカウントページ」「写真レコメンド機能」がある。
「アカウントページ」内には「〇〇〇」と、3つの「sample」画像枠がある。
矢印とテキストの関連は以下の通り:
- 学校とB社間の双方向矢印:「①写真撮影・販売代行契約の締結」
- B社カメラマンからストレージへの矢印:「②撮影写真のアップロード」
- 保護者からB社への矢印:「③アカウントの発行申請」
- B社から保護者への矢印:「④アカウントの発行」
- 保護者からアカウントページへの矢印:「⑤購入写真選択」
- 写真購入システムから保護者への矢印(下部経由):「⑥写真の送付」
- ストレージから写真レコメンド機能への矢印:「学習」
- 写真レコメンド機能からアカウントページへの矢印:「写真を表示」
〔保護者説明会と要望への対応〕
B社は新規ビジネスの検討を踏まえ,C中学校で新規事業のトライアルを行うことにした。トライアルに先立ち保護者説明会を実施し,今回の取組について保護者から同意を得た。保護者からはITの利用に習熟していない人にも分かりやすくしてほしいとの要望があった。また,学校の担当者からは,保護者から“自分の子供の顔が写っている写真を,他の保護者に購入されたくない”という要望が出た場合の対応方法も検討してほしいとの依頼を受けた。
保護者からの要望を受け,B社は操作方法が直感的に分かるシンプルなページにするとともに,“よくある質問”や“お問合せ先”といったページを設けて保護者の疑問点を解消できるようにした。また学校の担当者の依頼に対応するために,複数の生徒が1枚の写真に写り込んでいる場合には,B社の技術を生かした対応を行うことができるようにした。
さらにB社は一層のビジネス拡大を念頭に,学校の課題を解決でき,B社の既存ビジネスにおける強みを生かした,“写真撮影販売サービス以外の新たな提案”を行った。
設問と解答・解説
設問1
〔小中学校の状況〕について,B社が新規ビジネスを展開していく上でもっている強みは何か。人的リソースの観点から35字以内で述べよ。
模範解答
同一日に同一都市の複数の小中学校にカメラマンを派遣できること
採点基準
- 3点: B社側の人的リソースの状況(複数名のカメラマンが勤務している)と、小中学校側の状況(同一日に同一都市で学校行事が実施される)の双方を踏まえて解答している。
- 1点: B社側の人員の状況、または小中学校側の学校行事実施日の状況のいずれか一方のみにしか踏まえられていない。
- 0点: どちらも適切に踏まえられていない。
- 3点: B社側と学校側の状況を結びつけ、「同一日に同一都市の複数の小中学校にカメラマンを派遣できる」という強みとして論理的かつ簡潔に説明している。
- 0点: 事実の結びつけが不十分であり、強みとしての説明が論理的でない。
解説
〔小中学校の状況〕に「同一都市の小中学校が同一日に学校行事を実施することが多く、カメラマンを調達することに苦労した経験」と学校側の課題が記されています。
一方、〔B社の写真事業〕には「同一都市に複数の写真スタジオを展開している」「カメラマンと事務スタッフがそれぞれ複数名勤務している」とB社の人員体制が示されています。
これらを結びつけると、同一日に複数校で発生する学校行事の撮影ニーズに対して、B社は自社の複数のカメラマンを同時に派遣できることが強みとなります。
高得点のポイント
- B社側の状況(複数名のカメラマンが勤務していること)を把握していること
- 小中学校側の状況(同一日に同一都市で学校行事が実施されること)を把握していること
- 両者を結びつけて「同一日に同一都市の複数の小中学校にカメラマンを派遣できる」という強みを論理的に説明していること
設問1は正答率が低かった。B社側の人員の状況に加えて,小中学校側の学校行事実施日の状況も踏まえて解答しているものは少なかった。状況設定から事実を適切に評価し,簡潔に説明する能力を高めてほしい。
設問2
〔新規ビジネスの概要〕について,(1)〜(3)に答えよ。
B社が新規ビジネス立ち上げによって対応しようとした,写真事業における事業課題の背景となる問題は何か。15字以内で述べよ。
模範解答
カメラマンの稼働率低下
採点基準
