令和3年度 春期 ITサービスマネージャ試験 午後Ⅱ 問1 顧客や利害関係者との事業関係管理におけるコミュニケーション(論述)
マネジメントサービスマネジメントステークホルダー・要員
学習ガイド
顧客や利害関係者と良好な関係を保つための、事業関係管理におけるコミュニケーションについて論じる午後Ⅱ問題です。目的に応じた情報伝達の仕組みや工夫が問われます。設問アでサービスと自身の役割を定義し、設問イで情報の特性に配慮した具体的なコミュニケーション手法とその重要性を詳述します。最後に設問ウで、顧客関係維持の観点から取り組みを評価し、今後の課題と対応策を論理的にまとめる手順を解説します。
この記事で押さえる論点
- 事業関係管理における自身の役割とサービスの概要を説明できる
- 情報の特性を考慮したコミュニケーションの目的と対象を述べられる
- 組織やサービスの特徴を踏まえた伝達の仕組みとその工夫を説明できる
- 実施したコミュニケーションの効果を評価し、今後の課題を述べられる
出題情報
- 出題
- 2021(R3)春 ITサービスマネージャ 午後II 問1
- 配点
- 100点満点
- 模範解答
- 未公表(採点基準と解説から解答の方向性を読み取る)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
事業関係管理では,利害関係者とのコミュニケーションが重要であり,顧客とのコミュニケーションだけでなく,サービスの供給に関与するその他の利害関係者とのコミュニケーションも必要となる。
本問は,事業関係管理の概要及び事業関係管理における役割,事業関係管理のために特に重要と考えたコミュニケーションについて,目的,対象とした情報,特に重要と考えた理由,及びコミュニケーションの仕組み,さらに,顧客との良好な関係を保つという観点での評価,今後の課題と対応について具体的に論述することを求めている。論述を通じて,ITサービスマネージャとして有すべき顧客関係・顧客満足を管理する能力,課題認識能力,方策立案能力などを評価する。
問1では,事業関係管理のために特に重要と考えたコミュニケーションについて,その目的,対象とした情報,特に重要と考えた理由,及びコミュニケーションの仕組み,並びに,顧客との良好な関係を保つという観点での評価,今後の課題と対応について具体的な論述を期待した。日頃から顧客事業への貢献を意識し,顧客志向の高いレベルでのマネジメント活動を行っている受験者にとっては取り組みやすいテーマであったようで,“顧客満足の把握と改善”,“利害関係者間の調整”など,供給者管理の強化にまで踏み込んだ効果的なコミュニケーションの内容が具体的に論述されていた。一方,顧客満足の向上を目的とはしているものの,単なる供給者側のコミュニケーション強化やサービスレベル向上をテーマとした論述も少なからず見られた。これは,事業関係管理に対する経験,知見が不足していることに起因しているものと思われる。ITサービスマネージャは,顧客の事業環境を正しく理解し,顧客の事業成果に貢献するITサービスの提供を目的とした取組を心掛けてほしい。
問題本文
問1 事業関係管理におけるコミュニケーションについて
顧客との関係を良好に保つための事業関係管理は,ITサービスマネージャの重要な業務である。事業関係管理では,顧客の事業及び業務内容を深く理解し,顧客の期待に沿ったサービスの提供に向けて,顧客満足の把握と改善,利害関係者間の調整などのマネジメント活動が必要となる。
事業関係管理では,目的に応じて,顧客とのコミュニケーションだけでなく,サービスの供給に関与する利害関係者とのコミュニケーションも必要である。
コミュニケーションの対象とする情報には,例えば,サービスの要求事項,サービスのパフォーマンス傾向,サービス満足度,苦情,障害対応の状況,新規サービス及びサービス変更に関わる要求事項などがある。
コミュニケーションの仕組みとしては,ミーティングでの報告,電子メールでの相談,グループウェアでの情報共有,SNS又は連絡ボードでの連絡などが考えられる。
情報の重要性,迅速性,緊急性などに配慮して,情報伝達の間隔や方法を定めるなど,サービスや組織の特徴を踏まえた効果的な取決めを行い,確実に実践していくことが重要である。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。
設問と解答・解説
設問ア
あなたが携わったITサービスの概要と,事業関係管理の概要及び事業関係管理におけるあなたの役割について,800 字以内で述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準
- 18点: ITサービスの概要、事業関係管理の概要、及び自身の役割について、顧客の事業環境の理解に基づき、具体的かつ非常に明確に記述されている。
- 12点: ITサービスの概要、事業関係管理の概要、及び自身の役割について記述されているが、具体性や顧客の事業環境との結びつきにやや欠ける。
- 6点: ITサービスの概要、事業関係管理の概要、又は自身の役割のいずれかの記述が不十分であり、事業関係管理の前提となる状況の理解が浅い。
- 0点: 設問で要求されている内容が記述されていない、又は全く見当違いの内容である。
- 16点: 要求された全要素が漏れなく網羅され、各要素のつながりが論理的で分かりやすい構成となっている。
- 8点: 要求された要素は概ね記述されているが、要素間のつながりや論理的構成にやや不自然な点がある。
- 0点: 論理的構成が破綻している、又は複数の要求要素が欠落している。
