令和3年度 秋期 応用情報技術者試験 午後 問題 問1 オフィスの物理的セキュリティの見直しと情報セキュリティ管理規程の改定
学習ガイド
通販会社におけるオフィスのセキュリティを見直す問題です。ICカードを用いた入退室管理の仕組みや、印刷物の放置を防ぐオンデマンド印刷、私物持ち込み制限など、物理的対策の具体例が問われます。オフィスレイアウト図と現状の問題点を照らし合わせ、それぞれの課題に対してどのような設備やルールの導入が有効かを順に確認して解答を導きます。
この記事で押さえる論点
- 非接触型ICカードとアンチパスバックの仕組みを説明できる
- クリアデスクとクリアスクリーンの違いを述べられる
- オンデマンド印刷による印刷物の放置防止効果を説明できる
- 透明な鞄の貸与による不正行為の低減効果を述べられる
出題情報
- 出題
- 2021(R3)秋 応用情報技術者 午後 問1
- 配点
- 20点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
昨今,オフィス内から秘密情報が記録された情報機器や書類などが不正に持ち出され,秘密情報が漏えいする事案が発生している。秘密情報の漏えいは,企業に甚大な損失を与える可能性がある。
本問では,物理的な情報セキュリティを中心とした対策を題材に,情報機器や書類の不正持出しを防ぐための方策についての理解を問う。
問1では,オフィスのセキュリティ対策を題材に,物理的なセキュリティを中心とした具体的な対策内容について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
問1 オフィスのセキュリティ対策に関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
A社は,日用雑貨の通信販売会社である。A社では,会員にカタログ冊子を送付し,冊子にとじ込まれた注文書又はインターネットでの注文を受け付けている。
A社では,情報セキュリティ担当役員を委員長とする情報セキュリティ委員会を設置しており,情報セキュリティの適正な管理を目的として,情報セキュリティ管理規程を制定している。
A社の通信販売事業は順調に拡大し,大量の個人情報を管理するようになったことから,情報セキュリティ委員会は,今回,物理的対策を中心にオフィスのセキュリティを見直すことにした。
A社のオフィスレイアウトを図1に示す。

図の説明テキスト
図1 A社のオフィスレイアウト
オフィスレイアウトを示す模式図。
図の下部に注記1〜3がある。
レイアウトは外枠で囲まれた長方形の領域が各部屋・エリアに区切られている。
左端には上から3つの「会議室」があり、それぞれ執務エリア側(右側)にドアがある。
図の下段の左側は「打合せスペース」で、3つの四角い机が描かれている。打合せスペースと受付エリアの間に壁やドアはなく、ひと続きになっている。
図の中央の最も広い領域は「執務エリア 第2ゾーン」である。このエリアの上部の壁沿いには「複合機」が3つ配置されている。
図の下部中央は「受付エリア 第1ゾーン」である。下側の外壁に両開きの入り口ドアがある。受付エリア内の右側には「受付」のカウンターがある。受付エリアから執務エリア(上方向)へ入るための両開きドアがあり、そのドアの左側(受付エリア側)に「CR」が設置されている。
受付エリアの右側には「ロッカー室 第2ゾーン」がある。受付エリアからロッカー室へ入るためのドアがあり、そのドアの上側(受付エリア側の壁沿い)に「CR」が設置されている。
図の右側、ロッカー室の上には下から順に「サーバ室 第4ゾーン」、「資料保管室 第3ゾーン」がある。執務エリアからこれらの部屋へ入るためのドアがそれぞれあり、どちらのドアも執務エリア側の壁沿いに「CR」が設置されている。
注記1:複合機は、プリンタ、ファックス、コピー、文書保存などの機能をもつ装置である。
注記2:CRは、入退室管理システムの非接触型ICカード読取り装置である。
注記3:ゾーンは、警戒レベルに合わせて管理された区域であり、第4ゾーンは警戒レベルが最も高い区域である。
