平成23年度 宅地建物取引主任者資格試験 問6

Aは自己所有の甲建物をBに賃貸し賃料債権を有している。この場合における次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。

解答・解説

正解: 1. Aの債権者Cが、AのBに対する賃料債権を差し押さえた場合、Bは、その差し押さえ前に取得していたAに対する債権と、差し押さえにかかる賃料債務とを、その弁済期の先後にかかわらず、相殺適状になった段階で相殺し、Cに対抗することができる。

正解は 選択肢1 です。

本問は、賃料債権に対する差押えや物上代位、債権譲渡が行われた場合の、賃借人による相殺や敷金充当の可否に関する総合的な知識を問う問題です。

各選択肢の解説

  • 選択肢1:正しい
    差押えを受けた債権の受働債権とする相殺に関する民法第511条の規定です。差押え前に取得した債権であれば、弁済期の先後にかかわらず、相殺適状になった段階で相殺し、差押債権者に対抗することができます。

  • 選択肢2:誤り
    抵当権者の物上代位に基づく差押えと賃借人の相殺に関する判例です。賃借人は、抵当権設定登記の後に取得した賃貸人に対する債権を自働債権とし、賃料債権を受働債権として相殺をもって、物上代位権を行使する抵当権者に対抗することはできないとされています(最判平成13年3月13日)。

  • 選択肢3:誤り
    物上代位による差押えと敷金充当に関する判例です。賃貸借契約が終了し、目的物が明け渡されたときは、敷金は未払賃料債務に当然に充当されて消滅します。物上代位による差押えがなされていた場合であっても、賃借人は敷金充当による賃料債務の消滅を抵当権者に対抗することができます(最判平成14年3月28日)。

  • 選択肢4:誤り
    債権譲渡と相殺に関する民法第469条の規定です。債務者は、対抗要件具備時(通知時点)より前に取得した譲渡人に対する債権による相殺をもって譲受人に対抗することができます。本肢では通知時点で既に相殺適状になっていた債権であるため、譲受人Fに対して相殺を主張することができます。

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