平成22年度 宅地建物取引主任者資格試験 問 9

権利関係契約の成立・解除

この問題は2010年度(H22)に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。

本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・表組みの調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。

契約の解除に関する次の1から4までの記述のうち、民法の規定及び下記判決文によれば、誤っているものはどれか。

(判決文)
同一当事者間の債権債務関係がその形式は甲契約及び乙契約といった2個以上の契約から成る場合であっても、それらの目的とするところが相互に密接に関連付けられていて、社会通念上、甲契約又は乙契約のいずれかが履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合には、甲契約上の債務の不履行を理由に、その債権者が法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することができる。

解答・解説を読む

正解: 選択肢2

本問は、複数の契約が締結された場合における契約の解除に関する判例(最高裁平成8年11月12日判決)の理解を問う問題です。

正解は 2 です。判決文では、契約の目的が相互に密接に関連付けられているかどうかは「社会通念上」判断されるとしており、契約書への表示を要件としていません。したがって、「契約書に表示されていたときに限り」とする記述は誤りです。

各選択肢の解説

  • 選択肢1:正しい
    判決文では、「目的とするところが相互に密接に関連付けられていて…」という要件を満たす場合にのみ、複数の契約を併せて解除できるとしています。したがって、目的が相互に密接に関連付けられていない場合には、甲契約の債務不履行を理由として乙契約を解除することはできません。

  • 選択肢2:誤り(正解)
    判決文は、「社会通念上、甲契約又は乙契約のいずれかが履行されるだけでは契約を締結した目的が全体としては達成されないと認められる場合」に解除を認めています。「乙契約の契約書に表示されていたときに限り」というような厳格な要件は定めておらず、実質的な関連性を社会通念に照らして判断するため、本選択肢は誤りです。

  • 選択肢3:正しい
    判決文では、「甲契約上の債務の不履行を理由に、その債権者が法定解除権の行使として甲契約と併せて乙契約をも解除することができる」としています。すなわち、乙契約を解除するためには、大前提として甲契約自体が法定解除できる状態(主たる債務の不履行など)でなければなりません。付随的義務の不履行にすぎず、甲契約すら解除できない状況であれば、当然に乙契約も解除できません。

  • 選択肢4:正しい
    本選択肢は、問題文の判決のベースとなった実際の事案(最高裁平成8年11月12日判決)そのものです。スポーツクラブ会員権契約(甲契約)とリゾートマンションの売買契約(乙契約)の目的が密接に関連付けられており、屋内プールの完成遅延によって契約全体の目的が達成できないと認められれば、甲契約の債務不履行を理由として乙契約を解除できる場合があるため、正しい記述となります。