〔オフィスの現状〕
A社のオフィスは,入退室管理システムによって,入室制限が行われている。第1ゾーンは,入退室管理システムでの入室制限を行っていない。第2ゾーンには全社員が,第3,4ゾーンには許可された社員だけが入ることができる。社員は,非接触型ICカードである社員カードを所持している。社員カードを部屋の入り口に設置されたCRにかざすと,社員カード内に記録されたIDによって入室の可否が判断される。入室が許可されるとドアが解錠される。
A社では,ノートPC(以下,NPCという)を全社員に貸与している。オフィスの執務エリアは,間仕切りのない設計になっている。会議室は執務エリアと同じ第2ゾーンに含まれる。執務エリアには,3台の複合機が設置され,複数の課で共有している。執務エリア内で社員が使用する机には鍵付きのサイドキャビネットがあり,個人が管理する書類や外出及び帰宅時のNPCの保管などに使用されている。
資料保管室とサーバ室は執務エリアと間仕切りされ,入室を許可された社員だけが使用できる。受付エリアの右手奥にロッカー室があり,鍵付きの個人用ロッカーが全社員分設置されている。
非接触型ICカードでは,カード内に埋め込まれたaが,CRが発信するbを電気に変換し,その電気を利用してICカード内のプログラムを動作させ,CRとの間で無線通信を行う。複合機は,情報機器や情報システムなどのITセキュリティを評価するための基準を定めた規格であるcに基づく認証を取得している製品である。
物理的対策を中心としたオフィスのセキュリティの見直しを決定した情報セキュリティ委員会は,システム部の情報セキュリティリーダであるB主任を,担当者に指名した。B主任は,見直し案を作成するために,現状の問題点の洗い出しと改善策の立案支援を,情報セキュリティ会社のC社に依頼した。
〔現状の問題点〕
C社のコンサルタントであるD氏は,オフィスの現状を調査し,四つの項目に関する六つの問題点をB主任に報告した。D氏が指摘した問題点を表1に示す。

図の説明テキスト
表1 D氏が指摘した問題点
| 項番 | 項目 | 問題点 |
|---|---|---|
| 1 | 入退室管理について | 共連れでの入室が散見される。 |
| 2 | 来訪者の執務エリア内などでの単独行動が散見される。 | |
| 3 | 複合機の運用について | 個人データが印刷された書類が複合機に放置されていることがある。 |
| 4 | 執務エリア内への私物の持込みについて | 多くの社員が,私物を入れた鞄を執務エリア内に持ち込んでいる。 |
| 5 | 紙文書や NPC の管理について | 書類や印刷物などを机の上に放置したままの離席が散見される。 |
| 6 | NPC にログイン後の,操作が可能な状態での離席が散見される。 |
〔問題点についての打合せ〕
D氏から指摘された問題点について,B主任がD氏と打合せを行ったときの二人の会話を次に示す。
B主任:項番1,2については,どのような対策が有効でしょうか。
D氏:低コストで実現できる項番1の対策としては,CRを入り口側と同様に出口側にも設置して,アンチパスバックを導入することが有効です。アンチパスバックでは,“入室状態になっていない人が退室しようとした場合は解錠しない”,という処理が行われます。①そのほかにも,アンチパスバックでは,通行を許可された社員カードをCRにかざしても,利用状況によっては異常と判断して解錠しない場合があります。項番2の対策としては,来訪者を入室させる場合は,入室から退室まで担当者が付き添うようにします。しかし,サーバの保守作業など担当者が付き添えない場合もありますから,サーバコンソールでの操作内容のログ取得などの技術的対策のほかに,②第4ゾーンでは,来訪者の行動を事後に確認できるようにします。
B主任:分かりました。アンチパスバックと来訪者の行動を事後に確認できる設備の導入を検討します。また,来訪者を入室させる場合の対応方法については,情報セキュリティ管理規程に明記するようにします。項番3については,印刷物の放置を禁止していますが徹底できていません。何か良い方策はないでしょうか。
