令和3年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問3 マルチベンダ体制でのシステム改修におけるステークホルダと変更管理
マネジメント調達・契約ステークホルダー・要員リスクマネジメント
学習ガイド
金融機関の基幹システムを複数の競合ベンダで改修する、マルチベンダ体制のプロジェクトを扱う問題です。ステークホルダの対立やベンダ間の連携不足、作業スケジュールの不整合など、過去のシステム構築時に発生した課題を振り返りながら、体制やプロセスをどう改善すべきかを学びます。経営陣の指示ルートの統一やベンダ責任者を巻き込む会議体の設置、請負契約の制約に配慮した情報共有ルール、システム間の影響を防ぐ共同レビューと変更管理の仕組みを、過去の問題点と今回の対策を対応させて読み解きます。
この記事で押さえる論点
- 経営陣からの指示ルートの一本化や、合同会議を通じたベンダ責任者の関与度向上といったステークホルダの管理手法を説明できる
- マルチベンダ間で発生する作業スケジュールの不整合を防ぐため、工程の開始と終了を同日とするマイルストーン設定の工夫を述べられる
- 請負契約における委託先要員への直接指示の禁止を考慮した、適切な情報共有とコミュニケーションのルールを説明できる
- 接続機能の共同レビューや変更管理委員会での影響確認により、ベンダ間の設計不整合による不具合の流出を防ぐ仕組みを述べられる
出題情報
- 出題
- 2021(R3)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問3
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
プロジェクトマネージャ(PM)は,プロジェクトの立ち上げを行う際,過去のプロジェクトで得られた教訓を生かして,継続的な改善を意識して,より良くプロジェクトを推進するための計画を立案しなければならない。特に,過去のプロジェクトと類似の特徴をもつプロジェクトの場合は,過去のプロジェクトの推進を阻害した問題とその原因を深掘りし,再発を回避するようにプロジェクト計画を作成する。
本問では,マルチベンダのシステム開発プロジェクトを題材として,ステークホルダマネジメント,プロジェクト作業の管理及び変更管理について,幅広く過去の教訓を踏まえてプロジェクト計画を作成する,PMとしての問題分析力と対応力を問う。
問3では,マルチベンダでのシステム開発プロジェクトを題材に,過去の教訓を踏まえたプロジェクト計画の作成について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
問3 マルチベンダのシステム開発プロジェクトに関する次の記述を読んで,設問1〜3に答えよ。
A社は金融機関である。A社の融資業務の基幹システムは,ベンダのX社,Y社の両社が5年前に受託して構築し,その後両社で保守している。両社はIT業界では競合関係にあるが,ともにA社の大口取引先でもあるので,5年前の基幹システム構築プロジェクト(以下,構築プロジェクトという)では,A社社長の判断で構築範囲を分割して両社に委託し,システム開発をマルチベンダで行う方針とした。A社システム部は,構築プロジェクトの開始に当たり,X社,Y社それぞれが担当するシステム(以下,Xシステム,Yシステムという)の機能が基本的に独立するように分割し,それぞれのシステム内の接続機能を介して連携させることにした。構築プロジェクトの作業,役割分担及びベンダとの契約形態を表1に示す。

図の説明テキスト
| 作業 | 役割分担 | ベンダとの契約形態 |
|---|---|---|
| 要件定義 | A社が実施する。 | -(契約なし) |
| 基本設計 | 接続機能間の接続仕様は,両社と協議してA社が実施する。 接続仕様以外は,X社,Y社それぞれが実施し,A社が承認する。 |
準委任契約 |
| 実装 | X社及びY社がシステム内の接続機能も含めてそれぞれ実施し,A社が検収する。 | 請負契約 |
| 連動テスト | A社が主体となり,A社,X社及びY社が実施し,A社が承認する。 | 準委任契約 |
| 受入テスト | A社が実施する。X社及びY社はA社を支援する。 | 準委任契約 |
注記 実装は,詳細設計,単体テストを含む製造及び各システム内の結合テストの工程に分かれる。連動テストは,両システム間の結合テスト及び総合テストの工程に分かれる。
