令和5年度 秋期 プロジェクトマネージャ試験 午後Ⅰ 問1 自律型チームへ移行するリーダーシップの修整
マネジメントステークホルダー・要員プロジェクト計画
この問題は2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午後Iに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
過去に経験のない新たな価値創出を目指すXプロジェクトを舞台に、PMのF氏がチームを自律的に動かすまでの判断を追う午後Iの問題です。F氏がアジャイル型開発アプローチを提案した理由や、自律的マネジメントへ移す前に確かめようとした「改善されたチームの状態」を、35字級の記述で言い当てられるかが鍵になります。この記事では、リーダーシップの修整という概念を、指示から支援へ手を引いていくF氏の具体的な行動に翻訳しながら、各設問の狙いを本文の伏線から導きます。
この記事で押さえる論点
- アジャイル型開発アプローチを選ぶ判断根拠を不確実性の観点で説明する
- 指示型から支援型へリーダーシップを修整(テーラリング)する意図を読み取る
- 自律的マネジメントが成立するための「改善されたチームの状態」を言語化する
- 字数制限つき記述で狙いを主語・目的の形に圧縮して答える
出題情報
- 出題
- 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問1
- 配点
- 50点満点
- 模範解答
- 公表(設問ごとに掲載)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
プロジェクトマネージャ(PM)は,チームが自律的にパフォーマンスを最大限に発揮するように促し,支援する必要がある。そのためには,適切なマネジメントのスタイルを選択し,リーダーシップのスタイルを修整(テーラリング)することが求められる。本問では,過去に経験のない新たな価値の創出を目指すシステム開発プロジェクトを題材として,プロジェクトチームの形成,チームの自律型マネジメントの実現及び発揮するリーダーシップの修整について,PMとしての実践的な能力を問う。
問1では,過去に経験のない新たな価値の創出を目指すシステム開発プロジェクトを題材に,価値の共創を目指すプロジェクトチームの形成,チームによる自律型マネジメントの実現及び発揮するリーダーシップの修整について出題した。全体として正答率は平均的であった。
問題本文
価値の共創を目指すプロジェクトチームのマネジメントに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。
E社はITベンダーで,不動産業や製造業を中心にシステムの構築,保守及び運用を手掛けており,クラウドサービスの提供,大規模なシステム開発プロジェクト及びアジャイル型開発プロジェクトのマネジメントの実績が豊富である。E社では近年,主要顧客からデジタル技術を活用した体験価値の提供についてよく相談を受けることから,E社経営層はこれをビジネスチャンスと捉え,事業化の検討を始めた。E社内で検討を進めたが,ショールームの来館体験や,住宅の完成イメージの体験など他社でも容易に実現できそうなアイディアしか出てこず,経営層の期待するE社独自の体験価値を提供する目途が立たなかった。E社経営層は新たな価値を創出する事業を実現するために,社内外を問わずノウハウを結集する必要があると考えた。そこで,E社は共同事業化の計画を作成し,G社及びH社に提案した。G社は,デジタル技術によってものづくりだけでなくサービス提供を含めた事業変革を目指すことを宣言している大手住宅建材・設備会社である。H社は,VRやARなどのxR技術とそれを生かしたUI/UXのデザインに強みをもつベンチャー企業である。両社とも自社の強みを生かせるメリットを感じ,共同事業化に合意して,E社が40%,G社とH社が30%の出資比率で新会社X社を設立した。
〔X社の状況〕
X社の役員及び社員は出資元各社から出向し,社長はE社出身である。共同事業化の計画では,xR技術などを活用して,X社独自の体験価値を提供するシステムを,まずはG社での実証実験向けに開発する。その実績をベースに不動産デベロッパーなどへの展開を目指して,新しいニーズやアイディアを取り込みながら価値を高めていく構想である。X社は,体験価値を提供するシステム開発プロジェクト(以下,Xプロジェクトという)を立ち上げた。Xプロジェクトは,新たな体験価値を迅速に創出することが目的であり,出資元各社がこれまで経験したことのない事業なので,X社の社長は,共同事業化の計画は開発の成果を確認しながら修正する意向である。一方で,出資元の各社内の一部には,投資の回収だけを重視して,X社ができるだけ早期に収益を上げることを期待する意見もある。
〔Xプロジェクトの立ち上げの状況〕
