平成19年度宅地建物取引主任者資格試験 問2
権利関係代理
Aは不動産の売却を妻の父であるBに委任し、売却に関する代理権をBに付与した。この場合に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。
解答・解説
正解: 1. Bは、やむを得ない事由があるときは、Aの許諾を得なくとも、復代理人を選任することができる。
本問は、任意代理における復代理に関する規定を問う問題です。
任意代理人は、原則として復代理人を選任することができませんが、本人の許諾を得たとき、又はやむを得ない事由があるときに限り、復代理人を選任することができます(民法104条)。
各選択肢の解説
選択肢1:正しい
任意代理人であるBは、やむを得ない事由があるときは、本人Aの許諾を得なくとも復代理人を選任することができます(民法104条)。したがって、本記述は正しいです。選択肢2:誤り
代理人が復代理人を選任した場合、その選任や監督に関して過失(善管注意義務違反)があったときは、本人に対して債務不履行に基づく損害賠償責任を負います。Aの許諾を得たからといって、過失についての責任を免れるわけではありません。選択肢3:誤り
出題当時の民法では、本人の指名に従って復代理人を選任した場合、代理人は原則として選任・監督に関する責任を負いませんでした。例外的に、復代理人が不適任又は不誠実であることを知りながら、その旨を本人に通知し、又は復代理人を解任することを怠ったときにのみ責任を負うとされていました。したがって、「見抜けなかったことに過失があった」という理由だけで責任を負うとする本記述は誤りです。選択肢4:誤り
復代理人を適法に選任した場合でも、代理人の持つ代理権は消滅しません。復代理人は代理人の権限の範囲内で行為を行うにとどまり、代理人と復代理人は並存してそれぞれ代理権を有することになります。
現行法での扱い(2026年4月1日時点)
出題当時は、本人の指名により復代理人を選任した代理人は、不適任等を知りながら通知・解任を怠った時に限り責任を負うため、選択肢3は誤りでした。2020年4月1日施行の民法改正で特則が削除され、任意代理人の責任は債務不履行の一般原則によることとなりました。現行法では本人の指名が注意義務の範囲をどこまで軽減するかは契約の解釈に左右されるため、問題文だけでは選択肢 3の正誤が決まらず、正解が一つに定まりません。