D氏:御社の複合機本体には,社員カードが使用できるICカードリーダを装備できますから,ICカードリーダを装備して,オンデマンド印刷機能を利用することを推奨します。③オンデマンド印刷機能を利用すると,NPCから印刷指示した文書の用紙への印刷は,社員カードを複合機のICカードリーダにかざして認証を受けた後に行われることになります。
B主任:運用方法を検討してみます。項番4については,社員の反対が多く,私物の持込みは禁止できていません。社員に受け入れられる方策はないでしょうか。
D氏:私物の鞄の持込みは禁止し,代わりにd鞄を貸与して,その中に入れた私物については,持込みを許可するのが良いでしょう。その場合,持込みを禁止する私物の種類や持ち込んだ私物のオフィス内での使用上の禁止事項を,情報セキュリティ管理規程に明記してください。
B主任:なるほど,その方策なら当社でも実施可能ですから,改善策として検討します。項番5,6については,実施すべき内容を情報セキュリティ管理規程に明記して徹底させるようにします。
D氏:それで良いと思います。
B主任は打合せ結果を基に,オフィスの物理的対策を中心とした見直し案をまとめて,情報セキュリティ委員会に報告した。見直し案が承認され,情報セキュリティ管理規程の改定と対策案が実施されることになった。
設問と解答・解説
本文中の a に入れる適切な字句を選べ。
模範解答
選択肢カ: アンテナコイル
解説
正解の理由
本文の〔オフィスの現状〕において、「非接触型ICカードでは,カード内に埋め込まれた [ a ] が,CRが発信する [ b ] を電気に変換し,その電気を利用してICカード内のプログラムを動作させ,CRとの間で無線通信を行う。」と記述されています。
非接触型ICカード(スマートカードなど)は、内部に電池を持たず、リーダー/ライター(本問では CR)からの電磁波を利用して電力を得ます。この電磁波を受信し、電磁誘導によって電気に変換する役割を担う部品が アンテナコイル です。したがって、[ a ] には「アンテナコイル」が入ります。
各選択肢の解説
- ア: CC (Common Criteria) は、情報機器や情報システムのITセキュリティを評価するための規格です。空欄 c に当てはまります。
- イ: ISMS は、情報セキュリティマネジメントシステムのことです。カード内の部品ではありません。
- ウ: JIS Q 15001 は、個人情報保護マネジメントシステムに関する規格です。
- エ: UHFアンテナ は、極超短波(UHF帯)を用いた通信用のアンテナであり、社員証などの一般的なパッシブ型非接触ICカードの電力変換に用いられる部品の名称としては不適切です。
- オ: Wi-Fi電波 は、無線LAN通信に用いられる電波であり、ICカードの電力供給には使用されません。
- カ: 正解です。
- キ: 赤外線 は、光による通信方式であり、一般的な非接触型ICカードの電力供給や通信には用いられません。
- ク: 電磁波 は、CRが発信して電力を供給する媒介となるものです(空欄 b に該当)。
- ケ: ヘリカルアンテナ は、らせん状のアンテナであり、薄いICカード内に埋め込まれる形状としては不適切です。
本文中の b に入れる適切な字句を選べ。
模範解答
選択肢ク: 電磁波
解説
正解の理由
本文の〔オフィスの現状〕において、「非接触型ICカードでは,カード内に埋め込まれた [ a ] が,CRが発信する [ b ] を電気に変換し,その電気を利用してICカード内のプログラムを動作させ,CRとの間で無線通信を行う。」と記述されています(空欄 a にはアンテナコイルが入ります)。
ICカードリーダー(CR)は、カードに電力を供給し通信を行うために、空間に 電磁波 を放射します。カード内のアンテナコイルはこの電磁波を受け取り、電磁誘導によって電気に変換します。したがって、[ b ] には「電磁波」が入ります。
各選択肢の解説
- ア: CC (Common Criteria) は規格の名称です。
- イ: ISMS は情報セキュリティの管理の仕組みです。
