宅建 平成20年度 問11
権利関係不法行為
Aが故意又は過失によりBの権利を侵害し、これによってBに損害が生じた場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、正しいものはどれか。
解答・解説
正解: 4. Aの加害行為が名誉毀損で、Bが法人であった場合、法人であるBには精神的損害は発生しないとしても、金銭評価が可能な無形の損害が発生した場合には、BはAに対して損害賠償請求をすることができる。
本問は、民法上の不法行為責任(民法第709条など)に関する基本的な理解と判例知識を問う問題です。正解は選択肢4です。
各選択肢の解説
選択肢1:誤り
判例によれば、加害行為により被害者が即死した場合であっても、受傷と死亡との間には観念上極めて短い時間的間隔が存在すると解されています。したがって、被害者は死の瞬間に慰謝料請求権を取得し、死亡によりその請求権が相続人に相続されるとされています。選択肢2:誤り
他人の不法行為に対し、自己又は第三者の権利を防衛するため、やむを得ず加害行為をした場合(正当防衛)には、損害賠償の責任を負いません(民法第720条第1項)。したがって、「不法行為責任を負わなければならない」とする本記述は誤りです。選択肢3:誤り
被用者が事業の執行につき第三者に損害を加えた場合、使用者のみならず、加害者である被用者自身も不法行為責任(民法第709条)を免れるわけではありません。また、使用者が被害者に損害賠償をした場合、使用者は被用者に対して求償権を行使することができます(民法第715条第3項)。したがって、「CがBに対する損害賠償責任を負うのであって、CはAに対して求償することもできない」とする本記述は誤りです。選択肢4:正しい
判例によれば、法人は自然人のような精神的苦痛を感じることはないため、精神的苦痛を理由とする慰謝料請求は観念できません。しかし、法人の名誉や信用が毀損され、金銭評価が可能な無形の損害が生じた場合には、当該損害に対する賠償請求をすることができます。したがって、本記述は正しいです。