- 3点: B社が行動をとるきっかけとなった直接的な問題が「カメラマンの稼働率低下」であることを正しく理解している。
- 0点: 「スマートフォン内蔵カメラの普及」など、事象の原因を問題として捉えてしまっている、または記述が不適切。
- 3点: 問題を端的かつ的確に表現できている。
- 0点: 表現が不明瞭であるか、論点からずれている。
解説
〔B社の写真事業〕の第1段落末尾に、「近年高性能化したスマートフォン内蔵カメラの普及によって、かつてよりもカメラマンの稼働率が下がっている。」と記載されています。
B社はこの現状を打開し、人的リソースの有効活用を図るために新規ビジネスを企画しています。
「スマートフォン内蔵カメラの普及」は事象の原因であり、B社が直接的に対応しようとしている事業課題の背景にある問題そのものは「カメラマンの稼働率低下」です。
高得点のポイント
- B社が新規ビジネス立ち上げで対応しようとした直接的な問題が「カメラマンの稼働率低下」であることを正しく理解していること
- 「スマートフォン内蔵カメラの普及」などの原因ではなく、B社における問題そのものを抽出できていること
C中学校の職員へのメリットのうち,写真購入システムが提供するものを二つ,それぞれ20字以内で具体的に述べよ。(1つ目)
模範解答
写真を掲示する業務負荷の軽減
注文を取りまとめる業務負荷の軽減
採点基準
- 3点: 写真を校内に掲示する業務負荷の軽減、又は写真の注文票を取りまとめる業務負荷の軽減のどちらか一方を正しく捉えている。
- 0点: それ以外(写真撮影の負荷軽減など、写真購入システムが提供するものではない内容)の記述となっている。
- 3点: 選んだメリットを明確かつ論理的に表現できている。
- 0点: メリットとしての説明が成立していない。
解説
〔小中学校の状況〕において、既存の写真販売プロセスでは「② プリントした写真を学校の職員が校内に掲示する。」という手作業や「⑤ 学校の職員が写真の注文を取りまとめる。」という手作業が存在し、これらが学校職員の業務負荷が高いと感じる要因となっています。
一方、〔新規ビジネスの概要〕の図1およびプロセス説明では、導入される「写真購入システム」を利用し、保護者が「アカウントページ」から直接写真を閲覧し「購入写真選択」を行う仕組み(プロセス⑤)に変わります。
これにより、学校職員が手作業で行っていた写真の校内への掲示や注文の取りまとめがなくなり、業務負荷が軽減されます。
したがって、システムが提供するメリットは、「写真を掲示する業務負荷の軽減」と「注文を取りまとめる業務負荷の軽減」の二つであり、解答の順序は問いません。
高得点のポイント
- 既存プロセスにおける「プリントした写真を学校の職員が校内に掲示する」という手作業、又は「注文を取りまとめる」手作業が不要になることを正しく捉えていること
- 写真購入システムの導入による学校職員へのメリットとして、業務の負荷軽減を明確に表現できていること
C中学校の職員へのメリットのうち,写真購入システムが提供するものを二つ,それぞれ20字以内で具体的に述べよ。(2つ目)
模範解答
写真を掲示する業務負荷の軽減
注文を取りまとめる業務負荷の軽減
採点基準
- 3点: 1つ目の解答とは異なるもう一方の業務負荷軽減(1つ目が掲示なら注文取りまとめ、注文取りまとめなら掲示)を正しく捉えている。
- 0点: 1つ目の解答と同じ内容、又はそれ以外の内容となっている。
- 3点: 選んだメリットを明確かつ論理的に表現できている。
- 0点: 1つ目の解答と同じ内容であるか、メリットとしての説明が成立していない。
解説
〔小中学校の状況〕において、既存の写真販売プロセスでは「② プリントした写真を学校の職員が校内に掲示する。」という手作業や「⑤ 学校の職員が写真の注文を取りまとめる。」という手作業が存在し、これらが学校職員の業務負荷が高いと感じる要因となっています。
一方、〔新規ビジネスの概要〕の図1およびプロセス説明では、導入される「写真購入システム」を利用し、保護者が「アカウントページ」から直接写真を閲覧し「購入写真選択」を行う仕組み(プロセス⑤)に変わります。