A社は今年,新たなサービスを提供することになり,X社とY社に基幹システムの改修を委託することになった。この基幹システム改修プロジェクト(以下,改修プロジェクトという)のスポンサはA社のCIOであり,プロジェクトマネージャ(PM)はA社システム部のB課長である。B課長は新たなサービスの業務要件を両社に説明するとともに,両システムの機能分担を整理した。この整理の結果,それぞれのシステム内の接続機能を含めた仕様に変更が必要であり,構築プロジェクトと同様に両社の連携が必要なことが判明した。
〔構築プロジェクトのPMに確認した問題〕
B課長は,改修プロジェクトの計画を作成するに当たり,構築プロジェクトのPMに,構築プロジェクトにおいて発生した問題について確認した。
(1) ステークホルダに関する問題
- X社とY社がA社の大口取引先であることから,A社の経営陣にはX社派とY社派がいて,それぞれのベンダの開発の進め方に配慮したような要求や指示があり,プロジェクト推進上の阻害要因になった。
- X社とY社の責任者は,自社の作業は管理していたが,両社に関わる共通の課題や調整事項への対応には積極的ではなかった。構築プロジェクトの振り返りで,両社の責任者から,他社の作業の内容は分からないので関与しづらいし,両社に関わることはA社が調整するものと考えていた,との意見があった。
(2) 作業の管理に関する問題
- 実装は請負契約なので各社が定めたスケジュールで実施した。接続機能に関して,X社が詳細設計工程で生じた疑問をY社に確認したくても,Y社はまだ詳細設計工程を開始しておらず疑問が直ちに解消しないことがあった。また,Y社の詳細設計工程で,基本設計を受けて詳細な仕様を定め,A社に確認して了承を得たが,その前に了承されていたX社の詳細設計に修正が必要となることがあった。X社が既に製造工程を終了していた場合は,この修正を行うために手戻りが発生した。A社としては,両社の作業が円滑に進むような配慮があった方が良かったと考える。
- 連動テストには,A社,X社及びY社の3社から多数のメンバが参加し,テストの項目,手順や実施日程の変更など,全メンバで多くの情報を共有する必要があった。これらの情報に関するコミュニケーションの方法としては,3社の責任者で整理して,各社の責任者から各社のメンバに伝達するルールであった。A社メンバへはA社メンバが利用しているWeb上の構築プロジェクト専用の掲示板機能を通じて速やかに伝達し,作業指示も行ったので認識を統一できたが,X社及びY社のメンバには情報の伝達遅れや認識相違によるミスが多発した。
- 連動テスト前半で,接続機能に関する不具合が発生して進捗が遅れた。A社は,連動テストを中断し,A社の同席の下,両社の技術者で不具合の原因を調査して,両社の詳細設計の不整合に起因する不具合であることを発見した。この不整合は,両社のそれぞれの作業及びA社の検収で発見することは難しかった。その後両社で必要な対応を実施して連動テストは再開され,予定どおり完了した。
(3) 変更管理に関する問題
- Y社が,両システム間の結合テスト工程で,接続機能以外のある機能について,性能向上のために詳細設計を変更した。Y社では,この変更はXシステムとの接続機能の仕様には影響しないと考えて実施したが,実際はXシステムと連携する処理に影響していた。その結果,Xシステムとの連動テストで不具合が発生し,対応に時間を要した。
- 構築プロジェクトでは制度改正への対応が必要であった。制度の概略は実装着手前に公開されており,Yシステムで対応する計画だった。Y社はA社の了承の下,制度改正の仕様を想定して開発していた。その後,連動テスト中に制度改正の詳細が確定したが,確定した仕様は想定と異なる点があり,A社で検討した結果,Xシステムでも対応が必要なことが判明した。急きょX社に要件の変更を依頼することにしたが,コンティンジェンシ予備費は既に一部を使っていて,Yシステムの制度改正対応分しか残っていなかった。Xシステムの対応分の予算は,上司を通して経営陣に掛け合って捻出したが,調整に時間を要した。
B課長はこれらと同様の問題の発生を回避するような改修プロジェクトの計画を作成する必要があると考えた。
〔ステークホルダに関する問題への対応〕
B課長は,改修プロジェクトの成功には,3社で一体となったプロジェクト組織の構築と運営が必須であると考えた。
そこでB課長は,社内については,①プロジェクトに対する経営陣からの要求や指示はCIOも出席する経営会議で決定し,CIOからB課長に指示することを,CIOを通じてA社経営会議に諮り,了承を取り付けてもらうことにした。一方,社外については,基幹システムの保守を行う中で,X社とY社の間に信頼関係が築かれてきたと考え,構築プロジェクトで実施した週次でのX社及びY社との個社別会議に加えて,改修プロジェクトでは,②3社に関わる課題や調整事項の対応を迅速に進めることを目的に,B課長と両社の責任者が出席する3社合同会議を隔週で開催することにした。
