IPA 投資評価 — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

システムや設備への投資では、先にまとまった額を払い、その効果を何年もかけて少しずつ受け取ります。何年も先に戻ってくる効果は、同じ金額でも今の手元のお金より価値が低く、その目減りの度合いを1年当たりの率で表したものが割引率です。

2. 実際の出題のされ方

初期投資額と、その後の毎年のキャッシュフローや費用・効果の条件を表や箇条で示し、そこから指標の値を出させるか、複数の案の優劣を付けさせるのが、問いの基本の組み立てです。指標の名称や特徴を問う問題のほか、表形式で与えられた複数のシナリオから最も有利な案を選ぶ問題が出ています。

ITパスポートでは、システム再構築による運用費の変化と利益増加から投資の回収期間を求める問題や、外部サービスの利用方式と自社開発方式について一定期間の期待利益を比較し、採算が逆転する初期投資額の境界を求める問題が出題されています。応用情報技術者の午前では、PBP(回収期間法)について適切な記述を選ぶ問題や、複数年にわたるキャッシュインのシナリオからPBPや正味現在価値法によって最も投資効果が高い案を選ぶ問題が出ています。

ITストラテジストの午前IIの問題は、年度ごとに割り引いた金額の表から正しい算定結果を選ぶものや、複数のプロジェクトのNPVを計算して比べるもの、EVA(経済的付加価値)をどう算出するかを選ぶものです。プロジェクトマネージャの午前IIでは、需要が広がる確率と縮む確率を与えて、二つの案の期待金額価値を比べる問題が出ています。

3. 学習のポイント

DCF(Discounted Cash Flow)法では、割引率を rr としたとき、nn 年後に発生するキャッシュフロー CFnCF_n の現在価値を次の式で算出します。
現在価値=CFn(1+r)n\text{現在価値} = \frac{CF_n}{(1 + r)^n}

割引率が 25%25\% なら、2年後に受け取る 7575 万円の現在価値は、1.251.25 で2回割った 4848 万円です。各年の現在価値の合計から初期投資額を差し引いた値がNPVであり、NPVが正でより大きい案ほど投資効果が高いと判定します。

4. 間違えやすいところ

  • PBP法の特徴における割引計算の混同
    PBP法を、将来の現金の時間的価値を考えに入れた手法とする誤答肢がありました。将来の金額を割引率で割り引き、今の価値にそろえてから比べるのは、NPV法の側の計算です。

  • DCF法の表計算における経過年数ごとの割引処理の漏れ
    2年後および3年後の現在価値を1年後の現在価値と同じ金額のまま据え置いた算定結果の表が、毎年同額のキャッシュフローが生じる投資案をDCF法で評価する問題の誤答肢にありました。2年後以降の金額を1年後と同じ値のままにする計算は、1年分の割引しか掛けていない値です。

  • 回収期間の算定における効果額の取り違え
    システム再構築の投資の回収期間を求める問題では、投資額を、再構築で増える利益だけで割った値の誤答肢がありました。この値は、運用費が下がって毎年浮く分を効果に数えずに出した年数で、回収までを実際より長く見積もっています。

  • 期待金額価値の算出における初期投資額の控除漏れ
    需要の拡大・縮小の確率とそれぞれの収入見込額から期待金額価値を比較する問題で、各事象の収入に発生確率を掛けて足し合わせた金額をそのまま期待金額価値とした誤答肢がありました。事象ごとの収入と確率の積和は投資によって見込まれる期待収入の総額であり、そこから初期投資額を差し引く前の金額を表しています。

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