令和3年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問2 顧客満足度向上を目指す改善プロジェクトのマネジメントプロセス修整
マネジメントプロジェクト計画品質マネジメントリスクマネジメント
学習ガイド
健康食品通販会社の顧客満足度向上を目的とした、業務管理システムの改善プロジェクトを扱う問題です。品質や納期を重視した過去の構築プロジェクトとは異なり、状況の変化に柔軟に対応して顧客価値を高めるためのマネジメントプロセスの修整が論点となります。事業部門と連携したスコープ定義や予算制約の考慮、要件ごとの迅速なリリースに向けた体制づくり、システムの正確性を維持するリグレッションテストの役割を確認し、プロジェクトの目的とプロセスの違いを比較しながら解答の手順を追います。
この記事で押さえる論点
- 従来と異なる目的やQCDに対する考え方に基づき、既存のプロジェクト計画のマネジメントプロセスを修整する理由を説明できる
- 事業部門との協議を通じて要求事項の優先度を決定し、予算の制約内でスコープとする要件を定義する手順を述べられる
- 状況の変化に適応して速やかにスコープ変更を検討し、顧客満足度向上の目標達成に寄与するプロセスを説明できる
- 要件ごとの迅速なリリースに向けた体制づくりや、システムの正確性を維持するリグレッションテストの役割を述べられる
出題情報
- 出題
- 2021(R3)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問2
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
プロジェクトマネージャ(PM)は,近年の多様化するプロジェクトへの要求に応えてプロジェクトを成功に導くために,プロジェクトの特徴を捉え,その特徴に合わせて適切なプロジェクト計画を作成する必要がある。
本問では,顧客満足度を向上させる活動の一環としてのシステム開発プロジェクトを題材としている。顧客満足度向上の目標を事業部門と共有し,協力して迅速に目標を達成するというプロジェクトの特徴に合わせて,マネジメントプロセスを修整して,適切なプロジェクト計画を作成することについて,PMとしての実践的な能力を問う。
問2では,顧客満足度(以下,CSという)を向上させるというプロジェクトを題材に,プロジェクトの特徴に合わせたマネジメントプロセスの修整とプロジェクト計画の作成について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
業務管理システムの改善のためのシステム開発プロジェクトに関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
L社は,健康食品の通信販売会社であり,これまでは堅調に事業を拡大してきたが,近年は他社との競合が激化してきている。L社の経営層は競争力の強化を図るため,顧客満足度(以下,CSという)の向上を目的とした活動を全社で実行することにした。この活動を推進するためにCS向上ワーキンググループ(以下,CSWGという)を設置することを決定し,経営企画担当役員のM氏がリーダとなって,本年4月初めからCSWGの活動を開始した。
L社はこれまでにも,商品ラインナップの充実,顧客コミュニティの運営,顧客チャネル機能の拡張としてのスマートフォン向けアプリケーションの提供などを進めてきた。L社ではCS調査を半年に一度実施しており,顧客コミュニティを利用してCSを5段階で評価してもらっている。これまでのCS調査の結果では,第4段階以上の高評価の割合が60%前後で推移している。L社経営層は,CSが高評価の顧客による購入体験に基づく顧客コミュニティでの発言が売上向上につながっているとの分析から,高評価の割合を80%以上とすることをCSWGの目標にした。
CSWGの進め方としては,施策を迅速に展開して,CS調査のタイミングでCSと施策の効果を分析し評価する。その結果を反映して新たな施策を展開し,半年後のCS調査のタイミングで再びCSと施策の効果を分析し評価する,というプロセスを繰り返し,2年以内にCSWGの目標を達成する計画とした。
施策の一つとして,販売管理機能,顧客管理機能及び通販サイトなどの顧客接点となる顧客チャネル機能から構成されている業務管理システム(以下,L社業務管理システムという)の改善によって,購入体験に基づく顧客価値(以下,顧客の体験価値という)を高めることでCS向上を図る。L社業務管理システムの改善のためのシステム開発プロジェクト(以下,改善プロジェクトという)を,CSWGの活動予算の一部を充当して,本年4月中旬に立ち上げることになった。