〔作業の管理に関する問題への対応〕
B課長は,改修プロジェクトを進めるに当たり,作業,役割分担及びベンダとの契約形態,並びにWeb上のプロジェクト専用の掲示板機能を活用することは構築プロジェクトと同様とすることにした。その上でB課長は,X社及びY社から提示されたスケジュールを確認して,スケジュールに起因する問題を避けるために,③接続機能については実装の中でマイルストーンの設定を工夫することを考えた。また,B課長は,連動テストでは,3社の責任者で整理した3社で共有すべき周知事項については,X社及びY社のメンバもWeb上の掲示板機能で参照可能とすることにした。ただし,④契約形態を考慮して,各社のメンバへの作業指示に該当するような事項は掲示板には掲載しないことにした。さらに,詳細設計の完了時及び完了以降の変更時には⑤ある活動を実施することで,後工程への不具合の流出を防ぐことにした。
〔変更管理に関する問題への対応〕
構築プロジェクトでは,連動テスト以降の設計の変更は,A社と,変更を実施するベンダが出席する変更管理委員会での承認後に実施していた。B課長は,改修プロジェクトでは,変更管理委員会には3社が出席し,⑥あることを確認する活動を追加することにした。さらに,B課長は,構築プロジェクトにおいて発生した問題から想定されるリスクとは別に,マルチベンダにおける相互連携には想定外に発生するリスクがあると考えた。そこで,後者のリスクへの対応が予算の制約で遅れることのないように,⑦CIOに相談して,プロジェクト開始前に対策を決めることにした。
B課長は,CIOの承認を得て,検討した改修プロジェクトのプロジェクト計画を両社のプロジェクト責任者に説明し,この計画に沿った契約とすることで合意を得た。
設問と解答・解説
設問1
〔ステークホルダに関する問題への対応〕について,(1),(2)に答えよ。
本文中の下線①について,B課長が狙った効果は何か。35字以内で述べよ。
模範解答
プロジェクトに対する経営陣からの指示ルートが一本化される。
採点基準
- 4点: 経営陣からの要求や指示が「一本化」されること(または集約・一元化など)を明確に理解している
- 2点: 要求や指示の窓口をCIOにする点には触れているが、「一本化」の意図がやや不明確
- 0点: 内容が不適切(無回答を含む)
- 3点: 指示ルートの改善効果として、論理的かつ自然な文章で表現されている
- 1点: 日本語としてやや不自然な点があるが、意味は通じる
- 0点: 論理的でなく、意味が読み取れない
解説
〔構築プロジェクトのPMに確認した問題〕の「(1)ステークホルダに関する問題」に、「A社の経営陣にはX社派とY社派がいて、それぞれのベンダの開発の進め方に配慮したような要求や指示があり、プロジェクト推進上の阻害要因になった。」と記載されています。
B課長はこれに対する解決策として、下線①「プロジェクトに対する経営陣からの要求や指示はCIOも出席する経営会議で決定し、CIOからB課長に指示する」という手順を導入しました。
この手順により、X社派・Y社派からの個別の指示を防ぎ、CIOを窓口として指示ルートが一本化される効果が期待できます。
高得点のポイント
- 経営陣からの指示や要求が、一本化(統合)される旨を明確に記載する
- 字数制限(35字以内)を遵守する
本文中の下線②について,B課長が狙った,ステークホルダマネジメントの観点での効果は何か。35字以内で述べよ。
模範解答
X社とY社の責任者の改修プロジェクトへの関与度を高める。
採点基準
- 4点: X社とY社の責任者の、プロジェクトへの「関与度を高めること(積極性を引き出すこと)」を明確に理解している
- 2点: 責任者の関与に触れているが、関与度を高める意図がやや弱い
- 0点: スケジュール調整など、論点が逸れている(無回答を含む)
- 3点: ステークホルダマネジメントの観点に即した論理的な文章で表現されている
- 1点: ステークホルダマネジメントの観点がやや弱いか、表現に不自然さがある
- 0点: 論理的でなく、意味が読み取れない
解説
〔構築プロジェクトのPMに確認した問題〕の「(1)ステークホルダに関する問題」に、「X社とY社の責任者は、自社の作業は管理していたが、両社に関わる共通の課題や調整事項への対応には積極的ではなかった」と記載されています。
B課長はこれに対する解決策として、下線②「3社に関わる課題や調整事項の対応を迅速に進めることを目的に、B課長と両社の責任者が出席する3社合同会議を隔週で開催する」としました。
