平成16年度 宅地建物取引主任者資格試験 問2
権利関係代理
この問題は2004年度(H16)に出題されたものです。出題時点の法令・制度に基づく内容のため、現行の内容と一致しない場合があります。
本ページの問題文・選択肢は、原本の体裁を Web 表示用に正規化しています(改行・記号・表組みの調整)。設問の趣旨および正解に影響する変更は加えていません。
B所有の土地をAがBの代理人として、Cとの間で売買契約を締結した場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
解答・解説を読む
正解: 選択肢4
正解の根拠
本問の正解は 選択肢4 です。
無権代理人が死亡し、本人(B)が無権代理人(A)を単独相続した場合、本人は自らの立場から無権代理行為の 追認を拒絶 することができます(最判昭37.4.20)。しかし、本人は同時に無権代理人としての地位も承継するため、相手方(C)に対する 無権代理人の責任(民法117条) を免れるわけではありません。したがって、Cが無権代理について 善意無過失 であれば、CはBに対して無権代理人の責任に基づく損害賠償を請求することが可能となります。
各選択肢の解説
- 選択肢1:誤り
夫婦間における日常の家事に関する法律行為(民法761条)による連帯責任は、あくまで日常家事の範囲内に限られます。不動産の売買は通常、日常家事の範囲には含まれません。相手方Cが日常家事の範囲内にないと知りつつ契約した本肢のような場合、表見代理 も成立せず、契約は本人Bには帰属しません(無権代理のままとなります)。 - 選択肢2:誤り
無権代理行為の相手方であるCは、本人Bに対して相当の期間を定めて、その期間内に追認するかどうかを催告することができます(民法114条)。しかし、本人が期間内に確答をしない場合には、追認を拒絶したものとみなされます。本肢の「追認とみなされ本件売買契約は有効となる」という記述は誤りです。 - 選択肢3:誤り
無権代理人Aが死亡し、本人Bが他の共同相続人Dとともに共同相続した場合の判例(最判平5.1.21)によれば、共同相続人全員が共同して追認しない限り、無権代理行為は有効にはなりません。したがって、共同相続人の一人であるDが追認を拒絶している場合には、Aの相続分に相当する部分についても当然には有効になりません。 - 選択肢4:正しい
前述の通り、本人Bが無権代理人Aを単独で相続した場合、Bは 追認を拒絶できる 一方で、Aが負っていた 無権代理人の責任(民法117条) を承継します。そのため、相手方Cが善意無過失であれば、CはBに対して損害賠償を請求することができます。