「ステークホルダー・要員」の過去問(マネジメント・16問+午後13大問)

1. この分野は何か

ステークホルダー・要員分野は、プロジェクトを成功に導くために不可欠な「人」に関するマネジメント領域です。
プロジェクトに影響を与える、あるいは影響を受けるすべての個人や組織(ステークホルダー)を特定し、彼らの期待を管理して適切に関与させる手法(ステークホルダー・エンゲージメント)について学びます。また、プロジェクトチームを編成し、メンバーの能力を最大限に引き出すための動機づけ理論、コミュニケーション管理、さらには技術者としての倫理観や組織の意思決定の落とし穴(集団思考など)についても扱われます。

2. 実際の出題のされ方

午前問題では、プロジェクト・リソース・マネジメントに関連する専門用語や、組織論・心理学の基本的な考え方を問う問題が出題されます。

  • チーム環境とパフォーマンス: 「プロジェクトチームのパフォーマンスを高めるために、チームメンバーを同じ作業場所に集めること(コロケーション)」を問う問題など、効果的なチームビルディングの手法に関する知識が問われます。
  • ステークホルダー管理: 特定のプロジェクト(例:コーヒーチェーン店の成長戦略)において、ステークホルダー(経営層、店長、顧客など)それぞれの利害関係を分析し、どのようにコミュニケーションをとるべきかを問う事例問題が出題されます。
  • 技術者倫理と集団思考: アーヴィング・ジャニスが提唱した集団思考(グループシンク)の陥穽に関連して、「心の警備(集団の合意に反する情報を遮断する行為)」などの具体的な兆候の意味を問う、倫理・心理学的な問題も見られます。

3. 学習のポイント

この分野は、単なる用語の暗記だけでなく、プロジェクトマネージャとしての「対人スキル(ソフトスキル)」の重要性を理解することが求められます。

  • ステークホルダー分析マトリクス: ステークホルダーを「権力(影響力)」と「関心」の強さで4象限に分類し、それぞれに対するアプローチ(例:権力も関心も高い層には「密接に管理する」、関心だけ高い層には「情報を十分に提供する」)を整理しておきましょう。
  • 動機づけ理論の整理: マズローの欲求階層説、マクレガーのX理論・Y理論、ハーズバーグの二要因理論(動機づけ要因と衛生要因)など、代表的なモチベーション理論の名称と内容をセットで暗記してください。
  • コンフリクト・マネジメント: チーム内で対立(コンフリクト)が生じた際の解決アプローチ(強制、撤退、鎮静、妥協、問題解決など)を整理しましょう。根本原因を話し合う問題解決・協働は持続的な解決を得やすい一方、緊急度、重要度、当事者間の関係によって適切な方法は変わります。

4. 間違えやすいところ

ステークホルダー・マネジメントにおいて、「ステークホルダーの要求は全て受け入れなければならない」と誤解してしまうケースがあります。ステークホルダー間では利害が対立すること(例えば、営業は納期短縮を求め、開発は品質確保を求める等)が常であり、プロジェクトマネージャの役割は全ての要求を鵜呑みにすることではなく、「プロジェクトの目的に照らして優先順位をつけ、コンフリクトを調整すること」であることを意識して設問を読み解いてください。
また、集団思考(グループシンク)の問題点について、「チームワークが良い状態」と「同調圧力が働いている状態(異論を言えない状態)」を混同しないように注意しましょう。「心の警備」や「自己検閲」などのキーワードが出た場合は、意思決定の質が低下するネガティブな現象を指していると判断してください。