ステークホルダマネジメントの観点では、問題点であった「積極的ではない状態」を改善し、両社の責任者のプロジェクト(特に共通課題など)への関与度を高めることが最大の狙いです。
高得点のポイント
- X社とY社の責任者の、改修プロジェクトへの関与度を高める(または積極性を引き出す)ことを明確に記述する
- 「スケジュールの調整」や「仕様の認識相違」など、作業管理やスコープ管理の観点に逸れないようにする
- 字数制限(35字以内)を遵守する
設問1(2)は,正答率は平均的であったが,“X社とY社のスケジュールが調整できること”や“X社とY社の仕様の認識相違を防ぐこと”などの解答が散見された。“ステークホルダマネジメントの観点”という題意に沿って解答してほしい。
設問2
〔作業の管理に関する問題への対応〕について,(1)~(3)に答えよ。
本文中の下線③について,B課長は,接続機能について,実装の中でマイルストーンの設定をどのように工夫することにしたのか。25字以内で述べよ。
模範解答
両社の実装の各工程の開始・終了を同日とする。
採点基準
- 4点: 両社の実装の各工程について、「開始・終了を同日とする(揃える)」工夫であることを明確に理解している
- 2点: マイルストーンの設定には触れているが、開始・終了時期を合わせる点が曖昧
- 0点: 早期着手など、マイルストーンの工夫として不適切(無回答を含む)
- 3点: スケジュール起因の問題を避ける工夫として、論理的な構成で記述されている
- 1点: 工夫の内容として、文章表現にやや不自然さがある
- 0点: 論理的でなく、意味が読み取れない
解説
〔構築プロジェクトのPMに確認した問題〕の「(2)作業の管理に関する問題」に、「実装は請負契約なので各社が定めたスケジュールで実施した」結果、「Y社はまだ詳細設計工程を開始しておらず疑問が直ちに解消しない」、「了承されていたX社の詳細設計に修正が必要となることがあった」という問題が挙げられています。
各社がそれぞれのスケジュール(マイルストーン)で動いていることが原因で手戻りや遅延が生じているため、接続機能については「両社の実装の各工程の開始・終了を同日とする」といったマイルストーンの工夫が必要になります。
高得点のポイント
- 接続機能に係る工程の開始・終了時期(マイルストーン)を同日(同じ時期)に揃える旨を明記する
- 単なる「早期着手」や「手戻りの想定」ではなく、スケジュール設定上の具体的な工夫として記述する
- 字数制限(25字以内)を遵守する
本文中の下線④について,B課長が各社のメンバへの作業指示に該当するような事項は掲示板には掲載しないことにしたのはなぜか。30字以内で述べよ。
模範解答
委託先要員に対する直接の作業指示はできないから
採点基準
- 4点: 契約上(準委任契約など)、委託先の要員に対して「直接の作業指示ができない」ことを正確に理解している
- 2点: 作業指示ができないことに触れているが、契約上の制約という背景の言及が弱い
- 0点: 指示ができない理由として不適切(無回答を含む)
- 3点: 契約形態と掲示板掲載を見送る理由との因果関係が、論理的に説明されている
- 1点: 因果関係の説明がやや飛躍しているか、不足している
- 0点: 論理的でなく、意味が読み取れない
解説
表1「構築プロジェクトの作業,役割分担及びベンダとの契約形態」において、連動テストの「ベンダとの契約形態」は「準委任契約」となっています。
準委任契約や請負契約の場合、委託元(A社)から委託先(X社、Y社)の要員に対して直接の指揮命令(作業指示)を行うことはできません(直接の作業指示を行うと偽装請負とみなされるため)。
したがって、下線④「契約形態を考慮して、各社のメンバへの作業指示に該当するような事項は掲示板には掲載しない」ことになります。
高得点のポイント
- 委託先の要員に対して、直接の作業指示が(契約上)できないことを明記する
- 契約上の制約(指揮命令権がないこと)が理由であることを正しく捉える
- 字数制限(30字以内)を遵守する
本文中の下線⑤について,B課長が後工程への不具合の流出を防ぐために実施したある活動とは何か。35字以内で述べよ。
模範解答
接続機能の詳細設計に対するX社とY社の技術者による共同レビュー
採点基準
- 5点: 接続機能の詳細設計に対して、「X社とY社の技術者が共同でレビュー(確認)する」活動であることを正確に理解している
- 3点: 両社の技術者による確認には言及しているが、詳細設計の共同レビューである点が不明確
- 1点: 確認や情報共有などの言及に留まり、活動内容が不十分
- 0点: 活動内容として不適切(無回答を含む)
- 3点: 不具合の流出を防ぐ活動として、目的と行動が論理的に結びついている
