IPA 取引関連法規(契約・消費者・決済) — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

取引の約束は契約書だけで完結せず、システム開発の委託でも通信販売でも電子マネーでの支払いでも、民法や個別の法律の決まりが当事者の権利と義務に入り込みます。代金の受け渡しも、振込や現金だけでなく、前払いのカードや暗号資産のように、法律が定義を置いた手段を通って行われます。

2. 実際の出題のされ方

取引や決済の用語が何を指すかと、身近な企業の行為が法令に触れるかどうかを見分ける問いから始まります。ITパスポートの問題は、NDAについて適切な記述を選ばせるほか、犯罪で得た資金を正当に見せかける行為を防ぐ取組について、その呼び名と、取組の中身として適切な記述の両方を尋ねます。特約のない請負契約で注文者と請負業者が負う義務、前払式支払手段に当たる具体例、広告や懸賞のうちコンプライアンス上問題となるおそれのある行為を選ぶ問題もあります。

応用情報技術者の午前では、条文上の定義や適用対象が問われます。ソフトウェアやデータに欠陥があるケースで製造物責任法の対象となるものを選ぶ問題や、資金決済法における暗号資産について適切な記述を選ぶ問題が出ています。

事業者に課される手続と義務の中身は、システム監査技術者の午前IIで、契約不適合責任、インボイス制度、特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律のそれぞれについて適切な記述を選ぶ形で確かめられます。通信販売の広告に載せる事項や、前払式支払手段の発行者の情報管理を義務付けている法律を選ぶ問題もあります。

WTO政府調達協定については、協定の説明と目的を選ぶ問題がシステムアーキテクトの午前IIで出され、協定が何を対象にし、何のために結ばれたかが問われています。

3. 学習のポイント

請負は仕事を完成させることに対して報酬を払う契約で、当事者が取り決めなかった点は民法の規定で補われます。成果物が契約の内容に合わないときに注文した側が使える手段も、民法が契約不適合責任としてまとめています。

前払式支払手段は、利用者が先に代金を払って価値を手に入れ、あとの買物や支払いに充てる手段です。

表示と広告の決まりには、広告に載せなければならない事項を決める向きと、消費者に実際と違う印象を与える表示を禁じる向きがあり、それぞれを別の法律が受け持っています。

4. 間違えやすいところ

特段の合意がないプログラム開発の請負契約において、完成前であれば注文者は損害を賠償せずにいつでも契約を解除できるとする誤答肢がありました。損害を賠償せずに契約をやめられるのは、相手が約束を果たさないことを理由にする債務不履行の解除で、完成前の自由な解除とは別の仕組みです。

契約不適合責任について適切な記述を選ぶ問題では、成果物の引渡しから1年以内に修補などを請求しないと権利を失うとする誤答肢がありました。引渡しの時から1年で権利を使えなくなる期限は、平成29年の民法の改正(2020年4月施行)より前の、請負の担保責任の決まりです。

資金決済法における暗号資産について、発行者が利用者ごとの残高を管理し、指定された加盟店だけで使用できるとする誤答肢がありました。発行者が残高を管理し、その発行者が指定した店でだけ使える性質は、商品券やハウス電子マネーのような前払式支払手段の特徴です。

インボイス制度について適切な記述を選ぶ問題では、船やバス、鉄道による旅客の運送は金額にかかわらず交付が要らないとする誤答肢がありました。交付が免除されるのは税込3万円未満の運送に限られ、この誤答肢は、少額の取引だけに認めた特例を金額の条件なしに広げた形です。

特定デジタルプラットフォームの透明性及び公正性の向上に関する法律について、売上額が一定基準を下回る事業者が特定デジタルプラットフォーム提供者に認定されて保護を受けるとする誤答肢がありました。指定を受けるのは利用者への影響が大きい大規模な運営事業者で、指定は保護の手続ではなく、法律の規制を受ける対象を決める手続です。

WTO政府調達協定について適切な記述を選ぶ問題では、協定が及ぶのは中央政府の発注だけで、特殊法人のような政府関係の機関の発注は外れるとする誤答肢がありました。中央政府だけに絞るのは、締約国ごとに附属書で地方政府や政府関係機関まで並べている適用範囲の一部だけを見た形です。

取引関連法規(契約・消費者・決済)の理解度チェック

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