プロジェクトチームは,各社から出向してきている社員から,システム開発やマネジメントの経験が豊富な 10 名のメンバーを選任して編成された。F氏は,旧知の X社社長から推薦されて E社から出向してきており,アジャイル型開発のリーダーの経験が豊富である。F氏は,システム開発アプローチについて,①スキルや知見を出し合いながらスピード感をもって進めるアジャイル型開発アプローチを採用することを提案した。メンバー全員で話し合った結果,F氏の提案が採用され,早急にプロジェクトを立ち上げるためにプロジェクトマネージャ(PM)の役割が必要であることから,F氏が PM に選任された。
F氏は,Xプロジェクトは,出資元各社では過去に経験がない新たな価値の創出への取組であると捉えている。このことを PM が理解するだけでなく,メンバー全員が理解して自発的にチャレンジをすることが重要であると考えた。そして,チャレンジの過程で新たなスキルを獲得して専門性を高め,そこで得られたものも含めて,それぞれの知見や体験をメンバー全員で共有して,チームによる価値の共創力を高めることを目指そうと考えた。この考えの下で,F氏はメンバー全員にヒアリングした結果,次のことを認識した。
- メンバーはいずれも出資元各社では課長,主任クラスであり,担当するそれぞれの分野での経験やノウハウが豊富である。E社からは,F氏を含めて 4 名が,G社,H社からは,それぞれ 3 名が参加している。
- メンバーは Xプロジェクトの目的の実現に前向きな姿勢であり,提供する具体的な体験価値に対して,それぞれに異なる思いをもっているが,共有されてはいない。
- メンバーは出資元各社の期待も意識して活動する必要があると感じている。これがメンバーのチャレンジへの制約となりそうなので,プロジェクトの環境に配慮が必要である。
- メンバーは,チームの運営方法や作業の分担などのプロジェクトの進め方について,基本的には PM の F氏の考えを尊重する意向ではあるが,各自の経験に基づいた自分なりの意見ももっている。その一方で,現在は自分の考えや気持ちを誰に対しても安心して発言できる状態にはないと感じており,意見をはっきりと主張することはまだ控えているようである。
F氏は,ヒアリングで認識したメンバーの状況から,当面は F氏が PM としてマネジメントすることを継続するものの,チームによる価値の共創力を高めるためには,早期にチームによる自律的なマネジメントに移行する必要があると考えた。ただし,F氏は,②自律的なマネジメントに移行するのは,チームの状態が改善されたことを慎重に確認してからにしようと考えた。
一方でF氏は,リーダーがメンバーを動機付けしてチームのパフォーマンスを向上させるリーダーシップに関しては,メンバーの状況をモニタリングしながら修整(テーラリング)していくことにした。具体的には,リーダーが,各メンバーの活動を阻害する要因を排除し,活動しやすいプロジェクトの環境を整備する支援型リーダーシップと,リーダーが主導的にメンバーの作業分担などを決める指示型リーダーシップとのバランスに配慮することにした。そこで,メンバーの状況から,③指示型リーダーシップの発揮をできるだけ控え,支援型リーダーシップを基本とすることにした。そして,Xプロジェクトでメンバー全員に理解してほしい重要なことを踏まえて,④各メンバーがセルフリーダーシップを発揮できるようにしようと考えた。
〔目標の設定と達成に向けた課題と対策〕
F氏は,ヒアリングで認識したメンバーの状況から,メンバーが価値を共創する上でチームの軸となる,提供する体験価値に関するXプロジェクトの目標が必要と感じた。そこで,⑤メンバーで議論を重ね,メンバーが理解し納得した上で,Xプロジェクトの目標を設定しようと考えた。そして,“サイバー空間において近未来の暮らしを疑似体験できる”という体験価値の提供を目標として設定した。
F氏は,設定したXプロジェクトの目標,及び目標の達成に向けてメンバーの積極的なチャレンジが必要であるという認識をX社長と共有した。また,チャレンジには失敗のリスクが避けられないが,失敗から学びながら成長して目標を達成するというプロジェクトの進め方となることについてもX社長と認識を合わせて,X社長からX社の役員に説明してもらい理解を得た。さらに,F氏は,ヒアリングから認識したメンバーの状況を踏まえ,X社長から出資元各社にXプロジェクトの進め方を説明してもらい,各社に納得してもらった。その上で,それをX社長から各メンバーにも伝えてもらうことによって,⑥メンバーがチャレンジする上でのプロジェクトの環境を整備することにした。
〔Xプロジェクトの行動の基本原則〕
F氏は,Xプロジェクトの行動の基本原則をメンバーと協議した上で次のとおり定めた。
- 担当する作業を決める際は,自分の得意な作業やできそうな作業だけではなく,各自にとってチャレンジングな作業を含めること
- ⑦他のメンバーに対して積極的にチャレンジの過程で得られたものを提供すること,また自身の専門性に固執せず柔軟に他のメンバーの意見を取り入れること