- 1点: 目的と行動のつながりにやや不自然さがある
- 0点: 論理的でなく、意味が読み取れない
解説
〔構築プロジェクトのPMに確認した問題〕の「(2)作業の管理に関する問題」に、「連動テスト前半で、接続機能に関する不具合が発生して進捗が遅れた。…両社の詳細設計の不整合に起因する不具合であることを発見した。この不整合は、両社のそれぞれの作業及びA社の検収で発見することは難しかった」と記載されています。
この問題の再発・後工程への不具合流出を防ぐためには、問題発見時の対応と同様に、詳細設計の完了時及び変更時において、X社とY社の技術者が共同で詳細設計のレビュー(確認)を実施する活動が必要です。
高得点のポイント
- 単にA社が確認するだけでなく、X社とY社の技術者が共同で確認(レビュー)を行う旨を記述する
- 対象が「接続機能の詳細設計」であることを明確にする
- 字数制限(35字以内)を遵守する
設問2(1)は,正答率が低かった。マイルストーンを明示していない解答や“手戻りを想定した接続機能に関する工程の早期着手”など,マイルストーンを意識していない解答が散見された。過去のプロジェクトでの問題を回避するために,各工程で何をマイルストーンとし,どのような工夫をしたのかを解答してほしい。
設問3
〔変更管理に関する問題への対応〕について,(1),(2)に答えよ。
本文中の下線⑥について,B課長が変更管理委員会で確認することにした内容は何か。25字以内で述べよ。
模範解答
設計変更が他方のシステムに影響を与えるか否か
採点基準
- 4点: 設計変更が、「他方のシステムに影響を与えるか否か」を確認することであることを正確に理解している
- 2点: 影響の確認には言及しているが、他方のシステムへの影響である点が曖昧
- 0点: 変更内容の単なる共有など、確認内容として不十分(無回答を含む)
- 3点: 変更管理委員会での確認内容として、自然かつ論理的な文章で表現されている
- 1点: 確認する内容の表現にやや不自然さや曖昧さがある
- 0点: 論理的でなく、意味が読み取れない
解説
〔構築プロジェクトのPMに確認した問題〕の「(3)変更管理に関する問題」に、「Y社が…接続機能以外のある機能について…詳細設計を変更した。Y社では、この変更はXシステムとの接続機能の仕様には影響しないと考えて実施したが、実際はXシステムと連携する処理に影響していた」と記載されています。
この問題の再発を防ぐため、変更管理委員会で3社が揃った場で、あるシステムにおける設計変更が他方のシステムに影響を与えるか否かを相互に確認する活動が求められます。
高得点のポイント
- 設計変更が他方(連携先)のシステムへ影響を与えるかどうかを確認する旨を記述する
- 単なる「変更内容の共有」に留まらず、「影響の有無」を確認する点を含める
- 字数制限(25字以内)を遵守する
本文中の下線⑦について,B課長がCIOに相談する対策とは何か。15字以内で述べよ。
模範解答
マネジメント予備費の確保
採点基準
- 4点: 想定外のリスクに対する対応として「マネジメント予備費の確保(予算確保)」であることを正確に理解している
- 2点: 予算や対策の確保には言及しているが、マネジメント予備費という観点が弱い
- 0点: コンティンジェンシ予備費など、不適切な対応を記述している(無回答を含む)
- 3点: 想定外のリスクへの対策として、簡潔で論理的な文章で表現されている
- 1点: 対策としての表現にやや不自然さがある
- 0点: 論理的でなく、意味が読み取れない
解説
〔構築プロジェクトのPMに確認した問題〕の「(3)変更管理に関する問題」において、制度改正への対応といった「想定されるリスク(既知のリスク)」への対応として「コンティンジェンシ予備費」が用いられていたことが記載されています。
一方でB課長は、マルチベンダ連携において「想定外に発生するリスク(未知のリスク)」があると懸念し、下線⑦「CIOに相談して、プロジェクト開始前に対策を決める」ことにしました。
プロジェクトマネジメントにおいて、想定外のリスク(未知のリスク)には「マネジメント予備費」を割り当てます。予算の制約で対応が遅れないよう、CIOにマネジメント予備費の確保を相談することが適切な対策となります。
高得点のポイント
- コンティンジェンシ予備費ではなく、想定外のリスクに対応するためのマネジメント予備費であることを明記する
- 予算の「確保」や「用意」について記述する
- 字数制限(15字以内)を遵守する
設問3(2)は,正答率が低かった。“コンティンジェンシ予備費の増額”とした解答が多かった。想定外のリスクへの対応であること,対策をCIOに相談していることを踏まえて解答してほしい。