「事務所・案内所と標識」の過去問(宅建業法・24問)
1. この分野は何か
宅建業者が業務を行う拠点には、大きく分けて「事務所(本店や支店)」と「案内所等(マンションのモデルルームや、分譲地の現地テントなど)」の2種類があります。
お客さまが「ここは許可を受けた正規の不動産会社だ」と安心して取引できるよう、これらの拠点には看板(標識)を掲示するなどのルールが定められています。本分野では、拠点の種類に応じたルールの違いを学びます。
2. 学習のポイント
1. 事務所と案内所等の違い
- 事務所:本店、支店、および「継続的に業務を行うことができる施設で、契約を締結する権限を有する使用人(店長など)が置かれている場所」を指します。
- 案内所等:分譲マンションのモデルルームや、一戸建ての現地案内所など、一時的な業務拠点です。
2. 標識(業者票)の掲示義務
宅建業者は、その拠点が「事務所」であっても「案内所等」であっても、公衆の見やすい場所に必ず標識を掲示しなければなりません。
※案内所等を設けて分譲を行う場合、その物件の「売主である宅建業者(A)」と、販売を任された「媒介・代理業者(B)」の2社が関わることがあります。この場合、標識を掲示する義務を負うのは「案内所を設置した業者(B)」です。さらに、Bが掲示する標識には、売主であるAの免許証番号等も併記しなければなりません。
3. 案内所等の届出(クーリング・オフ等との関連)
案内所等において「契約の締結、または契約の申込みの受付」を行う場合、業務を開始する10日前までに、免許権者と案内所の所在地の知事の双方に「届出」をしなければなりません。契約業務を行わない単なる展示場であれば、届出は不要です。
3. 実際の出題のされ方
宅建試験では、「事務所」に関する名簿や帳簿、専任の取引士の設置義務などと絡めて、総合的な問題として出題されることが多いです。
「案内所」に関する引っかけ問題が定番です。「宅建業者は、建物の分譲を行うための案内所を設置した場合、契約の締結を行わないときであっても、その旨を免許権者に届け出なければならない」(正解:誤り。契約や申込みの受付を行わない案内所であれば届出は不要)。
また、標識の掲示についても「契約業務を行わない案内所には、標識を掲示しなくてよい」といった引っかけが出ます(正解:誤り。契約業務の有無にかかわらず、案内所を設置した以上は標識の掲示は必須です)。
4. 間違えやすいところ
「本店」の扱い
宅建業を営む法人の「本店」は、たとえ不動産の営業部門がなく、別の事業(建設業など)だけを行っていたとしても、宅建業法上は常に「事務所」として扱われます。そのため、本店にも標識の掲示や専任の取引士の設置等が必要です。
標識に記載する事項
標識には、業者の商号・名称、免許証番号、有効期間などを記載します。一方、「専任の宅地建物取引士の氏名」を記載するのは、その拠点が事務所や「契約業務を行う案内所等(専任の取引士の設置義務がある場所)」である場合です。
クーリング・オフとの関係
「契約業務を行う案内所(専任の取引士がいて、事前の届出をしている場所)」で契約や申込みをした場合、そこは事務所等に準ずる場所(冷静に判断できる場所)とみなされるため、クーリング・オフはできなくなります。案内所の形態とクーリング・オフの可否はセットで理解しておきましょう。
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