改善プロジェクトのスポンサはM氏が兼任し,プロジェクトマネージャ(PM)にはL社システム部のN課長が任命された。プロジェクトチームのメンバはL社システム部から10名程度選任し,内製で開発を進める。2年以内にCSWGの目標を達成する必要があることから,改善プロジェクトの期間も最長2年間と設定された。
なお,M氏から,目標達成には状況の変化に適応して施策を見直し,新たな施策を速やかに展開することが必要なので,改善プロジェクトも要件の変更や追加に迅速かつ柔軟に対応してほしい,との要望があった。
〔L社業務管理システム〕
現在のL社業務管理システムは,L社業務管理システム構築プロジェクト(以下,構築プロジェクトという)として2年間掛けて構築し,昨年4月にリリースした。
N課長は,構築プロジェクトでは開発チームのリーダであり,リリース後もリーダとして機能拡張などの保守に従事していて,L社業務管理システム及び業務の全体を良く理解している。L社システム部のメンバも,構築プロジェクトでは機能ごとのチームに分かれて開発を担当したが,リリース後はローテーションしながら機能拡張などの保守を担当してきたので,L社業務管理システム及び業務の全体を理解したメンバが育ってきている。
L社業務管理システムは,業務プロセスの抜本的な改革の実現を目的に,処理の正しさ(以下,正確性という)と処理性能の向上を重点目標として構築され,業務の効率化に寄与している。業務の効率化はL社内で高く評価されているだけでなく,生産性の向上による戦略的な価格設定や新たなサービスの提供を可能にして,CS向上にもつながっている。また,構築プロジェクトは品質・コスト・納期(以下,QCDという)の観点でも目標を達成したことから,L社経営層からも高く評価されている。
N課長は,改善プロジェクトのプロジェクト計画を作成するに当たって,社内で高く評価された構築プロジェクトのプロジェクト計画を参照して,スコープ,QCD,リスク,ステークホルダなどのマネジメントプロセスを修整し,適用することにした。N課長は,まずスコープとQCDのマネジメントプロセスの検討に着手した。その際,M氏の意向を確認した上で,①構築プロジェクトと改善プロジェクトの目的及びQCDに対する考え方の違いを表1のとおりに整理した。

図の説明テキスト
| 項目 | 構築プロジェクト | 改善プロジェクト |
|---|---|---|
| 目的 | L社業務管理システムの構築によって,業務プロセスの抜本的な改革を実現する。 | L社業務管理システムの改善によって,顧客の体験価値を高めCS向上の目標を達成する。 |
| 品質 | 正確性と処理性能の向上を重点目標とする。 | 現状の正確性と処理性能を維持した上で,顧客の体験価値を高める。 |
| コスト | 定められた予算内でのプロジェクトの完了を目指す。要件定義完了後は,予算を超過するような要件の追加や変更は原則として禁止とする。 | CSWGの活動予算の一部として予算が制約されている。 |
| 納期 | 業務プロセスの移行タイミングと合わせる必要があったので,リリース時期は必達とする。 | CS向上が期待できる施策に対応する要件ごとに迅速に開発してリリースする。 |
〔スコープ定義のマネジメントプロセス〕
N課長は,表1から,改善プロジェクトにおけるスコープ定義のマネジメントプロセスを次のように定めた。
- CSWGが,施策ごとにCS向上の効果を予測して,改善プロジェクトへの要求事項の一覧を作成する。そして,改善プロジェクトは技術的な実現性及び影響範囲の確認を済ませた上で②全ての要求事項に対してある情報を追加する。改善プロジェクトが追加した情報も踏まえて,CSWGと改善プロジェクトのチームが協議して,CSWGが要求事項の優先度を決定する。
- 改善プロジェクトでは優先度の高い要求事項から順に要件定義を進め,③制約を考慮してスコープとする要件を決定する。
- CSWGが状況の変化に適応して要求事項の一覧を更新した場合,④改善プロジェクトのチームは,直ちにCSWGと協議して,速やかにスコープの変更を検討し,CSWGの目標達成に寄与する。
N課長は,これらの方針をM氏に説明し,了承を得た上でCSWGに伝えてもらい,CS向上の目標達成に向けてお互いに協力することをCSWGと合意した。
〔QCDに関するマネジメントプロセス〕
N課長は,表1から,改善プロジェクトにおけるQCDに関するマネジメントプロセスを次のように定めた。
- 改善プロジェクトは,要件ごとに,要件定義が済んだものから開発に着手してリリースする方針なので,要件ごとにスケジュールを作成する。
- 一つの要件を実現するために販売管理機能,顧客管理機能及び顧客チャネル機能の全ての改修を同時に実施する可能性がある。迅速に開発してリリースするには,構築プロジェクトとは異なり,要件ごとのチーム構成とするプロジェクト体制が必要と考え,可能な範囲で⑤この考えに基づいてメンバを選任する。
