宅建 平成20年度 問1

行為能力に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。

解答・解説

正解: 1. 成年被後見人が行った法律行為は、事理を弁識する能力がある状態で行われたものであっても、取り消すことができる。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、この限りではない。

正解は 1 です。

本問は民法における制限行為能力者制度に関する基本的な知識を問う問題です。

各選択肢の解説

  • 選択肢1(正しい)
    成年被後見人の法律行為は、原則として取り消すことができます(民法9条本文)。これは、一時的に事理を弁識する能力がある状態で行われた行為であっても同様です。ただし、日用品の購入その他日常生活に関する行為については、取り消すことができません(民法9条ただし書)。したがって、本記述は正しいです。

  • 選択肢2(誤り)
    旧民法では、未成年者が婚姻をしたときは成年に達したものとみなされ(成年擬制)、単独で有効な法律行為ができました。なお、現行民法では成年年齢と婚姻開始年齢がともに18歳に統一されたため、未成年者が婚姻すること自体ができず、本記述のような状況は生じません。出題当時の規定では、「取り消すことができる」とする記述は誤りでした。

  • 選択肢3(誤り)
    補助開始の審判をするには、原則として本人の同意が必要です(民法15条2項)。補助対象者は事理弁識能力が「不十分」な程度にとどまるため、本人の自己決定権を尊重する趣旨からです。したがって、「本人の同意がないときであっても同審判をすることができる」とする記述は誤りです。

  • 選択肢4(誤り)
    制限行為能力者が、自分が行為能力者であると相手方に信じさせるために詐術(だますこと)を用いたときは、その行為を取り消すことができません(民法21条)。相手方の信頼を保護する必要があるためです。したがって、「取り消すことができる」とする記述は誤りです。

現行法での扱い(2026年4月1日時点)

出題当時は、婚姻により成年とみなされる規定があったため、選択肢 2は誤りでした。2022年4月1日施行の民法の一部を改正する法律(平成30年法律第59号、成年年齢関係)で、成年と婚姻適齢が18歳となり同規定は削除されました。これにより「婚姻している未成年者」という前提が生じないため、現行法では問題文だけでは正誤が決まらず、正解も一つに定まりません。

Spineチーム