IPA サービス可用性・容量・継続 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

サービスが約束どおり使えた時間の割合を計算し、障害の起きにくさと戻りの速さを指標で比べ、災害時の代わりの拠点と戻す目標をあらかじめ決めておく分野です。止まりにくさ、戻りの速さ、災害のときにどこまで戻すかは、それぞれ別の指標で約束されます。

2. 実際の出題のされ方

サービスが合意どおり利用できる割合や、障害の起きにくさを表す指標の意味は、基礎的な段階から問われます。合意した提供時間帯のうち実際に使えた時間の割合を指す用語、サービスの保証に当たる記述、MTBSIを改善する取組みを選ぶ問題が、ITパスポートで出ました。また、SLAの項目をサービス可用性管理・容量・能力管理・情報セキュリティ管理に対応付ける問題や、BCPに基づく活動を選ぶ問題も出題されています。

サービス可用性の計算問題は、多くの区分で繰り返し出題されています。週の利用可能日と時間帯と合意した稼働率から許容できる停止時間を求める計算は、ITパスポートで出ています。目標値と実績値の差から減らすべきだった停止時間を求める問題と、毎週の計画停止を除いた提供時間から許容停止時間を求める問題とは、どちらも応用情報技術者の午前の出題です。

数か月分の停止の表から計画停止を除いてサービス可用性を求める問題と、提供時間外の修復時間やメンテナンス時間を含む条件から求める問題は、情報処理安全確保支援士とITサービスマネージャの午前IIで解かせています。

障害の分析技法や復旧目標の指標も、応用情報技術者の午前やITサービスマネージャの午前IIで問われます。応用情報技術者の午前では、事象の発生経路・原因を分析して発生確率の算出に使える技法を選ぶ問題、BCPやBCMにおけるレジリエンスの説明を選ぶ問題、データ復旧要件から最長のバックアップ取得間隔を求める問題、保守性を表すKPIを選ぶ問題が出ています。さらに、RTO・RPO・RLOのうち指定された二つの指標を定めた例を選ぶ問題も両区分で出題されています。

ITサービスマネージャの午前IIでは、稼働時間と停止時間からMTBSI・MTBF・MTRSの大小を比べる問題と、障害のあとの回復の速さを測る指標を選ぶ問題が出ています。また、ウォームスタンバイやウォームサイトの説明を選ぶ問題(プロジェクトマネージャの午前IIでも出題)、サービス継続計画に含めるべき事項を選ぶ問題、オンラインシステムの容量・能力の監視における注意事項を選ぶ問題、JIS Q 22301が規定する対象を選ぶ問題が出題されています。

3. 学習のポイント

サービス可用性の分母は、提供すると約束した時間から、顧客と合意した計画停止の時間を除いた時間です。分子はそこから提供時間内に起きた計画外の停止だけを引いたもので、提供時間外の修復やメンテナンスはどちらにも入れません。例えば、26日間・毎日12時間(312時間)のサービスで、合意した計画停止が52時間、提供時間内の障害が4時間、提供時間外の修復が2時間なら、(312−52−4)÷(312−52)×100=256÷260×100(312 - 52 - 4) \div (312 - 52) \times 100 = 256 \div 260 \times 100 で約98.5%です。

MTBFは止まらずに動き続けた時間の平均で、冗長化のように障害そのものを減らす手を打つと延びます。MTRSは止まってから戻るまでの時間の平均で、復旧の手順や体制を整えると縮みます。

可用性の分析技法には、起きた結果から原因へさかのぼるものと、部品の壊れ方から影響を広げて調べるものがあります。

災害や重大な障害への備えは、BCPやBCM(事業継続マネジメント)として組織全体で計画されます。復旧目標の3指標は、対象とする軸で区別します。

  • RTO(目標復旧時間): 中断からいつまでにサービスを復旧させるかという時間の目標です(例:中断から4時間以内)。
  • RPO(目標復旧時点): 過去のどの時点の状態までデータを復旧させるかというデータの目標です(例:中断の6時間前の状態)。データの消失をこの範囲に収める必要があるため、定期バックアップの最長取得間隔はRPOの値によって決まります。
  • RLO(目標復旧レベル): 復旧したときに、どこまでの機能や量で再開するかの目標です(例:1日に処理できる件数を通常の7割まで戻して再開する)。

代替拠点の方式の違いは、平時にどこまで準備を済ませておくかにあります。

4. 間違えやすいところ

計画停止のある期間のサービス可用性を求める問題では、計画停止を除かない全期間の時間で割って求めた誤答肢がありました。その割り方では、提供を約束していない計画停止の時間まで分母に入っています。

提供時間外の修復時間を含む条件の問題では、その修復時間も停止時間に足して引いた値が誤答肢にありました。その値は、提供を約束していない時間帯の作業までサービスの中断として数えています。

許容される最大停止時間の小数第1位を切り捨てる条件の問題で、算出した許容停止時間の小数第1位を四捨五入または切り上げてしまう誤答肢がありました。許容停止時間を切り上げると実際の停止時間が上限を超えてしまい、可用性が目標値をわずかに下回ってSLA違反となります。

RTOを24時間に定めている記述を選ぶ問題では、業務データを障害発生の24時間前以降の状態に戻すとした誤答肢がありました。どの時点の状態までデータを戻すかを決めるのは、RPOのほうです。

ウォームスタンバイの説明を選ぶ問題では、よその会社と取り決めを交わし、非常時に相手のシステムを借りて復旧するとした誤答肢がありました。これは、相互バックアップの協定と呼ばれる別の備え方です。

容量・能力管理の監視に関する問題では、「SLAの目標値を監視しきい値に設定し,しきい値を超過した場合には対策を講ずる」とする誤答肢がありました。目標値そのものを境目にすると、超えたと分かった時点で、もう合意を破っています。

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