F氏は,これらの行動の基本原則に基づいて作業を進めることで,チームによる価値の共創力を高めることにし,目標の達成に必要な作業を全てメンバーで洗い出して定義した。
設問と解答・解説
設問1
〔Xプロジェクトの立ち上げの状況〕について答えよ。
(1)
本文中の下線①について,F氏がアジャイル型開発アプローチを採用することを提案した理由は何か。30字以内で答えよ。
模範解答
成果を随時確認しながらプロジェクトを進められるから
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: アジャイル型開発において成果の随時確認が可能であるという内容が明確に記述されている。
- 3点: 成果の確認の可能性については触れているが、随時確認である点などの記載がやや不十分である。
- 2点: アジャイル型開発の特徴に触れているが、理由としての妥当性が不十分である。
- 1点: 言及はあるが、アジャイル型開発アプローチを採用する理由としてずれている。
- 0点: 未解答または全く見当違いの解答。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 理由として論理的で、自然な文脈で適切にまとめられている。
- 2点: 構成にやや難があるが、意図は伝わる。
- 1点: 文脈が不明瞭で、論理的な理由として読み取りづらい。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
本問は、過去に経験のない新たな価値の創出を目指すシステム開発プロジェクトにおいて、アジャイル型開発アプローチを採用する理由を問う問題です。
解答の根拠
新たな価値を創出するプロジェクトでは、要件を初期段階で完全に確定することが困難です。そのため、アジャイル型開発アプローチ を採用し、少しずつ開発を進めながら成果を確認し、柔軟に軌道修正を行うことが求められます。解答では、「成果を随時確認しながら」進められるというアジャイル型の本質的な利点を簡潔にまとめる必要があります。
高得点のポイント
成果の随時確認 ができるというアジャイル型の特徴を捉えていること
プロジェクトを柔軟に進められるという文脈に合致していること
字数制限の中で、理由として簡潔かつ論理的に構成されていること
(2)
本文中の下線②について,F氏が自律的なマネジメントに移行する際に確認しようとした,改善されたチームの状態とはどのような状態のことか。35字以内で答えよ。
模範解答
自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: メンバーが誰に対してでも安心して自分の考えや気持ちを発言できる状態であることが明確に記述されている。
- 3点: 安心感や発言のしやすさに触れているが、誰に対してでもという対象の広がりについての言及が欠けている。
- 2点: 発言しやすい環境についての言及はあるが、改善されたチーム状態としての説明が不十分である。
- 1点: チーム状態に関する記述はあるが、内容が不適切である。
- 0点: 未解答または無関係の解答。
論理性(構造)(3点)
- 3点: チームの状態が論理的かつ明確に表現されている。
- 2点: 文のつながりがやや不自然だが、意味は伝わる。
- 1点: 表現が不明瞭で、どのような状態か理解しにくい。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
本問は、チームが自律的なマネジメントへ移行するために必要なチームの状態(心理的安全性)について問う問題です。
解答の根拠
チームによる 自律型マネジメント を実現するためには、メンバー同士がお互いを信頼し、自発的な意見交換ができる環境が不可欠です。それは、メンバーが「自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態」を意味します。このような基盤があって初めて、リーダーシップの修整や価値の共創が可能になります。
高得点のポイント
「自分の考えや気持ち」を表現できる状態に触れていること
「誰に対してでも安心して」という、対象を問わない安全性が記述されていること
どのような状態であるかが、分かりやすく整理されていること
(3)
本文中の下線③について,F氏が指示型リーダーシップの発揮ができるだけ控えることにしたのは,メンバーがどのような状況であるからか。30字以内で答えよ。
模範解答
メンバーは目的の実現に前向きな姿勢である状況
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: メンバーが目的の実現に対して前向きな姿勢であり、自分なりの意見を持っている状況であることが明確に抽出されている。
- 3点: 前向きな姿勢については言及しているが、意見を持っている点などがやや不足している。