  1. 2025(R7)秋 応用情報技術者 午前 問52 チームの発展段階を五つに区分したタックマンモデルによれば,メンバーの異なる考え方や価値観が明確になり,メンバーがそれぞれ…
  2. 2025(R7)秋 システム監査技術者 午前II 問15 技術者倫理の遵守を妨げる要因の一つとして,集団思考というものがある。集団思考の説明として,適切なものはどれか。…
  3. 2025(R7)秋 システム監査技術者 午前II 問16 リーダーシップ論のうち,SL理論の説明はどれか。…
  4. 2025(R7)秋 高度試験共通 午前I 問18 チームの発展段階を五つに区分したタックマンモデルによれば,メンバーの異なる考え方や価値観が明確になり,メンバーがそれぞれ…
  5. 2025(R7)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問5 ホーソン効果の,システム開発プロジェクトにおける例として,適切なものはどれか。…
  6. 2025(R7)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問11 表は,プロジェクトのコミュニケーション計画において作成した“会議体の一覧”である。5W1Hの指針に照らしたときに,不足し…
  7. 2025(R7)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問12 JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロセス“コミュニケーションの計画”の目的は…
  8. 2025(R7)春 応用情報技術者 午前 問73 コンピテンシーモデルの説明はどれか。…
  9. 2025(R7)春 システムアーキテクト 午前II 問10 新システムの受入れ支援において,利用者への教育訓練に対する教育効果の測定を,カークパトリックモデルの4段階評価を用いて行…
  10. 2024(R6)秋 応用情報技術者 午前 問53 プロジェクトマネジメントにおいて,プロジェクトチームのパフォーマンスを高めるために,チームメンバーを同じ作業場所に集める…
  11. 2024(R6)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問22 技術者倫理における集団思考の問題点として,アーヴィング・ジャニスが指摘した八つの兆候のうちの“心の警備”の説明として,適…
  12. 2024(R6)春 ITサービスマネージャ 午前II 問18 ステークホルダ登録簿の作成及び更新に関する記述のうち,適切なものはどれか。…
  13. 2023(R5)秋 応用情報技術者 午前 問75 リーダーシップ論のうち,F. E. フィードラーが提唱するコンティンジェンシー理論の特徴はどれか。…
  14. 2023(R5)秋 システム監査技術者 午前II 問16 リーダーシップを“タスク志向”と“人間関係志向”の強弱で四つの型に分類し,部下の成熟度によって,有効なリーダーシップの型…
  15. 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午前II 問4 JIS Q 21500:2018(プロジェクトマネジメントの手引)によれば,プロジェクトマネージャがステークホルダの貢献…
  16. 2023(R5)春 応用情報技術者 午前 問80 技術者倫理の遵守を妨げる要因の一つとして,集団思考というものがある。集団思考の説明として,適切なものはどれか。…

この分野の午後問題(記述式・読み物)

  1. 2025(R7)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問1 問1 生成AIを活用したシステムの開発・導入・運用・保守を行うプロジェクトの計画立案に関する次の記述を読んで,設問に答え…
  2. 2025(R7)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問2 問2 製薬会社におけるCRM刷新プロジェクトに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。…
  3. 2025(R7)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問3 問3 プロジェクト実施中の計画変更に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。…
  4. 2025(R7)秋 プロジェクトマネージャ 午後II 問1 システム開発プロジェクトにおけるチームの育成計画について…
  5. 2024(R6)秋 応用情報技術者 午後 問2 コーヒーチェーン店の成長戦略に関する次の記述を読んで、設問に答えよ。…
  6. 2024(R6)秋 応用情報技術者 午後 問9 問9 電気機器メーカーの新たなプロジェクトに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。…
  7. 2024(R6)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問1 問1 顧客体験価値(以下,UXという)を提供するシステム開発プロジェクトに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。…
  8. 2024(R6)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問2 問2 プロジェクトマネジメントの計画に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。…
  9. 2024(R6)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問3 問3 プロジェクト計画の修整(テーラリング)に関する次の記述を読んで,設問に答えよ。…
  10. 2024(R6)秋 プロジェクトマネージャ 午後II 問2 メンバーの状況に応じたリーダーシップの選択について…
  11. 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問1 価値の共創を目指すプロジェクトチームのマネジメントに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。…
  12. 2023(R5)秋 プロジェクトマネージャ 午後I 問3 問3 化学品製造業における予兆検知システムに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。…
  13. 2023(R5)春 応用情報技術者 午後 問9 金融機関システムの移行プロジェクトに関する次の記述を読んで,設問に答えよ。…