IPA サービスマネジメント — 頻出論点と過去問

この分野の学び方

1. この分野の全体像

サービスマネジメントは、稼働中のITサービスを顧客と合意した水準に保つために、組織の仕組みと日々の運用、障害や災害への備えを回し続けます。管理プロセスの役割や窓口業務の改善、基本的な目標値の計算がITパスポートの問いの範囲で、応用情報技術者の午前とITサービスマネージャの午前IIでは、JIS Q 20000-1に照らした要求事項の正誤や、計画停止・復旧目標・要員の条件を組み合わせた計算が出てきます。マネジメントシステムの計画・評価・改善の枠の下で、顧客と合意した目標に向けて、窓口の対応、障害の解決と変更の反映、能力の監視と非常時の備え、日常の運用と施設の管理が連携して動きます。

2. 配下の論点の案内

  • SMS の要求事項・評価・改善: サービスマネジメントシステム全体の計画、支援、評価、継続的改善を定めるJIS Q 20000-1の枠組みを扱います。ITパスポートではフレームワークの名称を選ぶ問題があり、高度試験の午前IIでは、力量や内部監査、マネジメントレビューについて規格の要求事項の正誤を判定させています。

  • SLA・サービスレベル・関係管理: 顧客とサービス品質の目標を合意して維持する活動や、供給者・利害関係者との関係構築、サービスの予算と課金方式が主題です。応用情報技術者の午前では、サービスレベル管理の活動やポートフォリオの範囲を問う問題と、想定した利用状況から課金方式を比べる計算が出ており、高度試験の午前IIでは課金方式のグラフ、サービス・カタログ、事業関係管理の活動まで問われます。

  • インシデント・問題・変更管理・サービスデスク: 障害からの迅速な回復、根本原因の究明、本番環境への変更の展開、構成品目の管理という個別プロセスと、利用者窓口であるサービスデスクの運営を扱います。ITパスポートでは事例の作業がどのプロセスに当たるかの対応付けや窓口のKPI・自動化ツールの導入効果が問われ、ITサービスマネージャの午前IIでは構成ベースラインや要員配置システムの目的を選ぶ問題が出ます。

  • サービス可用性・容量・継続: 合意した時間帯にサービスを止めずに提供する可用性・容量の管理と、重大な障害や災害時にサービスを復旧させる継続管理が対になっています。応用情報技術者の午前では提供時間帯や計画停止の条件から可用性や許容停止時間を求める計算と障害の分析技法が出ており、高度試験の午前IIでは同じ計算に加えて、復旧目標の指標や代替拠点の待機方式の違いを選ぶ問題があります。

  • システム運用・ファシリティ: 日々の運用を支える仕組みとして、バックアップやシフト勤務の編成、作業ミスの防止、移行のリハーサルと、データセンターの電力効率や設備の決まりがここに入ります。応用情報技術者やシステム監査技術者の午前IIでは、世代管理の条件から必要な磁気テープの最少本数や24時間有人運用の最少要員数を求める計算、エラープルーフ化の原理の分類が出題されています。

3. 学習の順序の提案

「SMS の要求事項・評価・改善」の計画・評価・改善の枠組みと、「SLA・サービスレベル・関係管理」で顧客と合意する目標は、ほかの論点の活動が何を目指して動くかを決める上位の約束として働きます。合意した目標のうち、日々の問合せや障害への対処、構成の変更を追うのが「インシデント・問題・変更管理・サービスデスク」であり、提供時間や容量、非常時の復旧水準という保証の側面を数値で管理するのが「サービス可用性・容量・継続」です。そして、それらの計画や復旧手順を現場の作業と設備で支える「システム運用・ファシリティ」へと進むと、バックアップ間隔の目標と媒体本数の計算、窓口の受付時間とシフト要員数の計算が一連の流れとしてつながります。

受ける区分 先に学ぶ論点 次に学ぶ論点
ITパスポート インシデント・問題・変更管理・サービスデスク、サービス可用性・容量・継続 SLA・サービスレベル・関係管理、SMS の要求事項・評価・改善
応用情報技術者 / 高度試験の午前I サービス可用性・容量・継続、システム運用・ファシリティ SMS の要求事項・評価・改善、SLA・サービスレベル・関係管理、インシデント・問題・変更管理・サービスデスク
高度試験の午前II サービス可用性・容量・継続、SMS の要求事項・評価・改善 SLA・サービスレベル・関係管理、システム運用・ファシリティ、インシデント・問題・変更管理・サービスデスク

ITパスポートでは、サービスデスクの運営や個別プロセスの役割、可用性の基本的な計算を選ぶ問題が出ており、バックアップの媒体本数やシフトの要員数のような日常の運用の計算は応用情報技術者の午前から出てきます。午後の出題では、ITサービスマネージャと応用情報技術者で、サービスデスクの設計、SLAの目標値の見直し、インシデントと問題の分析、容量・能力の管理、事業継続計画の策定が出題されました。新しいサービスの立上げやクラウドへの移行、外部の供給者への委託がその場面として使われ、システム監査技術者の午後には事業継続計画や障害管理の態勢の監査、情報処理安全確保支援士とプロジェクトマネージャの午後にはサプライチェーンの管理体制や稼働開始のリスクを問う大問もあります。

4. 分野をまたいで間違えやすいところ

サービス可用性と、システム構成の分野で扱う装置の稼働率は、同じく動いている時間の割合でも、基準にする時間の決め方に差があります。サービスの側で基準にするのは顧客と合意した提供時間で、求めた値はSLAで約束した目標と突き合わせ、合意を守れたかの判断に使います。

「サービス可用性・容量・継続」と「システム運用・ファシリティ」のバックアップの問題は、前者ではどこまでのデータを失ってよいかという復旧の目標を決める設計の話になり、後者では決まった周期と保存期間の下で媒体をどう回すかという日常の運用の話になります。

「インシデント・問題・変更管理・サービスデスク」のリリースや構成の管理は、開発プロセスの分野の構成管理と名前が重なりますが、稼働中のサービスに変更を入れて本番の構成を保つための手続です。ソフトウェアの導入作業について適切な記述を全て選ぶ問題では、作業を済ませた後で導入計画書と報告書を作って合意を得るという誤った記述がありました。作業の後に作る文書は、行った作業を記録する報告の役目しか果たしません。

JIS Q 20000-1が求める内部監査は、「SMS の要求事項・評価・改善」の評価の仕組みの一部で、組織自身が規格の要求事項を物差しにして定期に行う活動です。システム監査の分野の監査の基準は、情報システムにまつわるリスクへの対応を監査人が評価するときの決まりで、照らす物差しが違います。

チケットで作業の状態を起票から完了まで追うOSSを選ぶ問題は、この分野と進捗管理の分野の両方に入っています。同じ道具でも、サービスの側ではインシデントやサービス要求の受付から解決までを記録する仕組みとして、プロジェクトの側では作業と課題の進み具合を管理する仕組みとして見られています。

サービスマネジメントの論点別の過去問

SMS の要求事項・評価・改善23問 SLA・サービスレベル・関係管理22問 インシデント・問題・変更管理・サービスデスク27問 サービス可用性・容量・継続42問 システム運用・ファシリティ18問

サービスマネジメントの理解度チェック

サービスマネジメントの過去問一覧

この分野の午後問題(記述式・読み物)

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