解説
本問は、事業関係管理の概要及び事業関係管理における自身の役割について論述する設問です。
高得点のポイント
- ITサービスの概要について、対象となるサービスの内容や提供範囲などを明確に示すこと。
- 事業関係管理の概要について、顧客の事業や業務内容をどのように理解し、顧客満足の把握や利害関係者間の調整をどのように行っているかを具体的に記述すること。
- 事業関係管理における役割について、ITサービスマネージャとしての立場から、顧客の事業成果に貢献するためのマネジメント活動をどのように担っているかを明確にすること。
- 記述が800字以内という字数制限内に適切に収められ、論理的に構成されていること。
設問イ
設問アで述べた事業関係管理のために特に重要と考えたコミュニケーションについて,その目的,対象とした情報,特に重要と考えた理由,及びコミュニケーションの仕組みについて,工夫した点を含めて,800 字以上 1,600 字以内で具体的に述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準
- 17点: 目的、対象とした情報、コミュニケーションの仕組み、工夫した点が具体的に述べられ、顧客満足の把握と改善や利害関係者間の調整など、顧客の事業・業務の理解に基づく事業関係管理のためのコミュニケーションになっている。
- 12点: 要求要素は記述されているが、事業関係管理との結び付きが弱く、単なる供給者側のコミュニケーション強化やサービスレベル向上がテーマになっている。
- 6点: 要求要素のいずれかが不足しているか、記述が抽象的であり、事業関係管理に対する経験・知見に基づく具体性が乏しい。
- 0点: 設問で要求されている内容が記述されていない。
- 16点: 重要と考えた理由や工夫した点が、顧客の事業環境やサービス・組織の特徴を踏まえて深い洞察とともに説得力をもって論じられている。
- 8点: 理由や工夫した点について記述されているが、一般的な論述に留まり、自身の経験に基づく独自の考察や説得力にやや欠ける。
- 0点: 理由や工夫した点についての考察が不十分であるか、説得力が全くない。
解説
本問は、事業関係管理のために特に重要と考えたコミュニケーションの詳細(目的、情報、理由、仕組み、工夫点)を具体的に論述する設問です。
高得点のポイント
- 目的と対象とした情報:顧客、又はサービスの供給に関与する利害関係者のうち、目的に応じた相手とのコミュニケーションを取り上げ、「サービスの要求事項」「サービスのパフォーマンス傾向」「サービス満足度」「苦情」などの情報を具体的に挙げること。
- 特に重要と考えた理由:情報の重要性、迅速性、緊急性などの観点から、なぜそのコミュニケーションが重要であるかを自身の経験に基づき説得力をもって論じること。
- コミュニケーションの仕組みと工夫点:情報伝達の間隔や方法(ミーティング、電子メール、情報共有ツールなど)を定め、サービスや組織の特徴を踏まえた効果的な取決めを確実に実践する上での工夫を具体的に述べること。
- 単なる供給者側のサービスレベル向上を目的とするのではなく、「顧客満足の把握と改善」「利害関係者間の調整」といった、顧客事業への貢献を意識したマネジメント活動の視点を含めること。
- 800字以上1,600字以内という字数要件を確実に満たすこと。
設問ウ
設問イで述べたコミュニケーションについて,顧客との良好な関係を保つという観点でどのように評価しているか。また,今後の課題と対応についてどのように考えているか。600 字以上 1,200 字以内で具体的に述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準
- 17点: 設問イのコミュニケーションを「顧客との良好な関係を保つ」観点から、顧客満足・苦情・顧客の反応などの事実を根拠に評価しており、その評価から導いた今後の課題と対応が具体的である。
- 12点: 評価と課題・対応は記述されているが、評価が顧客との関係の観点に結び付いていないか、課題と対応が評価から導かれていない。
- 6点: 評価又は課題と対応の記述が不十分であり、課題認識能力や方策立案能力が十分に示されていない。
- 0点: 設問で要求されている内容が記述されていない。
- 16点: 前問の記述内容との整合性が保たれており、評価に基づく課題の抽出、課題に対する合理的な対応策の提示が説得力をもって論理的に一貫して示されている。
- 8点: 前問の内容とのつながりや、評価・課題・対応策間の展開にやや飛躍があり、説得力にやや欠ける。
- 0点: 評価や対応策の構成が破綻しているか、前問の記述と全く関係のない内容となっており説得力がない。
解説
本問は、実施したコミュニケーションの評価と、今後の課題及び対応策について論述する設問です。
高得点のポイント
- 評価の視点:設問イで述べたコミュニケーションの仕組みや工夫が、「顧客との良好な関係を保つ」という観点でどのような成果をもたらしたか(あるいは不足していたか)を客観的かつ具体的に評価すること。
- 今後の課題と対応:評価を踏まえ、顧客志向の高いレベルでのマネジメント活動を継続・向上させるための課題を抽出し、その解決に向けた実践的な対応策(方策)を論理的に展開すること。
- 課題と対応が顧客との良好な関係の維持・向上につながることを示すこと。「顧客の事業及び業務内容を深く理解し,顧客の期待に沿ったサービスの提供」という事業関係管理の視点があると評価が高まる。
- 600字以上1,200字以内という字数要件を確実に満たすこと。