平成10年度 宅地建物取引主任者資格試験 問10

相続人が, 被相続人の妻A と子B のみである場合(被相続人の遺言はないものとする。) の相続の承認又は放棄に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 誤っているものはどれか。

解答・解説

正解: 4. A は, B の詐欺によって相続の放棄をしたとき, B に対して取消しの意思表示をして, 遺産の分割を請求することができる。

本問は、民法における相続の承認及び放棄に関する理解を問う問題です。問題では「誤っているもの」を選択する必要があり、正解は選択肢4となります。

正解の根拠

相続の承認や放棄は、詐欺や強迫を理由に取り消すことが可能ですが、その手続きには厳格なルールが設けられています。民法第919条2項によれば、相続の承認及び放棄の取消しは、家庭裁判所への申述によって行わなければなりません。したがって、詐欺を行った共同相続人に対して直接取消しの意思表示をするだけでは、法的な効力は生じません。

各選択肢の解説

  • 選択肢1:正しい 相続の承認又は放棄は、「自己のために相続の開始があったことを知った時」から3ヶ月以内に行う必要があります(民法第915条1項)。この「知った時」は各相続人によって異なる可能性があるため、AとBで期間の始期が異なることがあります。
  • 選択肢2:正しい 限定承認は、共同相続人の全員が共同してのみ行うことができます(民法第923条)。そのため、共同相続人の一人(A)が単純承認をしてしまうと、他の相続人(B)は限定承認をすることができなくなります。
  • 選択肢3:正しい 共同相続人で限定承認をした後に、共同相続人の一人が相続財産を隠匿したときは、相続債権者は、相続財産をもって弁済を受けることができなかった債権額について、当該共同相続人に対し、その相続分に応じて権利を行使することができます(民法第937条)。本問におけるBの法定相続分は2分の1であるため、相続債権者は弁済を受けられなかった債権額の2分の1について、Bに請求することができます。
  • 選択肢4:誤り(正解) 上記の「正解の根拠」で述べたとおり、詐欺による相続の放棄を取り消す場合、他の相続人(B)に対する意思表示だけでは足りず、家庭裁判所への申述が必要です。したがって、「Bに対して取消しの意思表示をして」とする本肢の記述は誤りです。

Spineチーム