平成15年度 宅地建物取引主任者資格試験 問1
権利関係制限行為能力
意思無能力者又は制限能力者に関する次の記述のうち, 民法の規定及び判例によれば, 正しいものはどれか。
解答・解説
正解: 3. 成年被後見人が成年後見人の事前の同意を得て土地を売却する意思表示を行った場合, 成年後見人は, 当該意思表示を取り消すことができる。
成年被後見人の法律行為は、日用品の購入その他日常生活に関する行為を除き、常に取り消すことができます。成年後見人には同意権がありません。したがって、事前に成年後見人の同意を得ていたとしても、土地の売却のような重大な行為は完全な効力を生じず、後から取り消すことが可能です。反面、被保佐人の重要な財産行為については保佐人に同意権があるため、同意を得て行った行為は有効となり取り消すことができません。こうした各制限能力者ごとの制度の違いを正確に把握しておくことが重要です。
各選択肢の解説
- 1(誤り) 意思能力を欠いている状態で行われた法律行為は、初めから無効となります(民法第3条の2)。取り消すことによって将来に向かって無効になるわけではありません。
- 2(誤り) 民法改正により成年年齢が18歳に引き下げられ、婚姻開始年齢も男女ともに18歳となったため、現行法では「未成年者が婚姻をしている」という状況自体が生じません。なお、旧法下の「婚姻による成年擬制」を前提とした場合であっても、成年とみなされるため親権者が当該意思表示を取り消すことはできません。
- 3(正しい) 成年後見人には同意権がないため、成年被後見人が事前に同意を得て土地を売却したとしても、その行為は取り消すことができます(民法第9条本文)。
- 4(誤り) 被保佐人が不動産を売却するなどの重要な財産行為を行う場合、保佐人の同意が必要です(民法第13条1項3号)。事前に保佐人の同意を得て行った行為は完全に有効となるため、後から取り消すことはできません。
現行法での扱い(2026年4月1日時点)
出題当時は婚姻した未成年者を成年とみなす制度があり、親権者は取り消せなかったため、選択肢 2は誤りでした。しかし、2022年4月1日施行の民法の一部を改正する法律(平成30年法律第59号、成年年齢関係)によりこの制度はなくなりました。そのため、現在は選択肢 2の正誤が問題文だけでは決まらず、正解も一つに定まりません。