これにより、学校職員が手作業で行っていた写真の校内への掲示や注文の取りまとめがなくなり、業務負荷が軽減されます。
したがって、システムが提供するメリットは、「写真を掲示する業務負荷の軽減」と「注文を取りまとめる業務負荷の軽減」の二つであり、解答の順序は問いません。
高得点のポイント
- 既存プロセスにおける「プリントした写真を学校の職員が校内に掲示する」という手作業、又は「注文を取りまとめる」手作業が不要になることを正しく捉えていること
- 写真購入システムの導入による学校職員へのメリットとして、業務の負荷軽減を明確に表現できていること
C中学校の保護者へのメリットのうち,写真レコメンド機能が提供するものを二つ,それぞれ30字以内で具体的に述べよ。(1つ目)
模範解答
自分の子供が写っている写真を探す手間の軽減
自分の子供が良い表情で写っている写真を探す手間の軽減
採点基準
- 3点: “顔の識別”による「自分の子供が写っている写真を探す手間の軽減」、又は“表情の分析”による「自分の子供が良い表情で写っている写真を探す手間の軽減」のどちらか一方を正しく捉えている。
- 0点: それ以外(来校せずに閲覧できるなど、写真購入システム全体のメリットであり写真レコメンド機能が提供するものではない内容)の記述となっている。
- 3点: 選んだメリットを明確かつ論理的に表現できている。
- 0点: メリットとしての説明が成立していない。
解説
〔小中学校の状況〕において、保護者は「掲示されている多数の写真の中から自分の子供を探し出すこと」や「自分の子供が良い表情で写っている写真を探し出すこと」を手間であると感じています。
これに対し、〔新規ビジネスの概要〕では、写真購入システムに「写真レコメンド機能」が実装されると記されています。この機能のうち“顔の識別”を活用することで、自分の子供が写っている写真を探す手間が軽減されます。また、“表情の分析”を活用することで、自分の子供が良い表情で写っている写真を探す手間が軽減されます。
したがって、写真レコメンド機能が提供するメリットは、「自分の子供が写っている写真を探す手間の軽減」と「自分の子供が良い表情で写っている写真を探す手間の軽減」の二つであり、順不同です。
高得点のポイント
- 写真レコメンド機能の“顔の識別”又は“表情の分析”技術により、写真を探す手間が解消されることを正しく捉えていること
- 保護者の既存の課題と新機能の効果を論理的に結びつけ、手間の軽減というメリットとして表現できていること
C中学校の保護者へのメリットのうち,写真レコメンド機能が提供するものを二つ,それぞれ30字以内で具体的に述べよ。(2つ目)
模範解答
自分の子供が写っている写真を探す手間の軽減
自分の子供が良い表情で写っている写真を探す手間の軽減
採点基準
- 3点: 1つ目の解答とは異なるもう一方(1つ目が「写っている写真」なら「良い表情で写っている写真」、逆も同様)を正しく捉えている。
- 0点: 1つ目の解答と同じ趣旨、又はそれ以外の内容となっている。
- 3点: 選んだメリットを明確かつ論理的に表現できている。
- 0点: 1つ目の解答と同じ趣旨であるか、メリットとしての説明が成立していない。
解説
〔小中学校の状況〕において、保護者は「掲示されている多数の写真の中から自分の子供を探し出すこと」や「自分の子供が良い表情で写っている写真を探し出すこと」を手間であると感じています。
これに対し、〔新規ビジネスの概要〕では、写真購入システムに「写真レコメンド機能」が実装されると記されています。この機能のうち“顔の識別”を活用することで、自分の子供が写っている写真を探す手間が軽減されます。また、“表情の分析”を活用することで、自分の子供が良い表情で写っている写真を探す手間が軽減されます。
したがって、写真レコメンド機能が提供するメリットは、「自分の子供が写っている写真を探す手間の軽減」と「自分の子供が良い表情で写っている写真を探す手間の軽減」の二つであり、順不同です。
高得点のポイント
- 1つ目の解答とは異なるもう一方の機能の効果(“顔の識別”又は“表情の分析”)により、写真を探す手間が解消されることを正しく捉えていること