- リリースの可否を判定する総合テストでは,改善プロジェクトの考え方を踏まえて,⑥必ずリグレッションテストを実施し,ある観点で確認を行う。
- システムのリリース後に実施するCS調査のタイミングで,CSWGがCSとリリースした要件の効果を分析し評価する際,⑦改善プロジェクトのチームは特にある効果について重点的に分析し評価してCSWGと共有する。
設問と解答・解説
設問1
〔L社業務管理システム〕の本文中の下線①について,N課長が,改善プロジェクトのプロジェクト計画を作成するに当たって,プロジェクトの目的及びQCDに対する考え方の違いを整理した狙いは何か。35字以内で述べよ。
模範解答
違いに基づきマネジメントプロセスの修整内容を検討するから
採点基準
- 5点: 構築プロジェクトと改善プロジェクトの違い(目的及びQCDに対する考え方の違い)に基づいて、マネジメントプロセスの修整内容を検討する狙いを述べている。
- 2点: 「違いに基づく」点と「マネジメントプロセスの修整内容を検討する」点のどちらか一方だけが書かれている。
- 0点: 白紙、または「プロジェクトの目標達成に必要な体制を整備する」「要件の変更や追加に迅速かつ柔軟に対応できるようにする」など、マネジメントプロセスの修整に着目していない。
- 3点: 「違いを整理すること」が「プロセスの修整・検討」に論理的につながるように構成されている。
- 1点: キーワードは含まれているが、つながりが不自然である。
- 0点: 論理的に構成されていない。
解説
解説
本文の〔L社業務管理システム〕の段落において、N課長は「スコープ、QCD、リスク、ステークホルダなどのマネジメントプロセスを修整し、適用することにした」とあります。
続いて「スコープとQCDのマネジメントプロセスの検討に着手した。その際、(中略)①構築プロジェクトと改善プロジェクトの目的及びQCDに対する考え方の違いを表1のとおりに整理した」と記述されています。
したがって、プロジェクトの目的及びQCDに対する考え方の違いを整理した狙いは、過去の構築プロジェクトとの違いを踏まえて、今回適用するマネジメントプロセスの修整内容を検討するためです。
「プロジェクトの目標達成に必要な体制を整備する」や「要件の変更や追加に迅速かつ柔軟に対応できるようにする」といった解答は、プロジェクト全体の目的や方針の一部であり、違いを整理した直接的な狙い(計画作成やプロセス修整)としては不十分です。
高得点のポイント
- 構築プロジェクトと改善プロジェクトの「違いに基づく」ことが明記されていること
- その違いをもとに「マネジメントプロセスの修整」や「計画の検討」を行うという目的が示されていること
設問1は,正答率がやや低かった。プロジェクトの違いを踏まえてマネジメントプロセスを修整する必要があることを理解しているかを問うたが,“プロジェクトの目標達成に必要な体制を整備する”,“要件の変更や追加に迅速かつ柔軟に対応できるようにする”,という解答が散見された。過去のプロジェクト計画を参照し,適用する意味に着目してほしい。
設問2
〔スコープ定義のマネジメントプロセス〕について,(1)〜(3)に答えよ。
本文中の下線②について,改善プロジェクトが追加する情報とは何か。20字以内で述べよ。
模範解答
要求事項の開発に必要な期間とコスト
採点基準
- 4点: 要求事項の開発(実現)に必要な期間とコスト(工数・費用などの見積り)の両方が書かれている。
- 2点: 要求事項の開発に必要な期間かコストの一方だけが書かれている。
- 0点: 白紙、または「CS向上の効果」「優先度付けの情報」などCSWGの役割と混同した情報だけが書かれている。
- 3点: 技術的確認の後に提示すべき、開発の実現にかかる定量的なリソース要件として自然に表現されている。
- 1点: 表現が不明瞭である。
- 0点: 論理性が欠如している。
解説
解説
本文中の〔スコープ定義のマネジメントプロセス〕において、CSWGは「CS向上の効果を予測して、改善プロジェクトへの要求事項の一覧を作成」します。一方、システム開発側である改善プロジェクトは「技術的な実現性及び影響範囲の確認を済ませた上」で情報を追加します。
この追加情報とCSWGの効果予測を踏まえて「協議して、CSWGが要求事項の優先度を決定」します。
優先度を決定するためには、施策による「効果(CS向上)」と、それを実現するための「費用や時間」を比較考量する必要があります。改善プロジェクト側が技術的確認の後に提供できるのは、その要求事項をシステムとして開発するために必要な期間やコスト(見積り)の情報です。
「CS向上の効果」や「優先度付けの情報」といった解答は、CSWGの役割であり、改善プロジェクトが追加する情報としては誤りです。
高得点のポイント
- 改善プロジェクト(システム開発側)が提示すべき情報であること
