IPA ハードウェア・物理的セキュリティ — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

ICカードやマイクロプロセッサ、記憶媒体などの物理的な特性をねらう攻撃手口と、ハードウェア機構や物理的手段で内部の秘密情報・システムを守る対策技術を扱います。チップ内部の解析やサイドチャネル攻撃を防ぐ設計から、TPM・セキュアブートによる起動時の検証、廃棄時のデータ完全消去までを対応づけて学びます。

2. 実際の出題のされ方

耐タンパ性や起動時の検証、媒体廃棄・入退室管理の基本的な対策は、ITパスポートで問われます。耐タンパ性の具体例(内蔵ソフトウェアの難読化や、暗号鍵を内蔵するセキュリティチップによるデバイス内データの暗号化)、OSやファームウェアの起動時にデジタル署名を検証して正当なソフトウェアだけを実行するセキュアブート、PCやHDD・SSDの廃棄時における情報漏えい対策(ランダムデータの複数回上書き消去、物理的破壊、SSDに対するSecure Erase)、入退室管理で共連れを防ぐアンチパスバックが出題されています。

チップの物理的な保護設計や物理量測定による攻撃、セキュリティチップの役割は、応用情報技術者の午前で出題されます。ICカード・マイクロプロセッサ・IoTデバイスの物理的耐タンパ性を高める設計(プローブの取付けやケース開封に伴う光の検知時に内部回路・秘密情報を破壊・消去する機構)、暗号処理時の消費電力・処理時間・放射電磁波などの物理量を測定して秘密情報を推定するサイドチャネル攻撃、機器に搭載され鍵生成・ハッシュ演算・暗号処理を行うセキュリティチップであるTPM、OS起動完了前のマルウェア実行を防ぐセキュアブートの仕組みが出題されています。

物理量を観測する攻撃ごとの具体的な防御策やTPMの内部機能は、高度試験の午前IIで問われます。サイドチャネル攻撃の個別手法であるタイミング攻撃への対策(秘密情報の違いによって演算の処理時間に差異が出ないように処理を追加する)、ディスプレイなどから放射される電磁波を傍受して表示内容を解析するテンペスト攻撃とその対策(電磁波の遮蔽)、TPM 2.0の機能(モジュール内で暗号鍵を生成し安全に保管する機能)が出題されています。

3. 学習のポイント

チップを開封して配線に探針を当てるプロービング攻撃などに対しては、開封やプローブ検知時に内部回路やメモリを破壊・消去する耐タンパ機構で対抗します。一方、外部から物理量を測るサイドチャネル攻撃については、処理時間の差を見るタイミング攻撃には演算時間の均一化、消費電力の変化を見る電力解析攻撃にはコンデンサ挿入などによる消費電力の均一化、漏えい電磁波を傍受するテンペスト攻撃には電磁波の遮蔽というように、観測対象ごとの対策を切り分けて押さえておきます。

また、PCやIoT機器の信頼性を支えるTPMとセキュアブートの役割、および記憶媒体の廃棄時にデータを復元不能にする消去技術(HDDの上書き消去・物理破壊、SSDのSecure Erase)も重要な論点です。

4. 間違えやすいところ

耐タンパ性の問題では、通信経路の暗号化、ログインパスワードの変更、セキュリティパッチの適用、故障時に予備機や予備カードへ切り替える対策(これは可用性を高める対策)、静電気放電(ESD)耐性の強化といった他のセキュリティ・信頼性対策と混同させる選択肢が定番です。また、チップ検査終了後に検査用パッドを残すことや、内部メモリの物理アドレスを整然と配置することなど、かえって解析を容易にして耐タンパ性を低下させる記述にも注意しましょう。

サイドチャネル攻撃では、線形解読法・差分解読法・選択平文攻撃などの数学的な暗号解読手法や、故意に誤動作を起こさせるフォールト解析攻撃と取り違えないことが重要です。さらに、記憶媒体の廃棄対策においてOSのファイル削除機能や論理フォーマットは管理情報を初期化するだけでデータ本体が残存するため漏えい対策にならず、フラッシュメモリを用いるSSDには磁気消去が効かない点も典型的なひっかけとして押さえておきましょう。

ハードウェア・物理的セキュリティの理解度チェック

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