令和7年度 春期 ITストラテジスト試験 午後II 問題 問1 基幹システムの刷新方針策定(論文)
ストラテジシステム戦略・企画
この問題は2025(R7)春 ITストラテジスト 午後IIに出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
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学習ガイド
レガシー化した基幹システムの刷新方針の策定を論じるITストラテジスト午後Ⅱの問題です。模範解答は公表されないため、講評から評価の分水嶺を読み取ります。古いIT基盤をクラウドへ更改するだけの技術論や、新しいシステム構造への具体的言及を欠く方針論は課題とされました。経営上の課題から刷新の必要性と有効性を導き、事業部門との調整や経営層の承認獲得まで語る、経営と技術を往復する構成が求められます。
この記事で押さえる論点
- 経営上の課題と基幹システムの課題を結び付けて刷新の必要性を示す
- 新しいシステム構造・ITへの刷新方針とその経営上の有効性を論述する
- 事業部門との交渉・調整と経営層への説明を具体化する
出題情報
- 出題
- 2025(R7)春 ITストラテジスト 午後II 問1
- 配点
- 100点満点
- 模範解答
- 未公表(採点基準と解説から解答の方向性を読み取る)
出題趣旨・採点講評(IPA 公表)
販売や生産などの基幹業務を担う基幹システムは,導入時点の業務に適合した業務システムとIT基盤を長期にわたって維持,改修してきた結果,システム構造が複雑化していたり,最新技術が適用できない旧式のITであったりすることが多かった。
本問は,ITストラテジストが,経営上の課題を解決するために策定した基幹システムの刷新方針について,刷新することの必要性や経営上の有効性,事業部門との交渉や調整を行ったことなどを,具体的に論述することを求めている。論述を通じて,ITストラテジストに必要な,基幹システムの刷新方針を策定する能力,事業部門との交渉や調整を行い,経営層から承認を得る能力などを評価する。
問1では,経営上の課題を解決するために基幹システムの刷新方針を策定した経験のある受験者には,論述しやすかったと思われる。一方で,基幹システムの技術的な課題の解決だけを目指して,古いIT基盤をクラウド基盤に更改するなどの論述が見受けられた。また,刷新方針として,段階的な刷新や業務改革だけの論述にとどまり,新しいシステム構造やITへの具体的な言及が不足している論述も見受けられた。ITストラテジストは,経営上の課題を解決するために,基幹システムを,新しいシステム構造やITへ刷新することの必要性や経営上の有効性を明らかした上で,基幹システムの刷新方針を策定できる能力を養ってほしい。
問題本文
これまで,販売や生産などの基幹業務を担っている基幹システムは,導入時点の業務に適合した業務システムとIT基盤を長期にわたって維持,改修してきた結果,システム構造が複雑化していたり,最新技術が適用できない旧式のITであったりすることが多かった。
このような状況では,担当するIT要員のスキルが継承できなかったり,必要なIT要員が確保できなかったりするリスクが存在することがある。また,企業が進める業務の変革に迅速に対応できなかったり,IT運用・保守費用がかさみ新たなサービスへのIT投資が捻出できなかったりするなど,競合他社に劣後することもある。
ITストラテジストは,これらの経営上の課題を解決するために,基幹システムの刷新方針を策定することがある。その際には,まず,次のような事項を検討し,基幹システムを刷新することの必要性や経営上の有効性を明らかにすることが重要である。
- 現行システムの改修ではなく,新しいシステム構造やITへ刷新する必要性は何か。
- 新しいシステム構造やITへ刷新することによる,経営上の有効性は何か。
そして,刷新によって実現される業務プロセス,業務や組織の必要な見直し方法,優先度を考慮した段階的な移行,刷新の効果と費用などを検討し,基幹システムの刷新方針を策定する。
さらに,策定した基幹システムの刷新方針について,事業部門との交渉や調整を行い,事業部門からの協力や支持を得た上で,経営層に説明し,承認を求める。
あなたの経験と考えに基づいて,設問ア〜ウに従って論述せよ。
設問と解答・解説
設問ア
あなたが携わった基幹システムの刷新方針の策定の背景にある,事業概要と事業特性,基幹システムの概要と課題を,400字以上800字以内で述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 34点)
知識・理解度(内容)(17点)
- 17点: 事業概要、事業特性、基幹システムの現状と経営上の課題が、ビジネスとITの両面から非常に具体的に記述されている。
- 13点: 事業概要、事業特性、基幹システムの現状と課題が概ね具体的に記述されている。
- 9点: 事業概要やシステム課題の記述が一般的な内容にとどまるが、設問が要求する事項は一通り網羅されている。
- 4点: 記述内容が浅く不十分であり、事業特性とシステム課題の関連性の記述が希薄である。
- 0点: 事業概要、事業特性、基幹システムの概要と課題のいずれも記述されていない。
論理性(構造)(17点)
- 17点: 論理展開が明快であり、事業特性と既存システムの仕様・老朽化等から、直面している経営課題が極めて自然かつ説得力を持って導出されている。
- 13点: 論理構成に大きな破綻はなく、事業特性とシステム課題から経営課題へのつながりが概ね整合している。
- 9点: 論理構成にやや飛躍が見られるが、事業やシステムを取り巻く背景は読み取れる。
- 4点: 論理構成に大きな飛躍があり、事象の羅列にとどまっている。
- 0点: 論理的な記述が全く成立していない。