- 要求事項を実現するための「期間(納期・スケジュール)」に関する要素が含まれていること
- 要求事項を実現するための「コスト(予算・工数)」に関する要素が含まれていること
本文中の下線③について,改善プロジェクトはどのような制約を考慮してスコープとする要件を決定するのか。20字以内で述べよ。
模範解答
予算の範囲内に収まっていること
採点基準
- 4点: 表1の改善プロジェクトのコスト欄に基づき、要件が「予算の範囲内に収まっていること」が明確に記述されている。
- 2点: 予算やコストへの言及はあるが、制約としての意味合い(範囲内、上限など)が不明確な場合。
- 0点: コスト以外の制約(納期や品質など)を答えている場合、または記述なし。
- 3点: 要件を選択する上での「上限」や「範囲」として予算が機能していることが明確な表現になっている。
- 1点: 表現が不自然で制約としての意味合いが弱い場合。
- 0点: 全く論理的でない。
解説
解説
本文の〔スコープ定義のマネジメントプロセス〕において、改善プロジェクトは「優先度の高い要求事項から順に要件定義を進め、③制約を考慮してスコープとする要件を決定する」とあります。
この「制約」については、表1「構築プロジェクトと改善プロジェクトの目的及びQCDに対する考え方の違い」の「コスト」の項目を確認します。改善プロジェクトのコストには「CSWGの活動予算の一部として予算が制約されている」と記載されています。
したがって、優先度の高いものから順にスコープ(対象)に追加していく際、定められた予算の範囲内に収まっていることが制約となります。
高得点のポイント
- 表1の「コスト」の項目から、改善プロジェクトにおける制約を正しく読み取っていること
- 「予算」というキーワードを含み、その「範囲内」や「上限」に収まるように決定するという条件が示されていること
本文中の下線④について,N課長は,改善プロジェクトが速やかにスコープの変更を検討することによって,CSWGの目標達成にどのようなことで寄与すると考えたのか。30字以内で述べよ。
模範解答
状況の変化に適応し,新たな施策を速やかに展開すること
採点基準
- 4点: M氏の要望を踏まえ、「状況の変化に適応すること」と「新たな施策を速やかに展開すること」の両方の要素が含まれている。
- 2点: どちらか一方の要素しか含まれていない場合、または表現が不正確な場合。
- 0点: 記述がないか、見当違いの内容。
- 3点: スコープの変更がどのように目標達成の手段として機能するかが自然な文脈で表現されている。
- 1点: キーワードの羅列にとどまっている場合。
- 0点: まったく文脈が通っていない。
解説
解説
本文の最初のセクションの最終段落において、M氏からの要望として「目標達成には状況の変化に適応して施策を見直し、新たな施策を速やかに展開することが必要なので、改善プロジェクトも要件の変更や追加に迅速かつ柔軟に対応してほしい」と記載されています。
下線④では、「CSWGが状況の変化に適応して要求事項の一覧を更新した場合、④改善プロジェクトのチームは、直ちにCSWGと協議して、速やかにスコープの変更を検討し、CSWGの目標達成に寄与する」とあります。
システム開発側(改善プロジェクト)が要件の変更・追加(スコープの変更)に迅速に対応することの直接的な目的・寄与は、M氏が述べていた通り、状況の変化に適応して新たな施策を速やかに展開可能にすることです。
高得点のポイント
- 顧客や市場などの「状況の変化に適応」することが含まれていること
- 「新たな施策を速やかに展開する」というビジネス側の目的の実現に繋がることが明記されていること
設問2(1)は,正答率がやや低かった。改善プロジェクトから提供してもらう必要がある情報は何かを問うたが,“CS向上の効果”や“優先度付けの情報”という解答が散見された。これは,CS向上ワーキンググループと改善プロジェクトの役割を区別できていないからと考えられる。プロジェクトにおけるステークホルダの役割と追加する情報の利用目的を正しく理解してほしい。
設問3
〔QCDに関するマネジメントプロセス〕について,(1)〜(3)に答えよ。
本文中の下線⑤について,N課長はどのようなメンバを選任することにしたのか。30字以内で述べよ。
模範解答
L社業務管理システム及び業務の全体を理解したメンバ
採点基準
- 4点: 本文中の記述をもとに、「L社業務管理システム」と「業務」の全体を理解しているメンバであることが明記されている。
- 2点: システムのみ、または業務のみの理解にとどまっている、あるいは「ローテーションを経験した」など間接的な表現になっている場合。
- 0点: 記述がないか、全く見当違い。
