「相隣関係・地役権」の過去問(権利関係・13問)

1. この分野は何か

隣り合った土地の所有者同士が、円満に土地を利用するための民法のルールが「相隣関係(そうりんかんけい)」です。

また、「他人の土地を通らせてもらう権利」など、自分の土地(要役地)の利便性を高めるために、他人の土地(承役地)を利用させてもらう権利を「地役権(ちえきけん)」といいます。

宅建試験では、この2つのテーマがセットで出題されたり、他の権利関係の問題の選択肢として登場したりします。

2. 学習のポイント

1. 相隣関係の頻出ルール

  • 公道に至るための他の土地の通行権(囲繞地通行権):自分の土地が他人の土地に囲まれていて公道に出られない(袋地である)場合、隣の土地(囲繞地)を通行する権利があります。ただし、隣の土地にとって最も損害が少ない場所と方法を選び、原則として通行料(償金)を払う必要があります(※共有物の分割によって袋地が生じた場合は、分割に関わった他の土地のみを、無償で通行できます)。
  • 竹木の枝と根:隣の家の木の「」が境界線を越えてきた場合、勝手に切ってはいけません(隣人に切るよう請求する)。しかし、木の「」が越えてきた場合は、勝手に切り取ることができます。(※法改正により、枝についても「切除を催告したのに切らない場合」等は自ら切除できるようになりました)。

2. 地役権の性質

  • 要役地(便益を受ける土地)と承役地(便益を提供する他人の土地):地役権は「土地のための権利」です。そのため、要役地の所有権が移転すれば、地役権も一緒にくっついて移転します(随伴性)。要役地から切り離して地役権だけを売買することはできません。

3. 地役権の不可分性
要役地がA・B・Cの「共有」である場合。

  • 権利を取得(有利)する方向:Aが単独で地役権を時効取得すれば、BやCも地役権を取得します(一人に生じた有利な効力は全員に及ぶ)。
  • 権利を消滅(不利)させる方向:地役権の消滅時効を止める(中断・更新する)場合、Aが単独で行えば、BやCのためにも時効は止まります(一人でも頑張れば権利は守られる)。

3. 実際の出題のされ方

宅建試験では、相隣関係における「木の枝と根」の違いや、「囲繞地通行権における償金の有無」の引っかけが定番です。

「共有地を分割した結果、公道に通じない土地が生じた場合、その土地の所有者は、公道に至るために他の分割者の土地を無償で通行することができる」という問題。(正解:正しい。自分の都合で分割して袋地を作ったのだから、身内の土地をタダで通れ、というルールです)。

また、地役権の時効取得についても問われます。「継続的に行使され、かつ、外形上認識することができるもの(例:明確に通路が開設されているなど)」に限り、時効によって取得することができます。単に何となく他人の土地を通っていただけでは時効取得できません。

4. 間違えやすいところ

要役地と承役地の関係(隣接の要否)
相隣関係は必ず「隣り合った土地」でなければ適用されません。しかし、地役権の場合は、要役地と承役地が隣接している必要はありません。少し離れた土地から水を引くための地役権なども設定可能です。

地役権の対抗要件(登記)
地役権を第三者に主張するには「登記」が必要です。この登記は、便益を提供する「承役地」の登記記録(乙区)に記録されます(要役地の登記記録には、職権で「要役地である旨」が記録されます)。

境界標の設置費用
隣の土地との間に境界標(フェンスや杭など)を設置する場合、その設置費用は折半(半分ずつ)負担するのが原則です。ただし、境界を確定するための「測量費用」は、折半ではなく土地の面積の割合(広さの割合)に応じて負担します。

  1. 2023年度(R5) 問2 相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、正しいものはどれか。…
  2. 2022年度(R4) 問8 AがB所有の甲土地を建物所有目的でなく利用するための権原が、①地上権である場合と②賃借権である場合に関する次の記述のうち…
  3. 2021(R3)12月 問2 相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
  4. 2020(R2)12月 問9 地役権に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているものはどれか。…
  5. 2020(R2)10月 問1 Aが購入した甲土地が他の土地に囲まれて公道に通じない土地であった場合に関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、…
  6. 2017年度(H29) 問4 次の記述のうち、平成29年4月1日現在施行されている民法の条文に規定されているものはどれか。…
  7. 2013年度(H25) 問3 甲土地の所有者Aが、他人が所有している土地を通行することに関する次の記述のうち、民法の規定及び判例によれば、誤っているも…
  8. 2009年度(H21) 問4 相隣関係に関する次の記述のうち、民法の規定によれば、誤っているものはどれか。…
  9. 2004年度(H16) 問7 次の記述のうち, 民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…
  10. 2002年度(H14) 問4 Aは, 自己所有の甲土地の二部につき, 通行目的で, 隣地乙土地の便益に供する通行地役権設定契約(地役権の付従性について…
  11. 2001年度(H13) 問3 A所有の甲地は袋地で, Aが所有していない回りの土地(囲繞地)を通る通路を開設しなければ公道に出ることができない。この場…
  12. 1999年度(H11) 問2 土地の相隣関係に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 正しいものはどれか。ただし, 民法の規定と異なる慣習につい…
  13. 1988年度(S63) 問5 地上権に関する次の記述のうち, 民法の規定によれば, 誤っているものはどれか。…