- ウ: JIS Q 15001 は個人情報保護に関する規格です。
- エ: UHFアンテナ はアンテナの一種であり、CRが発信するものではありません。
- オ: Wi-Fi電波 は無線LANに用いられ、非接触ICカードの電力供給用ではありません。
- カ: アンテナコイル は電波を受信するカード側の部品です(空欄 a に該当)。
- キ: 赤外線 は非接触型ICカードとCR間の通信・電力供給には用いられません。
- ク: 正解です。
- ケ: ヘリカルアンテナ はアンテナの一種です。
本文中の c に入れる適切な字句を選べ。
模範解答
選択肢ア: CC (Common Criteria)
解説
正解の理由
本文の〔オフィスの現状〕において、「複合機は,情報機器や情報システムなどのITセキュリティを評価するための基準を定めた規格である [ c ] に基づく認証を取得している製品である。」と記述されています。
情報機器や情報システムのITセキュリティ評価基準を定めた国際規格は CC (Common Criteria) と呼ばれます。複合機などのIT製品が適切なセキュリティ要件を満たしているかを第三者が評価・認証するための規格です。したがって、[ c ] には「CC (Common Criteria)」が入ります。セキュリティ製品に関する重要な規格なので、覚えておきましょう。
各選択肢の解説
- ア: 正解です。
- イ: ISMS は、組織全体としての情報セキュリティマネジメントシステムに関する規格であり、特定のIT製品(機器やシステム)自体のセキュリティ機能を評価する規格ではありません。
- ウ: JIS Q 15001 は、個人情報保護マネジメントシステムの要求事項を定めた国内規格(プライバシーマークの基準など)であり、ITセキュリティ評価基準ではありません。
- エ〜ケ: これらはアンテナの種類や通信に用いる媒体(電磁波、Wi-Fi電波など)であり、セキュリティを評価する規格ではありません。
設問1のcは,正答率が低かった。Common Criteriaは,情報機器や情報システムのITセキュリティを評価するための規格なので,覚えておいてほしい。
設問2
表1中の項番5の問題点への対策はクリアデスクと呼ばれるが,項番6の問題点への対策は何と呼ばれているか。10字以内で答えよ。
模範解答
クリアスクリーン
採点基準
- 1点: 「クリアスクリーン」という用語を正確に解答している。
- 0点: 「クリアスクリーン」以外の誤った用語を解答している、または無回答。
- 1点: 対策の名称のみを簡潔に記述している。
- 0点: 要求されていない余分な説明が含まれており、用語の提示として構成が不適切。
解説
正解の理由
表1の項番6には、「NPCにログイン後の,操作が可能な状態での離席が散見される。」という問題点が挙げられています。
この状態を放置すると、離席中に第三者がPCを不正に操作し、情報を盗み見たり持ち出したりするリスクがあります。机の上に書類を放置しない対策が「クリアデスク」と呼ばれるのに対し、PCの画面を操作可能な状態のまま放置せず、離席時にはスクリーンロックをかけたりログオフしたりして、画面から情報が漏えいすることを防ぐ対策は クリアスクリーン と呼ばれます。
高得点のポイント
- クリアスクリーン という用語を正確に記述していること
- 離席時におけるPCからの情報漏えいリスクを低減するための対策名称として、余分な語句を含めず10字以内で簡潔に答えていること
設問2は,正答率がやや低かった。離席時におけるPCからの情報漏えいリスクを低減するための対策に,クリアスクリーンがある。クリアスクリーンという用語とその概要について覚えておいてほしい。
設問3
〔問題点についての打合せ〕について,(1)〜(4)に答えよ。
本文中の下線①について,どのような場合に解錠しないかを,30字以内で答えよ。
模範解答
入室状態となっている人が再度入室しようとした場合
採点基準
- 2点: 入室状態のまま退室記録がない人が、再度入室しようとした場合であることを明確に記述している。