- 3点: 複数機能にまたがる改修を単一チームで行うために、システムと業務の「全体を理解している」という能力要件が自然に表現されている。
- 1点: 言葉足らずで人材像としての表現が不十分。
- 0点: 意味を成していない。
解説
解説
下線⑤の直前の記述に「一つの要件を実現するために販売管理機能、顧客管理機能及び顧客チャネル機能の全ての改修を同時に実施する可能性がある」とあります。要件ごとにチームを構成して複数の機能を横断的に改修するには、特定の機能だけでなくシステム全体を把握している人材が必要です。
本文の〔L社業務管理システム〕の段落を確認すると、「リリース後はローテーションしながら機能拡張などの保守を担当してきたので、L社業務管理システム及び業務の全体を理解したメンバが育ってきている」と記載されています。
したがって、N課長が要件ごとのチーム構成とするために選任するのは、システムと業務の全体を理解しているメンバとなります。
高得点のポイント
- 複数の機能を横断的に改修できる条件として「L社業務管理システム」の全体を理解していることが示されていること
- システムだけでなく「業務の全体」を理解していることが示されていること
本文中の下線⑥について,N課長が,総合テストで必ずリグレッションテストを実施して確認する観点とは何か。25字以内で述べよ。
模範解答
現状の正確性と処理性能が維持されていること
採点基準
- 4点: 表1の「品質」の考え方に基づき、「現状の正確性」と「処理性能」の両方が「維持」されていることに言及している。
- 2点: 正確性または処理性能のいずれか一方のみの言及、あるいは「維持」の意味合いが不明確な場合。
- 0点: 記述がないか、全く見当違い。
- 3点: リグレッションテストの目的として、既存の品質(正確性・処理性能)を損なっていない(維持されている)ことの確認であることが自然な日本語で表現されている。
- 1点: キーワードは入っているが文脈が不自然。
- 0点: 論理性が全くない。
解説
解説
リグレッションテスト(退行テスト)は、システムを改修したことによって、これまで正常に動作していた既存の機能に不具合が生じていないか(デグレードしていないか)を確認するテストです。
問題文の表1「構築プロジェクトと改善プロジェクトの目的及びQCDに対する考え方の違い」における「品質」の改善プロジェクトの欄には、「現状の正確性と処理性能を維持した上で、顧客の体験価値を高める。」と明記されています。
したがって、総合テストでのリグレッションテストにおいて確認すべき観点は、既存の強みである現状の正確性と処理性能が、改修後も維持されていることです。
高得点のポイント
- 表1の品質の考え方に記載されている「(現状の)正確性」を含めること
- 表1の品質の考え方に記載されている「処理性能」を含めること
- リグレッションテストの目的に沿って、それらが「維持されている」ことを確認する旨が記述されていること
本文中の下線⑦について,改善プロジェクトのチームが重点的に分析し評価する効果とは何か。30字以内で述べよ。
模範解答
リリースした要件による顧客の体験価値向上の度合い
採点基準
- 4点: 「リリースした要件(施策)」によって、「顧客の体験価値」が向上(高まる)した度合いであることが明記されている。
- 2点: 「CS向上の度合い」とだけ答えており「顧客の体験価値」に言及していない、あるいは「リリースした要件」と「効果」の結びつきが不明確な場合。
- 0点: 記述がないか、全く見当違い。
- 3点: CS全体の評価を担うCSWGと共有するため、リリースした要件が直接的に及ぼした「体験価値向上」の効果として自然に表現されている。
- 1点: 言葉足らずで表現が不十分。
- 0点: 全く論理的でない。
解説
解説
本文中の下線⑦の直前には「CSWGがCSとリリースした要件の効果を分析し評価する際」とあり、CSWGが最終的な指標である顧客満足度(CS)の向上を評価することが分かります。
一方、システム開発を担当する改善プロジェクトが重点的に分析すべき効果は、システム改善の直接的な目的です。表1の「目的」および「品質」の改善プロジェクトの欄を見ると、「L社業務管理システムの改善によって、顧客の体験価値を高め…」とあります。また本文でも「購入体験に基づく顧客価値(以下,顧客の体験価値という)を高めることでCS向上を図る」と説明されています。
したがって、改善プロジェクトのチームが重点的に分析・評価してCSWGと共有すべきなのは、リリースした要件(システム改善)によって顧客の体験価値がどの程度向上したかという効果です。
高得点のポイント
- 改善プロジェクトのシステム改善が直接的に狙う効果である「顧客の体験価値」というキーワードが含まれていること
- リリースした要件によってそれが「高まった(向上した)」度合いを評価する旨が示されていること