IPA 有線LAN・スイッチング — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

オフィスやデータセンター内の有線LANにおいて、ケーブルや光ファイバで信号を正しく伝え、スイッチでフレームを宛先へ届ける仕組みを扱う分野です。イーサネットのフレーム構造や衝突制御だけでなく、回線やポートを束ねる冗長化やループの防止、仮想的なネットワーク分割によって、中継装置ごとに通信の届く範囲がどう変わるかを判断できるようになります。

2. 実際の出題のされ方

応用情報技術者の午前と高度試験の午前Iでは、有線LANの基本的な仕組みとスイッチの機能を問う問題が出ます。CSMA/CD方式における搬送波感知と衝突検出後の再送動作、ブロードキャストフレームの伝送方式、LANケーブルで給電を行うPoE(Power over Ethernet)、VLANによるブロードキャスト到達範囲の制限効果、フリーアドレス環境で動的にセグメントを割り当てる認証VLANなどが問われています。

高度試験の午前IIでは、フレームの中身やケーブル規格の数値、冗長構成の制御手順まで問われます。IEEE 802.3ベーシックフレームの各フィールド長から全体のフレーム長を求める計算、IPv4とIPv6の識別に関わるタイプフィールド、IEEE 802.1QのVLANフレームにおける挿入位置(送信元MACアドレスの直後)、10GBASE-Tのケーブルカテゴリ別最大長や光ファイバのモード特性、Automatic MDI/MDI-Xの機能が出題されています。また、スイッチングハブと同じ階層で動作する装置(ブリッジ)の識別、複数ポートを束ねるリンクアグリゲーションやNICチーミングの目的、スパニングツリープロトコル(STP)におけるルートブリッジの決定基準・代表ポート(Designated Port)の定義・複数VLANを束ねるMSTP、ルータ越しのコリジョン伝搬とブロードキャスト中継の有無も問われています。

3. 学習のポイント

  1. 物理層のケーブル規格とポート機能

    • 10GBASE-Tの最大ケーブル長: カテゴリ6A(Cat6A)では最大100mまで伝送できますが、カテゴリ6(Cat6)では55mに制限される点を押さえます。
    • 光ファイバの比較: コア径が細く光の伝送経路が1つのシングルモードはモード分散が生じないため、マルチモードに比べて伝送速度が速く、伝送距離も長いという特性があります。
    • ポートの補助機能: LANケーブル経由で電力を供給するPoEと、ピン割当てを自動判別してストレートケーブル・クロスケーブルのどちらでも接続可能にするAutomatic MDI/MDI-Xを区別できるようにします。
  2. イーサネットフレームの構造とCSMA/CD

    • フレーム構成とサイズ: プリアンブル(7オクテット)とSFD(1オクテット)に続き、宛先MACアドレス(6オクテット)、送信元MACアドレス(6オクテット)、長さ/タイプ(2オクテット)、データ(46〜1,500オクテット)、FCS(4オクテット)で構成されます。宛先アドレスからFCSまでのヘッダ+トレーラ合計は 18オクテット です。また、IEEE 802.1QのVLANフレームでは、送信元MACアドレスとタイプ(または長さ)の間に4オクテットの情報が付加されます。
    • CSMA/CD方式: 送信前に伝送路のキャリア信号を検出して空きを確認し(CSMA方式に共通)、衝突(コリジョン)を検出した場合は送信を中止してランダムな時間待機した後に再送します。
  3. スイッチング・VLAN・冗長化

    • 中継装置とドメイン分割: リピータ(第1層)はコリジョンドメインもブロードキャストドメインも分割しません。ブリッジやレイヤー2スイッチ(第2層)はコリジョンドメインを分割しますが、宛先MACアドレスの全ビットが1のブロードキャストフレームは中継します。ルータやレイヤー3スイッチ(第3層)は両方のドメインを分割し、ブロードキャストフレームを他セグメントへ中継しません。
    • VLAN(仮想LAN): 論理的にブロードキャストドメインを分割することで、ARP要求などのブロードキャストが届く範囲を制限し、アドレス情報の不要な流出リスクを低減します。ポート固定のスタティックVLANに対し、IEEE 802.1Xなどによる利用者認証の結果に応じて動的に所属を切り替える仕組みが認証VLANです。
    • スパニングツリープロトコル(STP): レイヤー2のループ(ブロードキャストストーム)を防ぐため、優先順位とMACアドレスからルートブリッジを選出し、一部のポートを論理的にブロックします。各非ルートブリッジでルートブリッジへの経路コストが最小のポートをルートポート、各リンク(セグメント)の両端でルートブリッジへの経路コストが小さい側のポートを代表ポート(Designated Port)と呼びます。また、複数のVLANを1つのインスタンスにまとめてツリーを構成する方式がMSTPです。
    • リンクアグリゲーションとNICチーミング: スイッチ間の複数ポートやサーバの複数NICを論理的に1つに束ねることで、通信帯域の拡大(負荷分散)と回線やポート、NICの故障時の耐障害性向上(冗長化)を実現します。

4. 間違えやすいところ

  • フレーム長計算でのプリアンブル・FCS・VLAN情報の扱い:
    宛先アドレスからFCSまでのベーシックフレーム長を求める計算で、FCS(4オクテット)を足し忘れたり、逆にプリアンブル+SFD(計8オクテット)やVLAN用の4オクテットを余計に足してしまったりした値が、誤答の選択肢に並んでいました。問題文がどこからどこまでをフレーム長と定義しているかを必ず確認してください。
  • Automatic MDI/MDI-Xとオートネゴシエーション・フロー制御の混同:
    ストレート/クロスケーブルを自動判別するAutomatic MDI/MDI-Xを、通信速度や全二重・半二重モードを自動認識するオートネゴシエーションや、受信バッファあふれを防ぐために一時停止を要求するフロー制御(PAUSEフレーム)と取り違えないようにしましょう。ポートの機能を問う問題(Automatic MDI/MDI-XやNICチーミング)では、フロー制御やオートネゴシエーションの説明が誤答の選択肢に置かれています。
  • STPにおける代表ポートとルートポートの混同:
    どちらもルートブリッジへの経路コストの小ささに関わるため混同しがちです。各リンク(セグメント)においてルートブリッジに近い側のポートは代表ポート、各非ルートブリッジ内でルートブリッジに最も近いポートはルートポートです。また、STPは複数経路で同時にフレーム転送する負荷分散プロトコルではなく、平常時は予備経路をブロックする点にも注意が必要です。
  • VLANそのものの機能と他のアクセス制御機能の混同:
    VLAN分割の効果を問う問題で、同一セグメント内のICMP遮断やMACアドレスによる接続可否判別(MACアドレスフィルタリング)が誤答の選択肢に並んでいました。VLANの基本機能はブロードキャストドメインの論理的な分割である点を押さえておきましょう。

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