- 1点: 入退室の順序の矛盾には触れているが、具体的な状況(入室状態の人が再度入室しようとする等)の説明が不十分である。
- 0点: アンチパスバックの解錠されない条件についての理解が示されていない。
- 1点: 「〜場合」などの適切な文末表現を用いて、条件を論理的に構成している。
- 0点: 条件を説明する構成になっていない、または文脈として意味が通らない。
解説
正解の理由
本文の〔問題点についての打合せ〕で、D氏は共連れの対策として、入退室の両方でカードを読み取らせる「アンチパスバック」の導入を提案しています。
アンチパスバックの基本的な仕組みは、「入室状態になっていない人が退室しようとした場合は解錠しない」というものです。下線①では、「そのほかにも〜異常と判断して解錠しない場合があります」と述べています。
これは、入室と退室の記録が交互に発生するという前提に基づき、すでに入室記録が残っている(入室状態の)人が、退室記録がないまま再度入室しようとした場合 を指します。このような状況は、入室した人が自分のカードを窓越しなどに外の人に渡し、そのカードを使って別の人が入室しようとする不正(貸し借りや共連れ)が疑われるため、異常とみなされて解錠されません。
高得点のポイント
- アンチパスバックの仕組み上、矛盾する利用状況である「入室状態にある人が再度入室しようとした場合」を明確に示していること
- 30字以内という字数制限を守り、「〜場合」といった適切な文末表現で簡潔にまとめていること
本文中の下線②について,具体的な対策内容を,25字以内で述べよ。
模範解答
監視カメラを設置して来訪者の行動を記録する。
採点基準
- 2点: 「監視カメラを設置して記録する」などの事後確認が可能な具体的な物理的対策を提示している。
- 1点: 事後確認の必要性や監視の意図には触れているが、監視カメラなどの具体的な設備・行動への言及が曖昧である。
- 0点: 事後確認のための物理的対策として見当違いであるか、無回答。
- 1点: 具体的な対策の措置として完結した文で構成している。
- 0点: 対策として意味が通らない構成である。
解説
正解の理由
本文の〔問題点についての打合せ〕における下線②では、「第4ゾーンでは,来訪者の行動を事後に確認できるようにします」と述べられています。
第4ゾーン(サーバ室)は図1の注記3に「警戒レベルが最も高い区域」とあり、本来は来訪者に担当者が付き添うべきですが、保守作業などで付き添えない場合のリスク対策が問われています。技術的対策(操作ログ取得など)はすでに言及されているため、ここでは物理的対策として行動を事後に確認する方法を答える必要があります。
来訪者がサーバ室内で「何をしたか(不審な行動や物理的な破壊、機器の不正な接続などがないか)」を後から確認するための最も一般的かつ具体的な物理的対策は、監視カメラを設置して録画(記録)する ことです。
高得点のポイント
- 来訪者の行動を事後に確認・追跡するための具体的な物理的対策として、「監視カメラ(の設置)」や「録画(記録)」という要素を含めていること
- 具体的な対策の措置として意味が通る構成で、25字以内で完結に記述していること
本文中の下線③の機能が,表1中の項番3の問題を低減させる対策になる理由を,30字以内で述べよ。
模範解答
複合機の側に行かないと用紙への印刷ができないから
採点基準
- 2点: 本人が複合機の側に行って社員カードで認証しないと用紙に印刷されない(印刷時に本人が複合機の前にいる)ことを理由として述べている。
- 1点: ICカード認証・オンデマンド印刷には触れるが、印刷時に本人が複合機の側にいることにつながらない(例:印刷に認証が必要だから)。
- 0点: 放置の低減と無関係。
- 1点: 「〜から」「〜ため」など、理由を示す適切な文末表現で構成している。
- 0点: 理由を示す形式になっていない、あるいは因果関係が破綻している。
解説
正解の理由
表1の項番3の問題点は「個人データが印刷された書類が複合機に放置されていることがある。」です。これに対する対策として、下線③「オンデマンド印刷機能を利用する」ことが提案されています。
