令和6年度 春期 ITストラテジスト試験 午後II 問2 新しいビジネスモデルの策定(論文)
この問題は2024(R6)春 ITストラテジスト 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
事業戦略に基づいて新しいビジネスモデルを策定した経験を論じる問題です。解答例は公表されないので、採点基準と講評から要求水準を読み解きます。講評では、単なる新サービスや新システムの導入をビジネスモデルと呼んでしまう概念理解の不足が最も多い失敗として挙げられました。顧客は誰か、提供価値は何か、収益をどう獲得するかの3要素を明示し、ITがその成立にどう不可欠だったかを語る構成が必須です。
この記事で押さえる論点
- 顧客・提供価値・収益獲得方法の3要素でビジネスモデルを定義する
- ITで新たに実現したことをモデル成立の必須条件として論述する
- 事業化時の要件乖離と事業部門への提案・評価を描く
出題情報
- 出題
- 2024(R6)春 ITストラテジスト 午後II 問2
- 配点
- 100点満点
- 模範解答
- 未公表(採点基準と解説から解答の方向性を読み取る)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
今日,ITストラテジストは,事業部門とともに事業戦略に基づき,新しいビジネスモデルを策定することが求められている。本問は,ITストラテジストが,新しいビジネスモデルを策定する際に検討した,顧客,提供価値とそれを具現化する製品やサービス,収益の獲得方法,ITで新たに実現したことなどを,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,ITストラテジストに必要な,新しいビジネスモデルの意義を理解し,その実現性を考える能力,ITの革新がビジネスモデルに与える影響を分析,予測し,対策を助言する能力などを評価する。
問2では,事業部門とともに事業戦略に基づき,新しいビジネスモデルを策定する際に,ITで新たに実現することを検討し事業部門に提案した経験のある受験者には論述しやすかったと思われる。一方で,ビジネスモデルの概念が理解できておらず,新サービス導入や新システム導入の論述,又は,受験者の経験がうかがえない具体性のない論述,新しいビジネスモデルの実現可能性の検討が足りない論述も散見された。ITストラテジストは,事業部門とともに,業務の中で,新しいビジネスモデルの実現可能性を考える経験を積み,ITによるビジネスモデルを策定する能力を養ってほしい。
問題本文
今日,ITストラテジストは,事業部門とともに事業戦略に基づき,新しいビジネスモデルを策定することが求められている。新しいビジネスモデルの策定では,顧客,提供価値とそれを具現化する製品やサービス,収益の獲得方法を定義する必要がある。
ITストラテジストは,新しいビジネスモデルを策定する際には,ITで次のようなことを新たに実現できないか検討することが重要である。
- ITで新たな顧客接点や魅力的な顧客体験(CX)を実現できないか。
- ITで製品やサービスの新しい価値を提供できないか。
- ITで低コストなオペレーションを実現し,収益に貢献できないか。
例えば,新たな収益源を検討していた和服メーカーでは,建設会社や介護施設などの新規顧客の獲得を目指し,作業者や高齢者の健康を見守る,利用料金定額制の新しいビジネスモデルを企画した。このビジネスモデルでは,IoTとクラウドサービスを活用し,銀などの導電繊維を織り込んだ衣服を着るだけで,体温や心拍数を収集して,熱中症などを監視する新しい価値を提供している。
新しいビジネスモデルが事業化される際には,事業環境の変化によって,顧客数や業務量,アクセス数やデータ量などのITの要件が,当初の要件とかい離することがある。ITストラテジストは,このようなかい離を想定して,拡張や縮退のできるITの採用,地域や顧客層を限定した段階的な立ち上げなどを検討し,ITの投資費用とともに,事業部門へ提案する。そして事業部門からの評価を受け,提案の改善を行う。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。
設問と解答・解説
設問ア
あなたが携わった新しいビジネスモデルの策定について,背景にある事業概要と事業戦略を,事業特性とともに800字以内で述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 34点)
知識・理解度(内容)(18点)
- 18点: 事業概要、事業戦略、事業特性のすべてが極めて具体的に記述されており、ビジネスモデル策定の背景として十分な説得力がある。
- 14点: 事業概要、事業戦略、事業特性のすべてが記述されており、ビジネスモデル策定の背景が概ね理解できる。
- 9点: 事業概要、事業戦略、事業特性のうち一部の記述が不足しているか、具体性にやや欠ける。
- 4点: 事業概要、事業戦略、事業特性の記述が不足しており、ビジネスモデル策定の背景として不十分である。
- 0点: 全く記述されていないか、設問の意図から完全に逸脱している。
