宅建 平成20年度 問6

AからBとCとが負担部分2分の1として連帯して1,000万円を借り入れる場合と、DからEが1,000万円を借り入れ、Fがその借入金返済債務についてEと連帯して保証する場合とに関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

解答・解説

正解: 2. Aが、Bに対して履行を請求した効果はCに及び、Cに対して履行を請求した効果はBに及ぶ。Dが、Eに対して履行を請求した効果はFに及び、Fに対して履行を請求した効果はEに及ぶ。

本問は、令和2年(2020年)4月1日施行の改正前民法(旧法)に基づく出題です。現行法では規定が変更されているため、旧法に基づく解説をした上で、現行法での取り扱いを補足します。

正解は 2 です。

旧法において、連帯債務における「履行の請求」は絶対効(一人の債務者に生じた事由が他の債務者にも及ぶ効力)を有するとされていました(旧民法434条)。また、連帯保証においては、主債務者への請求が連帯保証人に及ぶのはもちろん、連帯保証人への請求も旧民法458条による準用により、主債務者に及ぶ(絶対効)とされていました。

各選択肢の解説

  • 選択肢1:誤り

    • 連帯債務:旧法では、連帯債務者の一人に対する免除は絶対効を有し、他の債務者はその負担部分について債務を免れます。したがって、AがBに対して免除した場合はCが500万円分の債務を免れます。
    • 連帯保証:債権者が主債務者Eに対して免除をすれば、付従性により連帯保証人Fも全額免れます。しかし、連帯保証人Fに対して免除をした場合、連帯保証人には負担部分がないため、主債務者Eには効力が及びません(相対効)。よって「Fに対して債務を免除した場合にはEが…全額の債務を免れる」とする点が誤りです。
    • ※現行法では、連帯債務の免除は原則として相対効となりました。
  • 選択肢2:正しい

    • 連帯債務:旧法では、連帯債務者の一人(BまたはC)に対する履行の請求は絶対効を有し、他の連帯債務者にも効力が及びます。
    • 連帯保証:主債務者Eに対する履行の請求は、付従性により連帯保証人Fに及びます。また、旧法では連帯保証人Fに対する履行の請求も、絶対効により主債務者Eに及ぶとされていました。
    • ※現行法に関する注意:現行法では、連帯債務の履行の請求は原則として相対効に変更されました。また、連帯保証人への履行の請求も、主債務者には及ばない(相対効)と改正されています。したがって、現行法の下では本選択肢は誤りとなります。
  • 選択肢3:誤り

    • 連帯債務:旧法では、連帯債務者の一人について時効が完成した場合、絶対効により他の債務者はその負担部分について債務を免れます。
    • 連帯保証:主債務者Eについて時効が完成すれば、付従性により連帯保証人Fも債務を免れます。しかし、連帯保証人Fについて時効が完成しても、連帯保証人には負担部分がないため、主債務者Eには影響しません。よって「Fについて時効が完成した場合にはEが…全額の債務を免れる」とする点が誤りです。
    • ※現行法では、連帯債務の時効の完成は原則として相対効となりました。
  • 選択肢4:誤り

    • 連帯債務:連帯債務は各債務が独立しているため、一人についての無効事由は他の債務者に影響しません。AB間が無効でもCは1,000万円の債務を負います。
    • 連帯保証:連帯保証には付従性があるため、主債務(DE間の契約)が無効であれば、連帯保証債務も成立しません。よって「DE間の契約が無効であった場合はFが…1,000万円の債務を負う」とする点が誤りです。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

出題当時は履行の請求が絶対効を有し、選択肢 2は正解でした。2020年4月1日施行の民法の一部を改正する法律(平成29年法律第44号、債権法改正)および民法の一部を改正する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律(平成29年法律第45号)により、連帯債務および連帯保証における履行の請求は原則として相対効とされました。そのため現行法では選択肢 2も誤りとなり、正解はありません。

Spineチーム