オンデマンド印刷機能では、PCから印刷指示を出した時点ではまだ紙への印刷は行われず、複合機本体にデータが一時保存されます。その後、本人が複合機のところへ行き、ICカード等をかざして認証を行ったタイミングで初めて印刷が開始 されます。
つまり、必ず本人が複合機の前にいる状態で印刷物が出力されるため、そのまま印刷物を取り忘れて放置されるという事態を防ぐことができます。
高得点のポイント
- オンデマンド印刷の特性である、「本人が複合機の前(側)に行かないと印刷されない」というプロセスを正しく指摘していること
- その特性が印刷物の放置を防ぐ理由として因果関係が成り立っており、「〜から」などの適切な文末を用いて30字以内で記述していること
本文中の d に入れる適切な字句を,10字以内で答えよ。
模範解答
中が透けて見える
採点基準
- 2点: 「中が透けて見える」「透明な」など、周囲から中身が判別できるという意図を満たす鞄の特性を明確に記述している。
- 1点: 不正防止の意図は推測できるが、鞄の特性を直接的に表す表現としてはやや曖昧。
- 0点: 不正防止の意図を満たさない、無関係な鞄の特性を挙げている。
- 1点: 後に続く「鞄」を修飾する言葉として適切に構成されている。
- 0点: 修飾語として文脈に合わない、または意味が通らない。
解説
正解の理由
表1の項番4の問題点「多くの社員が,私物を入れた鞄を執務エリア内に持ち込んでいる。」に対する対策として、D氏は「私物の鞄の持込みは禁止し,代わりに [ d ] 鞄を貸与して,その中に入れた私物については,持込みを許可する」と提案しています。
オフィス内への私物の持込みを許可しつつ、不正行為を防ぐためには、「持ち込んだ私物が、不正行為に繋がる可能性がない物であることを、周囲の者が外から見て判別できる」ようにする必要があります。
したがって、貸与する鞄の特性としては、中身が外から見えるようにするための 中が透けて見える(または 透明な)といった条件が入ります。
高得点のポイント
- 不正を抑止するために周囲から内容物が確認できるという意図を踏まえ、「中が透けて見える」や「透明な」という鞄の物理的特性を正確に表現していること
- 「鞄」に続く修飾語として自然な表現を用いて、10字以内で記述していること
また,その鞄の貸与によって,禁止された私物の持込みのほかに,低減できる可能性のある不正行為を,15字以内で答えよ。
模範解答
秘密書類の持出し
採点基準
- 2点: 秘密書類や情報機器などを外部へ持ち出す「持出し」行為を低減できることを明確に指摘している。
- 1点: 不正行為の例を挙げているが、鞄の中身が可視化されることによる防止効果との因果関係がやや不明瞭。
- 0点: 鞄の貸与によって低減できる不正行為として不適切である。
- 1点: 「〜の持出し」等の名詞形で、行為の内容を簡潔に表現している。
- 0点: 行為の内容として意味が通らない構成である。
解説
正解の理由
透明な鞄(中が透けて見える鞄)を貸与することで、私物の持込み時に禁止物(カメラ付き機器や不要な記録媒体など)を隠して持ち込むことを防ぐことができます。
これに加えて、この鞄は退出時にも中身が周囲から丸見えになります。昨今、オフィス内から秘密情報が記録された情報機器や書類などが不正に持ち出される事案が発生していることが問題視されています(問題の出題趣旨にも記載)。中身が隠せない鞄を使用させることで、会社の 秘密書類や情報機器などを外部へ不正に持ち出す行為(持出し) を抑止・低減することができます。
高得点のポイント
- 鞄の中身が可視化されることで防止できる、外部への「持出し」行為に着目できていること
- 持ち出される対象として「秘密書類」や「情報機器」などの具体的な資産を挙げ、15字以内で簡潔に記述していること
設問3(4)のdは,正答率が平均的であった。オフィス内への私物の持込みを許可する場合は,持ち込んだ私物が,不正行為に繋がる可能性がない物であることを,周囲の者が判別できるようにする対策が重要であることを理解してほしい。