IPA デジタル署名・PKI — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

受け取った文書が本人から来て途中で書き換えられていないことを確かめるデジタル署名と、その前提になる公開鍵の持ち主を第三者機関が保証するPKI(公開鍵基盤)を扱います。署名で確かめられることと確かめられないこと、デジタル証明書が失効していないかの確かめ方を区別できるようになります。

2. 実際の出題のされ方

認証局(CA)やデジタル署名の役割と効果の範囲は、ITパスポートで問われます。PKIにおいて認証局が公開鍵証明書の発行・失効を通じて鍵の正当性を保証すること、プログラムの発行元を確認するためにデジタル署名を参照すること、署名付きメールによって完全性は向上するが機密性や可用性は向上しないこと(改ざんの防止ではなく検知ができること)、およびCRL(証明書失効リスト)に掲載される条件が出題されています。

RSA方式の署名検証手順や証明書の用途・失効確認の方法は、応用情報技術者の午前と高度試験の午前Iが中心です。具体的には、RSA方式のデジタル署名で受信者が用いる検証鍵(送信者の公開鍵)とその役割、ソフトウェアの発行元確認に用いるコードサイニング証明書、X.509のCRLに記載される情報、失効状態をオンラインで問い合わせるOCSPの目的が出題されています。

PKIの各機関の分担や失効確認・署名規格の細部は、高度試験の午前IIで詳しく問われます。法人が作成した電子文書の発信元と非改ざんを証明するeシール、RA(登録局)とVA(検証局)の役割、認証局の運用規定を定めたCPSが出題されています。また、署名検証で確認できる事項の範囲、OCSPリクエストに含めるデータ、不正なサーバ証明書の発行を防ぐDNSのCAAレコード、XMLデジタル署名の形式(デタッチ署名など)も問われています。

3. 学習のポイント

  • デジタル署名の生成・検証と効果: RSA方式のデジタル署名では、送信者がメッセージからハッシュ関数で得たメッセージダイジェストを送信者の秘密鍵(署名生成鍵)で処理して署名を作り、受信者は送信者の公開鍵(署名検証鍵)で署名からメッセージダイジェストを取り出し、受信したメッセージから求めた値と照合します。これにより送信者の真正性と完全性(改ざんされていないこと)を確認できます。
  • PKIの各機関(CA・RA・VA)とCPS: 本人確認を行い発行申請の承認・却下を担うのがRA(登録局)、申請者の公開鍵や下位認証局の公開鍵に自身の秘密鍵でデジタル署名を付与して証明書を発行するのがCA(認証局)、失効状態の問合せに応答するのがVA(検証局)です。また、CAが証明書の発行・管理・失効・更新などの運用詳細を定めた文書をCPS(認証業務運用規程)と呼びます。
  • 証明書の用途とCAAレコード: Webサイトの通信相手認証やTLSの鍵交換に使われるサーバ証明書、利用者を証明するクライアント証明書、ソフトウェアの発行元を確認するコードサイニング証明書、法人文書の作成元を証明するeシールを区別します。また、ドメイン所有者が証明書発行を許可する認証局を宣言し、不正なサーバ証明書の発行を防ぐ仕組みがDNSのCAAレコードです。
  • 失効確認(CRLとOCSP)とXMLデジタル署名: CRLには有効期限内に失効した証明書のシリアル番号と失効日時が記載されます。リアルタイムに失効状態を確認するOCSPでは、クライアントは証明書全体ではなくシリアル番号や発行者識別名(DN)のハッシュ値などをOCSPレスポンダーへ送信します。XMLデジタル署名では、署名対象と署名要素が分離したデタッチ署名を同一XML文書内のエレメントに対して作成・格納することも可能です。

4. 間違えやすいところ

  • デジタル署名で分かることの限界: デジタル署名を付与してもメッセージ本文は暗号化されないため、盗聴や漏えい(機密性)は防げません。また、検証で不一致となった場合に、文書のどの部分が改ざんされたかや、文書と署名のどちらが改ざんされたかを判別することはできず、マルウェア感染の有無を確認する機能もありません。
  • CRLの記載条件と認証局の署名鍵のひっかけ: CRLについて、有効期限が満了した証明書が載る、発行した全証明書の有効期限が載る、失効後1年間の記載がRFCで義務付けられている、ブラウザに認証局の公開鍵が組み込まれていればCRLは参照不要である、失効した秘密鍵が登録されるといった選択肢はすべて誤りです。また、CAが証明書を発行する際、申請者の秘密鍵に署名するとしたり、ルート認証局の公開鍵で署名するとしたりする引っかけにも注意します(正しくは公開鍵に対し、認証局の秘密鍵で署名します)。
  • OCSPとXML署名の仕様の混同: OCSPのリクエストでデジタル証明書全体を送信するとしたり、レスポンスでタイムスタンプトークンの発行を受けるとしたりする誤答があります。また、XMLデジタル署名の構文にCMSやASN.1を用いるとする選択肢も誤りです。

デジタル署名・PKIの理解度チェック

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