解説
設問の意図
本問は、ITストラテジストとして経営上の課題を解決するための基幹システムの刷新方針を策定するにあたり、その前提となる事業概要と事業特性、および現行の基幹システムの概要と課題を具体的に論述することを求めています。
高得点のポイント
- 携わった企業の事業概要と事業特性を明確にし、ビジネス上の強みや弱み、市場環境などを具体的に記述していること。
- 現行の基幹システムの概要(導入時期、システム構造、対象業務など)と、それに起因する課題(複雑化、旧式化による制約など)を論理的に結びつけていること。
- 単なる技術的な陳腐化だけでなく、事業成長の阻害や業務効率の低下など、経営上の課題に直結するものとして課題を提示していること。
設問イ
設問アで述べた基幹システムについて,あなたはどのような刷新方針を策定したか,刷新することの必要性や経営上の有効性を明らかにして,あなたが特に重要と考えて工夫したこととともに,800字以上1,600字以内で具体的に述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 33点)
知識・理解度(内容)(16点)
- 16点: 刷新方針、刷新の必要性、経営上の有効性、工夫点が網羅されており、特に新しいシステム構造やIT基盤に関する踏み込んだ具体的な言及がある。
- 12点: 要求事項は網羅されているが、新しいシステム構造やITに関する記述がやや表層的である。
- 8点: 単なる業務改革や既存IT基盤の単純な更改にとどまり、新しいシステム構造への刷新方針の言及が乏しい。
- 4点: 刷新方針や工夫点の記述が抽象的であり、ITストラテジストとしての専門性に欠ける。
- 0点: 設問で要求されている刷新方針や経営上の有効性について言及されていない。
説得力(考察)(17点)
- 17点: 提示された刷新方針が設問アの課題を的確に解決するものとなっており、その経営上の有効性と工夫点が極めて説得力を持って論証されている。
- 13点: 刷新方針と設問アの課題との整合性が取れており、経営上の有効性と工夫点について十分な説得力がある。
- 9点: 設問アの課題解決へのつながりがやや弱いが、方針や工夫の意図は一定の説得力を持っている。
- 4点: 刷新による効果や工夫点の根拠が不明確であり、説得力に乏しい。
- 0点: 考察や工夫の記載が全くなく、説得力が皆無である。
解説
設問の意図
本問では、設問アで提示した課題を解決するために、どのような基幹システムの刷新方針を策定したかを問うています。特に、新しいシステム構造やITへの刷新の必要性、経営上の有効性、および策定時に工夫した点が評価の対象となります。
高得点のポイント
- 段階的な刷新や単なる業務改革にとどまらず、新しいシステム構造や最新技術(クラウド、AI、モダンアーキテクチャなど)の適用に関する具体的な言及があること。
- IT基盤の更改といった技術的な課題解決だけでなく、経営上の課題を解決するための刷新であること(経営上の有効性)が説得力を持って説明されていること。
- 方針策定において、ITストラテジストとして特に重要と考えて工夫した点(リスク低減、業務影響の最小化、投資対効果の最大化など)が具体的に論述されていること。
設問ウ
設問イで述べた基幹システムの刷新方針について,あなたは事業部門とどのような交渉や調整を行い,経営層にどのような説明をしたか,経営層の評価を受けて改善したこととともに,600字以上1,200字以内で具体的に述べよ。
模範解答
模範解答は公表されていません。下の採点基準と解説から、解答に求められる要素を読み取ってください。
採点基準(配点 33点)
知識・理解度(内容)(16点)
- 16点: 事業部門との交渉・調整の経緯、経営層への説明内容、経営層からの評価とそれを受けた改善内容が、具体的事例を交えて詳細に記述されている。
- 12点: 事業部門との交渉や経営層への説明、改善内容の全要素が記述されているが、一部の内容がやや抽象的である。
- 8点: 要求された各プロセスの記載はあるが、一般的な手続き論にとどまり、実践的な具体性に欠ける。
- 4点: 交渉・調整、または改善内容のいずれかが大きく不足しているか、極めて表層的な記述のみである。
- 0点: 設問で要求されている交渉・調整や改善に関する記述がない。
説得力(考察)(17点)
- 17点: 事業部門の利害調整や経営層の懸念払拭に向けたITストラテジストとしての立ち回りが極めて妥当であり、改善プロセスを含めて高い説得力がある。
- 13点: ステークホルダーとの交渉や説明、フィードバックによる改善のプロセスが論理的に整理されており、十分な説得力がある。
- 9点: 交渉プロセスや改善のアプローチに多少の強引さや不自然さはあるが、全体として一定の説得力を持っている。
- 4点: 合意形成や改善プロセスにおける根拠の提示が薄く、ITストラテジストとしての妥当性に欠け説得力が乏しい。
- 0点: 調整や考察のプロセスが一切記述されておらず、説得力が皆無である。
解説
設問の意図
本問は、策定した刷新方針を実現するために、ステークホルダーである事業部門との交渉・調整、および経営層への説明と合意形成のプロセスをどのように進めたかを問うています。ITストラテジストとしてのコミュニケーション能力と調整力が評価されます。
高得点のポイント
- 刷新に伴う業務変更や負担増に対して、事業部門とどのような交渉・調整を行ったか(現場の抵抗への対応、協力体制の構築など)が具体的に記述されていること。
- 経営層に対し、投資対効果や経営戦略との整合性についてどのような説明を行い承認を得ようとしたかが明確であること。
- 経営層からのフィードバックや評価を真摯に受け止め、計画や方針をどのように改善したかが論理的かつ説得力を持って記述されていること。