IPA マルチメディア・グラフィックス — 頻出論点と過去問

頻出論点

1. この分野は何か

写真も音も文字の形も、コンピュータの中では数の並びとして持っています。どれだけ細かく区切って数にするかでデータの量と再現の細かさが決まり、画像を点の集まりで持つか図形の式で持つか、光の当たり方をどこまで計算するかで、仕上がりと処理の重さが変わります。

2. 実際の出題のされ方

現実の風景に情報を重ねる技術と、作られた空間に入り込んだように感じさせる技術の違いは、活用の場面を読んでどちらかを選ぶ問題で確かめられます。ITパスポートには、この形の問題のほか、RGBの各色のビット数から表せる色の数を求める計算と、文字ごとに幅が違うフォントの名前を選ぶ問題があります。

信号のディジタル化や画像・動画のデータ量に関する計算と、グラフィックスの描画手法の比較は、応用情報技術者の午前で、計算と知識の両方から問われます。計算問題では、音声の周波数帯域から標本化定理によって最大のサンプリング周期を求める問題や、サンプリング周波数と量子化ビット数から音声のデータ量を求める問題、解像度・色数・フレームレートから非圧縮動画の配信に必要な帯域幅を求める問題、画面上の直線の画素座標から対応するメモリの先頭番地を算出する問題が出ています。知識問題では、図形をXML形式で記述する画像フォーマットの選択、ビットマップフォントよりアウトラインフォントが向く場面、H.264/MPEG-4 AVCやバーチャルリアリティでのレンダリングの説明、3DCGのレンダリング手法やモデリング手法の正しい説明を選ぶ問題もあります。

高度試験の午前IIには、機器やコンテンツの保護に関する用語の問題が区分ごとに出ています。情報処理安全確保支援士ではブルーレイディスクのコンテンツ保護技術の名前、エンベデッドシステムスペシャリストではディジタルサイネージの説明を選ぶ問題です。

3. 学習のポイント

画像・音声・動画のデータ量は、何を何個並べるかを書き出してから掛け合わせます。

  • 色の階調と画素のメモリ: 光の三原色(R・G・B)のそれぞれに bb ビットを割り当てると、1色につき 2b2^b 通りの階調を表せ、3色の混色では 2b×2b×2b=23b2^b \times 2^b \times 2^b = 2^{3b} 通りの色を表現できます。1画素に割り当てるビット数を増やすほど表せる色は増えますが、画面1枚分に要るメモリも同じ割合で増えます。
  • 動画像の帯域幅と圧縮: 圧縮しない動画像を送るのに要る帯域幅(ビット/秒)は、1フレームの画素数に1画素あたりのビット数と1秒あたりのフレーム数を掛けて求めます。そのままでは量が多すぎるため、配信では動画を圧縮して送ります。H.264/MPEG-4 AVCはそのための圧縮符号化の規格で、携帯端末向けの放送やネットの動画配信で使われています。

静止画と文字の形は、点の集まりとして持つか、輪郭を式で持つかで分けます。

  • ラスタ形式とベクタ形式: ラスタ形式は画像を画素の格子で持つので、拡大すると点の粗さが見えてきます。ベクタ形式は線や円などの図形を座標と式で持つので、どこまで拡大しても線がぼやけません。SVGはW3Cが定めたベクタ形式で、図形をXMLの文書として書き表します。
  • ビットマップフォントとアウトラインフォント: ビットマップフォントは文字を点の並びで持つので、大きくすると輪郭が階段のように崩れます。アウトラインフォントは輪郭を線の式で持つので、大きさを変えても滑らかに表示できます。

3DCGは、光の当たり方をどこまで計算して絵を作るかで手法が分かれます。

  • レンダリングと光の計算: レンダリングは、仮想の空間に置いた物の形や光の情報から、画面に映せる絵を計算して作る処理です。レイトレーシング法は、目から画面の各画素へ向かう視線を逆にたどり、物に当たったら反射や透過の向きへさらに追いかけて、その画素の色を決めます。ラジオシティ法は、ざらついた面どうしが光を照らし合う効果を計算して面の明るさを決めるので、部屋の隅の柔らかい陰のような、間接の光の表現に向きます。
  • 電子看板とコンテンツの保護: ディジタルサイネージは、駅や店先のディスプレイに映像や文字を映して、案内や広告に使う電子の看板です。AACSは、ブルーレイディスクの中身を暗号で守り、認められた機器でだけ再生できるようにする仕組みです。

4. 間違えやすいところ

最大のサンプリング周期を求める問題では、信号の最大周波数の逆数をそのまま周期とした値が誤答肢にありました。最大周波数の逆数は、いちばん速い波の1周期の長さです。1周期に1回しか標本を取らない間隔では、もとの波の形を再現できません。

VRの活用事例を選ぶ問題では、スマートフォンのカメラ越しに見える自分の部屋に、買いたい家具を重ねて置いてみる事例を挙げた誤答肢がありました。現実の景色に作った映像を重ねて見せるのは、ARの使い方です。

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