- 保護者の既存の課題と新機能の効果を論理的に結びつけ、手間の軽減というメリットとして表現できていること
設問2(1)では,“スマートフォン内蔵カメラの普及”という解答が散見された。B社は“カメラマンの稼働率低下”を問題として捉え,これを解決するための行動をとっていることを理解してほしい。
設問3
〔保護者説明会と要望への対応〕について,(1),(2)に答えよ。
学校の担当者の依頼に対応するために,B社が実装できる機能は何か。30字以内で述べよ。
模範解答
指定した子供の顔に自動でぼかしを入れる機能
採点基準
- 4点: 保護者の要求事項を正確に理解し、目的達成のために「要望があった特定の子供の顔(指定した子供の顔)」を対象としてぼかしを入れれば足りることを正しく把握している。
- 2点: ぼかしを入れる機能には言及しているが、「自分の子供以外の顔全てにぼかしを入れる」など、適用対象の理解が不正確である。
- 0点: 該当の技術や要求事項の理解が示されていない。
- 3点: 課題解決に必要な「対象(指定した子供の顔)」と「処理(自動でぼかしを入れる)」を論理的に結びつけて簡潔に表現できている。
- 0点: 実装すべき機能としての論理構成が不十分である。
解説
〔保護者説明会と要望への対応〕において、学校の担当者から「保護者から“自分の子供の顔が写っている写真を、他の保護者に購入されたくない”という要望が出た場合の対応方法」の検討依頼がありました。
この課題を解決するためには、他の保護者が購入する写真において当該生徒の顔が分からないようにする仕組みが必要です。
〔B社の写真事業〕の段落には、研究開発部門が「写真の一部に対して自動でぼかしをいれる機能」を開発したことが記載されています。これを応用し、要望があった特定の子供(指定した子供)の顔にのみ自動でぼかしを入れる機能を実装することで、担当者の依頼に対応できます。
高得点のポイント
- 保護者の要求事項(他の保護者に購入されたくない)を正確に理解していること
- 目的達成のためには、写真全体や全ての顔ではなく「要望があった指定の顔」に対してのみぼかしを入れれば足りることを把握していること
- 自社の開発した「自動でぼかしを入れる機能」を解決策として的確に結びつけ、簡潔に表現できていること
“写真撮影販売サービス以外の新たな提案”とは何か。15字以内で述べよ。
模範解答
卒業アルバムの制作
採点基準
- 4点: 学校の課題とB社の強みを的確に結びつけ、提案内容が「卒業アルバムの制作」であることを正しく捉えている。
- 0点: 提案内容を正確に導き出せていない。
- 3点: 新たな提案の内容を明確かつ論理的に表現できている。
- 0点: 提案内容の表現が不明瞭であるか、論点からずれている。
解説
〔保護者説明会と要望への対応〕において、新たな提案は「学校の課題を解決でき、B社の既存ビジネスにおける強みを生かした」ものであるとされています。
〔小中学校の状況〕には、学校の課題として「卒業アルバムを思い出に残る良いものにするために毎年非常に苦労している」ことが挙げられています。
一方、〔B社の写真事業〕には、既存ビジネスの強みとして「デザイン部門の協力を得て、撮影した写真を紙のアルバムとして編集し、販売している」「アルバムは、デザイン性の高さから顧客の思い出に残るものとして、非常に高い評価を得ている」と記載されています。
これらを結びつけると、学校の課題を解決しつつB社の強みを生かせる新たな提案は「卒業アルバムの制作」となります。
高得点のポイント
- 学校側の課題(卒業アルバム制作の苦労)を正確に抽出できていること
- B社の既存ビジネスの強み(デザイン性の高いアルバム制作技術)を正確に抽出できていること
- 両者を結びつけ、新たな提案内容が「卒業アルバムの制作」であることを的確に把握し、端的に表現できていること
設問3(1)では,“自分の子供以外の顔全てにぼかしを入れる”という解答が散見された。保護者の要求事項を正確に理解し,目的達成のためには,要望があった子供の顔を対象とし,他の保護者が購入した場合にぼかしを入れれば足りることを理解してほしい。