- 2点: メンバーの状況について触れているが、指示型リーダーシップを控える直接的な理由として不十分である。
- 1点: 状況に関する言及はあるが、見当違いの内容である。
- 0点: 未解答または無関係の解答。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 理由として論理的であり、自然な構成となっている。
- 2点: 構成にやや難があるが、意図は伝わる。
- 1点: 文脈が不明瞭で、理由として読み取りづらい。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
本問は、プロジェクトマネージャであるF氏が指示型リーダーシップを控える判断を下した根拠となる、メンバーの状況を読み取る問題です。
解答の根拠
ヒアリング結果から、メンバーそれぞれが「前向きな姿勢であり自分なりの意見をもっている」という状況が明らかになりました。メンバーが既に 自発性 や 目的意識 を持っている状況において、PMが過度に指示を与える(指示型リーダーシップ)ことは、かえってモチベーションや自律性を阻害する可能性があります。そのため、F氏はリーダーシップのスタイルを修整しました。
高得点のポイント
メンバーが「前向きな姿勢」であるという状況を本文から適切に読み取っていること
目的の実現に向けた自主的な状況であることが記述されていること
指示型リーダーシップを控える理由として、論理的につながる構成になっていること
(4)
本文中の下線④について,各メンバーがセルフリーダーシップを発揮できるようにしようとF氏が考えた理由は何か。25字以内で答えよ。
模範解答
メンバーの自発的なチャレンジが重要だから
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: メンバーの自発的なチャレンジが重要であるという理由が的確に記述されている。
- 3点: 自発性やチャレンジに触れているが、理由としての結びつきがやや弱い。
- 2点: セルフリーダーシップに関連する記述はあるが、理由の核心からずれている。
- 1点: 記述内容が不十分であり、理由として成立していない。
- 0点: 未解答または無関係の解答。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 理由として適切な文末で論理的にまとめられている。
- 2点: 文末表現や構成にやや難があるが、言わんとしていることは伝わる。
- 1点: 文脈が不明瞭で、理由として読み取れない。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
本問は、各メンバーに対してセルフリーダーシップの発揮を促す理由を問う問題です。
解答の根拠
過去に経験のない新たな価値を創出するプロジェクトにおいては、PMの指示を待つのではなく、メンバー一人ひとりが自律的に動き、試行錯誤することが不可欠です。したがって、メンバー自身による「自発的なチャレンジ」が非常に 重要 となります。これを実現するために、F氏はセルフリーダーシップの発揮を促そうと考えました。
高得点のポイント
「自発的なチャレンジ」の重要性に言及していること
なぜセルフリーダーシップが必要なのか、その因果関係が明確であること
短い字数制限の中で、端的に理由がまとまっていること
設問1(3)は,正答率がやや低かった。F氏が指示型リーダーシップの発揮を控えようと考えたのは,“メンバーそれぞれが前向きな姿勢であり自分なりの意見をもっている”という状況をヒアリング結果から得たからであり,この点を読み取って解答してほしい。
設問2
〔目標の設定と達成に向けた課題と対策〕について答えよ。
(1)
本文中の下線⑤について,F氏が,Xプロジェクトの目標の設定に当たって,メンバーで議論を重ね,メンバーが理解し納得した上で設定しようと考えた狙いは何か。35字以内で答えよ。
模範解答
提供する体験価値に対するメンバーの思いを統一し共有するため
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 提供する体験価値に対するメンバーの思いを統一し、共有するためであるという狙いが明確に記述されている。
- 3点: 価値の共有などに触れているが、思いの統一というニュアンスがやや不足している。
- 2点: プロジェクトの目標設定についての言及に留まり、体験価値や思いの共有に踏み込めていない。
- 1点: 狙いに関する言及はあるが、見当違いの内容である。
- 0点: 未解答または無関係の解答。
論理性(構造)(3点)
- 3点: 狙いとして論理的であり、自然な構成となっている。
- 2点: 構成にやや難があるが、意図は伝わる。
- 1点: 文脈が不明瞭で、狙いとして読み取りづらい。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