論理性(構造)(16点)
- 16点: 事業特性と事業戦略が論理的に結びついており、一貫性のある背景として極めて明確に構成されている。
- 12点: 事業特性と事業戦略の結びつきがあり、概ね一貫した構成となっている。
- 8点: 論理的なつながりがやや不明瞭な箇所がある。
- 4点: 記述内容の論理性が乏しく、文意の把握が困難である。
- 0点: 論理的構成が全く見られない。
解説
本問は、ITストラテジストとして事業部門とともに新しいビジネスモデルを策定する際の前提となる事業概要、事業戦略、および事業特性を明確に論述することが求められています。
高得点のポイント
- 自身が携わった事業の概要と固有の事業特性が具体的に説明されている。
- 事業戦略が明確であり、設問イ以降で述べる「新しいビジネスモデル」の策定に至る論理的な背景として説得力を持っている。
- 新サービスや新システムの単なる導入ではなく、ビジネスモデルを策定するという視点が示されている。
設問イ
設問アで述べた事業戦略に基づき,あなたはどのような新しいビジネスモデルを策定したか,顧客,提供価値とそれを具現化する製品やサービス,収益の獲得方法,ITで新たに実現したことを,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 33点)
知識・理解度(内容)(17点)
- 17点: 顧客、提供価値、製品・サービス、収益獲得方法、ITで新たに実現したことのすべてが網羅され、極めて具体的に論述されている。
- 13点: 要求された要素がすべて記述されており、具体的なビジネスモデルとして十分に理解できる。
- 8点: 要求された要素のうち1〜2項目が不足しているか、新サービス・新システム導入の域を出ない記述となっている。
- 4点: 要求された要素の多くが不足しており、ビジネスモデルとしての具体性に欠ける。
- 0点: 全く記述されていないか、設問の意図から完全に逸脱している。
論理性(構造)(16点)
- 16点: 設問アの事業戦略との整合性が極めて高く、ビジネスモデルの各要素(顧客、価値、収益、IT)が論理的に矛盾なく構成されている。
- 12点: 設問アの事業戦略との整合性があり、ビジネスモデルの各要素が概ね論理的に構成されている。
- 8点: 設問アの事業戦略との整合性がやや弱いか、ビジネスモデルの要素間に一部論理的な飛躍がある。
- 4点: 設問アの事業戦略との整合性が見られず、論理的な構成に重大な欠陥がある。
- 0点: 論理的構成が全く見られない。
解説
本問は、設問アで述べた事業戦略に基づき、顧客、提供価値とその具現化としての製品やサービス、収益の獲得方法、およびITで新たに実現したことを具体的に論述することが求められています。
高得点のポイント
- 設問アの事業戦略に合致した新しいビジネスモデルとなっている。
- ビジネスモデルの構成要素(顧客、提供価値、製品・サービス、収益モデル)が明確かつ論理的に整合している。
- 単なるシステム導入にとどまらず、ITの活用によって新たに実現した革新性が具体的に示されている。
- ITストラテジストとしての提案や貢献がうかがえる内容になっている。
設問ウ
設問イで述べた新しいビジネスモデルが事業化される際の,あなたが想定した,当初の要件とのかい離は何か,提案した内容と事業部門の評価,事業部門の評価を受けて改善したこととともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 33点)
説得力(考察)(17点)
- 17点: 当初の要件とのかい離に関する分析が深く、それに対する提案と改善策が極めて妥当で、実現可能性を高める考察がなされている。
- 13点: 当初の要件とのかい離に対する提案と改善策が適切に記述されており、説得力がある。
- 8点: 提案や改善策が一般的または表面的な内容に留まり、ビジネスモデルの実現可能性の検討としてやや弱い。
- 4点: 提案内容や改善策が不十分であり、事業化における考察としての説得力に欠ける。
- 0点: 全く記述されていないか、設問の意図から完全に逸脱している。
論理性(構造)(16点)
- 16点: かい離の想定、提案内容、事業部門の評価、改善策が極めて論理的な流れで整理・構成されている。
- 12点: 各要素(かい離、提案、評価、改善)が概ね論理的な流れで構成されている。
- 8点: 各要素間のつながりが一部不明瞭で、論理の展開にやや飛躍がある。
- 4点: 各要素の記述が断片的で、論理的な構成に重大な欠陥がある。
- 0点: 論理的構成が全く見られない。
解説
本問は、策定した新しいビジネスモデルの事業化において想定した当初の要件とのかい離(課題)、それに対する提案内容、事業部門の評価、およびそれを踏まえた改善策を論述することが求められています。
高得点のポイント
- ビジネスモデル事業化における現実的な課題(かい離)が具体的に分析されている。
- ITストラテジストとしての適切な提案と、それに対する事業部門からの客観的な評価が記述されている。
- 事業部門の評価を受け止めた上で、実現可能性を高めるための改善策が妥当かつ具体的に講じられている。