「親族」の過去問(権利関係・5問)
1. この分野は何か
民法の「家族法(親族・相続)」のうち、相続以外の家族関係(結婚、離婚、親子の関係など)のルールを定めるのが親族編です。
宅建試験の権利関係では、「相続」が毎年出題されるのに対し、「親族」単独で出題される頻度は高くありませんが、未成年者の契約能力や、成年後見制度、夫婦間の不動産取引など、他の分野のベースとなる重要な知識が含まれています。
2. 学習のポイント
1. 親族の範囲
法律上の「親族」とは、以下の3つを指します。
- 6親等内の血族(血のつながった親戚。養子縁組を含む)
- 配偶者(夫や妻)
- 3親等内の姻族(配偶者の血族。義理の親や兄弟など)
2. 婚姻と夫婦の財産
- 婚姻適齢:男女ともに18歳にならなければ結婚できません(※法改正により男女とも18歳に統一され、未成年者の婚姻という概念はなくなりました)。
- 夫婦の財産:結婚前に各自が持っていた財産や、結婚後に自分の名義で得た財産(特有財産)は、それぞれの個人のものです。しかし、結婚期間中に夫婦が協力して築いた財産(どちらの名義か分からないもの等)は、夫婦の「共有」と推定されます。
3. 離婚(裁判上の離婚)
夫婦の合意による「協議離婚」ができない場合、一定の理由(法定離婚事由)があれば、裁判所に訴えて「裁判上の離婚」をすることができます。法定離婚事由には以下のようなものがあります。
- 配偶者に不貞な行為があったとき(浮気)
- 配偶者から悪意で遺棄されたとき(生活費を渡さず放置など)
- 配偶者の生死が3年以上明らかでないとき
- 婚姻を継続し難い重大な事由があるとき
3. 実際の出題のされ方
宅建試験では、「夫婦の日常家事債務の連帯責任」に関する問題がよく出題されます。
「夫婦の一方が、食料品の購入や家賃の支払いなど、日常の家事に関して第三者と契約(借金)をした場合、もう一方の配偶者も連帯して責任を負うか」という問題です(正解:負う。夫婦は生活を共にするため、日常家事についての借金は連帯責任となります)。ただし、この連帯責任は「日常の家事」に限られるため、配偶者が勝手に他人の借金の連帯保証人になったような場合は、もう一方の配偶者は責任を負いません。
また、「扶養義務」についても問われます。直系血族(親や子、孫など)および兄弟姉妹は、互いに扶養をする義務があります。家庭裁判所の審判があれば、3親等内の親族(おじ、おば等)に扶養義務を負わせることもできます。
4. 間違えやすいところ
特別養子縁組と普通養子縁組の違い
養子縁組には2種類あります。
- 普通養子縁組:養子となっても、実の親との親子関係(相続権など)は消滅しません。実親と養親の両方から相続する権利を持ちます。
- 特別養子縁組:原則として15歳未満の子供を対象とする制度で、成立すると実の親との親子関係は完全に消滅します(実親からの相続権はなくなります)。2020年4月施行の民法改正で上限が「6歳未満」から引き上げられたため、それ以前の過去問・解説は「6歳未満」となっています。
離婚による財産分与と詐害行為取消権
夫婦が離婚する際、財産分与として不動産を譲渡することがあります。この財産分与が、不当に多額で「債権者を害する目的(借金取りから財産を隠す目的)」で行われた場合、債権者はその財産分与を詐害行為として取り消すことができます。
夫婦間の契約取消権の廃止
以前の民法では「夫婦間で交わした契約は、婚姻中いつでもどちらからでも取り消すことができる」というルールがありましたが、現在はこのルールは削除されています。夫婦間の契約であっても、一般的な契約と同じように守らなければなりません。