本問は、プロジェクトの目標設定において、メンバー間で議論を重ねて理解と納得を促す狙いについて問う問題です。
解答の根拠
「Xプロジェクトにおける目標の設定をする」といった表面的な抜き出しでは不十分です。本プロジェクトは新たな価値の創出を目指すため、単なる数値目標ではなく、ユーザーに「どのような体験価値を提供するのか」というビジョンが重要です。議論を重ねる真の狙いは、メンバーそれぞれの「提供する体験価値に対する思いを統一し、共有する」ことにあります。
高得点のポイント
「体験価値」というキーワードが含まれていること
メンバーの「思いを統一し共有する」という目的が明確に示されていること
狙いを問う設問に対して、適切な文末で構成されていること
(2)
本文中の下線⑥について,F氏が,Xプロジェクトの進め方を出資元各社に納得してもらい,それをX社長から各メンバーにも伝えてもらうことによって整備することにしたプロジェクトの環境とはどのような環境か。35字以内で答えよ。
模範解答
メンバーが出資元各社の期待に制約されずにチャレンジできる環境
採点基準(配点 7点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: メンバーが出資元各社の期待に制約されずにチャレンジできる環境であることが明確に記述されている。
- 3点: チャレンジできる環境であることには触れているが、出資元各社の期待・制約に関する言及が不足している。
- 2点: 出資元との関係について言及しているが、環境としての説明が不十分である。
- 1点: 環境についての言及はあるが、内容が適切でない。
- 0点: 未解答または無関係の解答。
論理性(構造)(3点)
- 3点: どのような環境かが論理的かつ的確に表現されている。
- 2点: 文のつながりがやや不自然だが、意味は伝わる。
- 1点: 表現が不明瞭で、環境の性質が理解しにくい。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
本問は、PMであるF氏やX社長が出資元との間で合意を形成することによって、メンバーに提供しようとした環境の性質を問う問題です。
解答の根拠
複数の出資元が存在するプロジェクトでは、各社の思惑や期待がメンバーの自由な発想を阻害するリスクがあります。F氏がプロジェクトの進め方を出資元に納得させ、それを社長から伝えてもらったのは、外圧からメンバーを守り、「出資元各社の期待に制約されずにチャレンジできる環境」を整備するためです。これにより、メンバーは心理的安全性を保ちながら新たな価値創出に取り組むことができます。
高得点のポイント
「出資元各社の期待に制約されずに」という背景要因が含まれていること
メンバーが自由に「チャレンジできる環境」であることが示されていること
どのような環境かが明確に伝わる構成になっていること
設問2(1)は,正答率がやや低かった。“Xプロジェクトにおける目標の設定をする”のような,下線部や設問文に記載されている内容を抜き出した解答が散見された。“Xプロジェクトにおける目標の設定”に当たっては,メンバーそれぞれの,提供する体験価値への思いを統一し,共有することが重要であることを読み取って解答してほしい。
設問3
〔Xプロジェクトの行動の基本原則〕について,F氏が本文中の下線⑦をXプロジェクトの行動の基本原則とした狙いは何か。30字以内で答えよ。
模範解答
知見や体験を共有して価値の共創力を高めるため
採点基準(配点 8点)
知識・理解度(内容)(4点)
- 4点: 知見や体験を共有し、価値の共創力を高めるためという狙いが的確に記述されている。
- 3点: 知見や体験の共有には触れているが、共創力を高めるという目的に関する記述がやや不足している。
- 2点: 行動の基本原則に関する記述はあるが、具体的な狙いが捉えきれていない。
- 1点: 記述内容が不十分であり、狙いとして成立していない。
- 0点: 未解答または無関係の解答。
論理性(構造)(4点)
- 4点: 狙いとして論理的であり、自然かつ簡潔な構成となっている。
- 3点: 論理構成は概ね適切だが、表現にわずかな無駄や不自然さがある。
- 2点: 構成に難があり、意図が伝わりにくい部分がある。
- 1点: 文脈が不明瞭で、狙いとして読み取れない。
- 0点: 文章として成立していない。
解説
本問は、プロジェクトの行動の基本原則を定めたPMの狙いを読み取る問題です。
解答の根拠
価値の共創を目指すプロジェクトにおいては、個人の能力だけでなく、チーム全体としてのシナジーが求められます。行動の基本原則を定めることで、メンバー同士がそれぞれの「知見や体験を共有」しやすくなり、結果としてチーム全体の「価値の共創力を高める」ことが可能になります。
高得点のポイント
メンバー間の「知見や体験の共有」に言及していること
最終的な目的である「価値の共創力を高める」ことにつながっていること
狙いを問う設問に対して、簡潔で分かりやすい文末表現となっていること